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高湿度だとカビや菌が繁殖して不衛生な環境になったり、低湿度だと乾燥で健康を損なう原因になったりと、湿度と私たちの生活には密接な関係があります。人間が生活する上で適正な湿度や、上手に調節する方法を押さえておきましょう。

適正な湿度は何%?

快適に暮らせる湿度はある程度決まっていますが、大人と子どもでは適正とされている湿度が少し違ってきます。ペットを飼っているなら、その動物に合う湿度に合わせた調整も必要です。

大人と子ども、犬・猫、それぞれに適正とされる湿度を見ていきましょう。

大人にとっての適正な湿度

大人が快適に過ごす上で適正な湿度は、40〜70%です。この数値は、厚生労働省令である「事務所衛生基準規則」にも、労働環境における適正な湿度として提示されています。

ただ、湿度が60%を超えると、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。快適かつ衛生的に過ごせる湿度は、60%までと考えるのが妥当でしょう。
逆に湿度が低すぎれば、粘膜が乾燥してウイルスに感染しやすくなる・肌が乾きすぎるなど、健康を損なう恐れがあることにも注意が必要です。

厚生労働省では、インフルエンザの対策として湿度を50〜60%に保つよう推奨しています。特に体が弱い方や高齢の方がいる家庭では、十分な湿度管理を心がけましょう。

※出典:事務所衛生基準規則 第7条第1項 | e-Gov法令検索

※出典:健康・快適居住環境の指針 P.11 - 東京都福祉保健局

※出典:厚生労働省:健康:結核・感染症に関する情報

赤ちゃんにとっての適正な湿度

赤ちゃんにとって適正とされる湿度は、50~60%といわれています。大人より数値が高めに設定されている理由は、免疫力の低さです。

「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」によると、赤ちゃんは生後数カ月がたつと胎盤からもらった免疫が減り始め、感染症にかかりやすい状態になるとされています。

同ガイドラインで推奨している保育室の湿度は約60%、気温は夏場で26〜28℃・冬場で20〜23℃です。

カビや雑菌の繁殖が抑えられ、大人も感染症にかかりにくい湿度を保っていれば、赤ちゃんにも安心といえるでしょう。

※出典:2012年改訂版 保育所における感染症対策ガイドライン P.1・P.17|厚生労働省

ペットにとっての適正な湿度

人間以外の動物にも、適正とされる湿度があります。埼玉県獣医師会によると、ペットとしてポピュラーな犬・猫どちらも、健康的に過ごせる湿度は50〜60%、室温は28℃前後です。

犬や猫の体温はおおむね37~39℃で、体熱は主に呼吸するときに発散しています。高温多湿になると熱の放散がうまくいかず、高い体温の状態が続いて熱中症を引き起こすのです。

熱中症予防のために、室内飼育ではエアコンを活用し、室温・湿度を適正に保ちましょう。犬や猫が健康的に過ごせる湿度と室温であれば、赤ちゃんを含めた人間も快適に暮らせます。

※出典:公益社団法人埼玉県獣医師会

湿度が適正でない場合に起きること

適正な湿度が各機関から周知されているのは、高すぎたり低すぎたりすると、健康や生活に悪影響が出てしまうためです。では、具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか?高すぎる場合と低すぎる場合に分けて、起こり得る問題を紹介します。

湿度が高い場合のデメリット

高湿度の環境に生じるデメリットとしては、主に熱中症とカビ・雑菌の繁殖が挙げられます。

気温が高かったり運動したりすると、人間の体温は上昇します。体温が上がりすぎたとき、汗をかくことで皮膚から水分を発散させて体温を下げる仕組みです。

しかし、湿度が高い状態では汗が出にくく体温が体内にこもるため、熱中症にかかりやすくなります。夏場は気温だけでなく、湿度にも気を配りましょう。

また、温度20〜30℃かつ湿度60%以上になると、カビや雑菌が繁殖しやすい環境になります。食中毒を引き起こすサルモネラ菌・腸炎ビブリオなども、湿度が上がると繁殖しやすい雑菌です。

特に湿度が上がりやすい梅雨時は、除湿機を活用して湿度の上がりすぎを防ぎましょう。

※出典:熱中症環境保健マニュアル2022 P.3|環境省
※出典:協会けんぽ 健康サポート 梅雨は細菌やカビの繁殖期。未然の対策で被害を防ごう
※出典:食べもの文化 2018年6月号 梅雨時の衛生管理
=>除湿機について詳しく知りたい方はこちら

湿度が低い場合のデメリット

低湿度が体に与える影響としては、粘膜や肌の乾燥のほか、静電気の発生も挙げられます。

喉の粘膜が乾燥すると、細菌やウイルスに対する防御力が低下し、感染症にかかりやすくなります。目や肌・髪の乾燥やかゆみといった問題も、湿度が低すぎることで起こる問題です。

静電気は、ただ不快なだけではありません。コピー機の紙詰まりやコンピュータの誤作動など、仕事にも影響を与えます。滞りなく働ける環境を維持するためには、常に50〜60%の湿度に保つ工夫が必要です。

※出典:インフルエンザの感染を防ぐポイント 「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
※出典:現場の静電気対策(006) | JAGAT

湿度が上がる原因

湿度を上手にコントロールしたいなら、日常生活の中で湿度が上がる要因を知っておきましょう。湿度を抑えたいときにも上げたいときにも役立つ知識です。

室内干しの水分

室内干しの水分は、室内の湿度を急激に上昇させます。脱水された洗濯物から1時間に放出される水分量は、1kgあたり10~100gです。この水分が空気中に拡散されることで、室内干しをすると部屋の湿度が上昇します。

