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循環型社会とは?資源を枯渇させずに活用するため 循環型社会とは?資源を枯渇させずに活用するため

近年、環境保護意識の高まりと共に「循環型社会を目指そう」という運動が盛んになっています。「私たちは循環型社会の実現を目指しています」と宣言している企業も増えました。

しかし、その一方で「循環型社会とはどんな社会を指すのか、よくわからない」という方もいるでしょう。循環型社会とは、限られた資源を無駄なく有効活用したりリサイクルを行ったりして、循環させながら持続させていく社会のことです。

この記事では、循環型社会が必要とされる理由や循環型社会を実現させるために必要な事項、さらに日本における循環型社会実現に向けての取り組みなどを詳しく解説します。

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循環型社会とは?

循環型社会とは、限りある資源を有効に使いつつ、再利用できるものは可能な限りリサイクルすることで、廃棄物を可能な限り減少させて環境への負荷を減らしていく社会です。

現代社会は技術の発展に伴い、大量の資源を消費して大量の物資を生産し、それを無尽蔵に消費することで成り立っています。大量生産・大量消費の仕組みは私たちに豊かな生活をもたらし、欧米を中心に経済発展をもたらしました。しかし、大量生産・大量消費・大量廃棄を続けていくうちに、資源の枯渇や環境破壊などさまざまな問題が現われ、多くの国で解決策に頭を悩ませています。

循環型社会とは、資源の消費を可能な限り抑え、リサイクルを推進することで廃棄物を最小限に抑え、環境を破壊することなく現代社会を維持するシステムです。

究極の循環型社会では、廃棄物という概念がなくなり、少ない資源とリサイクル品で製品を生産し続けることができます。

循環型社会が必要とされる背景

前述したように、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会は以下のような問題をもたらしました。

  • 資源の枯渇
  • 環境の汚染・破壊
  • 廃棄物処理場の不足

国際エネルギー機関(IEA)は、2040年のエネルギー消費量は中国やインドなどアジアの新興国の成長により、2014年の1.4倍に増加すると予測しています(※)。それに伴い、石油や石炭、天然ガスなどのエネルギー資源の確保が大きな課題となっています。

エネルギー資源は、埋蔵量も産出する地域も限られており、需要が増えれば資源を巡って過酷な獲得競争が勃発することでしょう。また、化石燃料が使われることによって発生するCO₂の排出量増加による地球温暖化も深刻な問題です

このまま温暖化が進めば環境破壊が進み、安心して暮らせる環境は急速に消えていく可能性があります。

このほか、大量消費によって生じた廃棄物の処理場不足の問題もこれからますます深刻になっていくことでしょう。

このような問題を抱えたままでは、社会の継続は困難です。そのため、現在の社会を維持しつつ人類全体がますます発展していく手段として、循環型社会への転換が必要とされています。

※出典:関西電力 世界のエネルギー事情

循環型社会で重要な3R

循環型社会で重要な3R 循環型社会で重要な3R

循環型社会を実現するためには、3Rが重要と考えられています。ここでは、3Rの内容やなぜ重要なのかをわかりやすく解説していきましょう。

リデュース(発生抑制)

1つ目のRは「リデュース(発生抑制)」です。生産や物流の過程で発生する廃棄物をできるだけ抑制しようとする試みです。

例えば、生産したものを過剰に包装すればそれは全部廃棄物(ゴミ)になります。日本では、個別包装されている商品を大箱に入れたうえで包装紙で包むといった「過剰包装」が問題となっています。

簡易包装を心がける、買い物の際にレジ袋を使わない、などといった小さいことから、リサイクル可能な包装容器の開発に至るまで、幅広い内容のリデュースが必要です。

リユース(再使用)

2つ目のRは「リユース(再使用)」です。使い捨ての製品は便利ですし、清潔感もあります。しかし、ペットボトルにしても、割りばしや紙皿、プラスチックカップにしても、一度使用すれば廃棄するのが通常です。繰り返し使える水筒や、陶器の食器を使うのもリユースの一種と言えるでしょう。
また、医療器具のようにリユースになじまないものもありますが、それ以外のリユースできるものに関しては、飲食店をはじめとして使い捨ての品物を1つでも減らすことで、循環型社会の実現につながります。

リサイクル(再生利用)

3つ目のRは「リサイクル(再利用)」です。古紙は「燃えるゴミ」として捨てれば廃棄物として焼却されるだけですが、資源ゴミとして分別して回収に出せば再生紙としてリサイクルできます。

「家電リサイクル法」や「小型家電リサイクル法」も、限りある資源をリサイクルして再利用するために定められた法律です。リサイクルを徹底するには、ゴミの分別が大切になります。

ペットボトルや食品トレーなども、現在はリサイクルするために分別して回収が行われています。また、廃棄物を燃やす熱も回収して再利用することでリサイクルが可能です。こうしてリサイクルを徹底すれば最終的な廃棄物を大幅に減らすことができます。

