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SDGsの目標No.13「気候変動に具体的な対策を」~私たちにできること~ SDGsの目標No.13「気候変動に具体的な対策を」~私たちにできること~

近年、メディアなどでよく見聞きするようになったのが「SDGs」という言葉です。SDGsの取り組みには国だけでなく、さまざまな企業も積極的な姿勢を見せるなど、広く普及が進んでいます。

政府や企業での取り組みが多く報じられているSDGsですが、個人でできることを実践することも大切です。

この記事ではSDGsの目標のうちNo.13「気候変動に具体的な対策を」について取り上げ、私たちにもできるSDGsへの取り組みを見ていきます。

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SDGsとは?

「SDGs」の正式名称は「Sustainable Development Goals」。日本語で表すと「持続可能な開発目標」です。

SDGsは、2015年9月に行われた国連サミットにて全会一致で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として採択。2015年から2030年までの15年間で各国が取り組むべき普遍的な課題として、世界の新しい指標となりました。

世界全体が抱える環境問題や発展途上国の貧困・飢餓、性別やセクシュアリティによる不平等などを改善し、世界をより良いものにするのがSDGsの目的です。そのための17の目標を掲げ、各項目を実現するためのさらに詳細な169のターゲットを定めています。

SDGs達成の期限となる2030年に向けて、2020年からは「行動の10年(Decade of Action)」をスローガンにさらなる取り組みの強化が求められています。

SDGsの目標13は「気候変動に具体的な対策を」

SDGsの目標13は「気候変動に具体的な対策を SDGsの目標13は「気候変動に具体的な対策を

今回取り上げるSDGsの目標13は「気候変動に具体的な対策を」。
世界各地で問題となっている気候変動の原因とされている地球温暖化への取り組みです。

地球温暖化を阻止するためには、政治や教育などさまざまな角度から対策を打たなければなりません。このことをふまえ、SDGsの目標13では5つのターゲットが設定されています。

SDGs目標13の5つのターゲット

SDGs目標13には、5つのターゲットが設定されています。それらは以下のとおりです。

単に温室効果ガスの削減目標を掲げるだけではなく、環境教育などの啓蒙活動や資金の確保、発展途上国への援助など多角的に対策が立てられています。

また、数字で示される項目は達成目標が、アルファベットで示される項目では目標達成のための行動指標が記されています。

SDGs目標13の5つのターゲット
13-1 自然災害への対応 気候に関する災害や自然災害が起きたときに、対応したり立ち直ったりできるような力を、すべての国でそなえる。
13-2 政策・戦略・計画 気候変動への対応を、それぞれの国が、国の政策や、戦略、計画に入れる。
13-3 教育・啓発・組織能力 気候変動が起きるスピードをゆるめたり、気候変動の影響に備えたり、影響を減らしたり、早くから警戒するための、教育や啓発をより良いものにし、人や組織の能力を高める。
13-a 緑の気候基金 開発途上国が、だれにでもわかるような形で、気候変動のスピードをゆるめるための行動をとれるように、UNFCCC(※)で先進国が約束したとおり、2020年までに、協力してあらゆるところから年間1,000億ドルを集めて使えるようにする。また、できるだけ早く「緑の気候基金」を本格的に立ち上げる。

※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、大気中の温室効果ガス濃度の安定などを目的につくられた条約で、1992年採択、1994年発効
13-b 取り残されている人びとへの対応 最も開発が遅れている国や小さな島国で、女性や若者、地方、社会から取り残されているコミュニティに重点をおきながら、気候変動に関する効果的な計画を立てたり管理したりする能力を向上させる仕組みづくりをすすめる。

※出典:日本ユニセフ協会

地球温暖化の仕組みと将来への影響

SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に通底しているのは、気候変動をもたらす地球温暖化への危機感です。

ここでは、地球温暖化の仕組みを再確認し、現状や危惧される将来への影響についても知っておきましょう。

温室効果ガス

地球温暖化の主な原因は、「温室効果ガス」の増加です。

温室効果ガスとは、大気に含まれる二酸化炭素やメタン、フロンを指します。これらは太陽の熱で温まった地面の熱を吸収し、地球上の気温をほどよく保ってきました。

地球の平均気温は約14~15℃ですが、もし大気中に温室効果ガスがなければ約-18~19℃になります(※1)。悪者扱いされる温室効果ガスですが、これまで多種多様な生物が生存・繁栄できたのも、温室効果ガスのおかげと言えるでしょう。

しかし近年、産業の発達に伴いこの温室効果ガスが過去に前例のない水準まで増加しています。大気中の温室効果ガス濃度が高まった結果、地球の気温が上昇する地球温暖化が引き起こされているのです。

産業革命以降の二酸化炭素の排出量増加は特に著しく、1750年には280ppmであった二酸化炭素量は2013年には400ppmまで増えています。40%以上もの上昇が観測されている二酸化炭素の主な発生要因としては、石油や石炭といった化石燃料が広く普及したことが挙げられます(※2)。

