暑さを和らげたいときに昔から多くのご家庭で使われている定番アイテムが「扇風機」です。
暑い季節になると1日中利用したいと思う方もいらっしゃることでしょう。扇風機はエアコンと比べ体を冷やすことも少なく、長い時間でも利用しやすい空調家電です。しかし、実際に扇風機を長時間使用すると電気代はどれくらいかかるのか、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、扇風機の電気代をエアコンと比較しながら詳しく解説します。空調家電の電気代を節約する方法などもあわせてご紹介していますので参考にしてください。
扇風機の電気代はどれくらい?
毎月の電気代はきちんとチェックしていても、そのうち扇風機にいくらかかっているかまで把握できている方は少ないでしょう。以下では、例を挙げながら扇風機の電気代の計算方法をご紹介します。
電気代の計算方法
扇風機の電気代を調べる前に、まずは一般的な電化製品の電気代を調べる計算方法を正しく理解しておきましょう。電化製品の電気代を計算する際に必要となる情報は「消費電力」と「電気料金単価」です。
1時間あたりの電気代は「1時間あたりの消費電力(kWh)×電気料金単価(kWh/円)」で算出できます。
電気代を計算する際の注意点は単位をそろえることです。消費電力は「W(ワット)」ではなく「kW(キロワット)」に換算し、電気料金単価は1kWh(キロワットアワー)あたりの金額を使用します。
kWhとは1時間に消費する電力量です。
通常、消費電力は電化製品に貼られたシールや本体表示などに記載されています。
一方、電気料金単価は毎月の使用量を知らせる検針票(電気ご使用量のお知らせ)や電力会社が公開している料金表などで確認できます。
扇風機の1時間あたりの電気代
扇風機も一般的な電化製品と計算方法は変わりません。扇風機の1時間あたりの電気代も消費電力に電気料金単価を掛けることで算出できます。
具体的に、消費電力が40Wの設定で扇風機を1時間使用したケースを例に計算してみましょう。
電気料金単価は電力会社との契約内容により異なりますが、ここでは1kWhあたり27円/kWhとして計算します。
27円/kWhという金額は、全国家庭電気製品公正取引協議会が電化製品全般に対して示している新電力料金目安単価です。カタログなどで電気代の例が紹介されている場合、一般的にこの目安単価を使って計算しています。
計算式に当てはめる際には、まず単位を合わせるために消費電力40Wを0.04kWとします。これに電気料金単価を掛け合わせると1時間あたりの電気代がわかります。
つまり、消費電力40Wの扇風機を1時間使用したときの電気代は、0.04kW×27円/kWh=1.08円となります。
ACモーターとDCモーターの違い
扇風機に使われるモーターは「ACモーター」と「DCモーター」の2種類があります。商品により搭載されているモーターの種類は異なり、性能や使い勝手にも差が出ます。
ACモーターは従来から導入されていたタイプで、電流の向きが常に変わるしくみのモーターです。定期的に電圧のプラスとマイナスが入れ替わることで電流の向きが反転するようになっており、壁コンセントなどにも使用されています。
対してDCモーターは比較的新しく採用されたタイプで、電流の向きが常に一方向の直流電流により動くモーターです。
DCモーターの扇風機はACモーターの扇風機よりも風量設定を細かく調整しやすく、「弱」よりも弱い「微風」なども作れる点が特長です。ACモーターを使った扇風機よりも販売価格は高い傾向にあります。
一方、電気代はACモーターのほうがDCモーターよりも高いことが一般的です。商品によっては10倍ほどの料金差が出る場合もあります。
⇒扇風機の電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
扇風機とエアコンの電気代はどちらが安い?
