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環境問題に興味があるなら、海面上昇についても理解しておくのがおすすめです。生活への影響や個人レベルの対策を知れば、できることから実践するきっかけになるでしょう。海面上昇のメカニズムや将来のリスク、私たちが取り組めることについて解説します。

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海面上昇とは

地球の気温は上昇し続けており、温暖化は海洋にも大きな影響を与えています。海面上昇とは何か、まずは概要と現状を理解しましょう。

海面の水位が上がる現象

海面上昇とは、地球温暖化の影響で海面の水位が上昇する現象です。氷河の融解や海水の膨張などにより、海面の平均水位は年々高くなっています。

国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した資料によると、地球の海面水位は2100年末には最大で1.1m上昇すると予想されています。

海面上昇は、SDGs13「気候変動に具体的な対策を」やSDGs14「海の豊かさを守ろう」とも関連する問題です。海面上昇の解決に取り組むことは、これらの目標に向き合うことにもつながります。

※出典:気象庁 | 気候変動に伴う海面上昇量に関する最近の議論 P11

海面上昇の現状

IPCCの最新の報告書によると、1901年から2018年の期間に、世界の平均海面水位は約20cm上昇しています。また、気象庁の資料からは、日本沿岸の海面水位が2020年に過去最高を記録したことがわかります。

海面上昇が最も深刻な影響を与えているのは、太平洋やインド洋の島々です。海面が30㎝上昇すると、島の50~80%は浸水する恐れがあるといわれています。

海面上昇は日本にも大きな影響を与えかねない問題です。周囲の海面が1m上昇した場合、砂浜の約90%が失われ、農地や井戸が受ける塩害も深刻さを増すと予想されています。

※出典:IPCC | 第6次評価報告書第1作業部会報告書

※出典:気象庁 | 2020年の日本沿岸の平均海面水位が過去最高を記録

海面が上昇する原因

地球の気温が高くなるとなぜ海面が上昇するのか、メカニズムがよくわからない方もいるのではないでしょうか。海面が上昇する代表的な原因について解説します。

海洋の熱膨張

地球温暖化の影響により海洋が温められると、海水が熱膨張して海面が上昇します。具体的なメカニズムは次の通りです。

  • 20℃の海水が1℃上昇すると、海水の体積が約0.025%膨張する
  • 海面から500mまでの海水の温度が2℃上昇すると、海面の水位は25cm上昇する

1971年から2018年までの期間における海面上昇のうち、約50%は海洋の熱膨張を原因として引き起こされています。

海洋は地球の表面の約7割を占めており、熱容量が大気より大きいため大量の熱を蓄積しています。海洋と大気が熱をやりとりすることで、地球環境に大きな影響を与えているのです。

※出典:気象庁 | 気候変動に伴う海面上昇量に関する最近の議論 P5

※出典:IPCC | 第6次評価報告書第1作業部会報告書 P11

※出典:気象庁 | 気候と海洋の知識 海洋への熱の蓄積について

氷河・氷床の減少

海面上昇の原因の1つに、氷河や氷床の減少も挙げられます。温暖化の影響で山岳の氷河や南極・グリーンランドの氷床が融解し、海に流れ込むことで海面が上昇するのです。

近年、グリーンランドの氷床では大規模な融解が起きており、現在のペースが続けば2100年までに海面が10~18cm上昇すると予想されています。

1971年から2018年までの海面上昇のうち、約42%は氷河・氷床の減少が原因です。ただし、2006年から2018年までの間に限ると、氷河・氷床の減少が海面上昇の支配的な原因となっています。

※出典:AFPBB News | グリーンランド氷床、熱波で「大規模融解」

※出典:IPCC | 第6次評価報告書第1作業部会報告書 P11

海面上昇で懸念されていること

海面が上昇することにより、世界でさまざまな問題が起きるリスクがあります。海面上昇で懸念されていることを見ていきましょう。

気候難民が発生する

気候難民とは、気候の影響による自然災害で避難を余儀なくされる人のことです。海面上昇で陸地が減っていくと、気候難民が大幅に増加すると予想されています。

海面上昇による気候難民の問題でよく取り上げられる国がツバルです。島国であるツバルは既に海面上昇でさまざまな影響を受けており、人々が住めなくなりつつあります。

ツバル政府の要請により、ツバル国民がオーストラリアとニュージーランドに移住する計画も進められています。ですが、オーストラリアが難色を示しているほか、実際に移住するためには厳しい条件をクリアしなければならないのが実情です。

