扇風機はエアコンと並び、夏の暑さをしのぐための定番アイテムです。体を冷やすために長時間使っている方も多いと思いますが、実際にどのくらい電気代がかかっているのかご存知でしょうか。本記事では扇風機とエアコンの電気代を比較し、節約方法も解説します。
扇風機とエアコンの電気代の差
扇風機とエアコンの電気代を比較した場合、どちらのほうが安いのでしょうか。実際の製品を例に取り、それぞれの電気代の目安を確認しておきましょう。エアコンについては、送風運転時の電気代も知っておくのがおすすめです。
なお、電気代は以下の式で求められます。
消費電力(kW)×使用時間(時間)×電力量料金(円/kWh)
電力量料金の目安として用いるのは、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWhです。また、扇風機とエアコンの使用時間は1日8時間と仮定します。
※出典: よくある質問 Q&A |公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
扇風機の電気代
電化製品の電気代は消費電力によります。電力量料金は変わらないため、使用時間が同じなら消費電力が高いほうが電気代も高くなるのです。
扇風機はエアコンより消費電力が低く、電気代もエアコンより安くなります。以下の製品の消費電力と電気代を確認し、どれくらい電気代に差があるのかを把握しましょう。
モデル名:F-C324C(パナソニック)
消費電力(50Hz):35W
1日あたりの電気代:0.035kW×8時間×31円/kWh=約8.68円/日
1カ月あたりの電気代:8.68円/日×30日=約260.4円/月
※出典: 詳細情報 リビング扇 F-C324C | 扇風機・天井扇(シーリングファン) | Panasonic
エアコンの冷房運転時の電気代
日立の6畳用エアコン「RAS-AJ22N」を例に取り、冷房運転時にかかる電気代を計算した結果は次の通りです。
モデル名:RAS-AJ22N(日立)
消費電力(冷房時):635W
1日あたりの電気代:0.635kW×8時間×31円/kWh=約157.48円/日
1カ月あたりの電気代:157.48円/日×30日=約4,724.4円/月
扇風機とエアコンでは、そもそも消費電力に大きな差があるため、電気代も扇風機に比べるとかなり高くなっています。製品により消費電力は異なるものの、冷房運転時のエアコンのほうが扇風機より電気代が高くなることに変わりはありません。
※出典: ルームエアコン AJシリーズ : 住宅設備用エアコン : 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
エアコンの送風運転時の電気代
エアコンの送風とは、室内の空気を循環させる機能です。室温を変化させずに部屋の空気を動かせるため、扇風機と同じような形で涼を取れます。
冷房運転時のエアコンの電気代は、扇風機に比べてかなり高いことがわかりました。それでは、エアコンを送風運転にすると、どのような結果になるのでしょうか。
モデル名:Xシリーズ(シャープ)
消費電力(送風時):16.9W
1日あたりの電気代:0.0169kW×8時間×31円/kWh=約4.19円/日
1カ月あたりの電気代:4.19円/日×30日=約125.7円/月
送風運転時であれば、エアコンの消費電力は扇風機と大差ありません。上記の製品のように、場合によってはエアコンの送風運転のほうが、扇風機より安く済むケースもあります。
※出典: エアコン総合カタログ P7 | SHARP
⇒エアコンの送風についてもっと詳しく知りたい方はこちら
扇風機の電気代の節約方法
扇風機は電気代がそれほど高くない電化製品ですが、工夫次第で電気代をより抑えることが可能です。扇風機の電気代の節約方法を見ていきましょう。
風向きを工夫する
扇風機は風を人の体に当てて使うのが基本ですが、それ以外にも風向きを工夫することで効果的に活用できます。