これらの危機的状況は自然現象ではなく、人類が引き起こしたものと考えられています。2014年に作成されたIPCC第5次評価報告書(※3)では「気候システムの温暖化には疑う余地はなく、人間の影響によるものだという可能性は極めて高い」と結論付けられました。

※1 出典:COOL CHOICE 地球温暖化とは
※2 出典:全国地球温暖化防止活動推進センター 温暖化とは?地球温暖化の原因と予測
※3 出典:全国地球温暖化防止活動推進センター IPCC第5次評価報告書特設ページ

将来の気温上昇予想

大地が乾いて地割れしている写真 大地が乾いて地割れしている写真

2014年に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書をもう少しひも解いてみましょう。

まず注目したいのが、世界の平均気温の推移。1880~2012年の間に0.85℃の上昇傾向が観測されたことが報告されています。これは2001年のIPCC第3次評価報告書で報告されていた1901~2000年の傾向よりも高い数字です(※1)。

加えて10年ごとに集計する世界平均地上気温は、ここ30年間、1850年以降のどの10年間よりも高いことが分かりました。

その他の報告も含め、地球温暖化はもはや「疑う余地がない」ばかりか、加速度的に進んでいることが示唆されています。

また、同報告書では、将来の気温がどのくらい上昇するか、いくつかの予想シナリオを用意しています。

例えば、温室効果ガスの排出量を今後最小に抑えられた場合は2100年末に0.3~1.7℃の上昇。温室効果ガスの排出量が最多となる最悪のシナリオ(RCP8.5シナリオ)では最大4.8℃の上昇が見込まれています(※2)。

※1 出典:全国地球温暖化防止活動推進センター 温暖化とは?地球温暖化の原因と予測
※2 出典:全国地球温暖化防止活動推進センター 温暖化とは?地球温暖化の原因と予測

どんな影響があるのか

地球温暖化の影響はすでに多方面に及んでおり、将来起こり得る深刻な影響も危惧されています。

先ほど触れた、最悪のパターンを想定した「RCP8.5シナリオ」を見てみましょう。

まず、「RCP8.5シナリオ」では南極・グリーンランドの氷河が融けてしまいます。21世紀半ばごろまでには、夏季(9月)の北極域で海氷がほぼすべてなくなる見込みです。

そして、氷河や海氷が融けて海水が熱膨張した結果、21世紀末に海面が最大82センチ上昇。熱帯、亜熱帯の島々は特に深刻な影響を受け、島全体が水没する場所もあるとされています。加えて、異常気象によるハリケーンやサイクロン、台風での高潮・浸水などの被害が増加する恐れもあります(※)。

海の生態系も温暖化の影響をまぬがれません。海水温度の上昇に伴い、魚介類の生息域も変化。地域によっては漁獲量に大きな打撃を与える恐れがあります。

加えて、CO₂濃度の上昇で海水の酸性化が進行。植物プランクトンやサンゴ礁などをはじめ多くの海洋生物がダメージを受け、絶滅に至る種も出ることが危惧されています。

気候変動は降雨パターンにも影響を与えます。高緯度地域では降水量の増加が見込まれる一方で、亜熱帯地域の大部分では降雨量は減少。洪水や干ばつなど、各地域へのリスクが指摘されています。

気温の上昇による影響は、人類の食糧事情にも及びます。代表的なのが、農林水産などの第一次産業。先ほど触れた漁獲量の変化に加え、異常気象の頻発による生産量の減少、病害虫の増加などが相次げば、世界的に深刻な食糧難が起きる可能性もあるのです。

※出典:全国地球温暖化防止活動推進センター IPCC第5次評価報告書特設ページ

気候変動対策の取り組み

地球環境に深刻な影響が懸念される気候変動。決して楽観視はできないため、SDGsの目標13を大きな指標として世界各国でさまざまな取り組みが開始されています。

ここからは、パリ協定とともに、ここ日本でどのような取り組みがされているかご紹介します。

パリ協定

パリ協定とは、2015年11月30日から12月13日までパリで開催された「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で採択された新しい法的枠組みを指します。

「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」は気候変動問題を話し合い、解決するための国際的な組織で、その名のとおり「気候変動枠組条約」に加盟する各国が地球温暖化への対抗策を議論・決定します。

この会議が採択したパリ協定の長期目標は次のとおりです。

①世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
②できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

パリ協定は高い目標を掲げた「歴史的合意」としても知られています。また、目標達成のために、5年ごとの実績評価と目標設定の見直しをルールとしました。

加えて、発展途上国への協力を求めるとともに、取り組みへの支援や技術提供を行うことも決められています。

※出典:ゼロ炭素社会元年〜COP21とパリ協定|一般財団法人 地球人間環境フォーラム

日本での取り組み

日本はCOPのすべての会合に出席し、温暖化対策への取り組みも積極的に行っています。

2020年10月26日の臨時国会で、菅首相(当時)は「2050年までのカーボンニュートラル」宣言を行いました(※)。これは、CO₂排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにするというもの。先ほど触れたパリ協定を受けて、120以上の国や地域が同様の目標を掲げています。

