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エネルギー問題 エネルギー問題

私たちの生活に欠かせない、電気、ガスなどのエネルギー。近年では、新聞やニュースでたびたび世界や日本のエネルギー問題が報道されており、将来にわたって安定したエネルギー供給が可能かどうかには不安もあります。

この記事では日本が抱えるエネルギー問題を取り上げ、どのような課題があり、原因はどこにあるのか解説していきます。

化石燃料への依存

化石燃料への依存 化石燃料への依存

日本が抱えるエネルギーの問題として、化石燃料への依存度の高さが挙げられます。2019年の電源別発電量のうち火力発電の占める割合は、天然ガス37.1%、石炭31.9%、石油等6.8%と全体の75.8%にも上ります(※)。なぜ化石燃料への依存が日本にとって問題になるのか、その理由を解説していきます。

※ 出典:資源エネルギー庁 エネルギー白書2021

地球温暖化と脱炭素化

化石燃料に依存する第1の問題は、温室効果ガスを排出する点です。温室効果ガスによる気候変動は世界各地で起きている異常気象の原因と考えられ、今や国際的な問題になりました。地球温暖化問題を踏まえて世界各国は現在、脱炭素へと舵を切っています。

2015年にはパリで温室効果ガス削減を話し合うCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)が開催され、気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定が採択されました。パリ協定は2020年からスタートし、途上国を含めた主要排出国が温室効果ガスの削減義務を負うようになり、そのなかには当然日本も含まれています。

多くの国では、温室効果ガスの実質的な排出をゼロにするカーボンニュートラルを目標として表明しており、日本でも2020年10月に当時の菅義偉総理が2050年までの達成を宣言しています。このように、日本にとって温室効果ガスの排出量削減は喫緊の課題になっており、今後はますます化石燃料依存からの脱却が求められます。

中東への輸入依存

化石燃料が抱える第2の問題は、輸入の多くを中東地域に依存している点です。中東地域には政情が不安定な国も多く、政変や紛争などが発生すれば、日本へのエネルギー供給に支障が出る恐れがあります。

日本は原油の35.9%をサウジアラビア、31.2%をUAE(アラブ首長国連邦)、11.0%をクウェート、10.4%をカタールから輸入しており、中東への石油依存度は92%にも上ります(※1)。
さらに、中東から日本までは12,000km、船で片道20日(※2)という長大な距離があります。輸送路の途中にはチョークポイントと呼ばれる戦略的に重要な水路もあり、もし航路が封鎖されたり安全に使えなくなったりすると、日本へのエネルギー輸送自体が難しくなります。

2019年には原油など輸送路であるホルムズ海峡付近のオマーン湾で日本のタンカーが攻撃を受け、死者を出す事件も起きています。今後もシーレーンの安全が続く保証もなく、この点からもエネルギーの中東依存には問題があると言えるでしょう。

※1 出典:資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)
※2 出典:出光タンカー株式会社 オイルロード超大型タンカー12,000kmの旅「一航海の軌跡」Vol.1日本出港~シンガポール海峡通峡

燃料価格の高騰

第3の問題点として、原油や天然ガスの価格は、国際的な政治・経済要因によって乱高下する傾向があります。化石燃料に依存していると、こうした価格変動の影響をまともに受けてしまいます。

例えば、1970年代に中東戦争がきっかけになって起きたオイルショックでは、原油価格が3カ月で4倍まで高騰(※1)しました。最近でも、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻によって原油・天然ガスの価格が急騰しています。

化石燃料への依存が高いと価格が上昇しても高値で原油を買い続けなければなりませんし、他国との獲得競争でさらに高額になる可能性もあります。そして日本では、原油価格が高くなると、そのまま電気料金の上昇へとつながり、国内経済にも悪影響をもたらします。東日本大震災による原発停止の影響もあり、2010年と比べると日本の電気料金は家庭向けで22%、産業向けで25%(※2)値上がりしています。

国際的な原油価格の上昇が国民生活に直接与える影響は大きく、化石燃料に依存している限りはこうした状況は改善されないと言えるでしょう。

※1 出典:資源エネルギー庁 【日本のエネルギー、150年の歴史④】2度のオイルショックを経て、エネルギー政策の見直しが進む
※2 出典:資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)

日本が化石燃料へ依存する原因

日本の化石燃料への依存度が高い理由として、主にエネルギー自給率が低いことと、原子力発電所の発電量減少が挙げられます。このうち、エネルギー自給率については次の章で詳しく説明しますので、ここでは原子力発電に関して見ていきます。

2000年代には35~25%程度で推移していた日本の電源別発電電力量に占める原子力の割合は、2011年の東日本大震災による福島第一原発の事故を受けて急減。2012年以降は1~2%程度の低い値になり、2019年でも6%までしか回復していません(※)。

減少分は天然ガスや石炭などで埋め合わせなければならず、必然的に化石燃料依存が高くなっています。日本の化石燃料依存改善には、この減少分を他のエネルギーによって補填する必要があります

低いエネルギー自給率

国産資源の乏しい日本は、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っており、エネルギー自給率の低さは日本が抱えるエネルギー問題の1つです。低いエネルギー自給率が及ぼす影響と解決への取り組みを見ていきましょう。

