電気ヒーターは狭い範囲を短時間で暖めるのに適した暖房器具です。さまざまな種類があるため、自宅に導入する際は特徴や電気代を比較して選びましょう。電気ヒーターの種類とそれぞれの特徴・電気代、節約する方法をご紹介します。
電気ヒーターの種類と電気代
電気ヒーターは種類ごとに暖める仕組みが異なり、使うのに適した状況も変わります。自宅に導入する製品を選ぶ際は、各種類の特徴を把握しておくことが大切です。
ここでは、電気ヒーターの種類と特徴・電気代をご紹介します。例に取る製品の電気代は、次の式で計算しています。
1時間あたりの電気代=消費電力(W)÷1,000×料金単価(円/kWh)
2024年11月現在における電気料金の目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWh(税込)です。また、1日あたりの使用時間は8時間、1カ月30日と仮定して算出します。
※出典: よくある質問 Q&A カタログなどに載っている電力料金の目安単価とは何ですか?|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
以下の表に、主要な電気ヒーターの消費電力、1カ月あたりの電気代、および特徴をまとめました。
電気ヒーター種類別の比較表
ヒーターの種類 | 消費電力 | 1カ月あたりの電気代 | 特徴 |
---|---|---|---|
ハロゲンヒーター | 800~1,200W | 約5,952~8,928円 | 速暖性があり本体価格が安いが、暖房能力は控えめ |
カーボンヒーター | 450~900W | 約3,348~6,696円 | 素早く暖まるが本体価格は高め |
シーズヒーター | 600~1,200W | 約4,464~8,928円 | しっかり暖まるが本体価格は高め |
セラミックファンヒーター | 625~1,250W | 約4,651~9,300円 | 軽量コンパクトで速暖性が高いが、乾燥しやすい |
パネルヒーター | 160~1,000W | 約1,190~7,440円 | デザイン性が高く省エネだが、速暖性は低い |
この表を参考に、部屋の広さや使用目的に適した電気ヒーターを選んでみてください。それぞれの特徴については、以降で詳しく解説します。
ハロゲンヒーター
ハロゲンヒーターは、ハロゲンランプから遠赤外線を放出するタイプの暖房器具です。速暖性に優れており、本体価格が比較的安いメリットもあります。
一方、カーボンヒーターやシーズヒーターに比べ遠赤外線の放出量が少なく、暖房能力がやや低いことがデメリットです。
モデル名:PH-1212(テクノス)
消費電力:800W、1,200W
消費電力800Wの場合:
- 1時間あたりの電気代:0.8kW×31円/kWh=約24.8円/h
- 1カ月あたりの電気代:24.8円/h×8h×30日=約5,952円/月
消費電力1,200Wの場合:
- 1時間あたりの電気代:1.2kW×31円/kWh=約37.2円/h
- 1カ月あたりの電気代:37.2円/h×8h×30日=約8,928円/月
※出典: 直管型ハロゲンヒーター 400W管3灯PH-1212(W) - TEKNOS (テクノス) 生活必需品ブランド|株式会社千住
⇒ハロゲンヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
カーボンヒーター
現在の電気ヒーターの主流はカーボンヒーターです。放出する遠赤外線量が多く、電源を入れるとすぐに暖かくなるため、体を素早く温めたい方に適しています。
カーボンヒーターのデメリットは、本体価格が比較的高いことです。ただし、価格帯に大きな幅があるため、予算に合った製品を選びましょう。
モデル名:DC-W093(山善)
消費電力:450W、900W
消費電力450Wの場合
- 1時間あたりの電気代:0.45kW×31円/kWh=約13.95円/h
- 1カ月あたりの電気代:13.95円/h×8h×30日=約3,348円/月
消費電力900Wの場合:
- 1時間あたりの電気代:0.9kW×31円/kWh=約27.9円/h
- 1カ月あたりの電気代:27.9円/h×8h×30日=約6,696円/月
※出典: 商品情報_カーボンヒーター(900/450W) | 山善の商品情報サイト | YAMAZEN BOOK
⇒カーボンヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
シーズヒーター
シーズヒーターは、金属で囲まれたニクロム線から遠赤外線を放出する暖房器具です。遠赤外線の放出量が特に多く、しっかりと体を温められます。
一方、暖かくなるまでに約1~2分かかるため、すぐに暖を取れるわけではありません。本体価格が高い点にも注意が必要です。
モデル名:DBW-SEJ12(山善)
消費電力:600W、1,200W
消費電力600Wの場合:
- 1時間あたりの電気代:0.6kW×31円/kWh=約18.6円/h
- 1カ月あたりの電気代:18.6円/h×8h×30日=約4,464円/月
