記事をシェアする

エシカルとは「倫理的な」という意味です。同じ環境用語であるサステナブルやSDGsと深い関係があります。環境・人権・動物保護・健康など、エシカルは消費者が取り組むべきテーマです。エシカル消費について詳しく解説します。

再エネ由来の電気をフル活用
料金プランはこちら

エシカルとは

エシカル(ethical)という言葉を消費に関して使った始まりは、イギリスで1989年に創刊された「エシカルコンシューマー(Ethical Consumer)」という専門誌です。消費におけるエシカルとは、何を意味するのでしょうか?

エシカルの意味と消費に対する考え方

「エシカル」を直訳すると、「倫理的」です。

現在使われているエシカルには「人や社会、地球環境に配慮した倫理的に正しい消費行動」という意味合いがあります。

商品が消費者の手に届く過程における、環境汚染や搾取、児童労働などが問題視されるようになりました。

地産地消で地域の活性化や雇用を促進したり、買いすぎないことで地球環境に配慮したりといった行動も、エシカル消費の一つです。

※出典:公益社団法人 日本環境教育フォーラム・わたしたちができること 〜エシカルな選択が未来を変える〜

サステナブルやSDGsとの関係

社会や地球に関連する用語であるサステナブルやSDGsは、エシカルとどのような関係があるのでしょうか。それぞれの違いと関連性を紹介します。

サステナブルとの違い

「サステナブル(Sustainable)」は、「持続可能な」という意味です。

1987年、国連の「環境と開発に関する世界委員会」において、「持続可能な開発」という考え方を提唱したモントリオール議定書(オゾン層破壊物質削減)が採択されました。

これをきっかけに、サステナブルという言葉が環境問題を語る上で環境用語として使われるようになったのです。

倫理的な消費は持続可能な環境を作ることにつながり、エシカルとサステナブルという言葉は、深い関係があります。

サステナブルについてもっと詳しく知りたい方はこちら

SDGsのゴール12に関連

SDGs(エスディージーズ)は、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」という英語の頭文字からきています。

2015年9月に国連の「持続可能な開発サミット」で採択された、2030年までの15年間で達成を目指す国際的な目標です。

SDGsには17のゴールが設けられており、ゴール12「つくる責任使う責任」はエシカルと深い関係があります。生産する側と消費する側が、ともに持続可能な生産消費形態を目指すという内容です。

SDGsについてもっと詳しく知りたい方はこちら

エシカル消費の具体例

エシカル消費は世界的な課題となっており、国内では消費者庁や地方自治体がイベント開催・そのほか啓発活動でエシカル消費を推進しています。

エシカル消費とは倫理的な消費のことで、人や環境・社会に配慮した消費行動を指しますが、具体的にどのような「モノの買い方」がエシカル消費になるのでしょうか。

人と社会を気遣う消費

エシカル消費に関わる貿易の仕組みとして挙げられるのが「フェアトレード」です。「公平・公正な貿易」と訳します。

「消費のために誰かが犠牲になる」「安いモノを手に入れるために誰かが搾取される」といった問題は、世界の各地で実際に起きていることです。

生産者の健康や地球環境が脅かされている現状に配慮して、「フェアトレード商品を積極的に選ぶ」という消費者の行動はエシカルです。

基準を守り認定を受けた商品には「フェアトレードマーク」(認証ラベル)が貼られており、見分けられるようになっています。

地球環境を考えた消費

エシカル消費を推進するために、以下のようなさまざまな「エシカル認証マーク」を使った取り組みが行われています。

  • エコマーク
  • 有機JASマーク
  • FSC認証
  • 海のエコラベル
  • レインフォレスト・アライアンス認証
  • オーガニックテキスタイル世界基準(Global Organic Textile Standard)

エコマークは環境への負荷を減らし、環境保全に有益であると認められた証しです。有機JASマークがない商品が「有機」「オーガニック」を謳うことは、法律で禁じられています。