扇風機と同様、多くの方に利用されている空調家電がエアコンですが、電気代は扇風機と比べてどちらが安いのでしょうか。
結論からいうと、同じ時間の使用であればエアコンよりも扇風機のほうが安くなります。例として、8畳の部屋で使用したときの扇風機とエアコンの電気代を比べてみましょう。
電気料金単価は使用する電化製品によって変わることがないため、ここでは1kWhあたり27円/kWhとして計算します。
まずエアコンの場合、消費電力が600Wのタイプを使用したとすると、1時間あたりの電気代は0.6kW(600W)×27円/kWh=16.2円です。
対する扇風機の場合、ACモータータイプを「強」の風量設定で使用したと仮定し消費電力35Wで計算すると、1時間あたりの電気代は0.035kW(35W)×27円/kWh=0.945円です。
このように同じ1時間の使用でも、エアコンの電気代は扇風機の約17倍(16.2÷0.945)にもなります。使用する商品によって消費電力が異なるため一概には言えませんが、扇風機のほうが時間あたりの電気代は安くなります。
上手く使い分けることで節約に
電気代を節約するためには扇風機だけを使う方法が有効ですが、実際には扇風機とエアコンを上手く使い分ける方法が現実的です。
扇風機だけでは暑さに耐えられなかったり、直接風に当たって涼を取ろうとすると思うように動きが取れなかったりして生活しにくい場面が出てきます。
例えば、暑さが厳しい時間帯やあまり風がないときだけエアコンを使用し、朝晩など気温が下がったときや室内に風が通るときなどは扇風機を使うと効率的でしょう。1日中エアコンを使用した場合と比べて、エアコンよりも電気代が安い扇風機を使う分だけ電気代を抑えられる節約術です。
先述の8畳の部屋で使用したときの例では、1時間あたりの電気代はエアコンが16.2円、扇風機が0.945円で、その差は15.255円でした。
仮に毎日8時間エアコンを使っていたとしたら、1日2時間だけエアコンを扇風機に替えて使用するだけで、1年間で約1万円の節約(15.255×2時間×365日)ができることになります。
暖房や除湿機との併用も効果的
扇風機を使用する節約術として、エアコン以外に除湿機や暖房と併用する方法もあります。
まず、扇風機を除湿機と併用すると効果的なシーンは洗濯物の室内干しをするときです。
洗濯物を少しでも早く乾かすためには湿気を取り除く除湿機の利用が便利ですが、一般的なコンプレッサー式で消費電力180Wだとすると、除湿機の電気代は1時間あたり約5円かかります(0.18kW×1h×27円/kWh)。そこで、除湿機よりも電気代が安い扇風機を積極的に活用し、電気代を節約する方法がおすすめです。扇風機で風を当てると洗濯物の間に空気が通って乾きが早くなり、洗濯物が乾くまでの時間を短くできるため電気代を抑えられます。
一方、扇風機は冬の寒い時期に暖房と併用するのもおすすめです。扇風機というと涼しくするための空調家電というイメージがあります。しかし扇風機は涼を取るだけでなく空気の流れをつくる機能もあるため、暖房と併用すれば暖気を室内に循環できるため部屋が効率よく暖まり、暖房代の節約につながります。
扇風機とエアコンの電気代については、こちらの記事で詳しく比較していますので合わせてご覧ください。
⇒扇風機VSエアコン、電気代が安いのはどっち!?節約&併用のコツとは?
扇風機とサーキュレーターは何が違う?
空気を動かす空調家電には扇風機以外にサーキュレーターもあります。一見すると似たデザインの商品もあるため、何が違うのか正確に把握できていない方もいることでしょう。
サーキュレーターと扇風機では利用目的が異なります。
サーキュレーターは空気を循環させることが目的で、扇風機は涼を取ることに主眼を置いたものです。サーキュレーターは羽根が小さく、扇風機よりも強い風が直線的に出るため、風が遠くまで届きます。一方、扇風機は羽根が大きく、風が広がって出るつくりです。
暑さを和らげるために使用する場合、エアコンを使わないのであればサーキュレーターより扇風機の使用がおすすめです。
サーキュレーターだと強い風が直接体に当たるため、人によっては不快に感じることがあります。一方、エアコンと併用して使う場合には、エアコンからの涼風を効率よく室内に循環できるサーキュレーターが便利です。
扇風機はつけっぱなしでも大丈夫?
扇風機はエアコンなどと比べて電気代が安いため、長時間使用しても家計への大きな負担にはなりません。ただし、使い方によっては健康に良くない場合もあるため注意が必要です。
暑いと汗をかきますが、この汗の水分が蒸発するときに熱が奪われ、体温が下がります(気化熱)。扇風機は人間の体表面を覆っている湿気の多い空気を吹き飛ばし、乾いた空気と入れ替えることで汗などの水分の蒸発を促進し、体温を下げるしくみとなっています。
ある程度涼しくなったら風量を弱める、上着を羽織るなど、自分で調整できるときであれば扇風機をつけっぱなしにしていても問題はありません。
しかし、扇風機の風にあたりすぎるとどんどん体温が低下し、健康を害するおそれがあるので、長時間の使用は控えたほうがよいでしょう。
空調家電の電気代を節約する方法
空調家電の電気代は部屋の数や広さ、季節などにより変わります。ただし、節約に力を入れるあまりで、暑さを我慢して空調家電を使用しないといった行動は熱中症などのリスクがあるため要注意です。
