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ガスコンロ ガスコンロ

普段の生活に使っているガス、都市ガスとプロパンガスではどちらが高いのでしょうか。また、双方を比べるとどんなメリットとデメリットがあるでしょうか。

都市ガスとプロパンガス双方の料金の比較を中心に、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

さらに、光熱費をよりリーズナブルにしたい人のヒントになるよう、お得なガスの選び方についても説明してみました。住んでいる地域の実情にあわせて選べますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

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都市ガスとプロパンガスについて

都市ガスとプロパンガスは、どちらも料理や給湯に使いますが、いろいろ違いがあり、ガスの原料・成分・重さも違います。まとめるとこの表の通りです。

都市ガスとプロパンガス
都市ガス プロパンガス
ガスの原料・成分の違い 液化天然ガス 液化石油ガス
空気より軽いか重いか 空気より軽い 空気より重い
ガス漏れ警報器の取り付け位置 天井付近 床のすぐ上付近

ガスの原料・成分の違い

都市ガスは、液化天然ガス(LNG)を使用しています。主成分はメタンです。これに対して、プロパンガスは、液化石油ガス(LPG)を使用します。主成分はプロパン・ブタンです。別名をLPガスといい、不動産の物件表示などにLPガス、とあるのはプロパンガスを使っているという意味です。

ちなみに、日本は近年液化天然ガスの輸入をオーストラリアに大きく頼っています(※1)。プロパンガスは、産油国であるUAEやサウジアラビアからの輸入が多かったのですが、現在はシェールガスの輸入が多くなっています。最大の輸入元は、シェールガスを多く産出する米国です。

メタン・ブタン・プロパンは、すべて炭化水素化合物です。炭素に4つ水素が結合した構造がメタン(CH₄)、8個がプロパン(C3H8)、10個がブタン(C₄H₁₀)、という違いがあります。
※1 出典:天然ガスの取引量|日本ガス協会

空気より軽いか重いか

都市ガスの特徴の1つが、空気よりも軽いことです。空気のおよそ半分の重さで、比重は約0.5です。そのため、ガス漏れ警報器の取り付け位置はキッチンの上部など、検知しやすい位置としています。

万が一漏れた場合は、天井部にたまりますので、窓を開けて換気をすることにより大気中に放出します。

一方、プロパンガスは空気に対して1.5~2.0と重く、室内に漏れた場合は足元にたまります。そのため、プロパンガスのためのガス漏れ警報器の取り付け位置は、床のすぐ上のあたりの低い位置に取り付けます。万が一漏れた場合、屋外にほうきで掃き出すことが室内の事故を防ぐために有効です。このように、空気より軽いか重いかによって、ガス漏れ警報器の位置や万が一漏れた場合の対応に違いが生じます。

都市ガスとプロパンガスの違い

続いて、都市ガスとプロパンガスの違いを見てみましょう。ガスの供給方法、供給エリア、発熱量の違い(火力の違い)について、都市ガスとプロパンガスでは違いがあります。

都市ガスとプロパンガスの違い
都市ガス プロパンガス
ガスの供給方法 地下の導管 各戸へ設置されるボンベ
供給エリア 都市部中心 全国どこでも
発熱量の違い(火力の違い) 11,000kcal/㎥ 火力少ない 24,000kcal/㎥ 火力多い

ガス導管かボンベか

都市ガスは広域に設置されている地下のガス導管を通じて供給されます。ガス会社がガスタンクを設置、液化天然ガスを貯留、ガスタンクから接続されているガス導管を通じて各戸にガスが届けられています。

2017年から、ガスの小売りが自由化されましたが、ガス導管には各小売事業者が供給源から乗り入れて接続、ガスを供給するとしています。そのため、利用者は今まで通りの導管を使ったまま、小売業者を選べることとなっています。

これに対して、プロパンガスはガスボンベを契約している各戸まで届けています。ガスボンベに簡易な装置を付け、各戸の利用するガス器具へと配管します。ボンベは空になる前に、定期的に補充されています。

プロパンガスのガスボンベは戸外に置かれていますが、マイコンメーターや警報器、ヒューズコックといった安全機器の取り付けが徹底されています。安全性の面では、都市ガスとプロパンガスでは変わりはありません。

