近年の電気料金の高騰を受け、エアコンの電気代が気になり始めた方も多いのではないでしょうか。自宅のエアコンの電気代を知れば、節約への意識もより高まるでしょう。エアコンの電気代の計算方法や節約術を解説します。
エアコンの電気代はいくら?
エアコンの電気代は、消費電力や期間消費電力量を用いて計算できます。冷房より暖房の方が電気代が高くなる理由と併せて確認しましょう。
消費電力を用いた計算方法
エアコンの電気代は次の計算式で導き出せます。
消費電力(W)÷1000×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)
エアコンの消費電力は、取扱説明書やカタログを見れば確認できます。また、2024年7月時点での電気料金の目安単価は31円/kWh(税込)です。
「省エネ性能カタログ 2023年版」から、パナソニック エオリアの「CS-LX282D」(冷房能力2.8kW 10畳用)をピックアップし、記載されている消費電力を用いて計算します。
- 消費電力(冷房):515W
- 使用時間:8時間
515W÷1000×8時間×31円/kWh=約128円
このエアコンを冷房で毎日8時間使用した場合、1カ月の電気代は約128円×30日=約3,840円かかることになります。
※出典: よくある質問 Q&A 「カタログなどに載っている電気代はどのようにして算出するのですか?」|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
※出典: 省エネ性能カタログ 2023年版 P26 | 経済産業省
期間消費電力量を用いた計算方法
期間消費電力量とは、エアコンを1年間使用した場合に消費する電力の目安です。エアコンは年間を通して使用しない時期もあるため、1年間の電気代を求めたい場合は期間消費電力量を用いて計算します。計算式は以下の通りです。
期間消費電力量(kWh)×料金単価(円/kWh)
前述のパナソニック エオリア「CS-LX282D」の期間消費電力量は746kWhとなっており、年間の電気代は次のように計算できます。
746kWh×31円/kWh=23,126円
なお、冷房の期間消費電力量と暖房の期間消費電力量を用いて計算すれば、年間の電気代を冷房と暖房に分けて算出することも可能です。算出基準期間は冷房135日・暖房160日に設定されています。
※出典: 省エネ性能カタログ 2023年版 P26 | 経済産業省
冷房より暖房の方が電気代が高くなる理由
省エネ性能カタログの冷房と暖房の期間消費電力量を見てもわかるように、エアコンの電気代は冷房より暖房の方が高くなります。その大きな理由は、夏より冬の方が室温と設定温度の差が大きくなるためです。
例えば以下のケースを比べてみましょう。
- 冷房:室温30℃・設定温度28℃
- 暖房:室温6℃・設定温度20℃
室温と設定温度の差は、冷房で2℃しかないのに対し、暖房では14℃も差があります。室温が設定温度に達するまでの間、エアコンはより多くの電力を消費するため、冷房より暖房の方が電気代が高くなるのです。
エアコンの除湿は冷房より電気代が高い?
エアコンには冷房のほかに除湿機能も備わっていますが、除湿機能の意味をよく理解しないまま使用している方も多いでしょう。冷房と除湿の違いを理解し、上手に使い分けるのがおすすめです。
再熱除湿は冷房より電気代が高くなる
除湿機能には「冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、それぞれ次のような特徴があります。
- 冷房除湿:微弱な冷房運転により湿度を下げる
- 再熱除湿:室内の空気を冷やして除湿し、温度が下がりすぎた空気を温めて室内に戻す
冷房除湿は室温をやや下げつつ、冷房より大きく除湿することが可能です。冷房に比べ電気代も抑えられるため、長時間の運転でも省エネにつながりやすくなります。
一方の再熱除湿は、冷えた空気を再び温めることから、冷房より電気代が高くなります。ただし、除湿効果は冷房除湿より高めです。
このように、同じ除湿でも種類が違うと、電気代が冷房より高くなったり安くなったりします。
特徴を理解して使い分けることが大切
冷房と2種類の除湿機能には、いずれも温度や湿度が下がる効果を期待できます。ただし、温度や湿度の下がり方がそれぞれ違うため、特徴を理解して使い分けましょう。
湿度を優先して下げたい場合は、冷房ではなく除湿機能を使うのがおすすめです。冷房除湿なら室温を下げすぎずに除湿できます。
逆にとにかく室温を下げたいのなら、冷房を使いましょう。冷房なら室内が短時間で涼しくなるほか、ある程度の除湿効果も期待できます。
冷房と除湿で迷ったら、自動運転機能が便利です。状況に合わせた適切な室温と湿度に自動で調整してくれます。
エアコンのつけっぱなしは電気代の無駄?
