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発電所で作られた電気は、変電所を通って一般家庭に配電されます。電力供給のプロセスにおいて変電所はどのような役割を担っているのでしょうか?電気が運ばれる仕組みや各装置の名称、近年注目されている「デジタル変電所」について解説します。

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変電所とは

私たちが日々利用している電気は、発電所で作られ、変電所を通じて各家庭に送られています。

変電所は電気の電圧を変えるための場所で、全国の至る所には高圧変電所や一次変電所、中間変電所などがあります。発電所との違いや変電の仕組みを詳しく見ていきましょう。

電気の電圧を変換する施設

変電所は、電圧を変換する施設です。一般家庭の電気の電圧は100~200Vなのに対し、発電所から送電される電気の電圧は、275,000~500,000Vです。

超高圧の電気はそのまま利用ができないため、変電所では電圧や周波数を使用場所に合うレベルに変換し、送電線に送り出します(電圧変成)。そのほかにも以下のような役割を担っています。

  • 送電効率を良くするために電圧を高圧にする
  • 電力潮流を調整して送変電設備の過負荷を防ぐ
  • 遮断器によって事故回線を切り離し、事故の波及を防ぐ

発電所との違い

変電所は電気の電圧を変える場所であるのに対し、発電所は電気を作り出す場所です。発電方法によって、火力発電所・原子力発電所・水力発電所などの複数の発電所に分かれます。

発電所で作られる電気の電圧は23,000Vや12,000Vですが、電気が家庭に届くまでに「送電ロス」が生じます。発電所では電気が目減りするのを見越して、電圧を275,000Vや500,000Vまでに上げてから変電所に電気を送り出しています。

日本で最も数が多いのは、水力発電所です。高所にある水の位置エネルギーを使って水車を回し、電気エネルギーを作り出します。

一方、日本で最も発電量が多いのは、化石燃料(石炭・石油・天然ガスなど)をエネルギー源とする「火力発電」で、2023年の発電電⼒量に占める割合は82%を超えています。

※出典:統計表一覧|資源エネルギー庁

日本における発電の割合についてもっと詳しく知りたい方はこちら

変電所の種類

発電所から送られた電気は、複数の変電所を通過します。変電所の種類によって、取り扱う電圧が異なる点に注目しましょう。

  • 超高圧変電所:275,000V・500,000Vの電圧を扱う
  • 一次変電所:154,000Vの特別高圧を扱う
  • 中間変電所:一次変電所からの電気を22,000Vの特別高圧に変電する
  • 配電用変電所:中間変電所からの電気を6,600Vに変電する

変電所の設備は、以下の3種類に区別されます。

  • 屋外変電所:一部を除く主要な機器を屋外に設置する変電所
  • 屋内変電所:主要な機器をすべて屋内に設置する変電所
  • 地下変電所:主要な機器を地下に設置する変電所

多くの変電所は屋外変電所です。屋外変電所は郊外に建設されるケースが多いのに対し、地下変電所は都市部の住宅密集地などに建設されます。

変電所の主な装置

変電所の敷地や建物内には、多くの装置が配備されています。代表的な装置の名称と役割を覚えましょう。

変圧器

変電所の施設の中核装置ともいえるのが、変圧器(トランス)です。発電所から送られた電気の電圧を降圧・昇圧をする役目があります。

変圧器の原理は相互誘導です。相互誘導とは、片方のコイルに電流を流した際、コイルから発生する磁場で近くのコイルに電力が発生する仕組みを指します。

変圧器の鉄心には、一次コイルと二次コイルの2つのコイルが巻き付けられており、相互誘導によって電圧の上げ下げを行う仕組みです。

送電は主に三相交流(3つの単相交流を組み合わせたもの)で行うため、変電所でも三相交流の変圧器を用いています。

計器用変成器

計器用変成器は、計器用変圧器(VT)と変流器(CT)の総称です。計器(計測・測定する機器類)で電気系統の電圧・電流を測定するためには、低電圧・小電流を小電圧・低電流に変換する必要があります。

  • 計器用変圧器(Voltage Transformer):交流回路の電圧を計器や継電器に接続できる電圧に変換する
  • 変流器(Current Transformer):交流回路の電流を計器や継電器に接続できる電流に変換する

