エアコンは設定温度を細かく調節できるため、必要以上に温度を上げ下げしがちです。しかし、適切な温度に設定しなければ、余計な電気代がかかる恐れがあります。エアコンの温度が電気代に与える影響や、エアコンの電気代の節約術について解説します。
エアコンの設定温度は電気代に影響する?
エアコンの設定温度は、電気代に大きな影響を与えます。冷暖房の一般的な使われ方と併せて、1℃の差がどのくらいの無駄につながるのかを見ていきましょう。
1℃の違いで消費電力を10~13%削減できる
一般財団法人省エネルギーセンターの調査によると、エアコンの設定温度を1℃緩和した場合、暖房時で約10%、冷房時では約13%の電力消費量の削減を見込めます。
エアコンを使うシーズンの電気代が高くて悩んでいるなら、まずはエアコンの設定温度を見直してみるとよいでしょう。快適に過ごせる範囲で設定温度を調整すれば、電気代の節約が期待できます。
設定温度を1℃変えると不快に感じる場合は、着るもので体感温度を調節したり、ほかの暖房器具や空調機器と併用したりしてみましょう。
※出典: エアコンの使い方について | 家庭部門のCO₂排出実態統計調査
エアコンの暖房と冷房の一般的な使用状況
環境省の「家庭部門のCO₂排出実態統計調査」を見ると、エアコンの冷暖房の一般的な使われ方がわかります。ご家庭での使い方と比べてみましょう。
暖房器具の中でエアコンを主に使用している世帯では、半数以上が設定温度を23℃以下にしており、約2割の世帯が20℃以下に設定しています。
冷房の使用状況を見ると、設定温度を27℃にしている世帯が全体の約3割で最も多く、27℃以上に設定している世帯は全体の約6割を占めています。
※出典: エアコンの使い方について | 家庭部門のCO₂排出実態統計調査
エアコン使用時の適切な温度は?
環境省はエアコンの冷暖房使用時の適切な温度を推奨しています。ご家庭で普段から設定している温度と比較し、今後のエアコン使用時の参考にしましょう。
暖房の推奨室温は20℃
環境省が推奨する暖房使用時の室温は20℃です。この20℃はあくまでも室温の目安であり、エアコンの設定温度ではありません。
過度な暖房に頼らない過ごし方として、環境省は「ウォームビズ」を推奨しています。暖房に必要なエネルギー消費量を減らし、CO₂排出量を抑えて地球温暖化防止を目指すことが、ウォームビズの目的です。
ウォームビズでは、衣食住の工夫による寒さ対策も紹介されています。例えば、室内でも着るもので体感温度を調節すれば、エアコンの設定温度を緩和しやすくなるでしょう。
※出典: ウォームビズ(WARMBIZ)
冷房の推奨室温は28℃
環境省は冷房に頼りすぎない過ごし方として、「クールビズ」も推奨しています。クールビズで推奨されている夏場の適切な室温は28℃です。
クールビズでは、体感温度を下げる工夫に加え、適度に汗をかくことの重要性も解説しています。体を冷やすことに慣れてしまうと体温調整機能が働かなくなる恐れがあり、特に発育期の子どもや高齢者には注意が必要です。
また、汗は肌を守る皮脂にもなるため、適度に汗をかけば美容面のメリットもあります。ご家庭でクールビズに取り組み、家族の健康を守りましょう。
※出典: クールビズ/COOLBIZ|COOL CHOICE 未来のために、いま選ぼう。
エアコンの暖房と冷房の電気代を比較
エアコンにかかる電気代は、期間消費電力量を用いて求めることが可能です。実際の製品を例に取った暖房と冷房の電気代と、暖房の電気代が冷房より高くなる理由について解説します。
期間消費電力量を用いた計算方法
通常、エアコンには期間消費電力量が設定されています。暖房と冷房の期間消費電力量は、以下の条件で求められているものです。
- 使用場所:東京
- 設定温度:暖房時20℃、冷房時27℃
- 冷房の使用期間:5月23日~10月4日(135日間)
- 暖房の使用期間:11月8日~4月16日(160日間)
- 稼働時間:6:00~24:00(18時間)
期間消費電力量を用いた電気代は以下の計算式で求められます。
期間消費電力量(kWh)×料金単価(円/kWh)
電気代の目安を求める場合は、一般的に全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWh(税込)を目安とします。
※出典: 期間消費電力量を省エネ性の目安にお選びください|家庭用エアコン|関連製品|一般社団法人 日本冷凍空調工業会
