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プラスチックゴミの何が問題なのか?現状と対策について解説 プラスチックゴミの何が問題なのか?現状と対策について解説

レジ袋やペットボトルなど、プラスチック製品は私たちにとってとても身近な存在です。しかし、自然分解されないプラスチックのゴミが増えると、環境に負担がかかることが心配されています。また、海洋生物が海に流れ出たプラスチックを食べてしまったり、ゴミに絡まって死んでしまったりなどもニュースになっていますね。

この記事では、プラスチックゴミ問題の現状について詳しく解説します。私たち1人ひとりが実践できる対策についても紹介するのでぜひ参考にしてください。

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プラスチックとは

「プラスチック」と一言で言っても、実はさまざまな種類があります。ここでは、プラスチックの種類や特徴について解説します。

プラスチックの定義

プラスチックとは石油(ナフサ)から作られる素材です。人工的にたくさんの分子を合成しているのが特徴で、一般的に出回っているプラスチックは分子が1,000個以上つながったものがほとんど。天然の漆や松ヤニの木から出る樹脂を参考に作られていることから、「合成樹脂」とも呼ばれています。

プラスチックの語源は、英語の「plasticity(可塑性)=形作ることができる」です。ちなみにJIS(日本工業規格)によると、プラスチックは以下のように定義されています。
「必須の構成成分として高重合体を含み、かつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料」(※1)

プラスチックは大まかに2つの種類に分けられます。1つは加熱すると柔らかくなり、冷やすと固まるもの(熱可塑性樹脂)。もう1つは加熱すると固くなるもの(熱硬化性樹脂)です。

※1 出典:日刊工業新聞 プラスチックとは

プラスチックの種類

プラスチックにはたくさんの種類があり、それぞれ成分や性質が異なります。プラスチック製品には種類を表すマークが付いているので、略語を知っておくとどんなプラスチックが使われているのか見分けられて便利です。

名称 略語 主な使い道
ポリエチレン PE レジ袋、食品用ラップ、バケツ
ポリエチレンテレフタラート PET ペットボトル、卵の容器
ポリプロピレン PP ストロー、自動車部品、医療器具
ポリ塩化ビニル(塩ビ) PVC 消しゴム、ホース、水道管
アクリル樹脂 PMMA コンタクトレンズ、定規、水槽

※出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会 05 プラスチックの種類 プラスチックのはてな

プラスチックの特徴

プラスチックには以下のような特徴があります。

  • いろいろな形に加工しやすい
  • 軽くて丈夫
  • 長持ちする(錆びない、腐らない)
  • 電気を通しにくい(冷蔵庫やテレビなどの電化製品に使える)
  • 色をつけやすい
  • 熱を通しにくい(発泡スチロールなどに使用)
  • 薬品に強い
  • 衛生的(食べ物の容器に使える)
  • 大量生産ができるため値段が安い

このように、プラスチックはさまざまな製品に使われ、身の回りにあふれるようになりました。

プラスチックゴミの問題点

しかし、プラスチック利便性が高い一方で、優れた耐久性・安定性から分解されにくい点で自然界におけるデメリットにもなりました。ゴミ問題が発生するきっかけにもなったのです。
ここでは、プラスチックゴミの問題点について見ていきましょう。

焼却時に二酸化炭素が排出される

焼却時に二酸化炭素が排出される 焼却時に二酸化炭素が排出される

プラスチックは石油(ナフサ)から作られているため、燃やすとCO2(二酸化炭素)が排出されてしまいます。CO2は温室効果ガスなので、地球温暖化を招くなど環境破壊の原因になる点は見逃せません。

プラスチック循環利用協会によると、2020年の国内の廃プラスチック総排出量は822万トンで、そのうち86%が有効利用されていると言います(※1)。しかし、その内訳を見てみると、62%は「サーマルリサイクル(熱回収)」と呼ばれる焼却処理となっています。サーマルリサイクルとは、使い終わったプラスチックを燃やすことでガスや油、固形燃料などに変えたり、焼却時の熱を蒸気や発電などで利用したりすることです。

リサイクルの一環とはいえ、燃焼時に発生するCO2の排出は依然問題となっています。未利用の中には「単純焼却」もあり、うまくリサイクルの流れを作っていくことが今後の課題と言えるでしょう。