特に夏場に部屋干しをすると、室内の湿度が高くなり雑菌が繁殖しやすくなります。部屋干しの洗濯物がにおうのは、モラクセラ菌という雑菌の繁殖が原因です。

モラクセラ菌は、洗濯物に残った皮脂や水分を栄養にして繁殖・増殖し、室内干し独特のにおいを発生させます。どうしても外に干せない場合は、室内干し用の洗剤を活用しつつ、適正な湿度を保って嫌なにおいを防ぎましょう。

※出典:実測に基づく室内干し時における洗濯物の乾燥時間および室内温湿度環境 P.3|平成22年度 日本建築学会近畿支部研究発表会
※出典:衣類における「除菌」「抗菌」「抗ウイルス」について | 東京都クリーニング生活衛生同業組合

暖房器具から出る水分

冬場に起こる結露は、空気中の水分が飽和状態になっているサインです。石油ストーブやガスファンヒーターなど燃焼系の暖房器具から水分が発生して、加湿が過剰になっている可能性があります。

石油やガスには炭素(C)と水素(H)が含まれており、燃えるときに空気中の酸素(O)と結びつきます。その結果、炭素は二酸化炭素(CO2)に、水素は水(H2O)に変化する仕組みです。

CO2の排出によって空気中のH2Oの含有率が高くなり、高湿度になります。燃焼系の暖房器具と加湿器を併用すると、加湿が行きすぎて結露を起こしかねません。湿度を小まめにチェックして、加湿器のオン・オフを切り替えるように意識しましょう。

人の汗や呼気

人間の体の約60%は、水でできています(成人男性の場合)。1日に体から放出される水分は約2.5Lで、そのうち呼気や汗として空中に放出される水分は約0.9Lです。

4人家族が1つの部屋で1日過ごすと、それだけでも4L近くの水分が空気中に拡散される計算になります。

リビング・ダイニングなど家族が集まる場所では、夏場にほかの部屋より湿度が上がりやすくなります。小まめに湿度計をチェックして、除湿機を使用したり換気したりする習慣を付けましょう。

※出典:厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動 健康のため水を飲もう講座

湿度を調節して快適に過ごそう

高湿度や低湿度の環境が私たちに与える影響や、湿度を上がる要因がわかりました。それを踏まえて、湿度を上手にコントロールする方法をマスターしましょう。

湿度の上げ方

湿度が低い状態から適正な湿度に上げる方法を、加湿器を使う以外で紹介します。

  • 洗濯物や濡れタオルを室内に干す
  • 器に水を入れて置いておく
  • 霧吹きの水を使う
  • 観葉植物を置く
  • 入浴後の浴室のドアを開けたままにしておく

いずれも水分の蒸発を利用して緩やかに加湿するため、湿度を上げすぎる心配はあまりないでしょう。燃焼系の暖房器具を使っている場合におすすめの方法です。

暖房器具がエアコンの場合は暖房そのものによる加湿効果が望めないため、エアコンの加湿機能や加湿器を使うとよいでしょう。加湿器はエアコンの真下に置き、エアコンの風にミストを乗せるようにすると効率よく加湿できます。

湿度の下げ方

湿度を下げるには、以下のような方法がおすすめです。

  • 換気する
  • エアコンを使う
  • サーキュレーターを使う
  • 除湿機を使う
  • 除湿剤を置く

換気は、室内より屋外の方が乾燥している場合に有効な方法です。サーキュレーターを回しながら換気すると、室内の湿った空気と外の乾いた空気を効率よく入れ替えられます。

気温がそれほど高くない時期の除湿にエアコンを使うと、室温が下がりがちです。これは、エアコン内部の結露の仕組みを使って空気中の水分を外へ排出する仕組みが影響しています。

部屋の温度を下げずに湿度だけを調節したい場合は、冷房を再熱除湿方式にするか、デシカント除湿機を使うかで上手に対応しましょう。

湿度と体感温度の関係

海外から来た旅行客から、「日本の夏は蒸し暑いので耐えられない」という声を聞くことがあります。同じような気温でも、湿潤気候の日本では特に暑さを感じやすいようです。

では、なぜ湿度が高い地域ではより暑く感じるのでしょうか?体感温度と湿度の関係について紹介します。

湿度が高いと暑く感じるのはなぜ?

人体は、水分を汗として体外に出し、蒸発時の「気化熱」の作用で体温を下げています。そのため汗が蒸発するほど体温調節が進み、涼しく感じられる仕組みです。逆に湿度が高いと汗が蒸発しにくく、発汗が抑制されて体内に熱がこもり暑く感じます。

これが体感温度で、体が湿度の高低によって、実際の気温より涼しく感じたり暑く感じたりするのです。また、温度が高くなるほど空気中に存在できる水分量が増えるため、気温が高くなると湿度も高くなるという現象が起こります。

日本の夏は湿気が多い上に、暑くなった空気は水分を含みやすくなり、体感として感じる蒸し暑さが加速します。日本のように湿度が高い地域で夏を快適に過ごすには、特に湿度のコントロールが重要だといえるでしょう。

適正な湿度を保って健康的な住環境を

湿度が高い状態は感覚として不快なだけでなく、熱中症の発症やカビ・菌の繁殖など、私たちの健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。年間を通して湿度が上がらないようにコントロールすることは、健康管理のためにも重要です。

反対に湿度が低すぎても、感染症にかかりやすくなったり仕事で使う機器が静電気で不具合を起こしたりします。1年を通して適正な湿度を意識しながら、健康で快適な環境を目指しましょう。