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寒さが増し、暖房が手放せない季節でも、エアコンの設定温度を上げると電気代が大きくかさむのが問題です。エアコンの暖房の設定温度は、何℃が適正なのでしょうか?冬場の電気代の節約術や、エアコンの暖房効果を高めるコツも併せて紹介します。

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エアコンの暖房の設定温度は何℃にすべき?

寒い日が続くと、エアコンの暖房で部屋全体を温めるご家庭は多いでしょう。節電や省エネの観点では、暖房の適正温度は何℃に設定するとよいのでしょうか?

室温の推奨温度は20℃

個人差はありますが、人が快適と感じる室温の目安は18~22℃です。「暖房器具に過度に頼らず、寒いときには着る」というWARM BIZ(ウォームビズ)の考えに基づき、環境省では冬季の室内温度を20℃にすることを推奨しています。

高気密・高断熱の住宅では、冬場でも室内温度が20℃を超えるケースがあります。この場合、室温20℃を保つために暖房を用いる必要はないでしょう。

なお、建物の状態や湿度・日当たりなどによって体感温度は変わるため、設定温度はあくまでも1つの目安にすぎません。

※出典:ウォームビズとは|ウォームビズ(WARMBIZ)|環境省

設定温度を1℃下げた場合の節電効果

資源エネルギー庁は「省エネ性能カタログ 2021年度版」で、設定温度を1℃下げた場合の節電効果を公開しています(※)。

外気温度6℃において、2.2kWのエアコンの設定温度を21℃から20℃に下げ、1日に9時間使用すると仮定します。温度を1℃下げるだけで、年間53.08kWhの省エネとなり、電気代が年間1,430円ほど節約できるそうです。

一方、夏は冷房の設定温度を27℃から28℃に上げると、年間30.24kWhの省エネとなり、電気代が年間820円ほど節約できます。

一般的に、夏よりも冬の方が電気代は高くなりやすいため、暖房の使用量をいかに抑えるかがポイントといえるでしょう。

(※)一般財団法人省エネルギーセンターの実測値を使用

※出典:省エネ性能カタログ 2021年度版|経済産業省 環境エネルギー庁

人が寒さを感じるのは何℃から?

気温や室温で決めるのではなく、寒さを感じたときに暖房を使う方は多いはずです。ただ、寒さの感じ方には個人差があるため、室内に人が大勢いるときに暖房を入れてよいか迷ってしまうかもしれません。

一般的に、人が寒さを感じるのは何℃からなのでしょうか?

不快指数で目安を計算

空間の快適度を知る目安の1つに、「不快指数」があります。気温と湿度の組み合わせから人体が感じる不快感を示したもので、1950年代にアメリカの気象学者によって提唱されました。

指数が高ければ高いほど蒸し暑く、不快感が強いことを表します。逆に低すぎる場合は、乾燥していて寒く感じる状態を示す指数です。

不快指数は以下の式により求められます。

  • 不快指数=0.81×気温+0.01×湿度(0.99×気温-14.3)+46.3

例えば、気温28℃・湿度70%の不快指数は、0.81×28+0.01×70×(0.99×28-14.3)+46.3=78.374です。計算が面倒な方は、Web上で不快指数の自動計算ツールを探してみましょう。

※出典:室内の快適性の目安と不快指数|九州住環境研究会

肌寒さを感じる不快指数のライン

不快指数は気温と湿度の組み合わせで決まります。多くの方は不快指数が60を下回ると、肌寒さを感じて暖房を使いたくなるようです。

平均湿度を70%(東京の11月の平均湿度)とした場合、気温が15.8℃で不快指数がちょうど60になります。不快指数と体感の関係は以下の通りとされています。

不快指数 体感
~55 寒い
55~60 肌寒い
60~65 何も感じない
65~70 快い
70~75 暑くない
75~80 やや暑い
80~85 暑くて汗が出る
85~ 暑くてたまらない

冬は空気中の水分量が大きく減ります。暖房によって室内温度が上がると相対湿度が下がり、空気がさらに乾燥してしまいます。暖房を使うときは、加湿器を活用して適度な湿度を保ちましょう。

※出典:室内の快適性の目安と不快指数|九州住環境研究会

※出典:気象庁|過去の気象データ検索

冬のエアコンの節電術

冬は外気温と室内温度の差が大きくなるため、夏に比べてエアコンの使用により電気代が高くなります。設定温度を20℃ほどにとどめるほか、どのような節電方法があるのでしょうか?

