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日本の石炭火力発電の現状は? 地球温暖化に与える影響も解説 日本の石炭火力発電の現状は? 地球温暖化に与える影響も解説

石炭火力発電はCO₂(二酸化炭素)の排出量が多いことで知られており、地球温暖化の解決のために「低炭素化」「脱炭素化」が重視される昨今、ニュースでは石炭火力発電は否定的に報じられています。

そもそも、日本における石炭火力発電の現状はどうなっていて、今後どうなるのでしょうか。この記事では石炭火力発電の仕組みを基本から押さえ、日本の石炭火力発電事情や今後の課題についても考えていきます。

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石炭火力発電とは

石炭火力発電とは 石炭火力発電とは

そもそも石炭火力発電とはどのような仕組みなのでしょうか。

まずは火力発電の基本原理である「汽力発電」、そして「ガスタービン発電」、さらに汽力発電とガスタービン発電を組み合わせた「コンバインドサイクル発電」について踏まえ、石炭火力発電独自の技術についても見ていきましょう。

火力発電の基本原理・汽力発電

火力発電では燃料を燃やしてお湯を沸かし、その蒸気の力で蒸気タービンを回転させて電力を生み出しています。これを汽力発電とよびます。

火力発電の基本原理を説明するとき、よく例えられるのがやかんです。やかんのお湯が沸騰した際、注ぎ口からは勢いよく蒸気が吹き出します。火力発電ではこの蒸気の力を利用しています。

蒸気タービンを回転させるためにはより大きな力が必要なので、高温・高圧の蒸気を生むためにボイラーなどの専用装置が用いられています。

その後、蒸気は復水器で冷やされ、再びボイラーのもとに戻る仕組みです。

蒸気を利用した機関は2000年ほど前に発明されていましたが、実際に動力として使用されはじめたのは19世紀のヨーロッパです。船の推進力を生み出す蒸気機関として登場し、その後も船舶や機関車、機械などさまざまな場面で重宝されてきました。

ガスタービン発電

ガスタービン発電とは、文字通りガスの力を利用した発電方法です。汽力発電が蒸気を利用してタービンを動かすのに対し、ガスタービン発電では天然ガスや灯油といった燃料を燃やしたときに出る「燃焼ガス」でタービンを回しています。

ガスタービンが発明されたのは1791年で、イギリスのジョン・バーバーが発明し、特許を取得しています。

ほかの発電方法よりも比較的小規模な機械で大きなパワーが得られることから、発電のほかに航空機などでも活用されています。

※出典:国立科学博物館 技術の系統化調査報告 第13集(独立行政法人 国立科学博物館)

コンバインドサイクル発電

汽力発電とガスタービン発電を組み合わせて生まれたのがコンバインドサイクル発電です。

まずはガスタービン発電と同じく燃料を燃やしてできる「燃焼ガス」でタービンを回します。この際使い終えたガスはまだ十分な熱を持っているため、水を沸騰させる熱源として蒸気タービン発電にも再利用されます。

コンバインドサイクル発電は排ガスを無駄なく使うため発電効率が高く、CO₂の排出量も抑えられるのが特徴です。

石炭火力発電独自の技術

石炭火力発電は、微粉炭機で粉砕した石炭をボイラーで燃やして蒸気を発生させ、タービンや発電機を動かす発電方法です。

長らく火力発電の主力だったものの、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素などの排出量が多い点を問題視する傾向もありました。しかし近年では環境保全と石炭火力発電の両立を実現する技術開発が進み、安定的な供給と経済性に優れた石炭火力発電の未来が開かれています。

その1つが「クリーンコール」とよばれる技術で、石炭を燃やしたときに排出されるCO₂(二酸化炭素)や硫黄酸化物、窒素酸化物といった温室効果ガス・大気汚染物質を大幅に削減することを目指しています。

2002年に建て替えられた磯子石炭火力発電所では、クリーンコール技術を採用し、窒素酸化物(NOx)は92%、硫黄酸化物(Sox)は83%、粒子状物質(PM)は90%の削減に成功しています(※1)。

注目されるもう1つの技術が、石炭ガス化複合発電(IGCC)です。これは石炭火力のコンバインドサイクル発電技術で、固体の石炭はそのままではガスタービンで燃焼することができませんが、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電として発電する方式を採用しています。

