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火力発電は国内の電力供給を支えており、国民の生活になくてはならない存在ですが、仕組みを知らない人は決して少なくありません。発電事情が電気料金にも関わってくるので、この機会に火力発電の仕組みやメリット・デメリットなどを知っておきましょう。

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火力発電とは?

火力発電とはその名の通り、火力を使って発電する方法であり、日本国内の主たる発電方法の1つです。まずは、火力発電の概要と発電量など、基本的なところを押さえておきましょう。

国内の主たる発電方法の1つ

火力発電は化石燃料を使って発電する方法で、国内で最も多くの発電量があります。日本では19世紀の後半から導入され、人口の増加による電力需要の高まりとともに、全国各地に火力発電所が設けられました。

20世紀の序盤から半ばにかけて、国内では水力発電が主流になるものの、石油・石炭火力の拡大などを背景として、再び火力発電が主役となり現在に至っています。

経済産業省の資源エネルギー庁による「令和3年(2021年度)エネルギー需給実績の取りまとめ」によれば、国内の火力発電による電力供給は、全体の72.9%を占めている状況です。

※出典:令和3年度(2021年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)|経済産業省

火力発電による発電量はどのぐらい?

経済産業省の資料によれば、2021年度における国内の電気事業者の発電電力量は8,635億kWhで、そのうち火力発電は6,814億kWhです。燃料種別にみると石炭が2,826億kWhで、LNG(液化天然ガス)が3,191億kWh、石油が208億kWhになっています。

火力発電には石炭とLNG、石油が使われており、発電所ごとに主な燃料が異なります。石炭は経済性に優れている一方、環境に対する負荷が問題視されており、石油は柔軟な調達が可能な分、経済性に問題があるといわれています。

LNGは天然ガスを-162℃まで冷却・液化させたもので、環境性に優れており、経済性も高めですが、調達期間の柔軟な調整が難しいのが特徴です。

※出典:電力統計調査の結果概要【2021年度分】|経済産業省

国内の発電電源の推移

日本の発電電源の推移をみると、1960年代半ばまでは水力による発電がメインでしたが、1970年代初期には石油、その後は石炭とLNGによる火力発電が主流となっています。

第1次オイルショックが発生する1973年までは石油による火力発電が主に利用されていたものの、その後は石炭とLNGの割合が多くなっています。

また、原子力発電も1960年代から、国内の主たる発電方法として普及していました。しかし、2011年の東日本大震災以降、ほぼゼロの状態となり、その後はLNGによる火力発電がカバーする形で現在に至っています。
※出典:電源別発受電電力量の推移|電気事業連合会

火力発電の仕組み

火力発電の仕組みも知っておきましょう。火力発電は熱源として石油や石炭、LNGなどがありますが、タービンを回して発電する方法は基本的に変わりません。

蒸気タービンの回転による発電

石油や石炭などを燃やし、その力で蒸気タービンと発電機を回して発電するのが、火力発電の基本的な仕組みです。燃料を燃やして水を蒸発させ、発生した蒸気の力でタービンを回転させて電力を得るわけです。

タービンには蒸気の力で回る無数の羽が付いており、発電機とつながっているので、タービンを回すことで電気が発生します。さらに、タービンを回すのに使われた蒸気は、復水器によって水に戻され、再び熱源により蒸気となりタービンを回す構造になっています。

火力発電の種類と方法

火力発電を具体的な発電方法で分類すると、主に「汽力発電」「ガスタービン発電」「コンバインドサイクル発電」などに分けられます。それぞれの特徴は次の通りです。

  • 汽力発電:石油や石炭などの熱源を利用し、ボイラー内で発生させた高温・高圧の蒸気を使ってタービンを回す。現状で最も利用されている発電方法。
  • ガスタービン発電:灯油や天然ガスなどの燃料を燃やした際のガス(燃焼ガス)で、タービンを回して電気を作る。小型の機械で高い出力が得られるのが特徴。
  • コンバインドサイクル発電:「汽力発電」と「ガスタービン発電」を組み合わせた発電方法。燃焼ガスの膨張力でタービンを回す方法と、排ガスの予熱を回収して蒸気タービンを回す方法を組み合わせることで、効率のよい発電ができる。

ほかにも、いわゆる内燃力発電する方法なども、一部で利用されています。発電所ごとに採用している発電方法は異なるので、最寄りの発電所がどういった方法で電気を供給しているか、興味のある人は調べてみるとよいでしょう。

火力発電のメリット

火力発電のメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。ほかの発電方法に比べて、発電量が安定しており、エネルギーの変換効率も高めです。

発電量が多く安定している

数ある発電方法の中でも、火力発電は特に発電量が多く、安定して電力を供給できるのが最大のメリットです。

燃料さえ供給されていれば常に安定して発電が可能で、気候の変動や天候など、外部的な要因に左右されづらいため、その時点で必要な電力を賄えます。

また石油や石炭、LNGなど、さまざまな燃料を利用できるので、一部の燃料の供給が少なくなった際にも、ある程度は別の燃料で代替できる強みを持っています。

エネルギーへの変換効率が高め

エネルギーの変換効率が高いのも火力発電のメリットです。消費する燃料に対して得られる電力量が多く、水力発電の約80%に次いで、火力発電は35~55%程度のエネルギー変換率です。

変換効率だけに注目すれば水力発電に軍配が上がりますが、水力発電は火力発電に比べてかなり発電量が限られます。生み出せる電力量を勘案すれば、火力発電は数ある発電方法の中でも、かなりエネルギー効率がよいといえるでしょう。

