電気代は、一般的に世帯人数と比例して高くなります。そのため、一人暮らしよりも2人暮らし、3人以上のファミリー層などの方が電気代が高くなります。
これから2人暮らしをする予定である、もしくは現在2人暮らしをしている場合、電気代が気になるという方も多いでしょう。2人暮らしの電気代は平均してどの程度かかるものなのか、なかなかイメージしにくいものです。
この記事では、2人暮らしの平均電気代や電気代を節約する方法について解説します。電気代は契約を見直すことでさらに節約できる可能性があるため、契約の見直し方法についてもご紹介します。
電気代を抑えたいと考えている場合には、ぜひ参考にしてください。
2人暮らしの平均的な1カ月の電気代
総務省統計局の「家計調査年報」(2019年)によると、2人暮らしの場合、1カ月の平均電気代は9,654円となっています(※)。電気代は調査する年によっても変動するため、2人暮らしの場合にはおおよそ9,000~10,000円/月ぐらいだと思っておくとよいでしょう。
しかし、電気代は季節によっても大きく変動し、特に暖房を多く使う冬は電気代が高くなる傾向にあります。
また住んでいる地域やライフスタイルによっても変わります。
例えば、在宅で仕事をしていて家にいる時間が長い世帯の場合には電気代が高めになり、仕事で外に出ている時間が多く家には夜間しかいないというケースでは、電気代は安めになるでしょう。
電気代は冬に高くなる
電気代は季節によって大きく異なると説明しましたが、一般的には寒い時期である冬に電気代が高くなりがちです。2019年の家計調査年報によると、2人以上の世帯の月間平均電気代は、最も高いのが2月で14,333円、次いで3月、1月と続きます。
また最も安いのが7月の8,307円、次いで6月、11月となります。このことからも、寒さが厳しくなる1~3月の電気代の高さがわかるでしょう。
月間平均電気代(2人以上の世帯) | |
---|---|
1月 | 12,926円 |
2月 | 14,333円 |
3月 | 13,526円 |
4月 | 11,720円 |
5月 | 11,115円 |
6月 | 8,824円 |
7月 | 8,307円 |
8月 | 9,636円 |
9月 | 10,808円 |
10月 | 9,890円 |
11月 | 9,070円 |
12月 | 9,750円 |
※出典:総務省統計局「家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表」(2月15日に利用)
※家計調査に反映される金額はその月に支払った金額となるため、利用月と支払月が一致しないこともあるのでご注意ください。
これは、暖房器具を利用することが大きな理由として考えられます。
エアコンや電気ストーブといった暖房器具は、消費電力の大きな電化製品です。冬場、家にいるときには暖房器具をフル稼働している場合も多いのではないでしょうか。そのため、冬の時期には電気代が高くなってしまいます。
一方、8~10月などの暑い時期にも冷房機器を使用するため、6~7月などよりは高くなります。ただし、冷房は暖房ほど消費電力が大きくないため、一部エリアを除けば冬場ほど電気代が高くなることは少ないでしょう。
2人暮らしになると電気代が高くなる理由は?
2人暮らしになるとなぜ電気代は高くなるのでしょうか。まず、単身世帯の1カ月の平均電気代と2人暮らしの1カ月の平均電気代を比較してみましょう。
総務省統計局の2019年「家計調査年報」によると、一人暮らしの1カ月の平均電気代は5,700円となっています。一方、2人暮らしの場合には10,734円です(※)。このように、2人暮らしの場合には一人暮らしおよそ2倍の電気代がかかることがわかります。
これは、2人暮らしの場合は一人暮らしよりも部屋が広くなったり部屋数が増えたりすることが要因として考えられます。部屋数が増えればそれだけ照明やエアコンなどが必要となり、部屋が広くなればエアコンで調節する面積が増え、消費電力が多くなってしまうのです。
また、2人で住んでいればドライヤーの回数が増えたり、電子レンジやパソコン、スマホの充電などさまざまな場面で電気を使用するでしょう。世帯人数が増えるほど電気の使用量は多くなるため、どうしても電気代は高くなります。
また、契約している電気料金プランによっては、電気使用量が増えることで電気料金の単価が上がるケースもあります。「急に電気代が増えた」と感じた方の中には、電気使用量が増えた結果、電気料金単価が上がっているケースがあるかもしれません。
2人暮らしで電気代を節約する方法
2人暮らしでは、一人で暮らしていたときよりもどうしても電気代は高くなってしまいます。しかし、生活する上での固定費はできるだけ抑えたいものです。そのため、電気代を節約したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
電気代を抑える方法としては、まず「テレビ」「エアコン」「冷蔵庫」といった使用頻度が多く、かつ消費電力の高い電化製品に注目してみましょう。
使い方を工夫するだけで節約につながります。また「省エネ家電」に買い替えることも節約方法の一つです。
