寒い季節になるとガス代が急に高くなり、家計を圧迫することも少なくありません。ガスの使用量や単価の上昇がその大きな要因です。この記事では、ガス代が高騰する原因を明らかにし、平均料金や地域ごとの差を詳しく解説します。さらに、日常生活で簡単に実践できる節約術や、ガス会社の乗り換えなどの効果的な方法も提案します。
ガス代の平均料金
ガス代の平均料金を知ることで、自分の家庭の支出が適切かを判断する基準が得られます。ここでは、1年間の全国平均や地方ごとの差について詳しく解説し、季節によるガス代の変動についても説明します。
年間の平均料金
環境省が公表した「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)」によれば、1世帯が1年間に支払った電気・ガス・灯油の消費量と支払金額の関係は以下のとおりです。
エネルギー消費量 | 支払金額 | |
---|---|---|
電気 | 4,175kWh | 11.3万円 |
都市ガス | 203㎥ | 3.1万円 |
LPガス | 26㎥ | 2.1万円 |
灯油 | 139L | 1.4万円 |
全体 | ‐ | 18.0万円 |
1世帯が1年間に支払った電気・ガス・灯油の合計金額は全国平均で18.0万円となっており、電気が11.3万円、都市ガスが3.1万円、LPガスが2.1万円、灯油が1.4万円となっています。
これはあくまで年間の平均であり、季節ごとの変動について考えると、冬場のガス代は通常の2倍以上になるケースもあります。原因は、暖房やお風呂の利用頻度が上がることです。一方で、夏場はガスの使用量が少なくなるため、平均的な月額は冬場と比較して大幅に低下します。
出典: 環境省「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)」
地方別の平均料金
続いて同資料から、地方別の平均値について見ていきましょう。
ガス代は地方によって大きく異なります。特に都市ガスの使用が多いのは近畿地方で、次いで関東甲信となります。LPガスについては沖縄が最も高く、次いで四国です。要因としては都市ガスが使えるかどうかも挙げられるでしょう。沖縄はLPガスが最も高い代わりに、都市ガスが最も低いエリアでもあります。
寒冷地では暖房需要が高いため、年間のガス消費量が多くなる傾向がありますが、北海道や東北の寒冷地では、灯油の方が消費量が大きく、こちらが主流であることがわかります。
[単位:万円/世帯・年]
電気 | 都市ガス | LPガス | 灯油 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
北海道 | 11.0 | 2.10 | 2.83 | 7.64 | 23.51 |
東北 | 13.4 | 1.70 | 3.13 | 4.95 | 23.17 |
関東甲信 | 10.7 | 3.85 | 1.73 | 0.77 | 17.04 |
北陸 | 14.9 | 2.46 | 2.04 | 3.21 | 22.63 |
東海 | 11.4 | 3.00 | 2.57 | 0.91 | 17.88 |
近畿 | 10.5 | 4.24 | 1.06 | 0.54 | 16.35 |
中国 | 12.7 | 1.82 | 2.86 | 1.15 | 18.55 |
四国 | 12.6 | 0.91 | 3.48 | 0.99 | 17.99 |
九州 | 11.3 | 1.78 | 2.74 | 0.88 | 16.66 |
沖縄 | 11.0 | 0.56 | 4.28 | 0.39 | 16.27 |
全国 | 11.3 | 3.11 | 2.11 | 1.44 | 17.96 |
ガス代が高いと感じる要因は?