消費電力1,200Wの場合:
- 1時間あたりの電気代:1.2kW×31円/kWh=約37.2円/h
- 1カ月あたりの電気代:37.2円/h×8h×30日=約8,928円/月
セラミックファンヒーター
セラミックで加熱された温風をファンで送り出す暖房器具がセラミックファンヒーターです。軽量かつコンパクトな製品が多く、どこでも手軽に使えます。
速暖性に優れており、電源を入れるとすぐに暖を取れますが、広い部屋を暖めるのには向きません。また、温風を出すため空気が乾燥しやすいデメリットもあります。
モデル名:PCH-HM12B-W(アイリスオーヤマ)
消費電力:625W、1,250W
消費電力625Wの場合
- 1時間あたりの電気代:0.625kW×31円/kWh=約19.38円/h
- 1カ月あたりの電気代:19.38円/h×8h×30日=約4,651.2円/月
消費電力1,250Wの場合
- 1時間あたりの電気代:1.25kW×31円/kWh=約38.75円/h
- 1カ月あたりの電気代:38.75円/h×8h×30日=約9,300円/月
※出典: 大風量 セラミックファンヒーター 加湿機能 人感センサー イオン搭載 PCH-HM12B-W ホワイト H298639 │アイリスプラザ│アイリスオーヤマ公式通販サイト
⇒セラミックヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
パネルヒーター
パネルヒーターは、パネルに組み込まれた電熱線を加熱して周囲を暖める暖房器具です。大型と小型の2タイプがあります。
ほかの暖房器具にはないデザイン性を備えており、インテリアになじみやすいでしょう。ただし、空気をゆっくりと暖めていくため、すぐに温まりたい場合には不向きです。
<大型タイプ>
モデル名:YMILL-1000ATIM(山善)
消費電力:1,000W
- 1時間あたりの電気代:1kW×31円/kWh=約31円/h
- 1カ月あたりの電気代:31円/h×8h×30日=約7,440円/月
<小型タイプ>
モデル名:DP-SB1610(山善)
消費電力:160W
- 1時間あたりの電気代:0.16kW×31円/kWh=約4.96円/h
- 1カ月あたりの電気代:4.96円/h×8h×30日=約1,190.4円/月
※出典: パネルヒーター YMILL-1000ATIM/1001ATIM mill | 山善ビズコム オフィス用品/家電/屋外家具の通販 山善公式
※出典: 商品情報_薄型ミニパネルヒーター | 山善の商品情報サイト | YAMAZEN BOOK
⇒パネルヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
電気ヒーター以外の暖房器具の電気代
電気ヒーターはほかの暖房器具に比べ、電気代が高いのでしょうか。代表的な暖房器具の電気代を計算し、電気ヒーターと比較してみましょう。
他の暖房器具の電気代比較表
暖房器具の種類 | 消費電力 | 1カ月あたりの電気代 |
---|---|---|
電気ヒーター | 160~1,250W | 約1,190~9,300円 |
エアコン | 470W | 約3,497円 |
ホットカーペット | 60W | 約240円 |
こたつ | 100〜200W | 約600〜1,200円 |
電気ヒーターは速暖性が高く便利ですが、消費電力の範囲が広く、選ぶ製品によって電気代が大きく異なります。
一方で、エアコンは広い部屋を均一に暖めることに適しており、こたつやホットカーペットは局所的に暖を取るのに向いています。
それぞれの暖房器具の特徴やメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
エアコン
エアコンは一般的な電気ヒーターと違い、広い空間を均一に暖められる暖房器具です。冷房としても使えるメリットもあります。
エアコンのデメリットは、温風により空気が乾燥しやすいことや、スイッチを入れてから室内が十分に暖まるまで時間がかかることです。
モデル名:RAS-AJ22N(日立)
※6畳用
消費電力(暖房時):470W
- 1時間あたりの電気代:0.47kW×31円/kWh=約14.57円/h
- 1カ月あたりの電気代:14.57円/h×8h×30日=約3,496.8円/月
電気代を比較すると、電気ヒーターの方がエアコンより高い傾向があります。
※出典: ルームエアコン AJシリーズ : 住宅設備用エアコン : 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
⇒エアコン暖房の電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
ホットカーペット
床に敷いて使うホットカーペットは、触れた部分を直接温める暖房器具です。部分的に暖を取るのに適していますが、エアコンのように部屋全体を暖める効果は期待できません。
モデル名:YMM-W60BTH(山善)
※60×60cm
- 1時間あたりの電気代:約1.0円/h