例えば、室内が暑いときに窓を開けて扇風機を窓の外に向ければ、部屋の熱気を素早く外へ逃がせます。帰宅してすぐに部屋の温度を下げたいときにおすすめです。
夜間や早朝など外気が冷えている時間帯なら、窓に背を向けて扇風機を回すと外気が室内に入りやすくなるため、より涼しさを感じられるでしょう。
保冷剤で空気を冷やす
扇風機の風に当たれば体感温度は下がりますが、室温自体が下がるわけではありません。扇風機はあくまでも空気を動かすだけのアイテムであり、室温が高すぎると扇風機を回してもほとんど効果がないことがあります。
しかし、保冷剤を活用すれば、扇風機から冷えた空気を送り出すことが可能です。一般的な保冷剤を凍らせて扇風機の上に置くだけで、温度が下がった空気に当たって涼を取れます。
扇風機に取り付けられる保冷剤も販売されているため、この方法を試してみたい方は探してみるとよいでしょう。
DCモーター搭載モデルを選ぶ
扇風機に搭載されているモーターの種類には、ACモーターとDCモーターの2つがあります。家庭用コンセントの交流電源をそのまま使用するのがACモーター、交流電源を直流に変換して使用するのがDCモーターです。
DCモーターを搭載した扇風機は、ACモーター搭載機に比べ消費電力を大幅に抑えられます。最初に紹介したパナソニックのF-C324CはACモーター扇風機であり、DCモーター扇風機なら電気代をさらに下げられるのです。
よりきめ細かな風量調節を行えることや、運転音が静かであることも、DCモーター搭載モデルのメリットです。扇風機を買い替える際は、モーターの違いにも注目してみましょう。
エアコンの電気代の節約方法
エアコンの電気代もさまざまな工夫で節約できます。以下に挙げる5つの節約術をチェックし、できることから始めてみましょう。
適度な室温にキープする
環境省が推進するクールビズでは、夏場の適切な室温として28℃を推奨しています。暑い時期はどうしても温度を下げてしまいがちですが、室温28℃を目安にエアコンの設定温度を調整しましょう。
財団法人省エネルギーセンターの調査によると、エアコン冷房の設定温度を1℃上げた場合、約13%の電力消費量の削減を図れます。電気代の節約につながるだけでなく、地球温暖化防止に貢献できることもポイントです。
暑いからといって室温を下げすぎると、体を冷やすことに慣れてしまい、体温調整機能が働かなくなる恐れがあります。夏場も適度に汗をかく意識を持つことが重要です。
※出典: クールビズ/COOLBIZ|COOL CHOICE 未来のために、いま選ぼう。
※出典: エアコンの使い方について | 家庭部門のCO2排出実態統計調査
窓の断熱性能を上げる
窓を通した熱移動で部屋の温度は大きく変わります。窓の断熱性能を上げれば室温を一定に保ちやすくなるため、電気代の削減につなげることが可能です。
手軽に窓の断熱性能を高めたいなら、ホームセンターなどに売っている断熱シートを活用しましょう。窓に貼るだけで快適な温度を保ち続けられます。
窓からの直射日光を遮ることも重要です。窓の外側ですだれやよしずを使ったり、遮熱効果のあるカーテンに交換したりすれば、夏場の冷房効果を高められるでしょう。
フィルターを定期的に掃除する
エアコンは室内の空気を常に取り込んでおり、使い続けているとフィルターにホコリが溜まっていきます。フィルターが目詰まりすると冷房効果が下がり、電気代も高くなります。
エアコンのフィルターは定期的に掃除しましょう。毎日使用する場合は2週間に1回、たまに使用する程度でも月に1回が目安です。
フィルター自動お掃除機能が付いている機種の場合、フィルターの掃除は基本的に不要ですが、ダストボックスの掃除は必要です。取扱説明書をよく読み、正しい手順でメンテナンスを行いましょう。
室外機の周囲を片付ける
エアコンの冷房運転時は、室内の空気を取り込んだ後、室外機から熱のみ放出して冷えた空気を室内に戻しています。
