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ガス代が高いと感じているなら、ガス会社の変更を検討しましょう。現在はガス自由化により、プロパンガスだけでなく都市ガスも、消費者が提供会社を自由に選ぶことが可能です。ガス自由化の基礎知識と、ガス会社変更のポイントについて解説します。

節約には電力会社の見直し
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ガスの種類

ガス自由化がいつ始まったのかは、ガスの種類によって異なります。まずは代表的なガスの種類と、それぞれの特徴を知っておきましょう。

都市ガス

都市ガスは、都市部を中心に利用できるガスです。地下の導管を通して供給されています。日本ガス協会のWebサイトによると、都市ガスの普及エリアは日本の面積の6%程度です。普及エリア外では都市ガスを選べません。

ただ、導管が通っていれば供給できるため、供給コストが抑えられる分だけプロパンガスより料金が安くなっています。

都市ガスの主原料は、メタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)です。空気より軽いため、ガス探知器は高い場所に設置されます。

都市ガスはプロパンガスに比べて熱量が低く、火力も弱めです。プロパンガスとの火力差を抑えるために、都市ガス用のコンロはプロパンガス用よりガスが多く出るように作られています。

※出典:都市ガス事業について|日本ガス協会

プロパンガス

プロパンガスは全国どこでも使えるガスです。各戸に設置されるボンベから供給されます。都市ガスが供給されないエリアのほとんどは、プロパンガスの普及エリアです。

プロパンガスの主成分は、プロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガスです。液化石油ガスの英語表記「Liquefied Petroleum Gas」を略し、LPガスとも呼ばれます。

プロパンガスは空気より重いため、ガス漏れが発生したときは低い場所に滞留します。プロパンガスは都市ガスに比べて火力が強く、同じ体積での発熱量は都市ガスの2倍以上です。

ガス自由化とは

都市ガスとプロパンガスのいずれも、すでに自由市場となっています。ただ、それぞれに自由化されたタイミングが違うことに注意しましょう。種類によって変わる自由化の時期について紹介します。

都市ガス会社を選べるように

一般的にガス自由化という場合は、2017年の都市ガス自由化を指します。都市ガスの小売が全面自由化したことで、消費者は都市ガス会社を自由に選べるようになりました。

自由化される以前、都市ガスは価格が高止まりしたまま、都市ガス会社がそれぞれの地域で独占供給をしていた状態です。

自由化されてからは、さまざまな企業が都市ガス市場に参入し、既存の導管を使ってガスを供給・販売するようになりました。料金設定も各小売業者が決めています。

ただし、参入企業が存在しないエリアは1社独占のままです。自由化に伴って供給エリアも広がったわけではありません。

プロパンガスは昔から自由市場

小売自由化まで地域ごとに契約できる会社が決まっていた都市ガスと違って、プロパンガスはずっと自由市場です。都市ガスの自由化と一緒にプロパンガスも自由化されたわけではありません。

販売料金に関する規制がなく、都市ガスが自由化される前から自由料金制でした。各プロパンガス会社は昔から自由に料金を設定しており、消費者は料金やサービスを比較して、気に入ったガス会社を選べます。

なお、プロパンガスの料金には指標となるものがなく、指標となる料金を提示するような行為は禁止されています。平均的な料金を知りたい場合は、石油情報センターのモニター料金を参考にしましょう。

石油情報センター

※出典:LPガスご利用のお客様|(一社)東京都LPガス協会

都市ガス自由化の目的

日本における都市ガスの自由化は、世界的に進められているエネルギー市場の自由化にならったものです。都市ガス自由化には、具体的にどのような狙いがあるのでしょうか。

ガス料金の抑制

都市ガスや電気などの公共料金は、自由化以前は「総括原価方式」で決められていました。総括原価方式とは、あらかじめ供給にかかるすべての費用に一定の利益を上乗せして金額を算出する計算方法です。

自由化以前の都市ガス会社は、利益を上乗せした料金でも独占販売できていたため、ガス料金を下げる理由がありませんでした。しかし、日本の都市ガス料金は世界でも割高だったため、問題になっていた背景があります。

そこで、適正なレベルまでガス料金を下げるために、政府主導でガス自由化政策が進められました。2016年の電力小売自由化も、同じ理由から実施された政策です。

サービスの向上

ガス料金の抑制を目的の1つとして実施された都市ガス自由化では、都市ガス市場への新規参入が認められています。ガス会社間の健全な競争による料金の抑制が期待されているのです。