最近注目されている4Rとは

これまで説明してきた3Rに加えて、最近では4つ目のR「リフューズ(断る)」が注目を集めています。使い捨て容器も過剰包装も、消費者が求めるから生産されるのです。

レジ袋を断ってマイバックを持参する、水筒を持ち歩いてペットボトル飲料の購入を控えるなど、ゴミになるものを家庭に持ち込まない、不必要なものを購入しないことで循環型社会の実現に近づけていきます。需要がなくなれば、供給も必要なくなります。

日本における循環型社会の取り組み

では、現在日本は循環型社会の実現に向けてどのような取り組みをしているのでしょうか。ここでは、日本で現在行われている循環型社会実現に向けた取り組みを紹介します。

循環型社会形成推進基本法

循環型社会形成推進基本法とは、平成12年(2000年)6月2日に制定された法律です。
この法律が制定される前まで、廃棄物・リサイクル対策に関する法律は個別に定められてきましたが、循環型社会形成推進基本法が上位法として定められたことで、廃棄物処理やリサイクルに関する政策の基盤が整いました。

第2条第一項では「循環型社会」の概念を示し、第6条、第7条では「3Rの法制化」として、3R処理の優先順位を定めています。現在は循環型社会形成推進基本法に基づき、「廃棄物処理法」「資源有効利用促進法」といった個別法が制定されています。個別法と基本法が同時に機能し続ければ、現在の社会から循環型社会への移行もスムーズにいくことでしょう。

※出典:環境省「循環型社会形成推進基本法」

個別物品の特性に応じた規制

個別物品の特性に応じた規制とは、文字どおり資源を消費して生産した製品の特性に応じて定められた規制です。容器包装リサイクル法・家電リサイクル法・小型家電リサイクル法などが該当します。

例えば、家電リサイクル法の場合は、2022年6月現在、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンが対象となっており、家電量販店を通してメーカーが回収しリユースできる部品を取り、リサイクルすることが義務づけられています。

対象家電をリサイクルしてもらうには費用がかかるため、安易な買い替えや廃棄処分を防ぐことができるのです。

また、小型家電リサイクル法では、自治体が回収可能な小型家電を集めてリサイクルするように定めています。このような法律により、家電は廃棄するゴミではなくリユース・リサイクルできる資源として扱われています。

※出典:環境省「循環型社会を形成するための法体系」

循環経済パートナーシップ

循環経済パートナーシップとは、2021年3月に環境省が環境経済への理解や取り組みの促進を目的として立ち上げられました。経団連は、パートナーシップを通じて関係省庁と経団連の連携を深めることを期待しているとWebサイトで発表しています。

具体的な活動としては、先進的な環境経済に関する取組事例の収集、国内外への情報の発信、一般向け広報イベント等での発信などがあげられます。

※出典:一般社団法人日本経済団体連合会「循環経済パートナーシップの創設について」

地域循環共生圏

地域循環共生圏とは、環境省が提案しているSDGsの目標を地域経済の仕組みとして回すことを目的とした構想です。エネルギーや食を地産地消しつつ、生み出したエネルギーや資源を地域で循環させることで「自立・分散型」の社会を作ります。

そして、地域同士が資源を補完しあいながら共存することが最終目標です。しかし、一口に地域と言っても都市部と農山漁村では生産できるエネルギーの量や種類、消費するエネルギー量が異なります。

そこで、環境省は食料や自然エネルギーを農山漁村から都市に提供する代わりに、都市からは人材や資金を回してもらうことで、足りないものを補いながら共存していこうという考えを打ち出しました。

近年はリモートワークの充実などで、無理に都心で居を構えなくても生活ができる方が増えています。環境省は、デジタルの力を活用して地域環境共生圏を発展させることができると期待しています。

※出典:環境省「地域循環共生圏」

国際的な取り組み

日本では、環境省を中心に数々の取り組みが意欲的に行われていることがおわかりいただけたことでしょう。では、国際的には循環型社会の実現を目指してどのような取り組みが行われているのでしょうか。

ここでは、2022年現在国際的に行われている、循環型社会への移行を目指す取り組みについて解説します。

アジア太平洋3R推進フォーラム

アジア太平洋3R推進フォーラムは、平成21年(2009年)に日本が提唱して設立されました。アジアでの3Rの推進に向け、各国政府や国際機関はもちろんのこと、民間セクター、研究機関、NGOなど幅広い団体が協力する際の基盤となることを目的としています。

東アジアや東南アジアの国を中心に30カ国以上が参加し、フォーラムの開催は2020年で10回を数えました。

※出典:環境庁「アジア太平洋3R推進フォーラム」

サーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーは、「循環経済」と訳されます。これは、3Rの取り組みを行ったうえで資源・製品の価値を最大限に引き出し、資源消費を最小限に抑え、廃棄物の発生抑止を目指す経済活動の総称です(※)。

一方、20世紀の経済活動の主流であった大量生産・大量消費・大量廃棄を一方通行で行い続ける経済活動はリニアエコノミー(線型経済)といいます。リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの転換は、すでに先進国となっている欧米各国はもちろんのこと、中国をはじめとする成長過程にある国家も強い関心を持っています。