※1 出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会 情報クリップ

地球温暖化の現状と私たちにできることについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
二酸化炭素を減らすには?地球温暖化の現状と私たちにできること

海洋汚染が問題になっている

近年、大きな環境問題として取り上げられているのが海洋プラスチックのゴミ問題です。これらのプラスチックゴミは海洋環境を悪化させ、生態系や海岸機能の低下などにも影響を及ぼします。
例えば、海洋を漂流するプラスチックは、時間が経つにつれて紫外線や雨風に晒され劣化してどんどん小さな破片になっていきます。直径5mm以下まで小さくなったものは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、海洋生物の体内に残ってしまう危険性も。
このまま海洋のプラスチックゴミが増え続けたら、2030年までにマイクロプラスチックの重量濃度は現在の約2倍、2060年までには約6倍になるとも言われています(※1)。

その他、漁業や観光への影響、船舶航行の障害、景観への悪影響など、多くの問題を引き起こすことも心配されています。
シカゴ大学の研究者は、年間1,000万トンのプラスチックゴミが海洋に流出していると警告しています(※2)。さらに、2050年までには、海洋のプラスチックの重量は魚の重量よりも重くなるとも予想されているのです(※3)。

※1 出典:環境省 プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて
※2 出典:Marine Plastic Pollution: Sources, Impacts, and Policy Issues THE UNIVERSITY OF CHICAGO PRESS JOURNALS
※3 出典:The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics WORLD ECONOMIC FORUM

ダイオキシンが発生する

プラスチックゴミ問題点の1つとして、ダイオキシンが発生することが挙げられます。ダイオキシンとはプラスチックの1つである塩ビ製品を燃やす際に大気中に排出される有毒ガスのこと。体内にたくさん入ると健康被害を引き起こすことがわかっています。

1997年、日本では大気汚染防止法と廃棄物処理法が改正され、ダイオキシンの排出量が大幅に規制されました。その結果、1997年と2017年の排出量を比べると、2017年には99%以上のダイオキシンを減らすことに成功しています(※)。

※出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会 プラスチックのはてな 30 ダイオキシン類の害

問題解決に向けた取り組み

二酸化炭素やダイオキシンの排出、海洋汚染問題などの原因となるプラスチックゴミ問題。環境に大きな負担をかけないためにも、問題解決に向けた取り組みが求められています。ここでは、どのような取り組みが必要なのかについて見ていきましょう。

リデュース、リユースの徹底

日本にはプラスチックを回収してリサイクルする仕組みができあがっています。しかし、現状回収されたプラスチックの多くは燃やされたり、未利用のまま埋め立てられたりされています。政府発表によると、日本の廃プラスチックリサイクル率は27.8%と、進んでいるとは言えません(※1)。

きちんと分別を行えば、プラスチックも資源として有効活用することができます。プラスチックの「リデュース(発生抑制)」「リユース(再利用)」を徹底することがプラスチックゴミ問題解決の近道となるでしょう。

※出典:政府広報オンライン 海のプラスチックごみを減らし きれいな海と生き物を守る!~「プラスチック・スマート」キャンペーン~

プラスチック自体の削減

私たち1人ひとりにできることとして、プラスチックの利用自体を減らしていく方法が挙げられます。日本における1人あたりのプラスチック容器包装の排出量は、アメリカに次いで世界第2位です(※)。お弁当を購入する際にはプラスチックの容器をはじめ、スプーンやフォークなどをもらうこともあるでしょう。

お弁当を持ち帰って自宅で食べる場合は、スプーンやフォークは断ることができます。また、マイボトルや買い物用のマイバッグを使うことで、さらにプラスチックの使用量を減らすことが可能です。

※出典:消費者庁 (4)プラスチックごみを減らすために

プラスチックの代替素材

バイオマスプラスチック

「バイオマスプラスチック」とは、植物などの再生可能な有機資源(バイオマス)を使用して作られるプラスチック素材を指します。一般的な石油から作られるプラスチックは、燃焼時にCO2が出るのが特徴です。しかし、バイオマスプラスチックは燃焼しても大気中のCO2が増加しない(カーボンニュートラル)ため、環境に優しい素材とされています。