都市ガスは都市部、プロパンガスは全国

都市ガスは地下のガス導管が必要ですので、主に都市部で多数の利用者を対象に供給されています。プロパンガスはボンベと簡単な装置があれば、全国どこでも供給されます。

都市ガスとプロパンガス(LPガス)の供給方法の違いは、供給エリアの違いに反映されています。都市ガス供給のために地下の導管を設置するのは、莫大な費用がかかります。費用の回収のためには、利用者から広く浅く料金を徴収し、回収することとなります。

そこで、ガス会社としては人口の多い都市部に都市ガスを設置して、回収するのが合理的です。都市ガスはこのようにして人口の多い都市部を中心にサービスが提供されています。

たとえば、都市ガスの導管の普及エリアは、日本の面積の約6%(※1)であるのに対し、都市ガスのユーザーは、人口の53%(※2)を占めており、小さい面積の土地に多くのユーザーを有するビジネスモデルであることがわかります。

プロパンガスは、都市ガスの設置されない地域にも配送できますので、都市ガス網にとらわれない柔軟にサービスを提供しています。
※1 出典:一般社団法人日本ガス協会「都市ガス事業について」
※2 出典:経済産業省「ガス事業の現状」

発熱量の違い(火力の違い)

プロパンガスの主成分であるプロパンやブタンは、成分の性質上とても熱量が高く、火力が強く効率のよいエネルギー源です。しかし、都市ガスは主成分であるメタンは、プロパンやブタンに比べると熱量が低く、火力が弱い性質があります。

都市ガスとプロパンガスを1立方メートル当たりの熱量で比較すると次の通りです。


  • 都市ガス11,000kcal/㎥
  • プロパンガス(LPガス)24,000kcal/㎥

このように火力が2倍以上も違いますので、同じ作業をする、例えばお湯を沸かすとき、プロパンガスなら都市ガスに比べて2分の1未満の利用量で済みます。ただし、都市ガス用コンロのガス穴はプロパンガス用コンロよりもガスが多く出るようになっています。そのため、火力など実際に使用する場面での違いに関しては、都市ガスとプロパンガスでは差を感じることはありません。

都市ガスの地域からプロパンガスの地域に引っ越す場合、または、逆にプロパンガスの地域から都市ガスの地域に引っ越す場合は、器具を変えずに使い続けることはできない点に注意しておきましょう。

都市ガスとプロパンガスの料金システム

今までご紹介した都市ガスとプロパンガスの違い、特に原料の価格と導管などの供給方式・初期費用の違いから、料金システムも違っています。具体的に都市ガスとプロパンガスの料金はどう決まるのかをご紹介します。

都市ガスの料金システム

都市ガスは、現在では自由化されていますが、2017年の全面自由化以前は、都市ガス会社は必ず「総括原価方式」という方式で料金を設定し、国の認可を得ていました。総括原価方式とは、都市ガスを安定供給するために費用の総額を計算し、利用者に配分することにより料金を決定する方式です。

この方式によると、初期費用の回収さえできれば常に黒字となるので、ガス会社の経営状況に左右されず、安定的にエネルギー供給されるメリットがあります。また、国の認可を得るため、透明性も高い価格決定方式です。しかし、価格を下げるためのコスト削減の努力はなかなかなされにくい点で価格に市場原理が働かず、高値で固定してしまう可能性があります。

そこで2017年からは、複数の小売り事業者が参入し料金を業者が自由に設定できるようになりました。これが「都市ガスの全面小売り自由化」です。

プロパンガスの料金システム

プロパンガス プロパンガス

一方、プロパンガスは、ずっと以前から自由化されており市場での自由な競争があります。販管費を下げるなどの努力でコストを下げることが可能で、消費者も自由により安いプロパンガス会社を選べます。その結果、同じ地域においても2倍の価格の差が出るようなケースは珍しくありません。