- 1カ月あたりの電気代:約1円/h×8h×30日=約240円/月
ホットカーペットは電気ヒーターより電気代を抑えることが可能です。ただし、消費電力や使用面積により電気代は変動します。
※出典: 商品情報_ホットマット(60×60cm) | 山善の商品情報サイト | YAMAZEN BOOK
⇒ホットカーペットの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
こたつ
ホットカーペットと同様、こたつも体を局所的に温められるのが特徴です。机としても使える一方、場所を取るデメリットもあります。使い方が限定されるため、ほかの暖房器具と併用すれば、より効率的に暖を取れるでしょう。
モデル名:EYC-105752(山善)
- 1時間あたりの電気代:約2.5円(弱)、約5円(強)
弱設定の場合:
- 1カ月あたりの電気代:2.5円/h×8h×30日=約600円/月
強設定の場合:
- 1カ月あたりの電気代:5円/h×8h×30日=約1,200円/月
こたつは消費電力が低く、暖房器具の中では電気代が安い部類に属します。
※出典: 商品情報_カジュアルテーブルこたつ | 山善の商品情報サイト | YAMAZEN BOOK
⇒こたつの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
電気ヒーターの特徴
電気ヒーターの導入を検討しているなら、暖房器具としての特徴を考慮することが大切です。購入を迷っている方は、電気ヒーターのメリット・デメリットを把握し、自宅に合う暖房器具かどうかを判断しましょう。
電気ヒーターのメリット
電気ヒーターはエアコンより本体価格が安く、エアコンを使っていない場合は導入費用を抑えられます。10,000円以下で購入できるものもあるため、エアコンと併用するケースでも、本体価格で選べばほかの暖房器具より購入しやすいでしょう。
安全性が高いことも電気ヒーターのメリットです。ガスや灯油を使わないため空気が汚れにくく、定期的に換気する必要がありません。
ファンを使わないタイプの電気ヒーターなら、運転音も抑えられます。小さな子どもがいる部屋や寝室など、静かに過ごしたい場所で使いやすいでしょう。
また、速暖性が高いことや持ち運びできる製品があることも、一般的な電気ヒーターのメリットとして挙げられます。
電気ヒーターのデメリット
電気ヒーターは狭い部分を暖めるのに適した暖房器具です。部屋全体を暖められる製品もあるものの、基本的に広い部屋で使うのには向きません。
また、電気ヒーターは暖房器具の中では消費電力が高めです。長時間使用すると電気代が高くなるため、節約するなら使い方を工夫する必要があるでしょう。
電気ヒーターの電気代の節約方法
電気ヒーターは消費電力が高く、何も考えずに使うと電気代が上がってしまいます。電気ヒーターの電気代をできるだけ安くするポイントを見ていきましょう。
狭い場所で使う
局所的に暖を取るのに向く電気ヒーターは、狭い場所で使うのがおすすめです。即暖性が高いことも考慮すれば、長時間いるわけではない場所で使うのに適しています。
脱衣所やトイレで電気ヒーターを使えば、素早く暖を取れるため寒い思いをせずに済みます。家の中で使い回す場合は、持ち運びしやすい製品を選びましょう。
エアコンと併用する
速暖性が高い電気ヒーターを、室内が暖まるまで時間がかかるエアコンと併用すれば、効率良く暖を取れます。
エアコンで部屋が暖かくなるまで電気ヒーターを使い、部屋が暖まった時点で電気ヒーターを切れば、長時間使用で電気代が高くなるのも防げるでしょう。
省エネ機能が搭載されたモデルを選ぶ
人感センサー・出力調整・タイマー機能など、省エネ機能が搭載された電気ヒーターは、消費電力を抑えながら効率的な暖房を提供します。
近年の製品には省エネ機能が搭載されたものが多いため、製品を選ぶ際は機能もチェックしましょう。また、古いモデルを使い続けている場合も、最新モデルに買い替えることで電気代の大幅な節約を期待できます。
料金プランや電力会社を見直す
電気代の節約を図るなら電力会社の見直しも重要です。現在の契約プランが最適かどうかを確認し、より安価なプランや新しい電力会社への乗り換えを検討することで、電気代を抑えられる可能性があります。
2016年の電力小売自由化により、消費者は電力会社を自由に選べるようになりました。電力会社の見直しを一度も考えたことがないなら、ほかの電力会社のプランも見てみるとよいでしょう。
電気ヒーターの電気代を賢く節約
電気ヒーターにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。メリット・デメリットを把握することが、自宅に適した製品選びのポイントです。
また、電気ヒーターの電気代は使い方次第で安くなります。節約を図りたいなら、新しいモデルへの買い替えや電力会社の変更も検討しましょう。
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まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。