日常生活でのガスの使い方が、ガス代の高さに直接影響します。特にシャワーやお風呂の利用頻度、ガス単価、プロパンガスの使用は大きな要因です。それぞれの詳細について解説します。
シャワーやお風呂でガスの使用量が多い
ガス代が高くなる理由のひとつに、シャワーやお風呂の利用が挙げられます。特に寒い季節はお湯を使う頻度が増え、ガスの使用量が大幅に増加します。加えて、同じ温度に水を温めるにも、元々の温度が低い冬場の方がガスの使用量も大きくなりがちです。
また、冬場はガスファンヒーターなどの暖房器具にもガスが使われる他に、キッチンでもお湯を使う頻度が増えるため、結果としてガスの使用量が多くなります。
上記により冬場は特にガス代が高くなりがちですが、それ以外の季節でもガス代が高いと感じる場合、ガスの使用量が何らかの原因で増えているのかもしれません。
ガスの単価が高い
ガス料金の高さを感じる原因として、ガス単価そのものの影響も考えられます。ガス料金は、基本料金と使用量に応じた従量料金の合計で決まりますが、特に従量料金の単価が地域や契約内容によって大きく異なることがあります。
また、原油価格や為替レートの影響を受けやすい点も、単価が変動する要因のひとつです。ガス代は同じガス会社でもさまざまな要因で変動する可能性があるため、ガスの単価が高くなったことが、ガス代が高くなったと感じる要因につながっている可能性があります。
プロパンガスを使用している
プロパンガスを使用している家庭では、都市ガスと比較してガス代が高くなりやすい傾向があります。プロパンガスは1立方メートルあたりの料金が都市ガスよりも高いケースもあり、これがガス代の高騰を招く主な原因です。
プロパンガスの高コスト構造は、ガスそのものの輸送費や供給方法にあります。都市ガスが地下配管で供給されるのに対し、プロパンガスはボンベを各家庭に配送する必要があるため、これにかかる費用が料金に反映されます。また、地域や業者によって料金が異なり、不透明な価格設定が行われる場合もあります。
都市ガスとプロパンガスは何が違う?
ガスの種類によって、料金や特徴が大きく異なります。都市ガスの安定性やプロパンガスの利便性を比較し、どちらが自分の家庭に合うのか考えるヒントを提供します。
都市ガスの特徴
都市ガスは、地下に埋設されたガス導管を通じて各家庭に供給されるシステムです。この供給方法の大きなメリットは、安定した供給と比較的低い料金設定にあります。都市ガスの料金は、地域によって多少の違いはあるものの、プロパンガスと比較して非常に安いことが特徴です。
また、都市ガスは供給網がしっかり整備されているため、安定したガスの使用が可能です。これは特に都市部での利便性が高く、多くの家庭や商業施設で採用されています。さらに、都市ガスは原料として天然ガスを主に使用しており、燃焼時に発生する二酸化炭素の量が少ないため、環境に優しいエネルギー源とされています。
一方で、都市ガスを利用するにはガス導管が整備されているエリア内である必要があり、地方や山間部などでは利用できないことがあります。都市ガスの供給エリアに住んでいる場合は、その安定性と経済性から優先的に選択肢に入れるのが良いでしょう。
プロパンガスの特徴
プロパンガスは、ガスボンベを各家庭に配送して供給する方式を採用しています。この仕組みの最大の利点は、供給エリアに制約がない点です。都市ガスの導管が整備されていない地域でも利用できるため、地方や山間部で多く使用されています。また、災害時においてもボンベ交換が容易なため、復旧が迅速である点も特徴的です。
一方で、プロパンガスは1立方メートルあたりの料金が都市ガスに比べて高い傾向があります。
プロパンガスの利用を検討する際には、自分の地域のガス料金を確認し、適正価格で供給されているかを調べることをおすすめします。
ガス代を安くするためにできること
お風呂や暖房、キッチンでの工夫次第でガス代を大幅に削減できます。具体的な方法や効果的な節約テクニックについて解説します。日常生活ですぐに取り入れられるアイデアを見つけてみましょう。
お風呂のガス代を節約する
お風呂のガス代を節約するには、日常的な使用方法を見直すことがポイントです。特にシャワーの使用時間を短くする、設定温度を適切に調整するなどの簡単な工夫で、大幅な節約が可能です。
まず、シャワーの使用時間を10分から5分に短縮するだけで、月々のガス使用量を大きく減らせます。また、給湯器の設定温度を40度前後にすることで、過剰な加熱を防ぎます。家族全員が順番にお風呂に入ることで、お湯の温度が下がる前に利用を済ませることも効果的です。
節約グッズの活用も有効です。例えば、節水シャワーヘッドを使うと、使用するお湯の量を減らせるため、ガス代削減に直結します。また、浴槽に専用の保温シートを浮かべることで、湯温が長時間保たれ、追い焚きの頻度を減らせます。
これらの工夫を組み合わせることで、無理なくお風呂のガス代を節約できます。