ただし、集合住宅や賃貸住宅の場合、管理組合や大家さんの意向でガス会社が決められるため、どのガス会社も自由に選べるとは限りません。

都市ガスとプロパンガスのメリット・デメリット

都市ガスとプロパンガスを選べるなら、どちらを選んだらお得なのか、それぞれのメリット・デメリットを検討してみました。表に大まかにまとめると次の通りです。

都市ガスとプロパンガスのメリット・デメリット
都市ガス プロパンガス
料金
環境負荷(CO₂)
災害からの復旧の早さ
全国でのサービス利用の可否

〇=メリットあり、✕=デメリットあり

プロパンガスは都市ガスの1.8倍高い

都市ガスもプロパンガスも、現在は各家庭が自由にガス会社を選べます。また、地域ごとに価格も異なっています。

都市ガスは多くの利用者でコストを薄く広く負担できます。一方、プロパンガスは人口密度の低い地域に一軒一軒配達するので、配送費や人件費の原価が大きくなります。両者を比較した調査によると、平均価格はプロパンガスの方が都市ガスより1.8~2倍にもなるとの結果が出ています(※)。

ただし、地域により都市ガスの価格には大きく差が出る傾向にあります。1000万世帯と利用者の多い東京地区のガス代に対して、地方に行くと、1万世帯程度の利用者というガス会社もあり、後者の方が高価格です。

資源エネルギー庁の調べによると、関東の都市ガスの平均単価が150円に対して、九州では約230円と割高です。また、都市ガスの方が一般的にはプロパンガスより安いものの、LPガスの方が安いという地域も少数ですが存在しています。

※出典:経済産業省 2015年10月19日第24回ガスシステム改革小委員会資料

都市ガスのメリット・デメリット

都市ガスのメリットは、プロパンガスに比べて料金が安いことと、環境負荷が低いことです。天然ガスはメタンが主成分なので、燃焼後のCO₂の排出量がプロパン・ブタンを主成分とするプロパンガスよりも少ないとされています。都市ガスのCO₂の排出量を1とした場合、プロパンガスは約1.16との調査結果があります。また、硫黄酸化物(NOx)や煤塵(ばいじん)を発生させないクリーンエネルギーです。

デメリットは、対応エリアが地下の導管が敷設されている地域に限られていること、災害の復旧時に時間がかかることがあげられます。東日本大震災の際には復旧に2カ月かかった地域もあり、大きな災害時にガスの復旧までの時間を短縮することが重要課題とされています。

ただし、復旧までの時間は、年々短くなる傾向があります。熊本・大阪北部地震の際には被害の大きかった地域でも、2週間ほど~10日前後など、より早い復旧ができるようになりました。

プロパンガスから切り替える際には、初期費用がかかることもデメリットです。一戸建て住宅の場合、引き込み工事は10~15万円が目安とされ、利用者が支払うこととされています。

プロパンガスのメリット・デメリット

プロパンガスのメリットは災害時の復旧が早いことです。先にもご紹介した通り、都市ガスはガス管が破損すると復旧に時間がかかりますが、プロパンガスは替えのボンベ・設備、破損等があった部品の交換などが行われれば利用を再開できます。

そのため、災害時のバックアップ用のライフラインとして、都市ガスのほかに備蓄する公共施設やビル・集合住宅などもあります。

また、プロパンガスは全国どこでも場所を選ばず利用可能です。輸送さえできれば、災害の被災地・仮設住宅への設置、発電機の燃料にも使えて、プロパンガスがライフラインを支える役割を担っています。

初期費用の安さもプロパンガスのメリットです。地下導管から引き込むことは必要がありませんので、引っ越しなどのときに大きな出費をする必要もありません。

デメリットは、前に見たように都市ガスに比べて料金が高いことがあげられます。料金は都市ガスの1.80~2倍程度です。

電気とガスをまとめるならLooopでんきを検討しよう

都市ガスとプロパンガスの比較をしてきましたが、都市ガスは「ガス自由化」によって会社を選べるようになり、プロパンガスも一戸建て住宅ならば会社を選ぶことができます。ガス代の節約は都市ガスの料金決定システムの変更で、より簡単にできるようになりました。

また、電気とガスを同じ会社にまとめて契約することもできるようになりました。同じ会社にすると、電気代とガス代を1度にまとめて支払うことができ、契約サービスによってはセット割引を受けることができるなどのメリットもあります。

東京電力エリアで都市ガスを使っている方は、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)+Looopガス」をチェックしましょう。

スマートタイムONEは、電気料金の単価が市場価格に合わせ時間帯で変動する市場連動型プランです。単価が安い時間帯に集中して電気を使うようにすれば、電気代が安くなります。ガス割の1円は、スマートタイムONE(電灯)の固定従量料金単価から割り引かれます。

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