従来型の石炭火力発電と比べて、発電効率を約15%向上させることができ、その分CO₂排出の低減も図ることができます。

※1 出典:資源エネルギー庁 なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO₂削減を達成するための取り組み

石炭火力発電のメリット

石炭火力発電のメリット 石炭火力発電のメリット

ここからは、石炭火力開発のメリットについてさらに掘り下げてみましょう。

資源量が豊富

石炭火力開発のメリットとしてまず挙げられるのが、資源量が豊富であるという点です。

燃料を今後何年得られるかを指した「可採埋蔵量」で比較してみると、石油は50年、天然ガス53年、原子力の材料であるウランは99年。それに対し、石炭は153年と比較的長く利用できる燃料であることがわかっています。

主なエネルギー資源のなかでは豊富な埋蔵量を持つことから、現在も石炭が有力視されているのです。

※出典:資源エネルギー庁 あらためて考える、日本における「石炭」の役割

燃料の入手先が分散

燃料の入手先が分散しているのも石炭火力発電のメリットです。入手先が限定されていると、世界情勢に輸入価格や量が大きく左右されてしまいます。

1970年代に起きたオイルショックは、石油の入手先が中東に集中していたことが主な原因の1つであり、石油価格が異常に高騰したため、日本経済も大きな打撃を受けました。

このことからもわかるように、エネルギー自給率が低く燃料の大半を輸入に頼っている日本では、途切れる心配がなく燃料を入手できることは大変重要なポイントです。

日本の石炭輸入先は、多い順にオーストラリア、インドネシア、ロシア、アメリカ、カナダとなっています。中東からの輸入比率が88.9%といまだ偏っている石油と比べると、分散しているため、安定的な確保が期待できる石炭は大切なエネルギー資源なのです。

※出典:火力発電について(資源エネルギー庁)

低価格で安定

石炭火力発電の燃料である石炭は、低価格で比較的大きな価格変動がないのもメリットの1つです。先述の通り、エネルギー自給率が低い日本では特に重要な要素となっています。

日本における石炭の埋蔵量も決して少なくはないものの、採掘するコストが利益に見合わないため、多くを輸入に頼っています。世界情勢に応じて推移はあるものの、石油や液化天然ガス(LNG)などほかの燃料に比べて価格が安定している点、熱量あたりの比較でも原油やLNGに比べ1/2~1/3と低価格な点が石炭の大きな強みです。

また先述の通り輸入先の地域が世界各国に分散されているため、世界情勢の影響による供給の停止や価格高騰など地政学的なリスクが抑えられます。

さらにLNGなどのように揮発せず、爆発のリスクが低いのもポイントです。保管にかかるコストが少ない石炭は、低コストで在庫を蓄えられます。

エネルギー資源の低価格で安定的な入手は、電力などの供給価格の安定にもつながります。

石炭火力発電のデメリット

低価格で安定した燃料の供給量が期待できる石炭火力発電にもデメリットがあります。

CO₂の排出量が多い

石炭火力発電の主なデメリットはCO₂の排出量が多いことです。

電気事業におけるCO₂排出量は2021年時点で39%。電源別のCO₂排出係数は、石炭火力が943g-CO₂/kWh、石油火力738g-CO₂/kWh、天然ガス火力(コンバインド)474g-CO₂/kWh、太陽光38g-CO₂/kWh、原子力19g-CO₂/kWh。比較すると、ほかのエネルギー資源のなかでは最多であることがわかります。

先述の通り、石炭の燃焼によるCO₂などの発生を抑える「クリーンコール」など技術開発が進んではいるものの、まだまだ多いのが現状です。

加えて地球温暖化が世界的な問題として深刻視されるようになった昨今では、主な原因とされるCO₂の排出量が多い石炭火力発電は縮小の流れにあります。

石炭火力発電にまつわる国際的評価について、次からもう少し詳しく見てみましょう。

※出典:電気事業連合会 なるほど! 日本のエネルギー

石炭火力発電は国際的な批判が強い

先述の通り、CO₂排出量が多い石炭火力発電は、「脱炭素」を目指す場合にはデメリットとなります。LNGに比べるとCO₂排出量が多く、日本では石炭火力発電の割合が2012年から2019年にかけて31.0%から31.9%に増加しています(※1)。