エアコンの電気代を考える際に悩みがちなのが、外出時にエアコンをつけっぱなしにするかどうかです。つけっぱなしにした方がよいケースとつけっぱなしのデメリットについて解説します。
短時間の外出なら外気温で判断
外出する時間が30分程度の場合、つけっぱなしにするかどうかは外気温で判断しましょう。外気温が36℃以上あれば、エアコンの電源をオフにした後の室温が上がりやすくなるため、つけっぱなしで外出するのがお得です。
一方、外気温が35℃以下ならエアコンの電源をオフにした後も室温が上がりにくく、エアコンを消してから外出した方が節約につながりやすくなります。
なお、エアコンの電源は外出する30分程度前に消すのがおすすめです。外出中の30分と併せると、合計1時間程度エアコンを消すことになるため、節電効果をより高められます。
つけっぱなしのしすぎにはデメリットも
在宅時間が長い場合、エアコンをつけっぱなしにしていると、電気代が無駄になっていると感じがちです。しかし、電源のオンとオフを繰り返す方が電気代が高くなるため、ずっと家にいるケースでも基本的にはつけっぱなしの方が節電になります。
ただしエアコンの冷房を長時間つけっぱなしにしていると、エアコンの内部に水分がたまりやすくなり、カビが発生しやすい環境になることがあります。
内部クリーン機能でエアコン内部を乾燥させるために、1日数時間はエアコンを休ませる時間も設けましょう。機種によってはエアコンを消した後に、自動で内部クリーン機能が作動するものもあります。
また、エアコンをつけっぱなしにしすぎると、稼働時間が長くなるためエアコンの寿命が短くなる恐れがあることにも注意が必要です。
エアコンの電気代を節約する方法
冷房・暖房にかかわらずエアコンの節電につながる方法をご紹介します。できるだけ多くの方法に取り組めば、エアコンにかかる年間の電気代を大きく減らせる可能性もあります。
フィルターの目詰まりを解消する
エアコンを使い続けていると、フィルターにホコリが溜まっていきます。フィルターの目詰まりは冷暖房効果を下げる原因になり、結果的に電気代が高くなってしまいます。
エアコンのフィルターは小まめに掃除し、目詰まりを解消しましょう。2週間に1回程度の頻度で掃除するのがおすすめです。
フィルターを掃除する際は、最初に掃除機でフィルターの汚れを全体的に吸い取ることで、その後の水洗いが楽になります。
扇風機やサーキュレーターを併用する
冷気や暖気は室内の一部に溜まりやすく、扇風機やサーキュレーターを使って室内の空気を循環させれば、冷気や暖気が部屋の隅々まで行き渡って冷暖房の効果を高められます。
冷気は部屋の下側に溜まりやすいため、扇風機やサーキュレーターの風を下向きにするのがおすすめです。暖房使用時には扇風機やサーキュレーターの風を上向きにすることで、暖気が循環しやすくなります。
空気を動かすことで体感温度が下がることもポイントです。冷房使用時には扇風機やサーキュレーターを積極的に活用し、室内の空気を動かすようにしましょう。
風量を自動設定にする
電気代を意識してエアコンを使う場合、風量を微風や弱風にしてしまいがちです。しかし、使い始めの段階で微風や弱風にすると、設定温度になるまでより時間がかかるため、電気代も余計にかかってしまいます。
エアコンの風量は最初から自動設定にしましょう。状況に合わせてエアコンが適切な風量を選択してくれるため、余計な電力を消費せずに済みます。
風量を自動設定にしてエアコンのスイッチを入れると、設定温度になるまでは強風、設定温度になった後は微風や弱風の運転になるのが一般的です。
室内の湿度を調整する
エアコンの電気代を節約する方法としては、室内の湿度を調整することも挙げられます。大人が快適に過ごせる湿度の目安は、40~70%です。
湿度により体感温度が変わるため、湿度計を用いて常に適切な湿度をキープするようにしましょう。湿度が適切なら、エアコンの設定温度を電気代が安くなる方向へ調整できる可能性があります。
湿度が高すぎるとカビや雑菌が繁殖しやすくなり、逆に湿度が低すぎると健康を損なう恐れがあるため、湿度は50~60%に保つのがおすすめです。
⇒適正な湿度についてもっと詳しく知りたい方はこちら
室外機の周囲を片付ける
エアコンの室外機には、冷房使用時に室内の熱を外に逃がし、暖房使用時には外からの熱を取り込む役割があります。室外機の周囲は常にすっきりとさせておき、熱をスムーズにやりとりできるようにしておかなければなりません。
室外機の周囲に物が置いてあるなら、すべて片付けましょう。室外機に汚れが溜まっている場合も、きれいに掃除することが重要です。
部屋の断熱性を高める
室温は窓を通した熱移動で大きく変化します。窓に工夫を凝らして部屋の断熱性を高めることで、室温が変化しにくくなるため、電気代の節約につなげることが可能です。
手軽にできる方法としては、窓に断熱シートを貼ることが挙げられます。断熱シートはホームセンターに売っており、貼るだけで部屋の断熱性が高まります。
丈の長いカーテンに交換するのもおすすめです。わざわざ断熱材を入れなくても、部屋の断熱性は工夫次第で高められます。
古くなったエアコンを買い替える
最近の電化製品は省エネ性能が高いため、買い替えるだけで節電できる可能性があります。古くなったエアコンは、思い切って買い替えを検討してみるのもよいでしょう。
