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家庭用のエアコンを処分する際、排出者はリサイクル料金を支払わなければなりません。処分方法によっては収集・運搬料金が加算される可能性があります。料金の詳細や支払い方法、お金をかけずに処分するポイントを解説します。

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エアコン処分にはリサイクル料金がかかる

不要になった家庭用のエアコンは、粗大ごみでの処分ができません。家電リサイクル法で処分方法が決められており、処分時には「リサイクル料金」を支払う必要があります。なぜ、消費者がリサイクル料金を負担しなければならないのでしょうか?

リサイクル料金って何?

リサイクル料金は、特定家庭用機器再商品化法(以下、家電リサイクル法)に基づき、消費者が負担しなければならない料金です。

家電リサイクル法では、廃棄物の削減と資源の有効活用を推進するために、家電小売店に引き取り・引き渡しの義務を、家電メーカーにリサイクルの義務を課しています。

排出者は、処分時に「収集・運搬にかかる費用」と「再商品化にかかるリサイクル料金」を負担しなければなりません。対象となる電化製品は、以下の4品目です。

  • エアコン
  • テレビ
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • 洗濯機・衣類乾燥機

家電リサイクル法の対象機器をチェック

エアコンは家電リサイクル法の対象家電ですが、すべてのエアコンが該当するわけではありません。家庭用エアコンのうち、対象となるのは以下の機器です。

  • 壁掛け形のセパレート形
  • 壁掛け形ガスヒーターエアコン
  • 壁掛け形ハイブリッドエアコン(ガス・石油・電気併用エアコンなど)
  • マルチエアコン(室内機は壁掛け形・床置き形が対象)
  • 床置き形セパレートエアコン
  • 床置き形ハイブリッドエアコン(石油、ガス、電気併用エアコン等)
  • ウィンド形エアコン

天井や壁に埋め込むタイプのエアコンや天つり型のセパレートエアコン、スポットエアコンなどは対象外です。処分時は「家電リサイクル券センター」のWebサイトで対象機器を確認しましょう。

ワイヤレスリモコンや取付金具、商品同梱の工事部材などは、エアコンと一緒に引き取ってもらえます。

※出典:RKC 一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター

料金はメーカーごとに異なる

エアコンのリサイクル料金は家電メーカー(製造業者)ごとに異なります。一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センターの「再商品化等料金一覧」を見ると、一部のメーカーを除いて、ほとんどが990円(税込)または2,000円(税込)です。

  • 料金が990円のメーカー:シャープ・ダイキン工業・東芝ライフスタイル・パナソニック・富士通ゼネラル・三菱電機など
  • 料金が2,000円のメーカー:アイリスオーヤマ・エスケイジャパン・ソニー・ダイエー・三洋ハイアールなど

リサイクル料金の支払い方式

家電リサイクル法では、家電リサイクル券の購入によってリサイクル料金を支払う「家電リサイクル券システム」が導入されています。主な料金の支払い方法は、「料金販売店回収方式」と「料金郵便局振込方式」です。

料金販売店回収方式

料金販売店回収方式とは、家電小売店を通じてリサイクル料金を支払う方式です。家電小売店から「家電リサイクル券(通称、グリーン券)」が発券されるため、エアコンを引き渡した上で指定の料金を支払います。

  • エアコンを買い替える場合:新たに購入する家電小売店に依頼
  • エアコンの処分のみをする場合:処分するエアコンを購入した家電小売店、または近くの家電小売店に依頼

エアコンを購入した家電小売店が家電リサイクル券センターに加入していない場合、家電リサイクル券が発券できません。次に紹介する「料金郵便局振込方式」で家電リサイクル券を発券し、自分で指定引取場所に持ち込む流れになります。

料金郵便局振込方式

料金郵便局振込方式は、郵便局に備え付けられた家電リサイクル券(通称、郵便局券)を使用する方法です。エアコンを指定取引場所に自分で運搬する際や、収集・運搬をする事業者から指示があった際に選択します。

家電リサイクル券に必要事項を記入した後、「払込書」を切り離し、郵便局またはATMで料金を支払います。家電リサイクル券センターのWebサイトで以下の情報を調べておきましょう。

  • 製造業者等名コード(3桁)
  • 品目・料金区分コード(2桁)
  • リサイクル料金(税込)
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エアコンの主な処分方法

リサイクル料金の支払い方法は2パターンですが、エアコンの処分方法は複数あります。購入店や業者に引き取ってもらう方法が楽ですが、費用を少しでも節約したい場合は自分で指定引取場所に持ち込む手もあります。

購入店に引き取ってもらう

家電リサイクル法では、家電小売店に廃家電の引き取り義務が課せられています。

特段の理由がない限り、「過去に販売した廃家電の引き取りを求められたとき」および「買い替え時に同じ種類の廃家電の引き取りを求められたとき」は、廃家電の引き取りを拒否できないのが原則です。

家電小売店に引き取りを依頼すると、リサイクル料金のほかに以下の費用がかかる可能性があります。リサイクル料金は、料金販売店回収方式で支払うのが基本です。

  • 収集・運搬料
  • 出張料
  • 取り外し作業料

自分で指定引取場所に運搬する

自分でエアコンの取り外しができる方は、自力で指定引取場所に運搬する方法もあります。収集・運搬料や出張料がかからないため、負担する費用はリサイクル料金のみです。

料金郵便局振込方式で料金を支払った後、「処分するエアコン」と「支払い済みの家電リサイクル券のつづり一式」を持って指定取引場所に行きます。

最寄りの指定取引場所および営業日は、家電リサイクルセンターのWebサイトで検索しましょう。大型トラックが出入りしているため、係員の指示に従って運搬を行います。

※出典:指定引取場所のご案内|一般財団法人家電製品協会家電リサイクル券センター

自治体に回収を依頼する

自治体が委託する回収業者に収集・運搬を依頼する方法もあります。委託業者の紹介を行っているかどうかは自治体によって異なるため、窓口に問い合わせるか、Webサイトで確認しましょう。リサイクル料金のほかに、収集・運搬料金がかかります。