代表的な原料には、小麦やサトウキビ、とうもろこし、キャッサバ、藻類などがあります。

【主な素材】

  • バイオポリアミド
  • バイオポリカーボネート
  • バイオポリエチレン
  • バイオPET
  • バイオポリプロピレンなど

生分解性プラスチック

「生分解性プラスチック」とは、ある一定の条件の下で自然界に存在する微生物によって分解されるプラスチック素材です。最終的には二酸化炭素と水にまで分解されます。そのため、環境への負担が少ない素材として注目を集めています。生分解性プラスチックには、植物由来の有機資源(バイオマス)を原料としたものと、石油を原料としたものがあります。

【主な素材】

  • PBAT
  • PBS
  • PETSなど

両者ともマイクロプラスチックとして長期間環境に残ることを防止できる素材ですが、バイオマスプラスチックでも難分解性のものは海洋プラスチック問題の解決にはなりません。また、石油を原料とした生分解性プラスチックもCO2の削減にならないことは覚えておきましょう。

プラスチックゴミを減らすために私たちにもできること

環境への負担を軽くするためにも、プラスチックゴミを減らすことは重要なアクションです。ここでは、日常的に私たちにできることは何かを見ていきましょう。

家庭ゴミの分別を徹底する

まず見直したいのが家庭ゴミの分別です。

「燃やせるゴミ」と「リサイクルゴミ」「資源ゴミ」をきちんと分別することで、ゴミの量を大きく減らすことができます。リサイクルゴミ・資源ゴミには、ビン、缶、ペットボトル、容器包装プラスチック、紙類などがあります。自治体ごとに異なるので、役所からのお知らせなどで確認しましょう。

ゴミを減らしリサイクルをしっかり行うことで、環境への負担を減らすことができます。1人ひとりの小さな行動によってゴミの量は大きく変わってきます。基本中の基本ですが、もう一度見直して分別を徹底しましょう。

マイバッグを持参し、レジ袋はもらわない

マイバッグを持参し、レジ袋はもらわない マイバッグを持参し、レジ袋はもらわない

レジ袋はほとんどがプラスチック製で、一度使用した後捨ててしまうことが多いものです。現在はレジ袋が有料化され、買い物時にマイバッグを持参する人が増えました。レジ袋をもらわないのが常識になりつつあります。

もしマイバッグを忘れてレジ袋を購入した場合は、一度使った袋をリユース(再利用)するようにしましょう。

マイボトル、マイカトラリーを持ち歩く

マイボトル、マイカトラリーを持ち歩く マイボトル、マイカトラリーを持ち歩く

ペットボトルの飲み物を買わないようにするためには、マイボトルの使用がおすすめです。家でマイボトルに飲み物を入れて持ち歩くことで、お店に立ち寄る必要もありません。また、お弁当を買うときにも、マイ箸、マイスプーン、マイフォークなどを持ち歩くとプラスチック製のカトラリーをもらわずに済みます。

プラスチック製ではないものを選ぶ

買い物をするときには、なるべくプラスチック製の商品を買うのを避けましょう。環境に優しい布製や木製などの商品を選ぶことも環境を守る行動の1つになります。プラスチック製品は安いというメリットがありますが、長い目で見て買い物をすることも大切です。

量り売りなど容器を使わない買い物

スーパーなどでは、多くの商品にプラスチック製の袋やトレー、食品用ラップなどが使用されています。家に持ち帰るとこれらはゴミになってしまうことが多いので、量り売りなどプラスチックの容器をもらわない買い物がおすすめです。

昔は醤油や砂糖、お酒なども量り売りで、自宅から容器を持参して買い物をしていました。いまでも、容器を持参すれば量り売りをしてくれるお店はあります。そのようなお店を利用するのも手です。

河川敷や海岸の清掃活動に参加する

河川敷や海岸の清掃活動に参加する 河川敷や海岸の清掃活動に参加する

河川敷や海岸には、ビニール袋やペットボトルなどのゴミが数多く流れ着きます。中には、長期間放置されて劣化が進み、マイクロプラスチックになりかけたものも。河川敷や海岸の清掃活動は定期的に開かれているので、地元の情報サイトなどをチェックして参加してみてはいかがでしょうか。

環境に優しい電気を使おう

プラスチックゴミ問題の1つとも言えるCO2排出問題。地球温暖化対策としても、プラスチックゴミ問題に対処することは必要です。また、毎日使う電気をCO2を排出しないものに切り替えることも対策の1つとなります。

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