※出典: よくある質問 Q&A |公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
暖房と冷房の電気代の目安
パナソニックの6畳用エアコン「CS-223DFL」を例に取り、暖房と冷房の電気代を期間消費電力量で計算した結果、以下のようになりました。
暖房期間消費電力量:492kWh
- 期間を通した暖房代の合計:492kWh×31円/kWh=約15,252円
- 1日あたりの暖房代:15,252円÷160日=約95.33円/日
- 1時間あたりの暖房代:95.33円/日÷18時間=約5.3円/時間
- 1カ月あたりの暖房代:95.33円/日×30日=約2,859.9円/月
冷房期間消費電力量:225kWh
- 期間を通した冷房代の合計:225kWh×31円/kWh=約6,975円
- 1日あたりの冷房代:6,975円÷135日=約51.67円/日
- 1時間あたりの冷房代:51.67円/日÷18時間=約2.87円/時間
- 1カ月あたりの冷房代:51.67円/日×30日=約1,550.1円/月
※出典: 詳細情報 インバーター冷暖房除湿タイプ ルームエアコン CS-223DFL | 住宅設備用エアコン | Panasonic
暖房の電気代が冷房より高くなる理由
前項の計算結果を見てもわかるように、一般的に暖房の電気代は冷房より高くなります。暖房の電気代が冷房より高くなる理由は、冬の方が夏より外気温と設定温度の差が大きいためです。以下の例でイメージしてみましょう。
- 夏:外気温36℃、設定温度28℃(温度差8℃)
- 冬:外気温6℃、設定温度20℃(温度差14℃)
エアコンは運転開始直後、設定温度に達するまでの間に最も多くの電力を消費します。上記の例では夏より冬のほうが温度差が大きいため、設定温度に達するまでの時間が長くなり、消費電力が大きい時間も長くなるのです。
エアコンの電気代を節約する方法
エアコンの電気代が気になる場合は、適切な設定温度を意識した上で、さまざまな節約術を試してみましょう。おすすめのエアコン節約術をご紹介します。
窓に断熱対策を施す
部屋の断熱性が不十分だと、室内の温度をキープしにくくなり、余計にエアコンを稼働させなければならなくなります。暖気や冷気を外へ逃さないために、窓に断熱対策を施しましょう。手軽にできる断熱対策を以下にまとめました。
- 窓に断熱シートを貼る
- 厚手のカーテンや丈の長いカーテンを使う
- 窓の隙間をふさぐ
- 窓に緩衝材を貼る
また、寒い時期は窓の近くに暖房器具を置くのも効果的です。窓から入る冷気が暖まるため、室内が冷えにくくなります。
2週間に1回を目安にフィルターを掃除する
エアコンは室内の空気を本体に取り込み、冷風や温風にして室内へ吹き出しています。空気を取り込む際、エアコンの内部にゴミやホコリが入らないようにしているのがフィルターです。
ゴミやホコリでフィルターが目詰まりを起こすと、冷暖房の効きが悪くなり、無駄なエネルギーを消費してしまいます。エアコンのフィルターは、2週間に1回を目安に掃除しましょう。
フィルターを取り外す前に掃除機でゴミやホコリを吸い取っておけば、部屋を汚しにくくなります。取り外したフィルターは水洗いし、完全に乾いてから取り付けましょう。
室外機にも気を配る
室外機は室内の熱を外へ逃がす重要な設備です。室外機の前に物を置くと熱が逃げにくくなり、冷暖房の効きが悪くなります。
例えば、冷房時に室外機の吹き出し口がふさがっていると、吹き出し口から出た熱風を再び吸い込んでしまうのです。冷暖房の効率を下げないよう、室外機の周辺はきれいに片付けましょう。
また、室外機自体を外的要因から守ることも重要です。夏は直射日光が当たらないように日除けをし、冬は雪が積もらないようにカバーを付けるなど、室外機自体にも対策を施しましょう。
サーキュレーターを活用する
サーキュレーターは室内の空気を循環させる電化製品です。エアコンとサーキュレーターを併用すれば、部屋の隅々まで冷気や暖気が行きわたるため、冷暖房の効率が高まります。
暖気は部屋の上側にたまりやすく、逆に冷気は部屋の下側にたまりやすい性質を持ちます。暖気や冷気がたまりやすい場所にサーキュレーターを当てれば、部屋の空気を効率よく循環させられるでしょう。
また、サーキュレーターで室内の空気を動かすことで、体感温度も下がります。冷房時にサーキュレーターを活用すれば、設定温度の緩和につながるでしょう。
風量は自動設定にする
