自宅でLPガスを使っているなら、特徴を理解しておくのがおすすめです。ガスにはLPガスと都市ガスの2種類があり、原料や供給エリアなどが異なります。LPガスの特徴やメリット・デメリット、料金を節約するコツについて詳しく解説します。
LPガス、プロパンガスと都市ガスの基礎知識
LPガスと都市ガスにはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
LPガスの特徴
LPガスと都市ガスは、原料・重量・発熱量・供給エリア・供給方法が異なっています。LPガスの特徴は次の通りです。
原料 | プロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガス |
重量 | 空気より重い |
発熱量 | 同じ体積の都市ガスの2倍以上 |
供給エリア | 日本全国 |
供給方法 | ガスを詰め込んだボンベをガス会社が配送する |
LPガスは日本語で液化石油ガスとも呼ばれます。空気より重いため、ガス警報器は床付近に設置されています。
プロパンガスはLPガスと同じもの
LPガスとプロパンガスは同じ種類のガスであり、両方とも液化石油ガスを指す言葉です。
厳密には、プロパンとブタンのうち、プロパンの比率が大きいガスをプロパンガスと呼んでいます。プロパンガスは家庭用のLPガスです。
一方、プロパンとブタンのうちブタンの比率が大きいガスは、ブタンガスと呼ばれます。ブタンガスは工業用のLPガスです。
都市ガスの特徴
都市ガスもLPガスと同様に家庭用のガスですが、LPガスとはさまざまな点が異なっています。都市ガスの特徴を次の表にまとめました。
原料 | メタンを主成分とする天然ガス |
重量 | 空気より軽い |
発熱量 | 同じ体積の都市ガスの1/2以下 |
供給エリア | 人口が密集した都市部または近郊 |
供給方法 | 地下の導管を通して供給される |
都市ガスの主成分であるメタンは、液化すると液化天然ガス(LNG)と呼ばれます。空気より軽いため、ガス警報器は天井付近に設置されています。
LPガスの料金体系と従量料金の種類
LPガスの料金体系を理解すれば、どのような部分にいくらの料金が発生しているのかがわかりやすくなります。従量料金の種類と併せて見ていきましょう。
二部料金制・三部料金制
二部料金制とは、「基本料金+従量料金(従量単価×ガス使用量)」でガス料金を計算する料金体系です。大半のLPガス会社では二部料金制が採用されています。
二部料金制の構成要素の意味は次の通りです。
- 基本料金:ガス使用量にかかわらず固定で発生する費用
- 従量料金:ガス使用量に応じてかかる費用
基本料金にはガスの供給設備や保安・検針にかかる費用、従量料金にはガスの原料費や配送費などが含まれています。
また、一部のLPガス会社で採用されている三部料金制は、「基本料金+従量料金+設備利用費等料金」でガス料金を計算する料金体系です。二部料金制で基本料金に含まれている設備利用費等料金が別立てとなっており、より透明性の高い料金構成だといえます。
スライド型・原料費調整型・固定型
従量料金の基となる従量単価には種類があり、ガス会社により決定方法や単価が異なります。従量単価の主な種類は以下の通りです。
- スライド型:ガス使用量に応じて従量単価の価格帯が変動する
- 原料費調整型:原料の仕入れ価格に応じて従量単価が変わる
- 固定型:ガス使用量や原料価格にかかわらず従量単価が固定されている
スライド型ではガス使用量が一定量を超えると、従量単価が変動する仕組みです。また、原料費調整型では世界情勢や為替変動が従量単価に影響を及ぼします。
LPガスのメリット
LPガスには、以下に挙げる2つの大きなメリットがあります。都市ガスと比較すれば、メリットがよりわかりやすくなるでしょう。
全国どこでも使える
LPガスはガスをボンベに詰めて運ぶため、日本全国どこでも使えます。山奥に住んでいる方や離島に住んでいる方も、ボンベを運びさえすればLPガスを利用することが可能です。