2021年5月にオンラインで行われたG7による気候・環境相会合では、石炭火力発電への国際投資を年末までに停止する方針で合意したものの、会合内で日本は国内石炭火力の全廃に強く反対しました。

また、COP26を目前に控えた同年10月には気候変動特別代表を務めるイギリス外務省のニック・ブリッジが来日し、日本に石炭火力発電施設の「全廃」を求めています。

しかしこうした圧力がかかるなかで、なお日本は石炭火力発電を継続する方向性を示したため、同年11月に行われた国連の気候変動会議COP26にて温暖化対策に消極的な国に贈られる不名誉な「化石賞」を受賞。さらに、同会議で合意された石炭火力発電の段階的廃止案に同意しなかったことでも注目を集めています。

※1 出典:令和元年度(2019年度)における エネルギー需給実績(確報)(資源エネルギー庁)

日本の石炭火力発電の現状

世界的には減少の流れにある石炭火力発電ですが、日本における石炭火力発電の現状や、今後の展望はどのようになっているのでしょうか。

日本は引き続き石炭火力発電を活用

いくつかの理由から、日本では現状、石炭火力発電を活用していく姿勢を示しています。

まず挙げられる理由は、エネルギー資源の自給率が低い点です。エネルギー資源のほぼ大半を輸入に頼っている現状で、保管の安全性が高く安定供給が可能な石炭は、重要な資源として確保しておきたいというのが政府の考えです。

また石炭の価格や石炭火力発電にかかるコストが比較的安価であることから、燃料や発電方法が切り替わることで電気料金の値上げを危惧する声もあります。

太陽光発電など再生可能エネルギーに必要な装置は、石炭火力発電に比べて高コストです。加えて、国内の電力をまかなうだけのスペースも十分に取れないと言われています。

これらの理由から石炭火力発電を活用しつつ、脱炭素化も進める道を模索するのが有力な道筋だとされているのです。

今後の課題

高効率化

石炭火力発電における今後の課題としてまず挙げられるのが、発電の高効率化です。少ない燃料で大きな発電量を得られれば、CO₂排出量は今よりも削減されます。

具体的な方法は従来よりもさらに熱効率を上げて高温・高圧の蒸気を発生させる「超々臨界圧発電方式(USC)」や、石炭をガス化してガスタービン発電・コンバインドサイクル発電と組み合わせた「石炭ガス化複合発電プラント(IGCC)」などです。優れた環境性能と高い発電効率を実現した最新技術に期待が集まっています。

バイオマス混焼

バイオマス混焼とは、産業廃棄物を燃料に活用した火力発電のことです。原料として挙げられるのは、建築の廃材などの木質や米の精製で出たもみ殻や藁、食品工場の廃棄物や生ごみ・廃プラなどの生活ごみなどです。燃料が手に入りやすく、発電方法も従来の石炭火力発電と同じで気候に左右されにくいため、安定した発電量が期待されます。

森林などのCO₂吸収量とそれらの燃焼によるCO₂排出量が差し引き0になる「カーボンニュートラル」への取り組みが世界的に広まっているため、環境保全に有効な発電方法としても注目を集めています。

CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)

CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)とは、火力発電で排出されたCO₂を再び集め、地中深くに貯留させるという方法です。適切な地層の選定と管理によって、CO₂を1,000年間地中に閉じ込められるとされています。

国際エネルギー機関(IEA)の報告書では、2060年までのCO₂削減量のうち14%がCCSによってまかなわれることが期待されるなど、世界的な評価も高い技術です(※1)。 

2020年末には北海道・苫小牧にて初の実証実験が行われ、実用化に向けて着々と準備が進んでいます(※2)。

※1出典:CCSを取り巻く状況 CCSの実証および調査事業のあり方に向けた 有識者検討会(経済産業省)
※2出典:CO2を回収して埋める「CCS」、実証試験を経て、いよいよ実現も間近に(前編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁

電力会社の選択で環境貢献が可能

世界的に「脱炭素化」が進むなか、日本では当面は石炭火力発電が続く流れにあります。しかし、地球温暖化の厳しい現状も次々と報告されており、可能な限りCO₂を削減する努力が求められています。

一方、2016年の電力小売全面自由化によって、消費者は電力会社を選べるようになりました。再生可能エネルギー拡大を目標とする電力会社を選択することで、消費者1人1人がエネルギーに関して意思表示ができるのです。

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