安定供給への懸念

低いエネルギー自給率がもたらす一番の問題は、エネルギー供給の不安定さにあります。
日本のエネルギー自給率は11.8%でOECD加盟35カ国中34位と下から2番目の水準(※1)です。

2011年以前は20%(※2)ほどだったエネルギー自給率は震災後の原発停止の影響を受け、さらに低下しました。にも関わらず、日本はアメリカ、カナダ、韓国に次ぐ世界第4位のエネルギー消費量を誇るエネルギー消費大国(※3)です。現在の日本はエネルギー消費が他国に比べて大きい上に、エネルギー資源の9割程度を海外からの輸入に頼っている状態なのです。そのため、日本のエネルギー事情は輸入先や国際情勢の変化から非常に影響を受けやすくなっています。

もし何らかの理由でエネルギーの輸入がストップするようなことになれば、日本の社会・経済は立ち行かなくなってしまうでしょう。今の日本は非常に脆弱なエネルギー構造の上に成り立っており、安定的なエネルギー供給の確保が求められています。

※1 出典:脱炭素チャンネル 日本の3大エネルギー問題をわかりやすく解説!対策・解決策も紹介
※2 出典:電気事業連合会 なるほど!日本のエネルギー~エネルギーミックスを考える~
※3 出典:一般社団法人九州経済連合会 九州エネルギー問題懇話会 TOMIC 2019年第60号 「各国のエネルギー安全保障への取組みと日本の課題~これからのエネルギー安全保障を考える~」

エネルギー安全保障という考え方

エネルギー安全保障は、エネルギー供給の安定化によって国や国民の安全を守っていくという考え方です。エネルギーの供給が止まれば、経済活動や市民生活に重大な影響が及ぶため、社会に必要な量のエネルギー源を妥当な価格で継続的に確保することが求められます。

そのためには、エネルギー自給率の向上や使用するエネルギー源の多様化、輸入先の多様化、省エネ向上、備蓄の拡大といった対策が必要になります。多くの原発が停止している現在、エネルギー自給率向上には再生可能エネルギーの開発が不可欠と言えるでしょう。

他にも、省エネ技術の発達や電気自動車のように化石燃料に頼らない技術、水素技術のように新しいエネルギーの開発や国内備蓄の拡大など、日本が独自に行える対策も多くあります。こうした取り組みを積極的に行っていけば、日本のエネルギー安全保障を向上させるだけでなく、省エネ技術を通じた国際貢献にもつながるでしょう。

再生可能エネルギー拡大への課題

拡大課題 拡大課題

気候変動への対策として期待されているのが、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーです。国内で発電できるため、エネルギー自給率を改善できるというメリットがありますが、日本は普及への課題を抱えています。

高い発電コストの解消

日本での再生可能エネルギーの主力電源化に向け、課題となるのがコスト問題です。 世界的には再生可能エネルギーの発電コストは急速に低下しており、価格競争が加速しています。とはいえ、再エネ発電所新設への投資コストはゼロになることはありません。日本においても、そのコストをどうやって下げるかが課題となっています。

そのために日本がとったのはFIT制度(固定価格買取制度)の導入です。FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を促すために太陽光などで発電された電気を電力会社が決められた価格で買い取ることを義務付けたものです。こうすることで、FIT制度が適用された発電所の発電収入が安定化し、投資コストの回収がより容易になりました。ただし、この結果として日本国民のほとんどが再生可能エネルギー開発促進賦課金による負担を受け入れることにもなりました。

ちなみに、2022年4月からは、卸電力取引市場(JEPX)の価格に一定にプレミアムを上乗せする「FIP制度」が開始されます。

電力系統の問題

再生可能エネルギーの普及には、電力会社が電力を供給するための電力系統にも課題があります。

これまで大手の電力会社(東京電力などの一般電気事業者)が運用してきた電力系統は、火力や水力、原子力など大きな発電所から需要地へと運ぶためのものでした。再生可能エネルギーの発電場所は、必ずしもこれまで発電所があった地域と一致しているわけではなく、効率的に送配電ができるようなつくりにはなっていません。普及のためには送電設備の増設など、電力系統の改革が必要になります。

また、再生可能エネルギーは地域によって供給に差があります。例えば、北海道や東北では風力発電の発電量が高くなっています。普及した再生可能エネルギーを効率的に利用するには、再エネ電力の発電量が多いエリアと、電力需要の多いエリア間での連系線増強工事など電力共有を簡単にする仕組みづくりも必要になります。

現在の日本では基本的に東京や関西、中部などエリアごとに電力の需給を調整しているため、このままでは再生可能エネルギーで発電を行っても東京や大阪など電力需要の高い大都市などに上手く電気を送れない可能性があります。

さらなる省エネルギーへ

日本のエネルギーには海外依存や化石燃料依存といった問題があり、再生可能エネルギーの普及も進んできているものの、まだまだ課題を残しています。こうした現状を踏まえると、エネルギーの安定化だけでなく、さらなる省エネルギーの促進が必要です。

