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環境問題への意識の高まりを受け、カーボンニュートラルという言葉を見聞きする機会が増えています。何となく意味はわかっていても、具体的にどのようなことなのか理解していない方も多いでしょう。カーボンニュートラルの意味や取り組みについて解説します。

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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルは英語で「Carbon neutral」と表記され、直訳すると「炭素中立」という意味になります。炭素の中立とはどのようなことなのか、まずは具体的な意味を押さえておきましょう。

温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすること

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする考え方です。工場や自動車などから人為的に排出される分と、森林や森林管理により人為的に吸収される分を相殺し、排出量を全体としてゼロにすることを意味します。

人間が今後も社会活動を続けていく上で、温室効果ガスの排出量を減らすことはできても、排出量ゼロにはできません。そこで、どうしても排出される分とほかの方法で削減する分を合計し、差し引きゼロを目指しているのです。

人為起源の温室効果ガスには、CO₂・メタン・一酸化二窒素・フロン類があります。温室効果ガスに占める割合が最も大きいのは、全体の約3/4を占めるCO₂です。

カーボンニュートラルを目指す理由

カーボンニュートラルを目指す最大の理由は、温室効果ガスの増加による地球温暖化を抑制することです。

世界の平均気温は1850~1900年の工業化前から約1.1℃上昇しており、このまま地球温暖化が進行し続けると、自然や経済活動、人々の健康に影響が出るとされています。

地球温暖化に最も大きな影響を与えているのが、経済活動や日常生活で排出されているCO₂です。これからの時代は、大気中に排出されるCO₂の削減を目指す「低炭素社会」ではなく、一歩進めてカーボンニュートラルを目指す「脱炭素社会」の実現が求められています。

※出典:カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル|環境省

気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」

温暖化対策の新しい枠組みとして2015年に合意された「パリ協定」では、以下に挙げる長期目標を掲げています。

  • 世界の平均気温上昇を、産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力をする
  • 21世紀後半にはカーボンニュートラルを実現する

パリ協定は1997年に採択された京都議定書を継承するものです。京都議定書では具体的な目標が定められず、削減努力も先進国のみに求められていましたが、パリ協定では途上国を含むすべての参加国に削減努力を求めています。
※出典:パリ協定の概要(仮訳)|環境省

2050年までのカーボンニュートラルを表明した国

年限付きのカーボンニュートラルを表明した国や地域は、COP26が終了した2021年11月時点で154カ国・1地域に達しています。年限ごとの国・地域数は次の通りです。

  • 2050年までのカーボンニュートラルを表明した国や地域:144(日本ほか)
  • 2060年までのカーボンニュートラルを表明した国や地域:8(中国・ロシアほか)
  • 2070年までのカーボンニュートラルを表明した国や地域:2(インドほか)

年限付きカーボンニュートラル表明国のCO₂排出量は、世界全体のCO₂排出量の約88%を占めています。
※出典:COP27 結果概要 | 外務省

カーボンニュートラルと似た言葉の意味

温室効果ガスの削減に関連する言葉には、さまざまなものがあります。カーボンニュートラルと似た言葉の意味について解説します。

カーボン・オフセット

カーボン・オフセットとは、努力で削減しきれないCO₂を埋め合わせるために、ほかの方法で排出削減や吸収に取り組むという考え方です。

カーボン・オフセットでは「クレジット」と呼ばれる制度が活用されています。CO₂排出量の埋め合わせにつながる取り組みに対し、クレジットを購入して資金を提供するという仕組みです。

クレジット付きの製品やサービスを購入すれば、私たちも温暖化対策に貢献することが可能です。この場合は、私たちの日常生活にかかるCO₂排出量をオフセットすることになります。

カーボン・オフセットについてもっと詳しく知りたい方はこちら

ゼロエミッション

カーボンニュートラルと意味が似ている言葉には、ゼロエミッションもあります。ゼロエミッションとは、廃棄物の排出量をゼロに近づける考え方です。

産業活動から出る廃棄物は、温暖化やゴミの増加など地球環境にさまざまな負荷を与えます。しかし、努力により廃棄物を減らすことはできても、廃棄物の排出自体をゼロにすることは不可能です。

