エアコンは温度を調節し部屋を快適な空間にしてくれる便利な電化製品ですが、冬の電気代を見たときに、「暖房の電気代は高い!」と感じる方も多いのではないでしょうか。冬は外気温と室内温度の差が大きいため、暖房に使う電力量は冷房よりも大きくなりがちです。
この記事ではエアコンの暖房が冷房よりも電気代が高くなる理由や、電気代の目安、節約する方法などについて詳しく解説します。
暖房の電気代を節約する方法は一つではありません。電気代を今よりも安くするためのさまざまな方法をご紹介していきますので、参考にしてみてください。
エアコンの電気代は冷房より暖房のほうが高い
エアコンは起動してから設定温度になるまではフル稼働するのが一般的です。そのため、室内の温度が設定された温度になるまでが最も電気代がかかることになります。
例えば、室内温度が32度で冷房の設定温度を28度にした場合、室内温度が4度下がるまでフル稼働します。一方で暖房の場合は、室内温度が10度のときに設定温度を20度にした場合、エアコンは室内温度が10度上がるまでフル稼働しなければなりません。
エアコンの電気代は、室内温度と設定温度の差が大きいほど高くなります。暖房の方が設定温度になるまでには時間もパワーも多く必要なので、冷房よりも電気代が高くなるのはやむを得ません。
環境省は室内温度を夏は28度、冬は20度に設定することを推奨しています(※)。もし室内温度と設定温度の差がより大きくなるなら電気代はさらに高くなるでしょう。
※出典:環境省 COOL CHOICE「家庭でできる節電アクション」
エアコンの暖房代はいくら?
エアコンで暖房を稼働させると、電気代は1時間あたりどれくらいかかるのかを計算してみましょう。
エアコンの電気代は「1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)」と「消費電力(kW)」を使うことで算出できます。エアコンの消費電力は説明書やカタログに記載されているので、正確な数値を求める場合は確認しておくと良いでしょう。
エアコンの1時間あたりの電気代を求める式は「消費電力(kW)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)」です。
例えば、暖房の消費電力を680W、1時間あたりの電気料金単価を27円/kWhと仮定した場合、エアコン(暖房)1時間あたりの電気代は以下のように算出されます。
エアコン(暖房)1時間あたりの電気代
=消費電力(kW)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)
=0.68kW(680W)×27円/kWh
=18.36円
1カ月あたりの暖房料金は、さらに1日の稼働時間と、1カ月の稼働日数を乗じることで算出できます。
例えば1日6時間、1カ月に25日稼働するならエアコンの暖房にかかる電気代は以下のようになります。
18.36円×6時間×25日=2,835円
ただし、製品の消費電力や契約している電気料金はさまざまなので、あくまでもおおよその目安として参考にしてください。
エアコンの暖房の設定温度のおすすめは?
エアコンを暖房に設定する際には、何度にするべきか迷うこともあるでしょう。快適と感じる室内温度は人によって異なる上に、外気温には地域差もあります。環境省が2005年から提唱しているウォームビズでは、エアコン暖房使用時の目安室温を20度で推奨しています。
これは暖房使用時の二酸化炭素を削減し地球温暖化防止を目指すためです。
さらに環境省では暖房時の設定温度を1度下げると、10%程度の消費電力削減につながる(※)としています。
ウォームビズは電気代の節約にもなるため、ご家庭にとってもメリットがある取り組みと言えるでしょう。快適さを追求するあまり、暖房の設定温度は上げすぎないように注意したいところです。
とはいえ、実際には設定温度が20度では寒いと感じる場合もあるかもしれません。
そのようなときには、エアコンを効率的に使い部屋を暖める工夫をしてみましょう。室内温度を下げて省エネを実現しながら、暖かく感じるような方法はいろいろあります。
※出典:環境省 COOL CHOICE「家庭でできる節電アクション」
エアコンの温度による電気代への影響については、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒エアコンの温度が電気代に大きく影響!快適に過ごしながら節電するコツを紹介。
暖房を効率的に使い電気代を節約する方法
暖房を使う際には、設定温度が低くても少し工夫すれば効率よく部屋を暖められます。
それには、暖まった空気を循環させる方法や断熱対策、リモコンの機能の使い方に工夫が必要です。またエアコンの室外機やフィルターへの配慮のように、忘れがちなチェックポイントもあります。
対策ごとにそれぞれの方法やポイントを説明するため、できることから一つずつ実行し電気代の節約につなげましょう。
扇風機、サーキュレーターを使う
暖まった空気は軽く、部屋の上部に溜まりやすくなります。すると、頭の方は暖かいのに足元は冷える、という現象が起こってしまいます。
そのようなときには足元が寒いからと設定温度を上げるのではなく、扇風機やサーキュレーターを併用するのがおすすめです。