日本では、この宣言に基づいて政府が「国・地方脱炭素実現会議」を設立。目標を達成するための取り組みを加速する「地域脱炭素ロードマップ」が策定されました。

ロードマップでは、①2030年度までに少なくとも100ヵ所の「脱炭素先行地域」をつくること、②全国で自家消費型太陽光、省エネ住宅の整備、電動車の普及などの重点対策を実行することが謳われています。

またその実現のために、今後5年間に政策を総動員することを宣言。人材・技術・情報・資金を積極支援し、脱炭素先行地域のモデルを全国に伝搬させ(これを「脱炭素ドミノ」と呼んでいます)、2050年の前に脱炭素を達成させることを目標としています。

その他にも、地球温暖化対策推進法の改正や、地球温暖化対策計画の閣議決定などさまざまな議論や取り組みが進みつつあります。

※出典:首相官邸 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説

私たちにもできる「SDGs目標13」の取り組み

気候変動対策の取り組みは政府や自治体、企業だけが行えば良いというものではありません。私たち一人ひとりが関心を持ち、できる取り組みを探すことが大切です。

ここからは、私たちにもできる「SDGs目標13」の取り組みについて見ていきましょう。

CO₂排出量の約6割がライフスタイルに起因する

日本のCO₂排出量の約6割を占めているのが、ライフスタイルによるものです。

基本的な衣・食・住に加え、車やバス、飛行機などの利用がまず挙げられます。加えて、私たちの生活のなかで消費する製品やサービスに使われる品の製造・流通・使用・廃棄等の各段階でも温室効果ガスが生じています。

具体的にはどのような工夫が必要なのか、次からより詳しく解説します。

※出典:「なぜ私たちの行動が必要なの?」|COOL CHOICE|環境省

省エネ電化製品に買い替える

個人でできる温暖化防止への取り組みとしてまず挙げられるのが、省エネタイプの電化製品への切り替えです。

近年の電化製品は技術・研究が進み、省エネ性能が高くなっています。エネルギー効率の悪い電化製品から買い替えることで、大きな省エネ効果が期待できるのです。

例えばLED照明。発光効率は白熱灯に比べ10倍(※)近く上がり、省エネ効果が飛躍的に上昇しました。

エアコンもまた、電気を多く消費する電化製品の1つですが、近年のエネルギー効率は格段に上がっています。代表的な機能が部屋にいる人を検知して運転をコントロールする「人勧センサー」です。部屋の状態に合わせて効率的な運転を行うAIが搭載されたモデルも多く発売されています。

常時運転する冷蔵庫も、買い替えの際は省エネ製品を選んでみましょう。扉の開閉や室温、庫内の温度に応じて柔軟に運転を切り替え、効率の良い運転をするモデルが増えています。

※出典:LEDが省エネになる理由 | 朝日エティック株式会社

公共交通機関を利用する

公共交通機関も積極的に利用しましょう。マイカーの利用はなるべく控えて電車・バスなどの公共交通機関を利用することで、個人単位での温室効果ガス排出を削減できます。

2019年時点での日本におけるCO₂排出量のうち、運輸部門は18.6%。運輸部門のなかで自家用車の占める割合は45.9%と約半分となっています(※1)。運輸部門でのCO₂排出量の削減には、個人の取り組みが欠かせないのです。

また、自家用車買い替えの際に電気自動車に切り替えるのも1つの方法です。仮にすべての自動車を電気自動車に、燃料を再生可能エネルギーに置き換えると、CO₂排出量は約2割(※2)削減できるとされています。

※1 運輸部門における二酸化炭素排出量|国土交通省
※2 電気自動車の完全普及による CO2排出量削減の効果を解明|Environmental Research Letters(19/09/2020)

私たちが電気を選ぶ

私たち一人ひとりが「電気を選ぶ」という方法でも、CO₂を減らすことができます。2016年の電力小売全面自由化以降、消費者が電力会社を選ぶことが可能になりました。再生可能エネルギーに積極的に取り組んでいる会社の電気を購入することで、電力における脱炭素化につながるのです。

Looopでんきもその1つ。Looopでんきの環境価値サービス「eneco」のうち、「RE100%」のプランでは、お使いの電気の再生可能エネルギー比率を実質100%に変えることが可能。Looop が購入した非化石証書の由来となった発電所を確認し(※)、企業による再生可能エネルギー100%プラットフォームである「RE100」に報告できるトラッキング(記録)も無料で付けられます。

SDGs目標13への取り組みに、ぜひ電力会社の切り替えも検討してみてはいかがでしょうか。

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※2022年初春公開予定