ここでご紹介する方法を参考にしながら、空調家電を上手に使用して電気代の節約に取り組みましょう。
部屋の断熱対策をする
電気代の節約をしたいなら、エアコンなどで調整した室温を保つことが季節を問わず重要です。冷気や熱気は扉や窓が閉ざされた状態でも少しの隙間から部屋の内外へ出入りします。
また、夏であれば窓ガラスなどから差し込んだ日光の熱によって室内の気温が上がることもあるため気をつけなければなりません。空調家電で調整した室温を維持するためには断熱対策が効果的です。
自分で気軽にできる断熱対策としては窓に緩衝材や断熱シートを貼る、遮熱効果のあるカーテンを使用するなどの方法があります。また、窓などに隙間ができている場合には、気密性を高めるために隙間を埋めるテープを貼るのも効果的です。夏であれば窓の外にサンシェードやすだれを取り付けるのもよいでしょう。
エアコンのフィルターを定期的に清掃する
エアコンは長く使用するとホコリがフィルターにたまって目詰まりを起こすことがあります。目詰まりを起こしたフィルターをそのまま使い続けると、風の通りが悪くなって稼働効率が落ち、電気代が無駄にかかる場合があるため気をつけなければなりません。
エアコンの稼働効率を維持するためには定期的なフィルターの清掃が必須です。清掃するタイミングは使用頻度などにもよりますが、2週間に一度を目安にするとよいでしょう。
さらに、エアコン本体のみならず室外機のお手入れも電気代を節約するためには大事です。清掃する箇所は屋内外の空気の出入り口となる吹き出しグリルや熱を交換するフィン、エアコン内の結露を排出する水抜き穴(ドレンホース)などで、清掃の頻度は1~2年に一度を目安とします。
エアコンの電源はこまめにオンオフしない
エアコンの電気代を節約しようと電源をこまめに消す方もいらっしゃいますが、30分~1時間程度の外出であればつけたままにしたほうが電気代を安くできることがあります。エアコンは室内温度と設定温度に差があるときに起動すると消費電力が大きくなり、電気代が高くなるため要注意です。
例えば、夏にエアコンの設定温度を28度にしてつけっぱなしの状態で外出したとします。この場合、帰宅しても室温は28度を維持しているはずです。
しかし、一度電源をオフにして外出し、帰宅したときに35度まで室温が上がっていたら、エアコンの再起動時に35度から28度まで室温を下げるために電力を多く消費します。室内温度と設定温度の差が大きいときは、エアコンの電源を短時間でつけたり消したりしないように気をつけましょう。
契約アンペア数を下げる
電気の料金体系は電力会社によって異なりますが、多く利用されているのが「アンペア制」です。アンペア(A)とは電流の単位を表し、契約時には10A、20A、30Aのように区分されています。使用する電気量が多い場合はアンペア数を大きく、少ない場合は小さくといったように、必要な使用量に合ったアンペア数を選び契約できるのがアンペア制です。
基本料金は契約したアンペア数ごとに決められており、アンペア数を下げると基本料金を安くできます。ただし、自分が必要とする電気量を確保できないアンペア数で契約すると、ブレーカーが落ちてしまう可能性があるため注意しましょう。
契約するのに適したアンペア数は家族構成や電化製品の多さなどによって変わりますが、一般的には電気の使用量が少ない場合は30A以下、多い場合には40A以上が目安です。
契約アンペア数を下げたいときには契約している電力会社にアンペア数変更の申し出をします。電気メーターのタイプによってはアンペアブレーカーの取り替え工事が必要となる場合もあるため事前に確認するとよいでしょう。
電気料金プランの見直しで電気代を節約できる
電気代は日々の工夫でも節約できますが、お得なプランや電力会社に乗り換えれば効率よく継続して電気代を安くすることが可能です。
かつては、利用できる電力会社が地域ごとに決められている状況でした。しかし、2016年4月に電力自由化がスタートしたことにより、個人が自由に電力会社を選べるようになっています。
また、電力自由化に伴い、「新電力」が増えて電力会社の選択肢も多くなりました。新電力とは電力自由化を機に新しく電力の販売を始めた会社のことをいいます。新電力の中には、ほかのサービスと併用するとお得になるプランを用意しているところもあります。
新電力であっても、電力自由化前から販売していた電力会社と比べて電気の質や安定性に問題があるわけではありません。
誰でも利用できるため、数ある電力会社やプランの中から自分に合ったお得なものを上手に選び、状況に応じて切り替えるとよいでしょう。ただし、契約内容によっては契約解除料が発生する場合もあるため注意が必要です。
まとめ
扇風機の電気代やエアコンとの比較について紹介してきました。
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Looopでんきをご利用いただいているお客さまの声を紹介します。
(30代 / 女性 / 3人暮らし)
基本料金がかからないので、大きいアンペアで契約していてもお得感がある。
でんき予報などアプリが充実していて、自分の使い方で料金を安くすることも出来る。
(40代 / 男性 / 1人暮らし)
明らかに他社より安くなるし、色々なイベントもあり楽しい。基本料金が無いのも魅力です。
まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。