東京23区の場合、「家電リサイクル受付センター」で回収の申し込み(電話・Web)を受け付けています。収集当日は作業員にエアコンを引き渡し、リサイクル料金と収集・運搬料金を現金で支払う流れです。

横浜市の場合、「横浜家電リサイクル推進協議会」が窓口です。リサイクル料金の支払い方法は、銀行振込(事前)または現金払い(当日)のいずれかを選択できます。

※出典:東京23区家電リサイクル事業協同組合

※出典:横浜家電リサイクル推進協議会 横浜市

不用品回収業者を利用する

不用品回収業者に依頼するメリットは、指定した日時に自宅まで直接引き取りに来てくれる点です。収集・運搬料金や出張料金などがかかりますが、エアコン以外の処分も依頼できるので時間や手間が省けます。

なお、一般家庭から出る廃棄物の収集・運搬には「一般廃棄物処理業の許可」や「市区町村からの委託」が必要です。

「産業廃棄物処理業の許可」のみで、一般家庭の不用品を回収する行為は違法になります。無料回収すると言われても、無許可の業者にはくれぐれも引き渡さないようにしましょう。不法投棄や不適正処理が行われる恐れがあります。

リサイクル料金を払わずに済む方法は?

エアコンの状態によっては、リサイクル料金を支払わずに手放す方法もあります。すぐに処分してしまわずに、ほかの誰かに使ってもらう「リユース(Reuse)」も検討しましょう。リサイクルもリユースも地球環境の負荷の軽減につながります。

製造から5年以内なら買取を検討

製造から5年以内のエアコンであれば、リサイクルショップで買い取ってもらえる可能性が高いでしょう。リサイクル料金がかからない上、状態によっては数千円~数万円の現金が手に入ります。高値で取引できるエアコンの条件は以下の通りです。

  • 製造から5年以内
  • 故障や不具合がない
  • 付属品がすべてそろっている
  • 日焼けや汚れがない
  • 国内ブランド
  • ペットや喫煙者がいない環境で使用している

買取を依頼する際は、自分でエアコンの取り外しはしないのが原則です。取り外し後は動作確認ができないため、買い取りを拒否される恐れがあります。リサイクルショップ以外の業者に取り外しを依頼した際には、取り外しの証明書や領収書を発行してもらいましょう。

フリマや掲示板サイトで売却する手も

インターネットのフリマサイトや掲示板サイトで買い手を募集する手もあります。壁に穴を開ける必要のない「床置きタイプ」や「窓用タイプ」は比較的高い需要があり、10,000円以上の値が付く場合があります。

壁掛けタイプの需要はゼロではないものの、室外機がある分、送料や梱包費用が高くなるのがデメリットです。運送中に破損するリスクがあるため、対面での引き渡しが理想でしょう。

動作確認や取り外しに立ち会ってもらった方が、引き渡し後のトラブルが少なくなります。

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エアコンの処分時の注意点

法律に従ってエアコンを処分する際、排出者として注意すべきルールがいくつかあります。特に、家で業務用エアコンを使っているご家庭は、処分手順が複雑になります。

「家電リサイクル券 排出者控」は必ず受け取る

料金販売店回収方式の場合、家電小売店や不用品回収業者は、排出者に「家電リサイクル券 排出者控」を発行します。

排出者控には「お問い合わせ管理票番号」の記載があり、家電リサイクル券センターの「引取状況確認システム」で、排出したエアコンがメーカーに引き渡されたかどうかを確認できる仕組みです。

保管義務はありませんが、正しく処理された証明になるため、必ず受け取りましょう。自分で指定引取場所に運搬する場合は、指定引取場所で排出者控を受け取ります。

リサイクル料金を徴収して排出者控を発行しない業者は、違法業者・悪徳業者である可能性が高いといえます。

業務用エアコンは処分手順が異なる

業務用エアコンは、家電リサイクル法の対象ではありません。ご家庭で使っていたエアコンでも、「フロン回収・破壊法(特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律)」に基づいた処理が必要です。

処分は以下の2パターンのいずれかで行います。

  • 産業廃棄物処理業者がフロン回収と処分を一括で行う
  • 第1種フロン類充填回収業者と産業廃棄物処理業者が作業を分担する

業務用エアコンを処分できるのは「産業廃棄物処理業者」です。処分の前に、「第1種フロン類充填回収業者」がフロンの回収を行います。フロン回収時に交付される「引取証明書」がなければ、処分できない点に注意しましょう。

なお、会社や店舗で使用する家庭用エアコンは、家電リサイクル法の対象です。業務用か家庭用かの見分けが付かない場合は、メーカーに問い合わせましょう。

不要なエアコンはルールに従い正しく処分

家庭用のエアコンは家電リサイクル法に基づいて処分する必要があります。第三者に売却をする以外、必ずリサイクル料金がかかることを覚えておきましょう。家電小売店や不用品回収業者に依頼をすると、収集・運搬料金などがプラスされます。

「処分するのにお金がかかるの?」と不満に思う方もいるかもしれませんが、廃棄量を減らし、限りある資源を有効に使うには、排出者の協力が不可欠です。限りある資源を有効に活用するためにも、不要なエアコンはルールに基づいて正しく処分しましょう。

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