サーキュラーエコノミーはヨーロッパを中心に発展してきており、2015年12月に循環経済への方向性を示した行動計画「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採択しています。フランスでは、「2010~2030年にGDPに関する資源消費量30%削減」「2025年までにプラスチックのリサイクル100%を目指す」などの5つの目標を掲げ、取り組んでいます(※2)。

日本では、プラスチックの資源循環を促進する法律を定めることで、サーキュラーエコノミーへ移行する第一歩を踏み出しました。

※1 出典:環境庁「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」
※2 出典:経済産業省 循環経済ビジョン研究会 「欧州のサーキュラー・エコノミー政策について」

各業界の取り組み

日本政府が積極的に循環型社会への移行を進める姿勢を見せる中、各業界でも賛同と協力の輪が広がっています。全国にいくつもの店舗を構える大手スーパーイオンは、1991年より「買物袋持参運動」を展開し、レジ袋の削減に取り組んできました。

2019年にはマイバスケットのデザインをリニューアルし、買い物をしてそのままバスケットごと持ち帰るシステムを推奨しています(※1)。

ティッシュやトイレットペーパーなどを製造・販売している大王製紙株式会社は、植物バイオマスから取り出したセルロースナノファイバーという木質バイオマス資源の研究や商品化に力を入れています。すでに、セルロースナノファイバーを使ったトイレクリーナーなどが商品化されています(※2)。

また、詰め替え品の販売促進にも積極的で、資源の使用削減に貢献しています。このほか、エネルギー業界全体で、廃棄物をエネルギー源としたバイオマス発電などの実用化を目指しています。

※1 出典:イオン株式会社「使い捨てプラスチックの削減」
※2 出典:大王製紙株式会社「セルロースナノファイバー(CNF)」

循環型社会の実現のために私たちができること

最後に、循環型社会を実現するために、個人でできることを紹介します。実践できそうなものは、ぜひ実践してみてください。1人ひとりの努力が循環型社会への移行をスムーズにします。

3Rを意識して生活する

3Rを意識した生活を心がけましょう。使い捨ての品物はできる限り選ばず、リユースできる品物や長く使える製品を選びます。また、環境を意識した製品を作っているメーカーの商品を積極的に使うのも効果的です。現在は、一般的なスーパーでもリサイクル品やリユース品が手軽に購入できるようになりました。

3Rに積極的に取り組んでいる店舗を利用するだけでも効果があります。このほか、ゴミを捨てる際にリサイクルしやすいように分別を徹底しましょう。多くの自治体がリサイクルできるものはリサイクルできるよう、ゴミの分別をしています。

小型家電リサイクル法に沿って小型家電の回収を行っている自治体もあるので、Webサイトで確認して利用してみるのもおすすめです。

ボランティア活動に参加する

環境保護を目的としたボランティア活動に参加するのも、循環型社会を実現するための取り組みの1つです。観光シーズン前後の海や山でのゴミ拾いや、リサイクルできる廃品の回収など人手を募集しているところはたくさんあります。

お子さんがいるご家庭なら、幼稚園や小学校でボランティアを募集していることもあるでしょう。ボランティアの募集サイト、自治体のWebサイトなどをチェックしてみれば、3Rを実現できるボランティアが見つかるはずです。

再生可能エネルギーを活用する

太陽光発電・風力発電などエコな発電方法で作ったエネルギーや、バイオマス燃料など再生可能エネルギーを活用してみるのもおすすめです。東京都は2022年度内に、戸建て住宅を含む都内の新築建物に太陽光パネルの設置を義務づける方針を固めています(※)。

そのため、これから東京都で家を買ったり建てたりする場合は、再生可能エネルギーを使うことになる可能性が高いでしょう。また、現在は自分で電力会社を選べる時代です。電力会社の中には、再生可能エネルギーを積極的に使っているところもあります。

そのような電力会社に乗り換えることもまた、循環型社会実現のために個人ができることです。電力会社の乗り換えを検討している方は、電力会社が発電に使っているエネルギーを確認してみましょう。

このほか、暖房の設定は20℃、冷房の設定は28℃にしたり、省エネ住宅に住んだりしても、限られた資源を有効に使えます。自治体によってはエコリフォームに助成金が出るところもあるので、住んでいる地域によってはお得にエコ住宅にリフォームできるかもしれません。

※出典:読売新聞オンライン「東京の新築、太陽光発電の設置義務化…都が年度内にも条例改正」

電力会社選びも循環型社会の実現につながる

電力会社選びも循環型社会の実現につながる 電力会社選びも循環型社会の実現につながる

今回は、循環型社会の定義や日本・世界が取り組んでいる循環型社会に移行するための取り組みについて解説しました。私たち1人ひとりの行動が循環型社会の実現につながります。

身近な例で言えば、私たちが使う電気を再生可能エネルギーを利用したものに切り替えることで、循環型社会の実現に貢献できます。

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