暖房器具のガス代を節約する
寒い季節に欠かせないガス暖房器具ですが、効率よく使うことでガス代を抑えることができます。最も重要なのは、部屋全体を効率的に暖めることです。
まず、断熱性を高める工夫をしましょう。窓に断熱シートを貼る、カーテンを厚手のものに替えるなどの対策で、暖房の効率を向上させることができます。また、使っていない部屋のドアを閉めることで、暖気を逃がさないようにすることも効果的です。
暖房器具の使用方法にも注意が必要です。例えば、部屋全体を暖める前に、短時間だけ人がいる範囲を暖めることで、ガスの消費を抑えることができます。また、設定温度を1〜2度下げるだけでも、ガスの消費量を大幅に削減できます。
加えて定期的なメンテナンスを行うことも重要です。暖房器具にホコリが溜まると燃焼効率が下がり、無駄なガスを消費する原因になります。シーズン前には必ず掃除を行い、効率的な使用を心がけましょう。
キッチンのガス代を節約する
キッチンでのガス使用も工夫次第で大きく節約できます。特に、調理の際のちょっとした工夫が効果的です。
例えば、ガスコンロを使用する際には、鍋やフライパンのサイズに合った火力を選ぶことが大切です。火が鍋底からはみ出している場合、エネルギーの無駄遣いにつながります。鍋にフタをすることで加熱効率が上がり、調理時間を短縮できます。
他にも圧力鍋や電子レンジを活用することで、ガスの使用量を減らすことが可能です。圧力鍋を使えば、通常の鍋より短時間で調理ができるため、ガス代を大幅に削減できます。電子レンジは温め直しや簡単な調理に活用すると、ガスの代わりに電力でエネルギーを補えるため、効率的です。
キッチンはガスが多く使われる場所ですので、節約によってガス代を減らすことが可能になります。
ガス会社の乗り換えやプラン変更も効果的
ガス会社や料金プランの見直しは、家計の節約につながります。特にでんきとガスのセットプランへの切り替えは、節約効果が高い選択肢です。変更の手順やメリットを詳しく解説します。
ガス会社は切り替えが可能
ガス会社を乗り換えることは、家計の節約に大きく貢献します。特にプロパンガスを使用している場合、地域や業者によって料金が大きく異なるため、適正価格で契約しているか見直すことが重要です。
乗り換えの手順は比較的簡単です。まず、現在契約しているガス会社に確認し、契約内容や解約条件を把握します。その後、他のガス会社に問い合わせをして料金プランを比較します。複数の業者から見積もりを取り、最もコストパフォーマンスの良い会社を選びましょう。
ガス会社を乗り換えるメリットは、単価の見直しによる直接的な節約だけではありません。新たに契約する会社によっては、利用開始時の特典や割引が受けられる場合もあります。特に、使用量が多い家庭ほど乗り換えの効果は大きくなるため、一度検討してみる価値があります。ただし、解約時の違約金が発生する場合があるため、事前に確認することが重要です。
でんき+ガスのセットプランに切り替える
でんきとガスのセットプランに切り替えることは、効率的な節約方法として注目されています。多くのエネルギー会社が提供しているセットプランでは、電気とガスをまとめて契約することで料金が割引される仕組みがあります。このプランのメリットは、料金請求や支払いが一本化される利便性に加え、年間を通じての大きな節約効果です。家庭の消費量に応じて数%から10%以上の割引が適用されることもあります。
東京電力エリアで都市ガスを使っている方は、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)+Looopガス」をチェックしましょう。
スマートタイムONEは、電気料金の単価が市場価格に合わせ時間帯で変動する市場連動型プランです。単価が安い時間帯に集中して電気を使うようにすれば、電気代が安くなります。ガス割の1円は、スマートタイムONE(電灯)の固定従量料金単価から割り引かれます。
電気とガスの業者を一緒に切り替えたい場合は、電力会社とガス会社を別々に契約するより、Looopでんきのセット割プランを利用したほうがお得です。(※東京電力エリア限定)
ガス代を節約して寒い時期を乗り切る
寒い時期のガス代は、工夫次第で無理なく節約することができます。まずは、日常生活でのガスの使い方を見直し、お風呂や暖房、キッチンでの効率的な使用を心がけましょう。
また、ガス会社や料金プランを定期的に見直すことで、無駄な出費を抑えることが可能です。特にでんきとガスのセットプランへの切り替えは、家計に大きなメリットをもたらす選択肢となります
さらに、都市ガスやプロパンガスの違いを理解し、自分の住環境に合ったプランを選ぶことが大切です。これらの節約術を実践することで、寒い冬でも快適さを犠牲にせず、家計に優しい暮らしを実現することができるでしょう。ガス代を賢く管理して、寒い季節を安心して乗り切りましょう。