そこでゼロエミッションでは、ある企業の廃棄物を別の企業の原材料として使うシステムを構築します。廃棄物をリサイクルで活用し、産業全体で廃棄物をできるだけ排出しないようにする考え方なのです。

ゼロエミッションについてもっと詳しく知りたい方はこちら

カーボンニュートラル実現へ向けた日本の取り組み

カーボンニュートラルを実現するために、政府はさまざまな取り組みを実施しています。日本の主な取り組みを見ていきましょう。

地域脱炭素ロードマップ

地域脱炭素ロードマップとは、地域における脱炭素の工程と具体策を示したものです。2030年度までに脱炭素先行地域を100カ所以上設定し、脱炭素への取り組みをドミノのように全国へ広げ、2050年を待たずに脱炭素を達成することを目指しています。

脱炭素先行地域で行われる主な取り組みは、「再エネ」「省エネ」「電化」「EV/PHEV/FCVの利用」「カーボンニュートラル燃料の使用」などです。

また、脱炭素の基盤となる重点対策も全国で並行して実施されます。重点対策の代表例は、太陽光発電の設置や住宅の省エネ性能の向上、ゼロカーボン・ドライブです。

※出典:地域脱炭素ロードマップ【概要】 | 国・地方脱炭素実現会議

グリーン成長戦略

2050年までにカーボンニュートラルを実現するための産業政策がグリーン成長戦略です。「経済と環境の好循環」を目指し、経済産業省が中心となって策定されました。

グリーン成長戦略では14の分野を重点分野とし、それぞれにおいて高い目標が掲げられています。例えば、自動車・蓄電池の分野の目標は、2035年までに乗用車の新車販売において電動車100%を達成することです。

投資促進税制の適用や繰越欠損金の控除上限引き上げの特例など、グリーン成長戦略では黒字・赤字企業それぞれに対する支援も行われます。

※出典:グリーン成長戦略(概要) | 経済産業省

改正地球温暖化対策推進法

地球温暖化対策推進法(改正温対法)は、京都議定書の採択に伴い1998年に成立した法律です。2021年5月に7度目の改正案が成立し、2022年4月に改正案が施行されました。

改正温対法では、2050年までのカーボンニュートラル実現を基本理念とすることが明記されています。地域・企業の脱炭素化も改正温対法のポイントです。

地域においては、再エネの利用促進などに対し、実施目標の設定を求めています。また、企業には温室効果ガス排出量情報のオープンデータ化を求め、脱炭素経営の促進やESG投資の呼び込みを図っています。

※出典:地球温暖化対策推進法と地球温暖化対策計画 | 環境省

カーボンニュートラルへの企業の取り組み事例

カーボンニュートラルの目標を達成するためには、事業活動で大量のCO₂を排出している企業の協力が不可欠です。カーボンニュートラル実現に向けた日本企業の取り組み事例をご紹介します。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は「トヨタ環境チャレンジ2050」を設定し、2050年までのカーボンニュートラル目標達成に向けた挑戦を進めています。具体的な目標は次の6つです。

  • 新車CO₂ゼロチャレンジ
  • 工場CO₂ゼロチャレンジ
  • ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ
  • 水環境インパクト最小化チャレンジ
  • 循環型社会・システム構築チャレンジ
  • 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

例えば、新車CO₂ゼロチャレンジでは、新車が排出するCO₂の2010年比90%減を目標としています。また、2025年ごろまでには、すべての車に電動専用車または電動グレードを設定する予定です。

※出典:環境にやさしいクルマづくり | カーボンニュートラルと環境への取り組み | クルマこどもサイト | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