電力ニーズに柔軟に対応できる

火力発電は投入する燃料の量を変えることで、発電量を調整できるのが特徴です。電力ニーズに柔軟な対応が可能で、夏場で多くの人がエアコンを利用する時期など、一時的に電力需要が上がっても即座に調整が可能です。

逆に、需要のピークが過ぎて電力ニーズが下がったら、燃料の量を減らせば電力のロスを防げます。必要な電力量はさまざまな要因で変動しますが、火力発電ならば、急激な需要の増減にうまく対応できます。

小規模な設備でも発電が可能

水力発電や原子力発電などと比べて、比較的小規模な施設・設備でも発電が可能なのも、火力発電のメリットの1つです。

水力発電所は発電に河川やダムが必要なため、立地はどうしても限られてしまいます。原子力発電所も広大な敷地が必要で、さらに原発事故の問題により、国内では新たに建設するのが難しい状況です。

一方、火力発電所は復水器の水を冷やすための水を確保するため、海の近くに建てられるといった事情はあるものの、土地の面積がある程度限られている場所でも設置が可能です。

さらに、ほかの発電所に比べて工期も短く、効率的な発電ができます。

火力発電のデメリットは?

火力発電は多くのメリットがあり、国内で最も利用されている発電方法ですが、以下のデメリットも指摘されています。CO₂の排出や燃料の買い付けに関する問題などもあり、後述するように火力発電に代わる発電方法も注目されています。

CO₂(二酸化炭素)の排出を伴う

火力発電は燃料を使ってタービンを回すことで、電力を得る仕組みです。発電にあたり地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの筆頭ともいわれる、CO₂(二酸化炭素)を多く排出してしまいます。

実際、地球温暖化の要因の1つとして、火力発電が話題に挙げられる機会も珍しくありません。

2015年に採択された「パリ協定」において、日本は2030年までに26%(2013年比)のCO₂削減を目標に掲げています。そのため、できる限り火力発電によるCO₂の排出を抑えるべきとの意見が多くあります。

燃料が有限で輸入に頼っている

すでに説明したように、電力を安定して供給できるのが火力発電のメリットです。

しかし、火力発電の熱源となる化石燃料自体が有限とされており、とりわけ日本の場合は燃料を輸入に頼っている状況です。従って、いつまで安定して電力を供給できるか、先行きがわからない点は否めません。

さらに国際情勢の変化により、化石燃料の価格が高騰し、電気料金が高くなる可能性があります。国として燃料の調達先を分散するなどして、想定外の事態にうまく備える必要があります。

なお、電気料金の値上げに関しては、以下の記事で解説しているので、こちらも参考にしてみましょう。

電気料金の値上げについてもっと詳しく知りたい方はこちら

火力発電に代わる発電方法も台頭

火力発電のCO₂排出問題を背景として、近年は火力発電に代わる、自然エネルギーを利用した発電方法が注目されています。

いわゆる「再生可能エネルギー」の必要性や、同エネルギーで供給される電力を利用できる電力会社に関しても、この機会に知っておきましょう。

注目される再生可能エネルギー

近年、温室効果ガスを発生させない再生可能エネルギーが注目されています。

現状、火力発電に代替できるほど発電量は多くありませんが、火力発電とうまく組み合わせて、CO₂の排出量を抑えながら、十分な電力を確保する方法が主流となりつつあります。

再生可能エネルギーは水力発電や太陽光発電をはじめ、風力、地熱、バイオマスなどによる発電です。いずれも温室効果ガスを発生させない発電方法であり、資源を枯渇させずに、エネルギー自給率の向上が可能です。

再生可能エネルギーを利用できる電力会社も

2016年4月1日以降、電力小売自由化となり、多くの事業者が電力の供給をスタートしました。その中で、再生可能エネルギーを使った電力を供給している事業者も多く、環境に優しいエネルギーを利用したい消費者に注目されています。

さまざまな事業者がいる中で、再生可能エネルギーを利用した電力を利用したいならば、基本料金0円から利用できる「Looopでんき」がおすすめです。シンプルな料金体系で電気料金を抑えながら、再生可能エネルギーを無駄なく活用できます。この機会に利用を検討してみましょう。

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火力発電の性質を理解しよう

火力発電の概要とメリット、基本的な仕組みなどを解説しました。

火力発電は燃料を燃やしてタービンを回し、発電する方法です。国内で供給される電力の大半が火力発電によるもので、安定した電力の供給ができる一方、CO₂を排出するため問題視されている面もあります。

近年は、地球環境の保全の観点から再生可能エネルギーも普及しており、安定した電力の供給ができる火力発電と組み合わせて運用する方法も広まっています。現状、火力発電による電力を利用している人でも、今後さらなる普及が予想される再生可能エネルギーにも注目してみましょう。

Looopでんきは、再生可能エネルギー実質100%やCO₂排出量実質ゼロの電気をオプションとして提供しており、再生可能エネルギーの更なる普及を通じた「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンとしています。

Looopでんきの新たな試みの1つが市場価格に合わせて30分ごとに電気料金が変わる「スマートタイムONE」の提供です。

市場価格は電力の需要と供給のバランスを体現しており、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー由来の電気が多く発電される時間帯においては、市場価格が安くなる傾向にあります。

市場価格の確認を習慣化すれば、環境への意識も自ずと高まるでしょう。太陽光パネルや蓄電池と併用することで、電気料金を抑えながら地球にやさしい生活を目指せます。

環境への意識や太陽光パネルとの組み合わせを重視して、Looopでんきをご利用いただいているお客様の声を紹介します。

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基本料金がないことと、太陽光などと組み合わせてうまく使えばかなり電気代を抑えることができる為。

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