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原子力発電は、安定したエネルギー供給の鍵を握るといわれています。少ない燃料で大きなパワーが生み出せる半面、原子力ならではのリスクがあり、稼働に反対する人も少なくありません。ウランから電気が作られる仕組みや解決すべき課題を解説します。

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原子力発電とは

東日本大震災以降、日本では原子力発電所の多くが稼働を停止しました。再稼働には賛否両論の声があり、現在は火力発電による電力供給が大部分を占めています。

原子力発電とは、どのような発電方法なのでしょうか?発電の仕組みや火力発電との違いを見ていきましょう。

ウランを燃料とする発電

原子力発電は、天然資源のウランを燃料とする発電方法です。ウランとは、ウラン鉱山から採掘されるウラン鉱石のことで、原子力発電に使用する際は「ペレット」と呼ばれる直径1cmほどの円柱型に加工されるのが通常です。

ウランの原子核に中性子をぶつけると原子核の分裂が起こり、熱エネルギーが生じます。原子力発電所では、核分裂で生じる大きな熱エネルギーで蒸気を発生させ、タービン(羽根車)を回転させています。

化石燃料に比べると、ウランは少ない量でパワフルなエネルギーを生み出せるのが利点です。

火力発電との違い

日本の電源構成は、火力発電が大部分を占めています。原子力発電と火力発電は、どのような点が異なるのでしょうか?

大きな違いは、発電に使われる「燃料」です。原子力発電はウランを燃料とするのに対し、火力発電では、石炭・石油・天然ガスなどの「化石燃料」を使用するのが特徴です。

  • ボイラー内で化石燃料を燃やし、水を蒸気に変える
  • 配管を通じて蒸気がタービンに到達し、タービンが回転する
  • タービンの回転によって発電機が回り、電気が生じる

また、化石燃料は燃焼時にCO₂を排出しますが、ウランの核分裂ではCO₂が生じません。原子力発電の方が地球温暖化への影響が少ないといえるでしょう。

発電方法の種類と仕組みについてもっと詳しく知りたい方はこちら

原子力発電の仕組み

原子力発電の仕組みは、火力発電と大きく変わりません。火力発電所ではボイラーを使って化石燃料を燃焼させますが、原子力発電は原子炉の中で熱エネルギーを作ります。電気ができるまでのプロセスを順を追って解説します。

核分裂による熱エネルギーの発生

原子力発電に使われるのは、核分裂しやすい「ウラン235」です。天然ウランに含まれるウラン235は、1%にも満たないため、2~5%程度まで濃縮する作業を行います。

直径約1cm、高さ約1cmのペレットに焼き固めた後、長さ約4mの管に収めて燃料棒とし、さらに複数本を束ねて燃料集合体にします。原子炉でウラン235に中性子を当てると核分裂が生じ、熱エネルギーが発生する仕組みです。

核分裂の割合を常に一定に保つため、水と制御棒を使って中性子の数・スピードを制御します。

原子炉で熱エネルギーを取り出す

続いて、核分裂で生じた熱エネルギーを取り出して水(冷却材)を沸騰させ、蒸気を発生させます。日本の原子炉は「軽水炉」と呼ばれ、蒸気の発生方法の違いによって以下の2種類に大別されます。

  • 沸騰水型軽水炉(BWR)
  • 加圧水型軽水炉(PWR)

沸騰水型軽水炉は、原子炉の中で発生した蒸気を直接タービンに送る方法です。タービンや復水器などに放射性物質を含む蒸気が触れるため、より厳重な管理が求められます。

加圧水型軽水炉は、原子炉内で作られた高温高圧の水を蒸気発生器に送り、放射性物質を含まない別の系統の水を沸騰させて蒸気を作る方法です。

タービンと発電機で電気をつくる

蒸気の力で電気が生じる仕組みは、火力発電とほとんど同じです。原子炉から配管を伝って流れ込んだ高温高圧の蒸気がタービンを回転させます。

タービンとは、蒸気やガスなどの流体が持つエネルギーを回転運動に変換する装置で、発電機とつながっています。タービンの回転運動によって発電機が回り、電気が生じる仕組みです。

タービンを回し終えた後、水蒸気は復水器内で冷却され、水となって再び原子炉の中に入ります。

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原子力発電のメリット

化石燃料の高騰やCO₂による地球温暖化が問題視される中、原子力発電のメリットが再認識されています。安全性に配慮して利用できれば、日本が抱える資源・エネルギー問題の多くが解決されるかもしれません。原子力発電の代表的なメリットを解説します。

資源を安定的に確保できる

原子力発電のメリットは、資源が安定的に確保できることです。例えば、火力発電の燃料である石油の原産地は中東諸国やアフリカに集中しており、戦争や内戦などの政情に輸入量が左右されます。

他方、ウラン鉱石はアジア、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカなど世界各地で採掘が可能です。日本国内でも岐阜県や岡山県で確認されていますが埋蔵量が少なく、海外輸入に頼っています。