一方、都市ガスは地下の導管を通して供給されるため、導管が通っていない地域では使えません。供給エリアは都市部や近郊に限られており、このことは都市ガスと呼ばれる理由でもあります。
災害時に早く復旧しやすい
災害時に強い点もLPガスのメリットです。安全を確認できた家から個別に利用可能になるため、一般的には被害が大きくない限り早期に復旧します。
一方、都市ガスは導管の本線から複数の家に供給されるため、1軒でも問題が発生すると、同じ導管を使用している家全体に影響が及びます。エリア全体が災害の影響を受けてしまいます。
災害時に早期復旧を期待できるというLPガスのメリットを考慮し、国は避難所に指定されている施設にLPガスの利用を促しています。LPガスは可搬性にも優れているため、災害時には煮炊きや暖房などにも活用できるでしょう。
LPガスのデメリット
LPガスのデメリットは、都市ガスより料金が高いことです。LPガスの料金が高くなる理由や都市ガスに変える際の注意点を解説します。
ガス料金が都市ガスより高い
LPガスと都市ガスは原料や輸入元が違うため、そもそもの輸入価格が違います。このことは、LPガスと都市ガスの料金差に少なくない影響を与えています。
LPガスはボンベ輸送のため、配送コストや保安点検費用が都市ガスより高くなり、その分料金も高くなります。ガスをボンベで供給するLPガスは、都市ガスでは発生しない人件費や配送費が料金に上乗せされます。
LPガスから都市ガスに変える際の注意点
LPガスから都市ガスに変えればガス代が安くなる可能性がありますが、そもそも都市ガス供給エリアでなければ都市ガスは使えません。ガス会社の変更を検討するなら、自宅の近くに都市ガスの導管が通っているかチェックしましょう。
都市ガスの導管を自宅に引き込めるかの確認も必要です。工事が必要になる場合があるほか、状況によっては導管の引き込みが不可能なケースもあります。
集合住宅で都市ガスに変えたい場合、通常は建物全体でガス会社と契約しているため、個別での切り替えは基本的にできません。
また、都市ガスは導管引き込み工事やガス機器の交換などで初期費用がかかります。長期間の利用でコストを回収できるかどうかを考慮することも重要です。
LPガスの料金を節約するコツ
LPガスの料金を抑えるためには、ガスの使い方を見直すことが重要です。また、ガス会社を変えることによっても、ガス料金が安くなる可能性があります。
ガスの使い方を見直す
ガス代の節約につながる代表的な方法を紹介します。
<お風呂>
- シャワーを出しっぱなしにしない
- 湯船用のふたや保温シートを活用する
- 追い焚きの回数を減らす
- 節水シャワーヘッドを活用する
<キッチン>
- 底が平らなフライパンや鍋を使って熱効率を高める
- ガスコンロ以外に電子レンジや炊飯器も活用する
- ガスコンロのバーナー部分をこまめに掃除する
- 食器はお湯で洗わずに食器乾燥機で洗う
<リビング>
- ガスファンヒーターの電源は小まめに切る
- ガスファンヒーターのエコ機能や省エネ機能を活用する
ガス会社を切り替える
現在契約しているガス会社の料金プランを見直せば、ガス代を節約できるかもしれません。今よりガス代が安くなる料金プランがあるか確認してみましょう。
また、基本料金や従量単価はガス会社により異なります。ガス会社の変更でガス代が安くなるケースもあります。
都市ガスへの変更ができなくても、LPガス同士での会社変更は可能です。賃貸物件の場合は変更が困難ですが、戸建ての持ち家に住んでいる場合はガス会社の切り替えを検討してみましょう。
LPガスを知りガス代の節約を
LPガスと都市ガスは原料や供給方法が異なる別のガスです。LPガスには全国どこでも使えることや災害に強いことなどのメリットがある一方、都市ガスより料金が高い傾向があります。
ガス代を節約したくても都市ガスに変更できない場合は、ガスの使い方を見直しましょう。また、LPガスの料金は会社ごとに幅があるため、きちんと比較すれば今よりガス料金を下げられる可能性があります。
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