電気代の節約を意識してエアコンを使おうとすると、風量を微風や弱風に設定してしまいがちです。しかし、最初から微風や弱風で運転を開始すると、設定温度に達するまで余計な時間がかかってしまいます。
エアコンの風量は最初から自動設定にするのがおすすめです。強風が出るため電気代が心配になるかもしれませんが、最短で設定温度に達するため電気代の節約につながります。
自動運転ならエアコンが最適な風量を常に選択してくれます。電気代を節約したいなら、自分で風量を調整しないようにしましょう。
最新モデルに買い替える
一般的に、エアコンの寿命は10年前後とされています。機種によっては製品寿命を明記したシールが貼られているため、確認してみるとよいでしょう。
10年程度使用したエアコンは、最新モデルに買い替えるのがおすすめです。近年のエアコンは省エネ性能がアップしており、使い方を見直さなくても買い替えるだけで電気代の節約が期待できます。
なお、古くなったエアコンの部品はメーカーにない場合があります。部品が保管されていないエアコンの修理は難しいことも覚えておきましょう。
電力会社を見直す
2016年の電力小売自由化以降、消費者は電力会社を自由に変えられるようになりました。電力会社の供給エリアであれば、基本的にどの電力会社にも変更することが可能です。
今より電気料金が安い電力会社に変えれば、それだけで電気代が安くなる可能性があります。エアコンをはじめたとする電化製品の使い方を見直すのに比べ、より大きな節約効果を見込めるでしょう。
電力会社を変えても電気の品質が落ちることはありません。停電が頻繁に発生するようなこともなく、今まで通りの電気を安心して使えます。
⇒電力会社の乗り換えについてもっと詳しく知りたい方はこちら
エアコンのつけっぱなしはお得?
エアコンの電気代が気になっている方の中には、つけっぱなしがお得なのか疑問に思っている方もいるでしょう。エアコンのつけっぱなしの考え方について解説します。
エアコンのつけっぱなしの注意点
エアコンを24時間つけっぱなしにしておくと、自動お掃除機能が使えなくなります。自動お掃除機能とは、フィルターを自動で掃除してくれる機能です。
フィルターが目詰まりすると冷暖房の効率が落ちるため、長期間つけっぱなしにする場合は途中でフィルターの掃除を行いましょう。
また、エアコンの冷房や除湿では、内部に水分が発生しカビが生えやすくなります。エアコンを休ませて内部を乾燥させることも重要です。
そもそもエアコンを長時間連続運転させると、さまざまな部分に負荷がかかり、寿命を縮めてしまう恐れもあるでしょう。
短時間の外出なら外気温で判断
外出時にエアコンを消すかどうかの判断は、外出時間と外気温を考慮しましょう。長時間の外出時はエアコンを消したほうが電気代を節約できます。
短時間の外出なら、以下のような基準で判断しましょう。
- 冷房:外気温が35℃以下なら室温が上がりにくいため消す
- 暖房:外気温が3℃より低い場合は室温が下がりやすいためつけっぱなし
外出中に室温が変化しやすいと思うならつけっぱなし、室温が変化しにくいと思うなら消すという判断がおすすめです。
⇒エアコンのつけっぱなしについてもっと詳しく知りたい方はこちら
エアコンの設定温度を意識して電気代を節約
エアコンの設定温度は電気代に大きな影響を与えます。1℃の緩和で消費電力を10~13%減らせるとされているため、快適に過ごせるぎりぎりの温度設定を意識しましょう。エアコン使用時の適切な室温は、暖房時が20℃、冷房時は28℃です。
エアコンの冷暖房時の電気代は、期間消費電力量で計算できます。ご家庭のエアコンにどのくらいの電気代がかかっているのか計算してみるのがおすすめです。
エアコンの節約術やつけっぱなしにするかどうかの判断方法も理解し、経済的かつ快適な生活を送りましょう。
電化製品の電気料金が気になる方は、家電の買い替えや使い方を工夫するだけでなく、電力会社の変更や電気料金プランの見直しも検討してみませんか。
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また、専用アプリを使えば、30分ごとの電気使用状況が確認でき、月末の電気代も予測可能です。リアルタイムで使用量を把握できるため、電気代が思ったより高くなるといった心配も減り、家計に合わせた電気の使い方を管理できます。
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