フィルターの定期的な掃除

フィルターには、エアコンが吸い込んだ空気中のホコリやチリ・カビの胞子などをキャッチする役目があります。フィルターの掃除を怠ると目詰まりが起こり、暖房効率が落ちることに注意しましょう。

暖房効果をより大きくしようと風量や設定温度を上げるため、電気代がどんどんかさんでいきます。

掃除の目安は2週間に1回です。掃除機で目に詰まったホコリを吸い取った後、使い古しの歯ブラシで擦りながら水洗いしましょう。濡れたまま本体にセットするとカビが繁殖するため、陰干しで完全に乾かすのがポイントです。

自動運転機能の活用

近年のエアコンには、室内の温度を感知して風力を調節する自動運転機能が搭載されています。

室温が設定温度になるまでは強風、設定温度に達した後は弱風といったように、最も効率的な運転方法で室内の快適さを保つため、一定の節電効果が見込めるのです。

エアコンは弱風でしか運転しない、節電のためにこまめに切るという方もいますが、設定温度と室内の温度差が開くほど消費電力が大きくなります。家にほぼ一日中いる場合は、自動運転機能でつけっぱなしにした方が電気代の節約につながるでしょう。

室外機の周辺の清掃

エアコンには室内機と室外機があり、両者をつなぐパイプの中を冷媒と呼ばれる気体が循環しています。

暖房の運転を開始すると、室外機の熱交換器が外気中の熱を集めて冷媒に乗せます。熱を乗せた冷媒は圧縮機によって高温にされ、室内機の熱交換器を通過して温風になる仕組みです。同時に室外機からは室内の冷たい空気が排出されます。

室外機の吸込口や吹出口がふさがれていると、運転効率が落ちて消費電力が大きくなるため、周囲に物を置かないようにしましょう。積雪量が多い地域では、防雪フードを使うと、雪による室外機の故障や運転効率の低下を防げます。

エアコンの暖房効果を高めるコツ

エアコンをつけても部屋が寒い場合には、設定温度をむやみに上げずに、暖房効果を高める工夫をしましょう。省エネの工夫は電気代の節約だけでなく、地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減にもつながります。

窓の断熱性を高める

窓が単板ガラスとアルミサッシだけの家屋は、部屋がなかなか暖まりません。アルミサッシは熱伝導率が高く、部屋の暖かい空気が窓を伝って外気に冷やされてしまうためです。

断熱性の高い窓に取り換えたり、内窓を設置したりするのが理想です。ただ、リフォームが難しい場合は、窓に厚手のカーテンを取り付けるだけでも効果があります。暖かい空気が逃げないように、長さは床面に届く方がよいでしょう。

窓全体に断熱シートを貼る方法も有効です。価格が手頃な上、誰でも簡単に作業ができます。透明のフィルムタイプもあれば、気泡緩衝材のようなタイプもあるため、機能性と見た目の両方を備えたものを選びましょう。

サーキュレーターを併用する

空気の対流がない部屋では、冷たい空気は下方に、暖かい空気は上方に移動します。冬場は暖房で暖まった空気が天井付近に溜まるため、サーキュレーターを使って空気を循環させましょう。天井付近の空気と足元の空気が混ざり合い、快適な室温になります。

サーキュレーターは、室内の空気を循環させる目的で作られた家電製品です。扇風機よりも風圧が強く、狙った方向へ直線的に風を送れます。

部屋の中央にサーキュレーターを置き、真上に風が流れるように角度を調節しましょう。中央に設置できない場合はエアコンの対角線上に置き、エアコンに向けて送風します。

室内でも重ね着をする

室内でも重ね着をしたり、厚手の服を着用したりすれば、室内温度を高く設定しなくても快適に過ごせます。

特に、動脈が通っている首・手首・足首を重点的に温めると、全身がすぐにポカポカしてきます。室内にいるときも、マフラー・手袋・レッグウォーマーなどを着用しましょう。季節の変わり目には、厚手のひざ掛けやストールが1枚あると便利です。

少し肌寒いと感じたら、ダウンベストを羽織るのもおすすめです。軽量で保温性が高い上、掃除や家事の際にも袖が邪魔になりません。

加湿器の効果的な使い方

暖房を使用すると、空気中の水分量がたちまち少なくなります。鼻や喉が渇き、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかるリスクが上がるため、加湿器を併用してちょうどよい湿度を保ちましょう。

※出典:建築物衛生の動向と課題 P.32|平成30年度生活衛生関係技術担当者研修会

加湿された空気をエアコンの風に乗せる

サーキュレーターと加湿器を併用すると、室内の温度と湿度が保たれます。センサー機能を持つ加湿器は、温風に反応して誤作動する可能性があるため、暖房の温風が直接当たらない場所に設置しましょう。

エアコンの温風は加湿された空気を乗せて部屋の中央に進み、天井に向かっていきます。サーキュレーターは部屋の中央(またはエアコンの対角線上)、加湿器はエアコンの真下に置くのが理想です。