ウランの主な輸入国であるオーストラリアやカナダは、政情に不安定さがなく、資源を安定的に確保できます。燃料の高騰で発電コストが大きく上がるリスクも少ないでしょう。

電気の安定供給を実現しやすくなる

原子力発電は少ない燃料で大きな電力を得られるため、電気の安定供給につながります。資源エネルギー庁の資料によると、1,000,000kwの発電設備を1年間運転するために必要な燃料は以下の通りです。

  • 濃縮ウラン:約21t
  • 天然ガス:約950,000t
  • 石油:約1,150,000t
  • 石炭:約2,350,000t

燃料として加工されたウランは、原子炉の中で4~5年ほど利用ができます。さらに、使い終わった使用済み燃料の約97%は再利用が可能で、資源の無駄遣いがありません。

太陽光発電や風力発電のように、発電量が気候や地理的条件に左右されないのも大きなメリットです。

※出典:原発のコストを考える|原子力|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁

CO₂フリーの電力をつくれる

火力発電は、化石燃料の燃焼時にCO₂を排出しますが、原子力発電ではCO₂が生じません。再生可能エネルギー同様、CO₂フリーのエネルギーといえます。

CO₂は地球の地表温度を上昇させる「温室効果ガス」の一種です。産業革命以来、人類は化石燃料をエネルギー源として使用するようになり、大気中に含まれるCO₂の濃度は大きく上昇しました。

近年は地球温暖化による海面上昇や異常気象が増加しており、CO₂削減は喫緊の課題です。CO₂を排出しない原子力発電は、安定的な電力供給と地球温暖化の防止の両方を実現できる発電方法といえるでしょう。

原子力発電のデメリット

すべての発電方法は一長一短で、メリットもあればデメリットもあります。国内で「脱原発」を目指す動きがあるのも、原子力発電に大きなリスクが存在するためです。

万が一の際のリスクが大きい

原子力発電は、放射線事故の危険性と常に隣り合わせであり、万が一のときのリスクが大きいのがデメリットです。

ウランが核分裂すると、放射性の核分裂生成物が生じます。原子力発電所で事故が起こった場合、放射性ヨウ素や放射性セシウムなどの放射性物質が外部に漏れ出し、人体や環境に多大な影響を及ぼす恐れがあるでしょう。

人体が直接的に放射線を浴びることを「外部被ばく」といいます。放射線はDNAや細胞を傷付けるため、人によっては白血球の減少やがんになるリスクが増加する可能性があります。

土壌や飲料水が汚染されれば、飲食物を通じた「内部被ばく」をする人が増えるでしょう。福島第一原発事故からもわかる通り、放射線に汚染された地域の除染作業は容易ではありません。

※出典:放射線の人体への影響|放射線の基礎知識|放射性物質汚染廃棄物とは|放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト|環境省
※出典:環境省_原子炉事故による影響

使用済み燃料の処理方法が確立していない

燃料集合体は原子炉内で4~5年間は利用ができますが、その後は「使用済み燃料」となります。使用済み燃料からプルトニウムを取り出した後、再利用できない廃液をガラス固化体にします。

処理済みといっても高レベルの放射性廃棄物を含んでおり、安全なレベルになるまでにかかる年月は、数万~数十万年です。

現時点において、使用済み燃料の最終処分方法は確立されておらず、青森県六ケ所村の再処理工場(建設中)で保管されています。30~50年後に地下深くに埋める「地層処分」を予定していますが、処分を受け入れる自治体がなければ、核のごみは行き場を失うでしょう。

核廃棄物の処理についてもっと詳しく知りたい方はこちら

※出典:「六ヶ所再処理工場」とは何か、そのしくみと安全対策(前編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁

※出典:使用済燃料ってどんなものですか? - 原子燃料サイクル|中部電力

原子力発電の現状

原子力発電は1950年代にアメリカで始まり、オイルショックを機に世界各国で建設が進められました。経済成長や人口の増加で世界中のエネルギー需要が増える中、原子力発電所はどのような稼働状況なのでしょうか?

世界の原子力発電所の稼働状況

脱炭素化と安定した電力供給が可能な原子力発電は、世界の多くの国々で導入されています。特に近年は、化石燃料を巡る資源獲得競争が激化していることから、エネルギー需要が急増するエリアでは原子力発電設備容量が増加しています。

原子力発電所の基数が最も多いのはアメリカ(94基)で、続いてフランス(56基)、中国(48基)、日本(33基)が続きます。上位4カ国の設備利用率は以下の通りです。

  • アメリカ:92%
  • フランス:69%
  • 中国:83%
  • 日本:15%

また、2021年1月時点で建設中の原子炉数は53基で、特に総人口の多い中国(16基)やインド(6基)での建設が目立ちました。欧米地域は新規建設は少ないですが、設備利用率の向上などによって発電電力量は増加傾向にあります。

(※)基数・発電能力は2021年1月1日時点、設備利用率は2020年時点。

※出典:第2部 第2章 第2節 一次エネルギーの動向 │ 令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022) HTML版 │ 資源エネルギー庁