ガス自由化以降の都市ガス会社は、ガス料金の安さだけでなく、サービス内容でも競争が活発化してます。より多くの顧客を獲得するために、各社がサービスの向上を図るようになることも、都市ガス自由化の目的です。

都市ガスの料金メニューやサービスが充実していけば、選択肢が増えてよりお得に都市ガスを利用できるようになるため、消費者も大きなメリットを得られます。

安定供給体制の整備

都市ガス自由化の目的として、ガスを安定的に供給する体制の整備も挙げられます。導管網がない地域にも導管を伸ばしたり、災害に対する強じん化を図ったりすることで、より安定的な供給を確保するのが狙いです。

日本ガス協会のWebサイトを見ると、日本における都市ガスの世帯普及率は約50%にとどまっている現状がわかります。導管網の整備を促進するために、ガス会社の導管部門を分離し、誰でも自由に導管を利用できる仕組み作りが進められています。

大手都市ガス3社(東京ガス・大阪ガス・東邦ガス)については、製造・小売事業と導管事業の兼業が原則的に禁止となりました。2022年4月には、大手3社の導管事業を独立させる「導管分離」が実施されています。

※出典:都市ガス事業について|日本ガス協会

プロパンガス料金が都市ガスより高い理由

プロパンガスは都市ガスよりも料金が高いため、現在プロパンガスを使っているのであれば、自由化されて安い料金プランが出てきた都市ガスに切り替えるのもおすすめです。プロパンガスの料金が都市ガスより高い理由を見てみましょう。

供給コストの差

都市ガスは地下の導管を経由して供給されるため、導管さえ通っていれば輸送費が追加でかかりません。供給コストが低いため、ガス料金も安くできるのです。

一方のプロパンガスは、各家庭にガスボンベを運ぶ必要があります。人件費やガソリン代などの輸送費が発生する分だけ、都市ガスよりコストが高くなるのです。

プロパンガスは保安点検・検針・集金にも人手が必要になるため、流通段階での合理化努力が価格抑制の大きなポイントといえます。

相場の高止まり

プロパンガス料金が都市ガスより高い理由の1つに、業界の談合体質も挙げられます。多くのエリアで有力な会社同士が料金の取り決めを行い、顧客を奪い合わないようにしているのです。

エリア内で会社間の競争が行われず、ガス料金の相場も下がらないという状況が、プロパンガス業界では何十年も続いていると考えられます。

ただし、古くからの談合体質の中でも、高止まりしている相場より安い料金プランを提供しているガス会社は存在します。きちんと比較すれば、ガス料金を抑えられる可能性があるのです。

選択の自由がないという誤解

プロパンガス会社を自由に選べないと思っている方が多い点も、単価が下がらない理由の1つです。プロパンガスの場合、都市ガスよりかなり前から会社を自由に選べる事実を、多くの消費者が知らないのです。

「プロパンガス料金は高くて当たり前」という意識が浸透しているため、ガス会社を積極的に選ぼうとする動きが少なく、結果的に相場が下がらない状況が続いています。

都市ガスの自由化によりガス料金に関心を持ち、プロパンガス会社も自由に選べることを知った方も多いでしょう。ご家庭のガス代削減を図るためには、ガス料金に対して関心を持ち、積極的に情報を集めて調べる姿勢が大切です。

ガス会社を変更する方法

ガス自由化により提供会社を変更できることは知っていても、具体的にどのような手続きをすればよいのかわからず、足踏みしている方も多いのではないでしょうか。ガス会社を変更する方法を、ケース別に紹介します。

ガスの種類を変えないケース

都市ガスから都市ガスに切り替える場合は、新規に契約したい会社に連絡するだけで手続きは完了です。それまで使用していた導管やガスメーターは取り換えず、引き続き使うことになります。

契約したい旨の連絡を入れるときは、検針票(ガスご使用量のお知らせ)を手元に準備しておきましょう。手続きがよりスムーズに進みます。

プロパンガス会社から別のプロパンガス会社に切り替える場合は、新しい会社に契約の連絡をした後、ガスボンベの配送を止めるため、前のガス会社に解約の連絡を入れましょう。

プロパンガスから都市ガスに変えるケース

都市ガスは導管を引かなければ供給されません。プロパンガスから都市ガスに変更する場合は、まずは都市ガスの供給エリア内であることを確認しましょう。

さらに自宅へ都市ガスの導管を引き込めるか確認する必要があります。導管の引き込みには工事費用が発生する点にも注意が必要です。

都市ガス会社に連絡して契約すれば、通常1~2カ月後に導管の引き込み工事が終了します。都市ガスの利用開始日がわかったら、利用中のプロパンガス会社に解約を申し込みましょう。都市ガスの利用開始に合わせて、ガスボンベの撤去に来てもらえます。

