記事をシェアする

持続可能な社会とは?未来に向けて私たちができること 持続可能な社会とは?未来に向けて私たちができること

近年、「SDGs」という言葉を耳にする機会が増えてきました。SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」を表す言葉です。地球環境を保全する取り組みへの関心が徐々に大きくなっていると言えるのではないでしょうか。

この記事では、持続可能な社会とはどういうものか、また世界や日本で行われている取り組みについて詳しく紹介します。現状を知ることで、私たち1人ひとりにできることが見えてくるでしょう。

再エネ由来の電気をフル活用
料金プランはこちら

持続可能な社会とは

「持続可能な社会」とは地球の環境が保全され、1人ひとりが幸せを実感できる生活を送れる社会、さらに将来世代にも継承することができる社会と言えます。「持続可能」という考え方は、1987年「国連の環境と開発に関する世界委員会(WCED)」の最終報告書(通称ブルントラント報告)で提唱されました(※)。以来、持続可能な社会、持続可能な開発という考え方は、地球環境問題に対する世界的な取り組みの基本となっています。

地球上では、たくさんの生物や水、大気、土壌などが有機的に結びついて存在しています。人間もその環境の一部ですが、近年、人間の活動が環境を汚染し、生態系を破壊していることが心配されています。特に産業革命以降、経済が急発展したことに伴い、地球環境の悪化が著しいスピードで進んでいるのです。

実際、温室効果ガスの排出に伴う気候変動は、集中豪雨や高温などの異常気象を引き起こしています。また、世界の人口が増加することによって、食糧不足やさらなる環境破壊を引き起こすことも予想されています。このまま人類が経済優先の生活を続けていると、地球はもたなくなるでしょう。地球の資源には限りがあるため、人類1人ひとりが意識して環境を守るための行動が求められています。

※出典:環境省 第3章 地球温暖化対策を進める技術

持続可能な社会が求められる理由

なぜ今、持続可能な社会がこれほどまでに求められているのでしょうか。それは地球の資源には限りがあり、行き過ぎた人間活動が地球環境を危機に追いやっているからです。ここでは、持続可能な社会が求められる理由を2つの視点から解説します。

地球温暖化

持続可能な社会が求められる背景の1つに地球温暖化があります。温暖化とは、人間の活動によって二酸化炭素やメタン、亜酸化窒素、フロンなどの温室効果ガスが大気中に多く放出され、地球の平均気温が上昇する現象です。温暖化が進むと氷河が溶けて海面が上昇したり、異常気象が発生したりと、地球全体の生態系や人間の生活環境に大きな影響を及ぼします。

現在のペースで温室効果ガスが放出され続けると、2100年には平均気温が約2度上がるというデータもあります(※)。また、2021年に開催されたIPCC(政府間パネル)第6次評価報告書では、以下のような報告がなされました。

  • 2019年の大気中のCO2濃度は410ppmであり、工業化前より約47%高くなっている
  • 世界平均気温(2011~2020年)は、工業化前と比べて約1.09℃上昇
  • 陸域では海面付近よりも1.4~1.7倍の速度で気温が上昇
  • 北極圏では世界平均の約2倍の速度で気温が上昇
  • 陸域のほとんどで1950年代以降に大雨の頻度と強度が増加
  • 強い台風(強い熱帯低気圧)の発生割合は過去40年間で増加
  • 北極の海氷(2010~2019年)は、1979~1988年と比べて、海氷が一番少ない9月で40%減少、海氷が一番多い3月で10%減少
  • 世界の平均海面水位は1901~2018年の間に約0.20m上昇
※引用元:JCCCA WG1 第1作業部会(自然科学的根拠)

1990年に出された第1次報告書では、人間の活動による温室効果ガスの放出は「気温上昇を生じさせるだろう」という表現が使用されていました。しかし、第6次評価報告書では「疑う余地がない」という断定的な表現が使用されています。

