一人暮らしには、どのくらいの費用が必要なのでしょうか。賃貸物件の間取りごとの特徴や家賃の目安や初期費用の内訳、相場などについて、アンケート調査の結果を交えながら解説します。また、生活費の内訳ごとの全国平均と節約のポイントについても確認しましょう。
■アンケート調査について
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年5月26日~2023年5月30日
調査対象:10~50代の男女計100人
一人暮らしに最適な物件の間取りとは?
一人暮らしのお部屋探しでよく検討されるのは、1R、1K、1DK、1LDKです。間取りごとの特徴と相場を把握し、物件探しに役立てましょう。間取りごとの家賃は地域によって差があります。
10代~50代の全国の男女を対象としたアンケート(以下同)では、「19歳~21歳」「22歳~25歳」の回答が全体の約5割を占める結果となりました。
一般的に、高校卒業後や大学卒業後は社会人デビューをして新生活をスタートさせるタイミングでもあるため、これらの年代で一人暮らしを始める方が多いことも頷けます。
東京都内の家賃の目安と、間取りごとの特徴を解説します。
1R、1K、1DK、1LDKを比較
基本的に部屋数が多いほど以下のように家賃も高くなる傾向があります。
間取り | 部屋数 | 家賃相場(東京都中央区) |
---|---|---|
1R | 1 | 95,000円 |
1K | 1+キッチン | 97,000円 |
1DK | 1+キッチン+ダイニング | |
1LDK | 1+キッチン+ダイニング+リビング | 170,000円 |
1Rは1つのスペースにキッチンと居室があるタイプで、家賃の安さが魅力です。1Kはキッチンと居室が扉で区切られており、1Rのデメリットは解消されます。玄関と部屋を区切る扉があるので、不意の来客にもプライバシーが守れるので安心です。
キッチンにダイニングルームが付いているのが1DKです。食事の場所と居室を分けて使えます。1LDKはキッチン・ダイニング、リビング、寝室と部屋の使い分けが可能です。ただし、専有面積が広くなるため、1DKと比べて家賃は高めになるでしょう。
一人暮らしの初期費用の目安は?
一人暮らしのスタート時に必要な初期費用は、物件探しにおける重要なポイントです。初期費用の内訳や費用の目安、引越しの費用を確認します。
初期費用の内訳と金額の目安
初期費用とは、入居するために必要な費用を指します。引越し費用を含めた初期費用の金額が、予算に収まるような物件を選びましょう。
以下は、一般的な初期費用の目安と内訳です。
費用目安 | ||
---|---|---|
敷金 | 家賃1カ月分 | 退去後の原状回復費用に充当 |
礼金 | 家賃1カ月分 | 大家に対するお礼の費用 |
前家賃 | 家賃1カ月分 | 入居する月の家賃 |
仲介手数料 | 家賃0.5~1カ月分+消費税 | 不動産会社へ支払う手数料 |
火災保険料 | 20,000円ほど | 事実上加入は必須 |
保証料 | 家賃1カ月分+共益費 | 連帯保証人がいない場合は保証会社を利用 |
引越し費用 | 30,000~100,000円 | 移動距離と家具の量で異なる |
一人暮らしを始めた際の初期費用の金額は、「10万円以下」「11万円~20万円」「21万円~30万円」の間で回答が分散する結果となりました。全体の75%では初期費用が30万円以内に収まっている一方で、一部では初期費用に多くの金額がかかっています。
この結果からは、選ぶ物件や引越しの規模により、初期費用に大きな金額差が出ることがわかります。初期費用を抑えたい場合、敷金や礼金がない物件を選ぶほか、引越し費用を抑える工夫が必要となりそうです。
そろえたい家電のスペックと費用の目安
一人暮らしを始める際は、不動産会社などへ支払う初期費用が必要になるだけではなく、新生活に欠かせない生活用品を購入するため、出費がかさみます。生活スタイルに合わせて本当に必要なスペックの電化製品を選び、出費を抑えましょう。
一人暮らし開始時の家電費用については、「10万円以下」が全体の約半数を占める結果となりました。この結果からは、多くの方が、それほど多くのお金をかけてはいないことがわかります。