災害リスクが高まる

海面が上昇すると災害リスクも高まります。地震や台風などにより引き起こされる水害の規模がより大きくなるためです。

高波は海面の上に発生することから、海面が上昇すると高波による被害も大きくなります。現在は堤防で守られている地域でも、このまま海面上昇が続くと高波が堤防の能力を超えてしまうのです。

地震や台風が多い日本も、海面上昇により災害リスクがより高くなる恐れがあります。今後の防災対策においては、海面上昇も考慮した設備を整備しなければならなくなるでしょう。

生態系が崩れる

海面上昇で懸念されていることの1つに、生態系への悪影響も挙げられます。海面・海水温の上昇で海に生息する生き物がさまざまな影響を受け、生態系が崩れてしまうのです。

例えば、サンゴ礁は海の中でCO₂を吸収したり生き物のすみかになったりする役割があります。さらにサンゴ礁が防波堤の役目を担ったり、サンゴの殻で砂浜ができたりといった効果も期待できます。

しかし、海面上昇の影響でサンゴ礁が死滅すると、これらの役割を果たせません。海のさまざまな生き物に悪影響を及ぼすほか、高波による被害も大きくなってしまいます。

海面上昇に対する世界の取り組み

海面上昇を引き起こす温暖化に対しては、世界でさまざまな取り組みが行われています。代表的な取り組みであるパリ協定や温暖化対策の企業事例について解説します。

パリ協定

パリ協定は気候変動問題に関する国際的な枠組みです。1997年に定められた京都議定書の後を継ぎ、2020年以降の温暖化対策について取り決められています。

パリ協定では、世界共通の長期目標として、産業革命前の平均気温と比較した気温上昇を2℃以下にすることを目標に、できる限り1.5℃に抑えるという努力目標を定めています。

IPCCの「1.5℃特別報告書」では、現在のスピードで温暖化が進んだ場合、早くて2030年には1.5℃に達するとしています。1.5℃を大きく超えないようにするためには、地球全体のCO₂排出量を2030年までに2010年水準から約45%減少しなければならないのです。

※出典:外務省 | 2020年以降の枠組み:パリ協定

※出典:IPCC | 1.5℃特別報告書

温暖化対策の企業事例

世界最大手の家具メーカー「イケア」は、長年にわたり気候変動に対するさまざまな取り組みを行っています。イケア・ジャパンでのCO₂排出削減の取り組みは以下のとおりです。

  • 風力発電などの再生可能エネルギーの利用
  • ガス式冷暖房システムを電気式に変更
  • 輸送時のEVトラックの利用

また、アウトドアメーカーのパタゴニアでは、全ての製品を再生可能素材またはリサイクル素材で製造するという目標を掲げています。

※出典:イケア、COP26にパートナーとして参加するとともに、 気候変動への取り組みを継続|IKEA【公式】 - IKEA
※出典:気候目標 | パタゴニア | Patagonia
※出典:プラスチック問題についてパタゴニアが行っていること - Patagonia Stories

海面上昇対策として私たちができること

地球温暖化を防ぐには個人レベルでの行動も大切です。海面上昇対策として個人ができることを紹介します。

節電を意識する

海面上昇を抑えるためには、地球温暖化の進行を遅らせる必要があります。個人レベルで節電に取り組めば、地球温暖化の原因となっているCO₂の排出量を減らすことが可能です。

家庭で取り組める省エネ行動としては、以下のようなものが挙げられます。

  • エアコンを適切な温度に設定する
  • LED照明に交換する
  • 省エネ性能が高い電化製品を使う
  • 使わない電化製品はプラグを抜く
  • テレビをつけっ放しにしない
  • 電力需要が高い時間帯の電気の使用を控える

節電を意識して生活すれば、電気代の節約にもつながるでしょう。

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再生可能エネルギー発電の電気を使う

再生可能エネルギー由来の電気を使ったり、太陽光発電を取り入れたりすることも、個人でできる海面上昇対策の1つです。

日本における発電方法の主流は火力発電であり、火力発電ではCO₂を大量に排出する燃料を使っています。再生可能エネルギー発電による電気の使用を意識することで、結果的に火力発電のCO₂排出量削減につながるのです。

太陽光発電と一緒に蓄電池を導入すれば、自家発電した電気をいつでも使えるようになるため、電気代の大幅な節約も期待できます。

海面上昇を理解し温暖化への意識を高めよう

温暖化により引き起こされる海面上昇は、世界中でさまざまなリスクを生み出しています。海面上昇について理解を深め、個人でもできることに取り組んでみましょう。

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