一般的なエアコンの寿命は10年が目安です。購入後10年以上経過すると、メーカーに部品が保管されていない恐れがあるため、故障した場合に修理が難しくなることもあります。
長年使っているエアコンの調子が悪くなっているなら、修理より買い替えを検討しましょう。
電気料金プランや電力会社を変更する
電力小売自由化により、消費者は電力会社を自由に変更できるようになっています。電気料金プランやサービスもこれまでにないものが提供されているため、ご自身に合ったプランやサービスを探してみるのがおすすめです。
電力会社を見直すことで電気料金の単価が安くなることもあり、今より電気料金が安くなるプランに変更できれば、それだけで電気代の節約を図れます。
電力会社を変更したからといって、電気の品質が落ちることはありません。対応エリアをチェックし、今のライフスタイルで電気料金が安くなりそうな電力会社を探してみましょう。
エアコン暖房の電気代を節約する方法
電力の消費が大きくなりやすい暖房の電気代は、どのようにして節約すればよいのでしょうか。おすすめの方法をご紹介します。
室温20℃を目安に温度を設定する
環境省が呼び掛けている「WARMBIZ(ウォームビズ)」では、暖房使用時の適正な室温の目安を20℃としています。寒いからといって温度を上げすぎず、室温20℃を目安にエアコンの温度を設定しましょう。
冬場は着るもので体を温めることも大切です。マフラーやレッグウォーマーなどを活用し、太い血管のある部分を重点的に温めれば、体全体が温まりやすくなります。
室温20℃はあくまでも目安であり、家の構造によっては20℃以下に設定しても室内が暖まることがあります。設定温度を1℃でも下げられるように意識して生活しましょう。
※出典: ウォームビズとは|ウォームビズ(WARMBIZ)
ほかの暖房器具も使う
エアコン暖房とほかの暖房器具を併用することで、エアコンの負担を抑えられるため、エアコンの節電を図れます。
例えば、スイッチを入れるとすぐに暖かくなるセラミックファンヒーターを併用すれば、室内がより早く暖まるため設定温度に達するまでの時間を短縮することが可能です。
エアコンとこたつの併用もおすすめです。こたつで暖を取れば体感温度が上がり、エアコン暖房の設定温度を下げられます。
エアコン冷房の電気代を節約する方法
暖房だけでなく冷房の電気代も、工夫次第で節約が可能です。エアコン冷房の電気代を抑えるためのコツを見ていきましょう。
室温28℃を目安に温度を設定する
環境省が推進する「COOLBIZ(クールビズ)」では、適正な室温の目安を28℃としています。夏場に冷房を使う際は、室温28℃を目安に温度を設定しましょう。
暖房使用時の推奨室温20℃と同様、冷房使用時の室温28℃もあくまでも目安であり、28℃にこだわる必要はありません。無理のない範囲で冷やしすぎない室温管理が大切です。
環境省はCOOLBIZの取り組みの1つとして、快適に過ごせる軽装も推奨しています。例えば、「上着を脱いでネクタイを外すと体感温度が2℃下がる」という実験結果を公表し、着衣量の調整により体感温度を下げる工夫を促しています。
※出典: クールビズ/COOLBIZ|COOL CHOICE 未来のために、いま選ぼう。
室外機や周辺の温度を下げる
エアコンの室外機は、冷房使用時に熱を外へ逃がしています。しかし、室外機に直射日光があたると熱が逃げにくくなるため、冷房効率が下がり電気代が余計にかかってしまいます。
室外機に直射日光があたる場合は、日陰をつくって室外機や周辺の温度が下がるように工夫しましょう。上に物を置けるタイプの室外機カバーを設置すれば、室外機周辺に置いてあった物もきれいに片付きます。
また、植木を植えたりよしずを立てかけたりする方法でも、日陰をつくることが可能です。室外機や周辺の温度を下げる際は、室外機の吹き出し口をふさいでしまわないように注意しましょう。
窓からの直射日光を遮る
夏場のエアコン冷房が効きにくくなる原因の1つに、窓からの直射日光で室温が上がってしまうことが挙げられます。直射日光があたったままだと、室内の空気がなかなか冷えず、エアコン冷房の電気代が高くなります。
窓の外側で直射日光を遮るアイテムは次の通りです。
- すだれ・よしず
- オーニング・アウターシェード
- グリーンカーテン
遮熱効果のあるカーテンに交換したり、遮熱フィルム・遮熱シートを貼り付けたりすれば、窓の内側からも直射日光を遮れます。遮熱効果のある窓ガラスに変えるのも効果的です。
エアコンの電気代を節約しよう
エアコンの電気代は、取扱説明書やカタログに記載されている消費電力や期間消費電力量を用いて計算できます。電気代の節約を図るなら、自宅のエアコンの電気代を計算してみましょう。
除湿と冷房は特徴が異なるため、それぞれの特徴を理解して使い分けることが重要です。また、短時間の外出時にエアコンをつけっぱなしにするかどうかは、外気温で判断するのがおすすめです。
さまざまな節約方法も把握し、できることから取り組んでエアコンの電気代の節約につなげましょう。
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まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。