一人暮らしに必要な家電は、新生活シーズンが近づくとセット販売などで安く入手できることもあるため、家電メーカーや家電量販店のセール情報に目を向けておくとよいでしょう。
冷蔵庫・炊飯ジャー・電子レンジ
まったく自炊をしない場合でも、140L前後の容量があると便利です。飲み物を冷やしたり惣菜を保存したり、冷凍食品の買い置きができます。
冷凍食品を常備したい方には、大きめの冷凍庫がある2ドアタイプがおすすめです。価格は約30,000円~で、シンプルな機能を備えるものが多いでしょう。
自炊中心の生活に欠かせない炊飯器は、ご飯を炊く機能だけの製品からパンも作れるような多機能な製品まであります。お茶碗1杯が約0.5合ですから、一人暮らしには3合炊きくらいまでの大きさであれば十分でしょう。価格の目安は数千円~です。
電子レンジは、外食派であれば弁当や冷凍食品を温める機能を中心に考えましょう。安いものは10,000円程度からあります。
自炊をする人は、オーブン機能があると料理の幅が広がるのでおすすめです。中には100,000円を超える商品も存在しますが、必要な機能に絞るようにしましょう。
洗濯機・掃除機
洗濯機は縦型とドラム式に大きく分けられます。一人暮らしであれば5kg程度の容量があれば十分とされていますが、大きな洗濯物を自宅で洗いたい場合は8kg程度の容量が必要です。
縦型の洗濯機は機能がシンプルなものが多く、価格の目安は約30,000円~です。ドラム式洗濯機には高機能なものが多く、価格の目安は約120,000円〜と縦型と比べて高めですが、一般的に乾燥機能も備えています。
掃除機も吸引力の強さやメーカーによって価格に幅がありますが、シンプルでコンパクトな製品は10,000円程度で入手できるでしょう。
テレビ・照明器具
テレビは視聴距離によって、適したサイズが異なります。視聴距離は画面の高さの約3倍が目安なので、32インチのテレビの場合、最適な視聴距離は1.2m程度です。
部屋の広さと画面サイズの目安は、4.5〜6畳なら24〜32インチ、8〜10畳では32〜40インチと考えましょう。ちなみに32インチのテレビの相場は約22,000円~です。
照明器具は、昨今はLEDが主流です。部屋の広さに合った商品を選びましょう。調光機能や色調機能、さらにリモコンが付いているものだと重宝します。6~8畳用で価格の目安は4,500円~90,000円です。
家具・雑貨・生活必需品の費用の目安
ベッドやソファ、テーブルなどの大型家具は、部屋の広さとのバランスが重要です。部屋全体のイメージを決めるカーテンや雑貨についても併せて解説します。
「5万円以下」が52%、「6~10万円」が34%を占めるアンケート結果を見ると、一人暮らし開始時は10万円以内で最低限必要な家具・雑貨をそろえる人が多いことがわかります。
一人暮らしに適した一般的な間取りでは、それほど多くの家具を買う必要もないため、費用を抑えられるでしょう。
大型家具
収納スペースが少ない部屋では、ベッドの下が収納場所として活躍します。収納付きベッドには、引き出し式と跳ね上げ式があるので、周囲のスペースや使い勝手で選びましょう。
1Rや1DKといった間取りの場合には、ベッドをソファ代わりに使うと省スペースにつながります。価格相場はシングルサイズであれば20,000円台から販売されています。
テレビ台にはローボード型、スタンド型、キャビネット型がありますが、部屋の広さやテレビとの距離を考えて、大きさや高さを決めましょう。価格の目安は約5,000円~で、大きさやデザインによってさまざまです。
カーテン・雑貨・調理器具
部屋を内覧する際に、カーテンレールの長さと床までの距離を計測し、引越し当日までにカーテンを購入しておきましょう。プライバシー保護と室温調節の機能を考慮し、厚地カーテンは遮光タイプ、レースカーテンはUVカット機能付きがおすすめです。
フライパンや鍋、まな板といった調理器具は、ホームセンターなどに行けば、豊富な種類から選べます。フライ返しや菜箸、食器などの調理小物は、100円ショップの商品でも十分に使えるでしょう。
雑貨類は一度に買いそろえようとせず、生活する中での必要に応じて少しずつ購入しましょう。
毎月の生活費はいくらくらいかかる?