ヤマト運輸

ヤマト運輸はカーボンニュートラルを実現するために、以下の目標を設定しています。

  • 長期目標:2050年温室効果ガス排出実質ゼロ
  • 中期目標:2030年温室効果ガス排出量2020年度比48%削減

上記目標を達成するための具体的な取り組みは次の通りです。

  • 宅配で使用するドライアイスの削減
  • 2030年までに電気自動車(EV)20,000台を導入
  • 再生可能エネルギー発電による電力の利用の促進

三井不動産

三井不動産では、グループ全体の温室効果ガス排出量を、2030年度までに2019年度比で40%削減することを目標としています。最終的な目標は、2050年までのカーボンニュートラルの達成です。

具体的な取り組みとしては、以下に挙げる行動を実行しています。

  • 新築・既存物件における環境性能向上
  • 物件共用部・自社利用部の電力グリーン化
  • 入居企業・購入者へのグリーン化メニューの提供
  • 再生可能エネルギーの安定的な確保
  • 建築時のCO₂排出量削減に向けた取り組み

個人ができるカーボンニュートラルへの取り組み

カーボンニュートラルを実現するためには、国や企業だけでなく個人の行動も不可欠です。私たちにもできるカーボンニュートラルへの取り組みをご紹介します。

ライフスタイルの見直し

私たちがライフスタイルを見直すことで、カーボンニュートラルの目標達成に貢献できます。CO₂の削減につながる取り組みをまとめました。

  • できるだけ公共交通機関・自転車・徒歩で移動する
  • 電化製品のコンセントを小まめに抜く
  • シャワーのお湯を出しっぱなしにしない
  • 古い電化製品を省エネ性能の高い製品に買い替える
  • 食品は食べきれる量だけ買う
  • 家庭から出るゴミを減らす
  • リサイクルを意識する

カーボンニュートラルを意識して生活すれば、今までの生活で生じていた無駄が浮き彫りになるでしょう。できることから早速始めてみることが大切です。

再生可能エネルギーの導入

個人ができるカーボンニュートラルへの取り組みとしては、再生可能エネルギーの導入も挙げられます。再エネ発電による電気を使いたい場合は、電力会社の見直しがおすすめです。

自家発電が可能な太陽光発電の導入も検討しましょう。蓄電池も併せて設置し、太陽光発電による電気を溜めて使えば、再エネ100%に近い状態で生活することも不可能ではありません。

太陽光発電と蓄電池を導入する際は、Looopでんきの「とくするソーラー」がおすすめです。リースで提供されるため、初期費用無料で設備を導入できます。

とくするソーラー | 屋根置き太陽光発電( 住宅・店舗・事務所) | Looop(ループ)

カーボンニュートラルの実現に個人でも貢献しよう

カーボンニュートラルを実現するためには、私たち一人ひとりが主役になる必要があります。カーボンニュートラルの考え方をしっかりと理解し、国や企業の取り組みも把握した上で、個人ができることを可能な範囲で始めてみましょう。

Looopでんきは、再生可能エネルギー実質100%やCO₂排出量実質ゼロの電気をオプションとして提供しており、再生可能エネルギーの更なる普及を通じた「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンとしています。

Looopでんきの新たな試みの1つが市場価格に合わせて30分ごとに電気料金が変わる「スマートタイムONE」の提供です。

市場価格は電力の需要と供給のバランスを体現しており、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー由来の電気が多く発電される時間帯においては、市場価格が安くなる傾向にあります。

市場価格の確認を習慣化すれば、環境への意識も自ずと高まるでしょう。太陽光パネルや蓄電池と併用することで、電気料金を抑えながら地球にやさしい生活を目指せます。

環境への意識や太陽光パネルとの組み合わせを重視して、Looopでんきをご利用いただいているお客様の声を紹介します。

(50代 / 女性 / 4人暮らし)
環境を重んじたキャンペーンなど、独自の取り組みがあり、社会課題についてささやかながらも参加できるから。

(30代 / 女性 / 4人暮らし)
基本料金がないことと、太陽光などと組み合わせてうまく使えばかなり電気代を抑えることができる為。

再生可能エネルギーに興味がある方は、Looopでんきが提供する「スマートタイムONE」の仕組みや料金をぜひご覧ください。