扇風機などの送風部分を上向きにすることで、暖かい空気が部屋の中を循環し足元まで届きやすくなります。冷房時に扇風機を併用することが広く知られていますが、暖房時にも併用すると良いでしょう。
窓の断熱対策をする
断熱対策をすれば暖房効果が高まるので節電につながりますが、壁や屋根の断熱工事には費用がかかります。その点、窓の断熱対策は手軽にできるおすすめの方法です。
冬は窓から冷気が入ってくるのを減らすことができれば、節電効果が得られるでしょう。
窓用の断熱シートはホームセンターなどで入手しやすく、簡単に貼ったり剥がしたりできます。ただし、その際には部屋が必要以上に暗くならないよう、貼ったあとの明るさにも配慮が必要です。
また、断熱効果のある機能性カーテンや厚地のカーテンにする、窓よりも長めにして冷気が入りにくくなるようにするなどの工夫も効果的です。
リモコンの設定は自動運転にする
エアコンのリモコンには「自動運転」機能が搭載されています。電気代を最も削減できる設定は、この自動運転です。
エアコンの電気代を節約したいと考えるあまり、弱運転など電力がかからない設定にする方も多いのではないでしょうか。しかし、「弱」のままでは室内温度が設定された温度になるまでには時間がかかってしまい、むしろ多くの電力を使ってしまうこともあります。
エアコンは設定温度になるまでが最も電力を消費するので、むやみに設定を変えるよりも自動運転のままにしておきましょう。
室外機の周りを整理する
エアコン本体は室内にあるため、ついつい室外機については忘れがちです。しかし、室外機の周囲に物があると効率的な運転ができません。室外機の近くに排気を妨げる物が置いてある場合はなるべく撤去しておきましょう。
雪の多いエリアの場合は、室外機に雪が入らないように防雪グッズなどの活用をおすすめします。また、定期的に室外機をチェックして、枯葉やごみなどが付いていれば取り除くなどのメンテナンスをすることも大切です。
フィルターの掃除をこまめにする
エアコンのフィルターを定期的に掃除することも大切です。フィルターがホコリなどで詰まってしまうとエアコンの性能が落ちるため、電気代が余計にかかることになります。
フィルター掃除の目安は2週間に1回程度が推奨されていますが、使う環境によっても汚れ具合は異なるので時々チェックしてみましょう。
「暖房は付けっぱなし」「こまめに切る」どちらがいい?
暖房の電気代を節約するためには、エアコンの電源をこまめに切る方が良いのか、つけっぱなしにしておく方が良いのか、迷うこともあるのではないでしょうか。
エアコンの暖房は部屋の温度を上昇させるときに一番電力を使うため、オン・オフをこまめにするとかえって電気代が高くなることもあります。エアコンを使う状況に応じてスイッチを切るか切らないかを判断するのがおすすめです。
ここでは、ケースごとにどちらが節電になるのかを説明します。ご家庭の利用状況に合わせてお得な使い方をしましょう。
ちょっとした買い物など1時間以内の外出
近くの店舗までちょっとした買い物に出かける場合は、1時間以内ならエアコンの暖房はつけっぱなしの方が良いでしょう。
冬季はエアコンを切ってしまうと急激に室温が下がってしまいます。再び室内を適温にするために大きなエネルギーを使うため、外出している間も暖房は切らないのがおすすめです。
数時間〜半日の外出
ちょっとした外出といっても数時間から半日家を離れるなら、エアコンのスイッチは切っておくことをおすすめします。室内に誰もいない状態なら、帰宅後に改めて電源を入れても良いでしょう。
頻繁な電源の切り替えは節電になりませんが、長時間の外出ならオフにして電力を使わないようにした方が電気代を節約できます。
日中はずっと外出
仕事や用事があり日中はずっと外出する場合も、エアコンの暖房はオフにしておきましょう。特に寒い時期は家に帰ってきたときに暖まるまで時間がかかるので、エアコンのタイマーを事前にセットしておけば暖かい部屋に帰宅できるでしょう。
一日家で過ごす
仕事が休みの日や自宅で仕事をしている場合は、1日中家で過ごすことになります。エアコンは頻繁にオン・オフを繰り返すと消費電力量が増えることになるので、自動運転モードに設定してからつけっぱなしにするのがおすすめです。
これなら、いちいち室温を気にする必要もなく、楽に節電できるのではないでしょうか。
エアコンとほかの暖房器具と併用するのもおすすめ
エアコンの暖房は、部屋での過ごし方に応じてほかの暖房器具と併用するのもおすすめです。例えば部屋の同じ場所で過ごすことが多いなら、部分的に温められるこたつやホットカーペット、電気ストーブなどが向いています。
こたつの1時間あたりの電気代は、強から弱までを平均すると3.3円程度(※1)になり暖房器具のなかでは安いのが特徴です。
ホットカーペットは、1時間あたりの平均が7.3円程度(※2)。また電気ストーブは1時間あたりの平均が18.3円程度(※3)と高めなので、エアコンで部屋が暖まるまでの間など短時間の使用が向いています。
エアコンと併用して部屋全体を暖めたい場合は、床暖房やファンヒーター、オイルヒーターなどが向いています。床暖房の平均は1時間あたり18.6円(※4)程度で、床から空間へと熱が伝わり部屋全体が暖まります。このほか、ファンヒーターは1時間あたり23.7円程度(※5)、オイルヒーターは12.7円程度(※6)の電気代がかかるのが平均的です。