遮断器

遮断機は、送電の停止や電気の切り替えを行うための装置です。変電所では、落雷による事故が発生する場合があります。事故発生時は遮断器で送電を停止させ、当該区間の送電線を電気系統から切り離します。

落雷から遮断までにかかる時間はわずか0.2秒ほどです。遮断器はコンピューターによって制御されており、突然の落雷や地絡事故に迅速に対応します。

遮断器の種類には、油遮断器・磁気遮断器・空気遮断器・真空遮断器・ガス遮断器などがあります。

断路器

断路器は、電路の開閉を行う装置です。送電線や変圧器、遮断器などの保守点検を実施する際は、断路器で電路の切り離しを行ってから点検作業を行います。

遮断器と違って、断路器には消弧能力(※1)がないため、「負荷電流が流れていない充電状態の電路」のみの開閉が可能です。負荷電流が流れている電路を開閉した場合、アーク(※2)が発生して人命事故につながる恐れがあります。

(※1)消弧能力:電流の遮断時に接触子間に生じるアークを消す能力。
(※2)アーク:2つの電極間での放電によって生じるプラズマの一種。

電気を運ぶ仕組み

家庭や会社に電気が届くまでには、以下のようなルートをたどります。具体的に、電気がどのような仕組みで運ばれていくのかを見ていきましょう。

  • 発電所:電気を作る
  • 送電線:電気を送電する
  • 変電所:電圧を変える
  • 配電:各建物に電気を運ぶ

発電・送電・変電

火力発電や水力発電、原子力発電などの発電方法で作られた電気は、送電線を通じて発電所から変電所に送られます。

超高圧変電所にて154,000Vにまで降圧された電気は、一次変電所に送られてさらに降圧され、中間変電所に送電される流れです。中間変電所では電圧を22,000Vにまで降圧し、配電用変電所に送電します。

鉄道用の電気や大規模な工場で使う電気は、一次変電所や中間変電所から直接供給されます。

配電

22,000Vの電気は、送電線で配電用変電所に送られて6,600Vにまで降圧された後、ビル・中規模工場・学校・商業施設などに配電されます。

残りの電気は、電柱の上に設置された「柱上変圧器」を通じて100Vまたは200Vに降圧され、引込線によって各家庭に配電される仕組みです。

引込線は各家庭の「電気メーター(電力量計)」に接続されており、電気メーターは各部屋に電気を配電する「分電盤」とつながっています。

電気が届くまでの流れについてもっと詳しく知りたい方はこちら

次世代型「デジタル変電所」とは

日本では変電所設備の老朽化が進行しており、設備の入れ替えや保全の必要性が高まっています。電気分野のデジタル化が進めば、今後は次世代型の「デジタル変電所」の建設を検討する事業者が増えるかもしれません。

デジタル技術を活用した変電所

デジタル変電所とは、変電所の設備構成がデジタル技術によって最適化された変電所です。

既存の変電所では、各装置がケーブル線によって連携されています。監視制御システムは、変電所や発電・送電の接続を切り替える開閉所に設置されており、電気信号にて状況把握や制御をする仕組みです。

デジタル技術を活用したデジタル変電所では、ケーブル線が通信線に置き換わります。通信データによるやりとりが可能となるため、変電所の中に監視制御システムを置く必要がありません。

デジタル変電所のメリット

既存の変電所では、設備更新のたびに複数の設備を連携しなければならず、工事期間が長引いてしまうのがネックでした。

デジタル変電所の場合、ケーブル線ではなくネットワークで情報の受け渡しをするため、メンテナンスや設定変更が簡単に行えるのがメリットです。複数の変電所の監視制御システムを1カ所に集め、一元管理することもできます。

銅製のケーブル線を製造するプロセスでは、地球温暖化の原因となるCO₂が排出されます。ケーブル線がネットワークに置き換われば、CO₂の排出量も削減されるでしょう。

変電所は電気の安定供給に不可欠な施設

変電所は、発電所で作られた電気の電圧を変える施設です。変電所を通過するごとに徐々に降圧されていき、最後は電柱の柱上変圧器によって一般家庭用の電圧に変圧されます。変電所は電気の安定供給に欠かせない施設といえるでしょう。

国内の多くの変電所は老朽化が進んでいます。今後は電力業界のDXが進み、デジタル変電所が当たり前になるかもしれません。設備コストがかからないだけでなく、CO2排出量の削減も期待できます。

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