ここでは、テレビ、エアコン、冷蔵庫の電気代を節約する方法と、省エネ家電への買い替えについて詳しく解説します。
テレビの電気代の節約方法
テレビの電気代を節約するには、こまめなオン・オフが重要です。ついついテレビをつけたままにしてしまう方も多いのではないでしょうか。
例えば、調理や入浴などでテレビから離れるのにつけっぱなしにしてしまうケースや、テレビをつけたまま寝落ちしてしまうケースなどがあります。
テレビを観ていないのに電源を入れていると余計な電力がかかってしまうため、テレビから離れる際には消す、眠くなったらオフにするなどを意識しましょう。
経済産業省資源エネルギー庁の資料によると、1日に1時間テレビを観る時間を減らすと、年間で約450円の節約ができる(※)とされています。
また、テレビの明るさ設定を変更するのも一つの方法です。32V型液晶テレビの画面の明るさを、最大から中レベルに変えることで、年間で730円ほど電気代を節約できる(※)と言われています。
※出典:資源エネルギー庁「家庭の省エネ徹底ガイド 春夏秋冬 2017」
エアコンの電気代の節約方法
エアコンは消費電力が大きい電化製品であるため、使用方法を工夫することで節約効果が高くなります。
例えば、エアコンを扇風機やサーキュレーターなどと併用するのがおすすめです。暖かい空気や冷たい空気を効率良く循環させるため、電気代の節約につながります。
エアコンの種類や部屋の大きさにもよりますが、冷暖房の料金を大幅に節約できる場合もあるようです。
また、フィルターのこまめな掃除も欠かせません。フィルターにホコリなどが溜まっていると、不衛生になるだけでなくエアコンの性能も下がり、部屋の気温を調節するのに余計な電力を必要としてしまいます。
エアコンの掃除頻度は、よく使う時期の場合2週間に1回程度が理想だとされています。フィルターのホコリを除去して吹き出し口を拭く程度でも構いません。できるだけこまめに掃除をしましょう。
さらに、室外機の周りを整理することも重要です。室外機の周りに物が置いてあったり草がたくさん生えていたりすると、エアコンの効率が下がります。そのため、物を置かないようにしたり、定期的な除草を心がけるとよいでしょう。
冷蔵庫の電気代の節約方法
冷蔵庫には温度設定機能が搭載されているものがほとんどです。そのため季節によって適切な温度設定に変更すると良いでしょう。
例えば、冷蔵庫内の温度が上がりにくい冬場には設定温度を「弱」にする、冷蔵庫内の温度が上がりやすい夏場は「強」にするというように、季節ごとに最適な温度にすれば電気代の節約につながります。
また、設置場所を見直すこともおすすめです。冷蔵庫は周りに壁や物があると放熱が上手くできず、電気代が余計にかかってしまいます。そのため、冷蔵庫を壁や棚などから一定の距離をあけて設置する、冷蔵庫の上には何も置かないようにすることを意識しましょう。
冷蔵庫内に食品を詰め込みすぎるのも良くありません。
冷蔵庫の中にたくさんの食材が詰まっていると冷気が通りにくくなってしまい効率よく庫内が冷却できないため、余計な電力が必要になります。
ただし、冷凍庫に関しては冷蔵庫とは逆で、食材を詰め込んだ方が節電効果が高くなります。凍った食材同士が密着しお互いに冷やし合い、庫内の温度が上昇するのを防ぐことができるためです。
また、扉をむやみに開け閉めしたり長時間開けていたりすると、冷気が逃げてしまうため電力消費が多くなります。そのため扉を開ける頻度を少なくしたり、開けている時間を短くしたりするよう意識することも重要です。
省エネ家電に買い換える
長年使っている電化製品を「省エネ家電」に買い換えることも節電方法の一つです。電化製品の買い換えにはある程度の費用が必要になるため、初期費用は高くなります。
しかし、省エネ機能がついた電化製品にすることで電気代の節約になるため、長い目で見ればコストパフォーマンスの高い方法といえます。
環境志向の高まりにより、メーカー各社では省エネ効果の高い電化製品を毎年発売しています。その性能は年々進化しているため、古い電化製品を使用している場合には買い換えを検討すると良いでしょう。
例えば、5~10年前の製品を使っている場合には、最新の機種に変えるだけで電気代の節約につながるケースもあります。
ご家庭にある電化製品をそれぞれ買い替えたときにお得になる金額をまとめました。例えば冷蔵庫とエアコンを買い替えるだけでも年間で合計10,000円近く節約できる可能性があります。
電化製品 | 買い替え前(年間消費電力) | 買い替え後(年間消費電力) | 電気代の節約額(年間) |
---|---|---|---|
冷蔵庫 | 2009年(490〜550kWh) | 2019年(293kWh) | 約5,296〜6,910円 |
照明 | 白熱電球(108kWh) | 電球形LEDランプ(15kWh) | 約2,510円 |
蛍光灯シーリングライト(136kWh) | LEDシーリングライト(68kWh) | 約1,840円 | |
テレビ(32V型液晶テレビ) | 2010年(81kWh) | 2019年(57kWh) | 約650円 |
テレビ(40V型液晶テレビ) | 2010年(144kWh) | 2019年(84kWh) | 約1,650円 |