※出典:環境省 温暖化とは

生物多様性の損失

生物多様性の損失 生物多様性の損失

地球上では人間、動物、植物、昆虫などの多様な生物が互いにつながり合いながら生きており、そのことを「生物多様性(Biodiversity)」と呼びます。自然の生態系はとても微妙なバランスを取りながら成り立っているため、一度壊れてしまうと元に戻すのが難しいものです。近年、その生物多様性の損失が大きな問題となっています。

野生生物種の絶滅はものすごい速さで進み、そのスピードは自然状態の1,000~1万倍にもなると言われています(※)。地球ではこれまで5回の大量絶滅期がありましたが、現代はそれに続く6回目の大量絶滅期と呼ばれているのです。

生物多様性の豊かさを測る指標「生きている地球指数(LPI)」によると、1970~2016年にかけて脊椎動物が平均68%減少、特に淡水域では84%も減少したというデータがあります(※)。これら生物多様性の損失の原因として、森林伐採や動物の過剰な捕獲、汚染、気候変動などが挙げられます。生態系が破壊され、生物が生息する環境が悪化・消失することへの懸念は深刻です。

20世紀後半に入り、特に豊かな自然環境が残っていた途上国を中心に、人間活動による自然破壊が繰り返されてきました。自然を大きく変えることで生物は絶滅に追い込まれ、その結果、生態系システムがさらに乱れるという悪循環に陥っています。生物多様性の損失は人間が引き起こした環境問題として見逃せないものと言えるでしょう。

※出典:WWF JAPAN 過去50年で生物多様性は68%減少 地球の生命の未来を決める2020年からの行動変革

持続可能な社会に向けた世界の流れ

以上の問題を踏まえ、世界は持続可能な社会に向けて現実的な歩みを始めています。ここでは、具体的な世界の動きについて見ていきましょう。

持続可能な開発目標(SDGs)の採択

持続可能な開発目標(SDGs)の採択 持続可能な開発目標(SDGs)の採択

2015年9月に開催された国連サミットでは、全会一致で「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。これは、2015年から2030年までの長期的な開発の指針で、「誰1人取り残さない」持続可能で多様性のある社会を実現することを目標としているものです。17の国際目標と169のターゲット(具体目標)、231の指標で構成されています。17の国際目標は以下のとおりです。

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレを世界中に
  • エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任、つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう(※)

日本でも2016年5月にSDGs推進本部を設置。2017年から毎年、8つの優先課題に基づいた「SDGsアクションプラン」を策定しています。

※出典:外務省 持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割

脱炭素化への転換点となったパリ協定

「パリ協定」とは、2015年に国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(通称COP21)で採択された新たな法の枠組みです。これは京都議定書に続くもので、翌年2016年に発効されました。COP21が目指しているのは、人間の活動による温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることです。

パリ協定の特徴は、歴史上初めて、気候変動枠組条約に加盟の196カ国すべての国が削減目標・行動をもって参加すること。また、途上国を含むすべての国に温室効果ガス排出削減の努力を求めていることです。京都議定書では一部の先進国のみに温室効果ガス排出削減が課せられていたため、大きな変化と言えるでしょう。

以下は、パリ協定で定められた世界共通の長期目標です。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には温室効果ガス排出量を生態系が吸収できる範囲に収めること
  • 各国の目標を5年ごとに見直し、継続的・段階的に目標を引き上げていく(※1)

2021年、日本は2030年度までに2013年度の温室効果ガス排出量から46%削減することを目標に掲げています(※2)。

※1 出典:JCCCA パリ協定
※2 出典:外務省 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略

持続可能な社会に向けた日本での取り組み例:ジャパンSDGsアワード

日本政府の設立したSDGs推進本部は、先進的なSDGs達成に向けた企業・団体等の取り組みを表彰する「ジャパンSDGsアワード」を主催しています。ここでは、2021年第5回ジャパンSDGsアワードで表彰された取り組みをご紹介します。

SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞:株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナは、バングラデシュの貧困農家に高品質な緑豆の栽培方法を伝えた取り組みが高く評価されました。収穫した豆を市場価格よりも高い価格で農家から購入することで、地元農家の雇用を生み出し、所得を増やすことに貢献したのです。

購入した緑豆の半分は日本に輸出され、残りの半分は現地の貧しい人たちに原価で販売されます。長期的に継続でき、かつ、地元民の自立的な支援体制を確立しました。

さらに、国連世界食糧計画(WFP)と連携して、ミャンマー・ラカイン州からの避難民(「ロヒンギャ」難民)に食糧の供給、現地の貧困農家に栽培指導、作物の購入などを実施。2年間で、3万人の難民に約1年半分にあたる緑豆を供給しました。また、難民キャンプ近隣の小規模農家2,000人を雇用した実績があります。

地産地消によって新鮮な作物を提供することができ、運送費も大幅に削減しました。

※出典:外務省 ジャパンSDGsアワード

SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞:NPO法人eboard

NPO法人eboardは、聴覚や発達の障害がある子、日本語指導が必要な子など7万人以上を対象に、義務教育をカバーする教材を提供しています。1,900本の映像授業に字幕を追加した取り組みが評価されました。発達段階に関わらず、多くの子どもが理解できるよう、学習しやすくなる「やさしい字幕」を制作。字幕の制作には16の企業や団体に加え、個人ボランティア1,000名以上が参加しています。

コロナ禍では、学習方法が変化したことによって勉強についていけない子どもも増えています。そのような子どもたちにも学習の機会を保障する「誰1人取り残さない」教育を実践している点が評価のポイントとなりました。

現在は、毎月20万人以上がインターネット上でeboardを利用しています。映像教材は誰でも無料で利用できる点も魅力です。

※出典:外務省 ジャパンSDGsアワード

SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞:社会福祉法人恩賜財団済生会

「済生勅語」とは、生活が苦しく医療を受けられない人たちを無償で治療するという趣旨で明治44年、明治天皇によって出されました。その精神を受け継いだ活動を行っているのが社会福祉法人恩賜財団済生会です。活動の柱は主に以下の3つで、医療や福祉が届きにくい人たちを対象に「誰1人取り残さない」支援を続けている点が評価のポイントとなりました。

  • 生活困窮者への援助の積極的促進
  • 地域医療への貢献
  • 総合的な医療・福祉サービスの提供を果たすべき使命

生活困窮者支援「なでしこプラン」では、ホームレスの健診や障害者の就労促進、子どもの貧困、刑務所出所者の地域生活への対応などに取り組んでいます。11年間で、生活困窮者等累計約156万人に対する支援を実施してきました。

また、全1,641項目にも及ぶ「済生会ソーシャルインクルージョン推進計画」を取りまとめ、医療・福祉の枠を超えた、差別や分断のない社会の実現を目指しています。閉じこもりがちな高齢者や買い物難民、がん患者の就労支援などにも取り組んでいます。

※出典:外務省 ジャパンSDGsアワード

持続可能な社会に向けて再エネ電気を

持続可能な社会を実現するためには、1人ひとりが消費行動を意識し、社会を変える必要があります。日頃から節電・節水を心がける、マイバッグやマイボトルを持参する、フードロスを減らすなども日常的に実践できる取り組みです。また、地球の資源には限りがあるので、持続可能なエネルギー(再生可能エネルギー)を使用するのもよいでしょう。

Looopでんきの「eneco」は、実質CO2排出ゼロ、実質再生可能エネルギー100%の電気をお届けしています。「地球の未来を考えたい」「エコ活動に貢献したい」といった方におすすめです。電気を切り替えるだけで持続可能な社会の実現に一歩近づけるでしょう。

Looopでんきの環境価値サービス「eneco」について見る