床暖房やファンヒーターは比較的電気代が高いため、電気ストーブと同様に一時的な利用にどどめるのが良いでしょう。
エアコンの暖房とほかの暖房器具の1時間あたりの電気代をまとめると以下のようになります。
暖房器具 | 1時間あたりの電気代(目安) |
---|---|
エアコン | 18.36円程度 |
こたつ | 3.3円程度 |
ホットカーペット | 7.3円程度 |
電気ストーブ | 18.3円程度 |
床暖房 | 18.6円程度 |
ファンヒーター | 23.7円程度 |
オイルヒーター | 12.7円程度 |
※1 こたつ(0.08〜0.15kWh):2.2〜4.3円 平均(2.2+4.3)÷2=3.25円
※2 ホットカーペット(0.22〜0.3kWh):6.2〜8.1円 平均(6.2+8.1)÷2=7.3円
※3 電気ストーブ(0.45〜0.9kWh):12.2〜24.3円 平均(12.2+24.3)÷2=18.25円
※4 床暖房(0.43〜0.94kWh):11.7〜25.4円 平均(11.7+25.4)÷2=18.55円
※5 ファンヒーター(0.55〜1.2kWh):14.9〜32.4円 平均(14.9+32.4)÷2=23.65円
※6 オイルヒーター(0.47kWh):12.7円
暖房器具はメーカーや製品によっても性能が異なるため、あくまでも目安として参考にしてください。なお、強運転から弱運転まで、使い方によって消費電力も異なるのでここでは平均値をご紹介しました。
電気毛布の電気代については、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒電気毛布の電気代はいくら?メリットや注意点、暖房費を節約する方法
こたつの電気代については、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒こたつの電気代は意外と安い!冬の電気代をさらに節約する方法は?
ダイソンピュアホットアンドクールの電気代については、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒ダイソン ピュアホットアンドクールの電気代は?他の暖房器具との比較と節約する方法
1200Wの暖房器具の電気代については、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒1200Wの暖房器具の電気代は?節電するためのコツも紹介
電気代を安くするなら電気料金プランの見直しを
電気代が高くなりやすい冬の暖房代を安くするためには、さまざまな対処法があることが分かりました。エアコンの使い方を工夫したりほかの暖房器具と併用したりするなど、できることから始めてみましょう。
エアコンの電気代だけでなくご家庭の電気料金を節約するためには、電気料金プランや電力会社の見直しをするのがおすすめです。
2016年から電力自由化が全面的に始まったことで電力会社が増え、新たな電気料金プランも豊富に用意されています。むしろ、多くのプランのなかから最適なものを選びたくても迷ってしまうほどです。
電力会社もさまざまなサービスを打ち出しています。
例えば、通常の電気料金には「基本料金(最低料金)」「電力量料金」「燃料調整費」「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」などさまざまな費用が含まれていますが、「Looopでんき」ならこのうちの基本料金を0円にすることも可能です。
電気料金プランや電力会社の見直しをする際には、ご家庭のライフスタイルに合わせて電気代が安くなるプランに変更すると良いでしょう。
節約に力を入れるあまり、暖房の設定温度を下げて我慢を重ねるよりも、最適な電力会社の電気料金プランにする方が無理なく節約できるでしょう。
まとめ
エアコンの暖房は外気温に影響されるため、設定温度になるまで多くの電力を使います。夏季の冷房より電気代が高くなるのは避けられず、冬の光熱費はかさみがちです。電気代を節約したいときには、電気料金プランや電力会社の見直しも検討してみましょう。
電気代を節約したい人におすすめの電力会社は「Looopでんき」です。
Looopでんきでは市場価格に合わせて電気料金が変わる「スマートタイムONE」を提供しています。
ご自宅で電気を使用するタイミングを工夫したり、使用量を調整したりすれば電気料金の節約につながります。これを「ピークシフト」や「ピークカット」と呼びます。
以下は、ピークシフト・ピークカットの取り入れ方の例です。
・電気料金が安い時間帯に「電化製品を使用する家事」を済ませる
・タイマー機能の付いた洗濯機や食洗機などを導入し、電気料金が安い時間帯を狙って稼働させる
・電気料金が高い時間帯には、外出を楽しむ
まずは、市場連動型のプランを無理なく生活サイクルへ取り入れられるかどうかイメージしてみてはいかがでしょうか。
でんきナビでは市場連動型プランって何?という方に向けて、様々な疑問に答える記事をご用意しています。
市場連動型のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
電気の市場連動型とは?メリット・デメリットから電気の上手な使い方まで
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