賃貸の場合は大家の許可が必要

賃貸物件で利用するガス会社は、大家や管理会社に決定権があります。ガス会社を変更する許可を得られなければ、切り替えはできません。

そもそも多くの賃貸物件では、すべての居住者が同じガスを共有しています。建物の構造上、世帯ごとにガスの使い分けができない場合、ガス会社の変更は難しいと考えましょう。

ガス代が高いことにどうしても納得がいかない場合は、一度大家や管理会社に相談してみるのがおすすめです。場合によっては、物件全体で利用するガス会社自体を変更してもらえる可能性もあります。

ガス自由化の気になる疑問

長年利用していたガス会社を変える場合、ガスの品質が落ちないかという不安があります。新しいガス会社が倒産したらどうなるのか、気になる方もいるでしょう。自由化された都市ガスへの切り替えを考えるとき、よくある疑問について解説します。

ガスの品質は落ちない?

都市ガスは自由化以降も、既存の導管を使って供給されています。新規参入したガス会社がガスの供給で使う導管は、大手ガス会社が使用していた導管なのです。

導管分離の実施以降は、大手ガス会社から導管部門が切り離され、導管のみを扱う事業者によって導管が管理されます。しかし導管自体は、基本的に大手が使用していた状態のままです。

ガスの自由化により供給の工程が大きく変わるわけではないため、新規ガス会社に乗り換えても品質はほとんど変わりません。今までと同じように、安心してガスを使えます。

ガス会社が倒産したらどうなる?

ガス自由化以降に契約した小売事業者が倒産した場合、次のガス会社と契約するまでの間は、大手をはじめとした一般ガス事業者によるガス供給のサポートを受けられます。

ガス会社が倒産しても、ガスが止まることはありません。一般ガス事業者から供給を受けている間、ガス料金は一般ガス事業者に支払うことになります。

なお、ガス小売事業者が事業を廃止する場合は、契約相手への周知が義務づけられています。周知期間のうちに別のガス会社に切り替えれば、一般ガス事業者による最終保障を受ける必要はありません。

※出典:ガス小売全面自由化に関するよくあるご質問と回答集 | 電力・ガス取引監視等委員会

ガス会社と一緒に電力会社も見直そう

光熱費全体の削減を図りたい場合は、ガス会社と一緒に電力会社も切り替えるのがおすすめです。電力会社を見直す上でのポイントもチェックしておきましょう。

電力の小売も自由化されている

ガス自由化に先駆けて、2016年には電力の小売も自由化されています。大手以外の新電力が参入し、消費者は電力会社を自由に選べるようになりました。

さまざまな事業者が電気市場に新電力として参入したことで、新しい料金プランやサービスも続々と誕生しています。家庭環境やライフスタイルに合ったメニューを選びやすくなっているのです。

太陽光・風力・地熱などの再生可能エネルギーで発電する電力会社からも、電気を購入できるようになっています。地元にある新電力を利用すれば、電気の地産地消も可能です。

新電力についてもっと詳しく知りたい方はこちら

電気とガスのセットでお得になる

新電力が提供するプランの中には、電気とガスをセットで契約すると料金が安くなるものもあります。

東京電力エリアで都市ガスを使っている方は、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)+Looopガス」をチェックしましょう。

スマートタイムONEは、電気料金の単価が市場価格に合わせ時間帯で変動する市場連動型プランです。単価が安い時間帯に集中して電気を使うようにすれば、電気代が安くなります。ガス割の1円は、スマートタイムONE(電灯)の固定従量料金単価から割り引かれます。

電気とガスの業者を一緒に切り替えたい場合は、電力会社とガス会社を別々に契約するより、Looopでんきのセット割プランを利用したほうがお得です。(※東京電力エリア限定)

「Looopでんき+ガス」をチェック

電力会社を切り替える際は、申し込みに必要な情報を準備し、新しく契約する電力会社に連絡するだけで手続きは完了です。それまで契約していた電力会社への連絡は必要ありません。

ガス代が高いときはガス会社の変更も検討

2017年のガス自由化により、都市ガスもプロパンガスと同じように、消費者がガス会社を選べるように変わりました。ガス代は毎月発生する生活コストであり、家計を圧迫していると感じる方は今すぐにでも見直したい支出の1つです。

ガス会社と一緒に電力会社も切り替えれば、光熱費全体を見直せるでしょう。光熱費全体での節約を考える方は、電気とガスをセットで契約できるプランも検討してみてはいかがでしょうか。