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石油や天然ガスに代わる次世代資源として、メタンハイドレートが注目を集めています。日本のエネルギー面における安全保障やCO₂排出量削減に役立つことが期待されているのです。メタンハイドレートの概要・メリット・現状や今後について解説します。

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メタンハイドレートとは

メタンハイドレートは天然ガスを生み出す新しいエネルギー資源として脚光を浴びています。特徴や存在する場所など、まずはメタンハイドレートの基礎知識を理解しましょう。

メタンと水が結晶化した物質

メタンハイドレートとは、天然ガスの主成分であるメタンと水が、特定の条件下で結合し結晶化したものです。氷状に固まっており、火を近づけるとメタンガスが燃えるため、「燃える氷」とも呼ばれます。メタンガスの燃焼後は水だけが残ります。

1立方メートルのメタンハイドレートからは、約160~170立方メートルのメタンガスを取り出すことが可能です。小さな体積から大量のエネルギーを生み出せます。

メタンハイドレートが初めて発見されたのは1930年代のことです。シベリアの天然ガス輸送パイプラインに度々詰まっていた物質を調べたところ、メタンと水の化合物質であることがわかりました。

メタンハイドレートが存在する場所

メタンハイドレートは以下の条件をすべて満たす場所に存在しています。

  • メタンが生成される
  • 高圧・低温の条件が整っている
  • ハイドレートを収めるのに適した地層が存在する

メタンハイドレートの存在が確認されている代表的な場所は、大陸周縁部の水深500m以深の海底地層や永久凍土地帯、深い水深の湖底です。世界中の広域に分布しており、日本を含む各国が研究開発に乗り出しています。

メタンハイドレートの種類

メタンハイドレートは存在する場所により2種類に大別されます。海底の表面近くで生成されるタイプが表層型、海底下の砂または砂泥互層に存在するタイプが砂層型です。

日本の東部南海トラフにある砂層型メタンハイドレートからは、約1.1兆立方メートルのメタンガスを取り出せるとされています。また、日本海側の海鷹海脚の表層型メタンハイドレートから取り出せるといわれているメタンガスの量は、約6億立方メートルです。

砂層型は国による研究開発が2001年にスタートし、2019年からフェーズ4に入っています。一方、表層型の本格的な研究開発がスタートしたのは2013年です。

メタンハイドレートのメリット

メタンハイドレートが近年注目を集めている主な理由を紹介します。新たなエネルギー資源として活用できることや、地球温暖化防止に貢献できることがポイントです。

将来的な国産エネルギー資源になり得る

メタンハイドレートは小さな体積から多くのエネルギーを生み出せます。日本の近海には多くのメタンハイドレートが存在するため、エネルギー資源として活用できれば、日本も資源大国になれる可能性があるのです。

日本はエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っています。2019年度の一次エネルギー自給率は12.1%であり、ほかのOECD諸国と比較しても低い水準です。

海外にエネルギーを依存していると、国際情勢に左右されてエネルギー源を安定的に確保できないなどの問題が発生します。メタンハイドレートの研究開発が進めば、将来的な国産エネルギー資源となり、エネルギーの自給率向上を期待できるのです。
※出典:2021-日本が抱えているエネルギー問題(前編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁

燃焼時のCO₂排出量を抑えられる

メタンハイドレートから採取したメタンは、天然ガスの主成分であるメタンと同じものです。したがって、天然ガスと同じように都市ガスや発電所の燃料として使えます。

天然ガスは燃焼時のCO₂排出量を抑えられるクリーンエネルギーです。石炭の燃焼時のCO₂排出量を100とした場合、天然ガスの燃焼時のCO₂排出量は約60まで減るため、大幅なCO₂削減を実現できます。

CO₂は地球温暖化への影響度が最も大きいガスです。メタンハイドレートの実用化が進み、発電の電源構成においてメタンの割合が増えていけば、地球温暖化防止にも貢献できます。