※出典:2020年の主な世界の原子力発電開発動向|日本原子力産業協会

日本における再稼働の議論について

日本では、2011年の東日本大震災時にすべての原子力発電所が稼働を停止しました。2023年5月29日時点で稼働している原子力発電所は9基のみで、ほとんどは停止中または廃止措置中です。

福島第一原発事故を受け、政府審議会では原発賛成派と原発反対派の議論が続いています。

安定的な電力の供給や脱炭素の実現に原子力発電は不可欠ですが、原発を安全に運営する体制整備はまだ十分とはいえません。すべての原発を稼働するには、安全性の確保や周辺住民の理解が必要です。

政府が発表した「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」によると、電源構成に占める原子力発電の割合は20~22%になると見込まれています。火力発電への依存を脱却する鍵は、原子力発電と再生可能エネルギーが握っているといえそうです。

※出典:原子力発電所の現在の運転状況|原子力規制委員会

※出典:2030年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)|資源エネルギー庁

日本で原子力発電が導入された背景

日本は、1950年代の中頃に高度経済成長期に突入しました。当時は石油火力発電が主流でしたが、電力の需要が増えるにつれて国産エネルギーの重要性が高まり、原子力発電が注目されるようになります。

1973年に第4次中東戦争が勃発すると、日本はオイルショックに見舞われ、石油と電力の節約を余儀なくされます。これを機に原子力発電の導入が大きく進み、着実に発電シェアを伸ばしました。

日本で初めて建設された商業用原子力発電所は、イギリスから導入された「黒鉛減速ガス冷却炉」と呼ばれる方式です。その後、現在の原発の主流である「軽水炉」の建設が進みました。

原子力発電以外でCO₂を排出しない発電方法

原子力発電の再稼働が遅れる中、日本では「再生可能エネルギー」の必要性が高まっています。再エネは、CO₂を発生しない純国産のエネルギーであり、原子力発電のようなリスクも存在しません。代表的な発電方法を紹介します。

水力発電

水力発電は、高所にある水の「位置エネルギー」を利用する方法です。高速・高圧の水で水車が回転すると、発電機が動いて電気が生じます。

水力発電の方法には、大きなダムや池に溜めた水を利用する「貯水池式」のほか、河川を流れる水を利用する「流れ込み式」や電気の消費量に合わせて溜める水を調整する「調整池式」などがあります。

2020年度の発電電力量に占める水力電力の割合は7.8%です。化石燃料のような価格変動リスクがない上に自然条件の影響を受けないため、安定供給が可能な発電方法として注目されています。

※出典:日本のエネルギー エネルギーの今を知る 10 の質問|経済産業省 資源エネルギー庁

太陽光発電

太陽光発電は、太陽光パネルとパワーコンディショナーと呼ばれる装置によって発電をする方法です。2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」が開始されて以降、導入量が増加しました。

2021年末の時点では、太陽光発電の累積導入量は世界第3位です。屋根や壁などのスペースに設置ができることから、一般住宅での普及も進んでいます。

太陽光発電のデメリットは、夜間の発電ができないことです。季節や天気によっても発電量が変わり、電気の安定供給に課題が残ります。

※出典:国内の2021年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報) | ISEP 環境エネルギー政策研究所

風力発電

風力発電は、風で回転する風車によって発電機が動く仕組みです。風さえあれば昼夜を問わず発電できる上、高効率で電気エネルギーに変換できます。

2022年度における発電量全体に占める風力発電の割合は約0.9%で、太陽光発電(9.9%)や水力発電(7.1%)と比べると、まだまだ少ないのが現状です。

大規模なウィンドファームを建設すれば大量の電気が作れますが、導入が可能な陸上の適地はそれほど多くありません。今後は洋上に風車を設置する「洋上風力」の開発が進む見通しです。

※出典:2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報) | ISEP 環境エネルギー政策研究所

バイオマス発電

バイオマス発電は、林地残材や廃材、動物の糞尿といった再生可能な生物資源(バイオマス)を燃焼・ガス化させて発電する方法です。

植物資源は燃やすとCO₂を排出しますが、光合成でCO₂を吸収しているため、地球上のCO₂の総量は増えません。排出量と吸収量でプラスマイナスゼロにする概念は「カーボンニュートラル」と呼ばれます。

バイオマス発電のメリットは廃棄物の有効活用によって循環型社会が実現できることです。とりわけ、日本の農山漁村には発電に利用できる資源が多く存在します。一方で、小規模分散型の設備になりやすく、収集や管理にコストがかかります。

原子力発電を理解し電気について考えよう

原子力発電はCO₂を排出しない優れた発電方法です。エネルギーが安定的に供給できる上、燃料コストの大幅な変動も生じません。一方で、原発事故の危険性や使用済み燃料の処理問題があり、再稼働を巡って意見が対立しています。

日本はエネルギー自給率が低く、供給構造が脆弱です。化石燃料の価格上昇や火力発電所の老朽化が進む昨今、特定のエネルギーに依存しない政策が必要でしょう。原子力発電や再生可能エネルギーの重要性は今後ますます高まるとみられます。

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