一人暮らしを開始したら、どのくらいのお金が必要なのでしょうか。単身世帯の全国平均と、手取り収入に対する割合の目安について解説します。
食費
政府統計によると、一人暮らしの食費の全国平均は38,410円です。1カ月あたりの収入に対する平均的な割合は15〜18%なので、手取り200,000円の場合は約30,000〜36,000円が目安と考えましょう。
食費を節約したい場合は、外食はなるべく控えて自炊が大前提といえます。食費を抑える方法は、毎月の予算を決めて買い物をする、安くなっている食材を購入して冷凍するなどです。
また、作り置きをしておくと毎日の調理の手間が減り、仕事帰りに外食したりコンビニ弁当を買ったりしてしまうのを防げるでしょう。
食費を抑える工夫として最も多いものは「自炊」です。一人暮らしで実際に実施した割合は36%という結果でした。
慣れない一人暮らしで自炊をする余裕がない、そもそも料理をしないといった方の場合、「安い食材の購入」や「まとめ買い」、「割引券の活用」など、食材の買い方を工夫することでうまく食費を節約できそうです。
光熱費
単身世帯の1カ月あたりの光熱費は、11,383円が平均で、手取り収入の6%が目安です。光熱費の中でも高額になりがちなのは、電気料金でしょう。
電気料金の節約には、待機電力をカットする方法が有効です。オフシーズンのエアコンなど一定期間使わない電化製品のコンセントは、抜いておくとよいでしょう。また、古くなった電化製品は電力消費量が増える傾向にあるので、適度な買い替えも節約につながります。
電力の自由化で、さまざまな会社が電気を販売するようになりました。電力会社の変更で電気料金を抑えられる可能性もありますので、プランの内容や料金、解約手数料などを比較して選択しましょう。
多くの方が「電気をこまめに消す」ことで、電気料金を抑えようとしていることがわかります。電気料金を抑える工夫は、一つひとつは小さな電力カットだとしても、複数の方法を組み合わせて実践することで効果を感じやすくなるでしょう。
⇒一人暮らしの電気料金についてもっと詳しく知りたい方はこちら
交際費・被服費
交際費や被服費は、年齢や性別によって違いが現われる支出です。政府統計では、単身世帯の交際費・被服費の平均は、1カ月あたり17,557円となっています。手取り収入に対する目安は、交際費が5〜6%、被服費は3〜5%です。
交際費は、参加する飲み会の数を決める、無料のレジャー施設を利用するといった工夫により節約が可能でしょう。
被服費を節約したい場合は、衝動買いをしない、購入する場合は必ず試着するなど、買い方を決めておくと有効です。
アンケートでは、全体の約半数が衝動的な決断を控えるようにして、交際費や被服費を節約していることがわかりました。
被服費を抑えながらおしゃれを楽しむには、「セールやバーゲン」「中古品」などの活用ももちろんですが、ほつれや毛玉などが出にくい丈夫な服や、着回ししやすい服を選ぶのもよいでしょう。また、その他と回答した人の中には「特に交際費・被服費を抑えることをしなかった」と回答している人もいました。
通信費
携帯電話やインターネットをつい使いすぎてしまい、費用がかさみがちなのが通信費です。統計によると、単身世帯の1カ月あたりの通信費は7,153円が平均ですが、使い方や契約プランによって個人差が出る費用といえるでしょう。
収入に対する通信費の目安は収入の6%で、予算を決めて基本料金内で上手に使う工夫が必要です。契約プランを見直したり、ネット回線の業者を乗り換えたり、格安スマホに換えたりといった方法により節約できるでしょう。
「不要なオプションを解約する」が最も多いことから、多くの方が携帯電話など通信契約の内容に高い意識を持っていることがわかります。また、2番目に多い「Wi-Fiを利用する」ことで、携帯電話の契約を必要最低限のデータ容量プランにもできます。
なお、その他と回答した人の中には「特に交際費を抑えるようなことはしなかった」という人や「そもそも携帯やスマホを利用していなかった」と回答した人もいました。
費用の目安を知って一人暮らしに活かそう
一人暮らしを始めるにあたっての費用は平均500,000円以上というデータもあり、とても大きな出費になります。生活費もかかりますから、予算を決めて節約をするのが基本です。
家賃や生活に必要な電化製品や家具などの選び方、費用の目安を把握した上で賢く節約につなげましょう。