メタンハイドレートの課題

メタンハイドレートの実用化には、さまざまな課題があることも認識されています。どのような問題があるのかを見ていきましょう。

回収に多大な費用がかかる

メタンハイドレートは、天然ガスや石油のように海底から吹き出すわけではありません。また、固体のまま回収するためには、高圧・低温を維持し続ける必要もあります。

これまでにさまざまな回収方法が検討されているものの、いずれも多大な費用がかかる点がデメリットです。石炭や石油よりコストがかかるようでは、実用化は難しくなるでしょう。

メタンハイドレートからのガス生産を、安定的かつ低コストで進められるようになるためには、さらなる研究開発や技術革新が必要なのです。

環境破壊を招くリスクがある

メタンガスの温室効果はCO₂の約20~25倍といわれています。採掘により大量のメタンガスが大気中に放出されれば、さらなる地球温暖化を招くリスクがあるのです。

また、メタンハイドレートの採掘時に地震誘発や地盤沈下を引き起こすリスクも指摘されています。採掘時に海の環境が変わることで、生態系を乱す恐れもあるでしょう。

なお、メタンハイドレートはそのままの状態でも少しずつ溶け出し、メタンを放出しています。そのため、採掘して燃焼させるほうが温暖化対策になるという意見もあります。

メタンハイドレート開発の現状と今後

日本はメタンハイドレートの開発において、世界の先端を走っています。砂層型・表層型それぞれの現状と今後を把握し、メタンハイドレートへの理解を深めましょう。

砂層型は海洋産出試験を実施済み

砂層型メタンハイドレートの開発は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)・ 国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)・ 日本メタンハイドレート調査株式会社(JMH)が組織する研究開発コンソーシアム「MH21-S」が進めています。2001年から研究が始まり、18年間にわたる3つのフェーズを経て、2019年にはフェーズ4がスタートしました。

フェーズ1では世界で初めて「減圧法」を採用し、6日間連続でメタンガスの生産を確認しています。フェーズ2では世界初の海洋産出試験を実施し、フェーズ3の海洋産出試験では36日間のガス生産を実現しました。

海洋算出試験まで手掛けた国は、世界で日本と中国のみです。今後は長期的な安定生産の確認や長期の陸上産出試験などが予定されています。
※出典:MH21-S研究開発コンソーシアム--MH21の成果--

表層型は生産手法確立に向けた技術開発を開始

表層型メタンハイドレートの開発は、経済産業省と産総研の主導で進められています。2013年から3年間、産総研が調査を実施し、表層型の存在可能性を明らかにしました。

この結果を受け、2019年からは主に以下のテーマを軸に開発が行われています。

  • 生産技術の開発
  • 海洋産出試験の実施場所の特定に向けた海洋調査
  • 環境影響評価

表層型は海底面に近い場所に存在するため、砂層型で用いられている減圧法を使えません。まずは採掘技術を確立させ、揚収・分離との組み合わせを検討していくことになります。
※出典:表層型メタンハイドレートの研究開発

カーボンニュートラルに対応するための取り組みも

メタンハイドレート開発では、CO₂を処理する技術にも視野を広げ、カーボンニュートラルに対応するための取り組みも行われています。

九州大学で行われた研究によると、メタンハイドレートの採掘時にCO₂と窒素を圧入することで、CO₂だけを圧入する場合に比べてより多くのメタンを回収できます。

この研究結果が開発に反映されれば、メタンハイドレートからメタンガスを効率的に回収できるだけでなく、大気中のCO₂濃度が低下して地球温暖化対策にもなるのです。

カーボンニュートラルについてもっと詳しく知りたい方はこちら

※出典:メタンハイドレート層にCO₂を圧入してメタン(資源)を回収、CO₂を削減~窒素によるメタンとCO₂の置換反応の促進~ | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)

メタンハイドレートは日本を救う次世代エネルギー

メタンハイドレートはメタンと水が結晶化した物質です。小さな体積から大量のメタンが作り出せるため、日本を救う次世代エネルギーとして期待されています。

メタンハイドレートには砂層型と表層型の2種類があり、それぞれで研究開発が進められています。商業化は実現できるのか、ニュースなどをチェックして今後の動向に注目しましょう。

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