室外機の周囲に物が置いてある場合、熱がうまく排出できなくなり、冷房の効きが悪くなりかねません。室外機の周囲はきれいに片付けましょう。
また、エアコンの室外機に直射日光が当たると、熱交換の効率が下がり、冷房効果が落ちてしまいます。室外機カバーやすだれ・よしずなど、日除けアイテムを活用しましょう。
短時間の外出時はつけっぱなしにする
エアコンが最も電力を消費するタイミングは、電源を入れてから設定温度に達するまでの間です。この時間が長ければ長いほど、強運転の時間が長くなるため、エアコンの電気代が高くなります。
外出時にエアコンをつけっぱなしにするかどうか考える際は、外出中にどのくらい室温が変わるかを予想することが重要です。
短時間の外出時は基本的につけっぱなしがおすすめですが、外がそれほど暑くない場合は、エアコンを切っても室温が上がりにくいため、つけっぱなしにする必要はありません。
逆に外が35℃を超えるような暑さなら、短時間の外出でも室温はすぐに上がります。帰宅後に電源を入れると、設定温度に達するまで時間がかかるため、つけっぱなしがおすすめです。
なお、長時間の外出時は外気温に関係なく、電源を切ってから出かけましょう。
扇風機とエアコンは併用がおすすめ
扇風機とエアコンの節約方法を個別に紹介してきましたが、どちらも併用すれば節約効果をより高められます。扇風機とエアコンを併用するメリットやコツをご紹介します。
扇風機とエアコンを併用するメリット
扇風機とエアコンを一緒に使えば、より短時間で室温を下げられます。エアコンのみの場合は空気が冷えるまで時間がかかりますが、扇風機で室内の空気が循環されれば、設定温度に達するまでの時間を短縮できます。
扇風機により体感温度が下がることもポイントです。体感温度が下がればエアコンの設定温度を下げすぎずに済むため、電気代の節約を図れます。
扇風機とエアコンを同時に使っても、電気代が大きく増える心配はありません。扇風機にかかる電気代が非常に安いうえ、エアコンの設定温度を上げられるため、逆に同時使用のほうがトータルコストを抑えられる可能性があります。
扇風機とエアコンの効果的な併用方法
扇風機とエアコンを併用する場合は、エアコンの風下に扇風機を置くと、冷気を部屋全体に効率よく送れます。エアコンから出た冷気を、扇風機がより遠くまで送ってくれます。
扇風機の首を振るとエアコンの風が散らばり、冷たい空気が十分に循環しません。扇風機の首は固定し、一定の方向に風を流し続けるのがポイントです。
扇風機に関するよくある疑問
扇風機の使用を考える際に生じがちな疑問と回答をご紹介します。本格的な夏を迎える前に、ひと通り目を通しておきましょう。
扇風機とサーキュレーターの違いは?
扇風機とサーキュレーターはどちらも風を出すアイテムですが、使用目的が異なります。扇風機の目的は涼を取ること、サーキュレーターの目的は室内の空気を循環させることです。
例えば、サーキュレーターは直線的な強い風を出すため、就寝時に使用すると体調を崩す恐れがあります。就寝時は扇風機を使うのがおすすめです。
扇風機をつけっぱなしで使っても大丈夫?
扇風機は風を直接体に受けて涼むものですが、電気代が安いからといって風に直接当たりすぎると、体が冷えすぎて体調を崩す恐れがあります。
首振り機能を使ったり体から離したりして、風に当たり続けることがない状態で使うのがポイントです。就寝時に使う際はタイマーを設定しましょう。
扇風機の電気代はエアコンより安い
扇風機はエアコンに比べ消費電力がかなり低いため、電気代も大幅に抑えることが可能です。ただし、エアコンの送風機能を使えば、扇風機より電気代が安くなることもあります。
扇風機とエアコンは併用するのがおすすめです。より早く室温を下げられるほか、エアコンの設定温度を高めに保つことにもつながります。扇風機とエアコンを上手に使い、厳しい夏を快適に乗り切りましょう。
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