これらはみな「脱炭素社会」に向けた地球温暖化対策や海の資源、森の資源を守る環境保護、脱プラスチックを意識した消費などを目的としています。

地域の応援につながる消費

「地産地消」「復興支援商品」「伝統工芸品」に代表される、地域を応援する消費もエシカル消費といえるでしょう。地元で生産された生産物を地元で消費することは、その地域の産業を守る助けになります。

大型台風や地震・津波、土砂災害などの被害を受けた地域の生産物を買うことで、被災地を応援するのが、復興支援商品の取り組みです。

1974年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」によって認められた工芸品を伝統工芸品といいます。伝統工芸品は日本各地に約1300種あり、いずれも古くから受け継がれてきた技術によって作られた日用品です。

製造時のエネルギー使用が少ない伝統工芸品を使うことは、日本の古くからの文化を守り、エシカル消費につながります。

暮らしに取り入れたいエシカル商品

エシカル商品には、エシカル認証を受けた商品のほかにも、独自の基準を持った商品があります。「エシカル○○」という商品にはどのようなものがあるのか確認しましょう。

エシカル食品

エシカルフードとも呼ばれるエシカル食品は、主に以下のように定義されます。

  • 過剰な食品添加物を控える
  • 無農薬・オーガニック・有機栽培
  • 規格外農産物
  • アニマルウェルフェアに配慮した食品
  • フェアトレードな食品
  • 地産品
  • CO2削減に取り組んで作られた食品

アニマルウェルフェアとは、食肉の生産過程において、家畜がストレスや苦痛のない環境で健康的に育てられることを指します。規格外農産物やアップサイクルされた原料を使用した食品は、食品ロスの削減につながるでしょう。

エシカルファッション

エシカルファッションとは、以下の基準を満たした衣料品を指します。

  • ファストファッション、チープファッションへの対策
  • 公正な賃金、労働条件、労働者の権利の遵守
  • 持続可能な暮らしを支える
  • 有毒な農薬や化学物質不使用への取り組み
  • 環境にやさしい生地や部品の使用および開発
  • 水の使用を最小限に抑える
  • エネルギー効率と廃棄物のリサイクルへの対処
  • ファッションの持続可能性基準の策定・推進
  • リソース、トレーニング、および意識向上へのイニシアチブ
  • 動物への配慮

2013年にバングラデシュで起きた「ラナ・プラザ崩落事故」では、多くの犠牲者が出ました。ビルの管理を怠った結果の崩落事故とされています。

このビルには、世界の名だたるファッションブランドの縫製工場がテナントとして入居しており、これをきっかけとしてエシカルファッションに対する意識が広まったのです。

エシカルコスメ

エシカルコスメには、食品や衣料のように共有できる基準が設けられていません。エシカルの定義に基づいた化粧品としては、以下のような特徴が挙げられます。

  • フェアトレードの原料の使用
  • 化学成分の軽減
  • 製造過程で行われる動物実験の停止
  • 生産地の環境に配慮した原材料の使用
  • 環境に配慮した容器や包装

エシカルグッズ、エシカルジュエリー

エシカルグッズはエシカル消費を可能にする日用品のことで、プラスチックごみを減らすために、繰り返し使えるよう工夫された商品などを指します。例えば以下のような商品が該当します。

  • 折りたたみ式タンブラー
  • マイストロー
  • リネン生地のコーヒーフィルター
  • エコバッグ
  • シリコン製のラップフィルム

エシカルジュエリーは、児童労働や紛争を介して採掘されていない、フェアトレードによる取引が行われたジュエリーです。人工ダイヤモンドやリサイクルジュエリーには、エシカルジュエリーとして注目が集まっています。

エシカルを取り入れて賢い消費活動を

環境問題に対するさまざまな取り組みが始まっています。エシカル消費が必要とされている背景には、環境破壊や人権侵害、大量廃棄など、消費によって引き起こされる深刻な問題があるためです。

エシカル消費を生活のさまざまな場面に取り入れて、賢い消費活動を実践しましょう。