家庭部門・業務部門の省エネルギーが課題

日本の省エネルギーを進める上で重要になるのが、一般家庭や飲食店、商業施設など業務部門における電力消費をいかに効率化するかです。

日本の実質GDP(国内総生産)は1973年から2017年の間に2.6倍になり、最終エネルギー消費量は1.2倍になりました(※1)が、エネルギー利用効率を表す「エネルギー原単位」ではG7中イギリスに次いで第2位と高い水準にあります(※2)。日本はGDPのうち製造業の占める割合が21%と高い(イギリスは10%)にも関わらず(※1)、この数値で、経済発展に対してエネルギー効率の面では非常に優れていることがわかります。しかし、部門別に細かく見ていくと課題も見えてきます。

製造業など産業部門でのエネルギー消費量の変化が0.9倍なのに対し、家庭部門は2.0倍、事務所やオフィスビル、商業施設、飲食店などの業務部門は2.1倍と全体の水準より高くなっています(※2)。さらなる省エネルギーを進めるには、家庭部門・業務部門でのエネルギー効率化が必要と言えます。

※1 出典:経済産業省 日本の省エネルギー技術施策について
※2 出典:読売新聞オンライン 古くて新しいゼロ・カーボン対策:省エネルギー<2>日本の省エネ政策

建物の断熱性能の向上

日本では現時点でもエネルギー効率が高いことから、省エネルギー促進にはこれまでと異なる観点からの消費量削減が求められており、その1つに建物の断熱性向上があります。ビルや住宅、商業施設などの建築物は世界のエネルギー消費の約3割を占める(※)と言われ、建物の省エネルギーが進めば大きな効果を期待できます。

建物の断熱化を進めれば、夏は外部からの熱を遮断して室内が高温になるのを防ぎ、冬は熱が外に逃げるのを防いで暖房効果を高めてくれるので、空調機器の負荷を減らしエネルギー消費を抑えられます。ひさしを大きくして日光を遮る、北側からの涼しい風を取り入れるといった遮光・通風に配慮した対策も地味ですが効果的です。

さらに発展型として、快適な室内環境を保ちながら、太陽光発電などを併用して年間の一次エネルギー消費収支ゼロを目指すネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)といった建物の普及も望まれます。

※ 出典:三菱電機 これだけは知っておこう、『中学生からの環境用語』ZEB・ZEH

原子力発電所の稼働問題

日本では2011年の東日本大震災にともなう東京電力福島第一原発事故以降、多くの原発が停止した状況が続いています。

2022年2月28日時点で全国の原発のうち、再稼働しているのが10基、設置変更許可が7基、新規制基準での審査中が10基、未申請が9基、廃炉が24基(※)となっています。今後原発をどうしていくかは日本のエネルギーを考える上で避けて通れない問題であり、国内でもさまざまな議論が起きています。

※ 出典:資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)

脱炭素の議論のなかで

電力供給の少なくない部分を原発が担ってきたこと、少なくとも火力発電などと違って温室効果ガスを排出しないことは事実であることなどから、脱炭素の文脈において原発は無視できない問題です。原子力発電は震災前の2010年には供給の11.2%を占めていましたが、2011年以降は2.8%に低下(※)。日本のエネルギー自給率低下や化石燃料への依存度へ影響を与えています。なかでも、原発停止により火力発電が増加したことは、一見すると温暖化対策に「逆行」と思わせることにもなりました。

地球温暖化対策を先導するヨーロッパでは、再生可能エネルギーに加え、CO2を排出しない原発を利用して脱炭素を目指す国が一部現れています。

フランスでは2022年2月、脱炭素達成を理由に今後国内に新たに6基以上の原発を建設する計画が発表されました(※)。「このまま原発の停止が続けば、世界的な脱炭素の流れに取り残される」という意見もあります。

※ 出典:JETRO 「脱炭素」達成に向け、原発6基以上を建設へ(フランス)

福島第一原発事故を受けた新規制基準

日本では、福島第一原発事故を受けて国内の原発を一時期すべて停止させました。
そして、原子力発電所に対してそれまで以上に厳しい規制基準を改めるなど、安全性向上に関して対策を進めてきました。事故後の新規制基準は、津波のため電源を喪失したことが原発事故に結びついたことなど震災の教訓を反映させた内容となっています。また、長期的には原発依存度を下げることも目標にしていて、一部の原発では廃炉作業も行われています。

ただ、すぐにすべての原発をなくしてしまうのは、エネルギー安定供給の面から見ても現実的ではありません。原発事故は多くの人命を危険に晒しましたが、2021年・22年の冬にエネルギー不足が問題になったように、電気の安定供給に関する課題も足もとで存在しています。そういった文脈のなかで、原発再稼働に関する議論が存在していることは事実として認識しておく必要があるでしょう

エネルギーは個人が選べる時代

日本が抱えるエネルギー問題に関して、私たち個人にできることは必ずしも多くないように見えますが、まったくないわけでもありません。例えば、化石燃料に頼らず、再生可能エネルギーから生み出される電気を使うことは、脱炭素への貢献方法の1つでしょう。

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