エアコン | 2009年(978kWh) | 2019年(811kWh) | 約4,510円 |
温水洗浄便座 | 2009年(108kWh) | 2019年(87kWh) | 約570円 |
※出典:一般財団法人家電製品協会 省エネ家電deスマートライフ「スマートライフおすすめBOOK 2020年版」
電化製品の年間消費電力を確認する方法は、メーカー各社が出しているカタログを参考にする、インターネットで調べるなどがあります。現在使っている製品と省エネ家電を比較して、どの程度の節約効果があるのか調べてみると良いでしょう。
契約内容を見直して電気代を節約する
2人暮らしになったことで電気代が高くなった結果、なんとか節約したいと考えている方も少なくありません。2人暮らしの電気代を抑えるには、電気の契約内容を見直してみることも重要です。
電気代の契約内容の見直しポイントとしては「契約アンペア数」「電気料金プラン」があげられます。また、「新電力への切り替え」を検討するのもおすすめです。
ここでは、電気料金プランの見直しや新電力への切り替えで電気代を節約する方法について解説します。
契約アンペア数の見直し
契約アンペア(A)数によって、電気代に含まれる「基本料金」が異なります。基本的に、アンペア数が多くなればなるほど基本料金は高くなるため、まず自分たちがどのアンペア数で契約しているのかを把握しましょう。その上で、契約アンペア数を見直すことが重要です。
例えば、30Aしか使わないのに40Aで契約していれば、それだけ無駄な基本料金を支払っていることになります。ただし、アンペア数が小さすぎると電化製品を同時にいくつも使うときにブレーカーが落ちる可能性があるため、適切なアンペア数で契約することが大切です。
一般的には、2人暮らしであれば30A程度が目安だとされています。電力会社のWebサイトなどで適したアンペア数を調べられるので、一度確認してみると良いでしょう。
電気料金プランの見直し
入居時に契約した電気料金プランのまま変更したことがないという方も多いのではないでしょうか。電気料金プランは、生活やライフスタイルに変化があるたびに見直すのがおすすめです。
電力会社ではさまざま電気料金プランを展開しています。例えば、オール電化住宅向けのプランや電気とガスのセット割引になるプランなどが豊富に用意されているため、ご家庭のライフスタイルに合ったプランが選びやすくなっています。
電気料金のシミュレーションはWebサイトで簡単に行えるため、さまざまなプランを比較してどのプランが自分たちに合っているか、節約できるかなどを検討してみることがおすすめです。
新電力に切り替える
「新電力」とは、2016年の電力小売の全面自由化に伴い新しく参入した小売電気事業者を指します。従来は、東京電力や関西電力、東北電力といった地域の大手電力会社しかありませんでしたが、電力の全面自由化によってさまざまな企業が電気事業に参入しました。
新電力の大きなメリットは、大手電力会社よりも料金が安くなる可能性が高いことです。新電力を扱っている事業者としては大手から切り替えてもらうことが重要になるため、電気料金を安く設定して切り替えを促しているケースが多くあります。
また、ガスを取り扱っている事業者なら「電気+ガス」のセット割、通信事業を行っている場合は「電気+インターネット」のセット割など、お得なプランが選べるようになっています。さまざまな事業者を比較しながら、自分たちに合った電気料金プランを選ぶことができるでしょう。
まとめ
2人暮らしの場合、一人暮らしをしていたときよりも電気代は高くなります。これは、部屋が広くなったり使用する電気量が一人のときよりも増えることが関係しています。
ライフスタイルにもよりますが、一般的には一人暮らしの平均電気代の2倍程度になるケースも珍しくありません。できるだけ電気代を節約したい方は、電化製品の使い方を工夫したりアンペア数や電気料金プランなどの契約内容を見直したりすると良いでしょう。
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ご自宅で電気を使用するタイミングを工夫したり、使用量を調整したりすれば電気料金の節約につながります。これを「ピークシフト」や「ピークカット」と呼びます。
以下は、ピークシフト・ピークカットの取り入れ方の例です。
・電気料金が安い時間帯に「電化製品を使用する家事」を済ませる
・タイマー機能の付いた洗濯機や食洗機などを導入し、電気料金が安い時間帯を狙って稼働させる
・電気料金が高い時間帯には、外出を楽しむ
まずは、市場連動型のプランを無理なく生活サイクルへ取り入れられるかどうかイメージしてみてはいかがでしょうか。
でんきナビでは市場連動型プランって何?という方に向けて、様々な疑問に答える記事をご用意しています。
市場連動型のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
電気の市場連動型とは?メリット・デメリットから電気の上手な使い方まで
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