サーキュレーターで空気が循環するため、室内の温度と湿度を快適に保てるでしょう。

加湿器の種類に合わせて置き場所を決める

加湿器には、スチーム式と超音波式があります。スチーム式は、水をヒーターで沸騰させ、ファンでスチーム(水蒸気)を出す仕組みです。一方の超音波式は、超音波の振動で微細なミストを発生させます。

スチーム式の加湿器は、タンスや棚などの上ではなく、床や低いテーブルの上に置きましょう。暖かいスチームは上方向に進んでいくので、高い位置に置くと部屋全体が加湿されなくなってしまいます。

超音波式の加湿器から放出されるミスト式は、スチームと違って上昇しません。床に直置きすると床が濡れやすくなるため、少し高い位置に置くのがおすすめです。

窓から離れた場所に置く

加湿器は窓から離れた位置に置きましょう。窓付近の室温は外気温と大きく変わらず、加湿器から出た水蒸気が冷やされて結露になります。こうなると、いくら加湿しても部屋全体の湿度が上がりません。

センサーが搭載された加湿器の場合は、外の冷気の影響を受けて誤作動を起こし、室内の湿度を正常に保てなくなります。

一般的に、室温と外気温の温度差が大きくなればなるほど、結露が発生しやすくなります。加湿器を窓際から遠ざけると同時に、暖房の設定温度を上げすぎないようにしましょう。

電気代の節約には電力会社も見直そう

節電しているつもりなのに電気代が高いという方は、契約中の電力会社のプランがライフスタイルに合っていないのかもしれません。

近年は、従来の従量電灯プランとは異なる市場連動型プランを販売している電力会社も増えてきているため、自分のライフスタイルにあったプランを選ぶことがより重要になってきています。

エアコンにかかる電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら

近年注目の市場連動型とは

従来の電気プランは、電力量料金の単価があらかじめ決まっており、電力使用量に比例して電気料金が段階的に上がっていくのが一般的でした。

近年注目されている「市場連動型」は、単価が固定されておらず、市場に連動して30分ごとに変動するのが特徴です。ここでいう市場とは、電力の現物取引ができる日本卸電力取引所(JEPX)を指します。

固定のプランと比べて料金が割高になるリスクもありますが、「市場価格が安いときに電気を多く使い、高いときは使用を控える」を基本とすれば、毎月の電気代を抑えられます。今まで無意識に電気を使っていた人の節約意識も、グンと高まるでしょう。

LooopでんきのスマートタイムONEがおすすめ

電力会社の変更を検討している方には、Looopでんきの市場連動型プラン「スマートタイムONE」がおすすめです。

基本料金は0円で、以下の方法で電気料金を算出しています。

  • 基本料金0円+(30分ごとに変わる電源料金の単価+毎月固定の料金単価+制度対応費単価)×電力使用量

LooopでんきのWebサイトやアプリ上で単価の安い時間帯と高い時間帯を公開しているため、ご家庭で電気を使う時間帯をうまくピークシフト(※)させれば、無理のない節電が実現します。

単価が安い日中に家事を済ませる、ピーク時はエアコンではなく石油ストーブを使うといった工夫をするとよいでしょう。スマートタイムONEに契約期間の縛りはなく、いつ解約しても解約手数料がかかりません。

(※)電力量料金単価が高い(需要が高い)時間帯から安い(需要が低い)時間帯に電気を使う時間帯をシフトし、電気使用量の波を平準化すること

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市場連動型と蓄電池の併用も効果的

電気の利用をうまくコントロールできれば市場連動型で電気代を抑えられますが、ピーク時に電気をまったく使わないのは現実的に不可能といえるでしょう。

市場連動型のプランを選ぶにあたり、蓄電池と併用することで効果的な節約が実現します。電気料金が安い時間帯に充電しておき、ピーク時に放電すれば、無理のない節電が可能です。

Looopの「とくするソーラー」は、太陽光発電システムのリースサービスです。太陽光発電システムと蓄電池がセットになった「蓄電池付きプラン」なら、ピーク時はもちろん、停電時でも電源をしっかり確保できます。

初期費用(機器台・工事費)が0円なので、太陽光発電を導入したくても費用が高く躊躇していた方にも朗報です。

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暖房を適正温度に設定し心地良い空間を作る

個人差はありますが、暖房の設定温度は20℃前後が目安です。重ね着をしたり、窓に断熱材を使用したりすれば、寒い日でも設定温度を上げずに済みます。エアコンはON・OFFを繰り返さず、自動運転機能をフル活用しましょう。

電気代が気になるときは、電力会社のプラン見直しも有効です。電気代がかさみやすい冬場は、賢く節電をしながら快適な空間を作りましょう。