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海洋汚染は深刻な問題?その原因と具体的な対策をご紹介 海洋汚染は深刻な問題?その原因と具体的な対策をご紹介

地球全体の問題として国を超えて協議されている海洋汚染。

生活排水や産業廃棄物による汚染、タンカー事故による石油の流出などさまざまな問題が取り沙汰されるなか、特に深刻なのが「海洋プラスチックごみ」です。

ウミガメなどの海洋生物が誤飲してしまう海洋プラスチックごみですが、現在どれほどの影響を海に与えているのでしょうか。

今回は、海洋プラスチックごみの問題をはじめとする海洋汚染の現状とその原因を解説。各国の海洋汚染対策への取り組みについてもご紹介します。

海洋汚染とは

まずは、海洋汚染の基本的な情報について再確認しておきましょう。ここでは、海洋汚染の定義や具体的な問題点、SDGsでどのように取り上げられているかを解説します。

海洋汚染の定義

環境問題の主要なキーワードとして知られる「海洋汚染」は、国際連合によって明確に定義されています。1994年に発効した「海洋法に関する国際連合条約」による海洋汚染の定義は以下のとおりです。

「海洋環境の汚染」とは、人間による海洋環境への物質またはエネルギーの直接的または間接的な導入であって、生物資源及び海洋生物に対する害、人の健康に対する危険、海洋活動に対する障害、海水の水質を利用に適さなくすること、並びに快適性の減殺のような有害な結果をもたらし、またはもたらすおそれのあるものをいう(※)。

同条約では、「排他的経済水域(EEZ)」において各国の資源開発が認められると同時に、資源の管理と海洋汚染防止への取り組みが義務付けられています。

※出典:海洋法に関する国際連合条約

SDGsNo.14の目標

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年の国連サミットで採択された国際的な目標です(※)。

SDGsでは貧富の差や飢餓問題、人種や性別、性的指向による差別、あらゆる環境問題などを対象に、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」17のゴールと169のターゲットを掲げています。

SDGsのNo.14は「海の豊かさを守ろう」。海洋や海洋資源を保全しつつ、海洋資源の生産性を保つという持続可能な開発と保全の両立が目標です。

目標達成のために、人間の活動による海洋汚染を大幅に減らす、海洋酸性化防止を科学的な協力のもと推進する、魚などの乱獲を防ぎ海の生態系を回復させるなど具体的な方策も打ち出されています。

※出典:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

海洋汚染の原因と汚染物質

深刻化する海洋汚染は何が原因で引き起こされているのでしょうか。ここからは、海洋汚染の詳細な原因や汚染物質について解説します。

海洋汚染の原因

「国連海洋法条約」によると、海洋汚染の主な原因は以下のとおりです(※)。

  • 陸からの汚染 (河川、パイプラインなどを通じて川に流れ込む工場や家庭からの汚染物によるもの)
  • 海底資源探査や沿岸域の開発などによる生態系の破壊、汚染物質の海への流入などによる汚染
  • 投棄による汚染 (陸上で発生する廃棄物を海洋に投棄することによる汚染)
  • 船舶からの汚染 (船舶の運行に伴って生じる油、有害液体物質、廃物などの排出による汚染)
  • 大気を通しての汚染 (大気汚染物質が雨などとともに海洋に達して生じる汚染など)
  • タンカー事故や戦争 (湾岸戦争での大量の油の流出など)

かつては無限の資源と懐の深さを持つと信じられてきた海ですが、産業の発展や輸送、資源開発の活発化とともに汚染が進み、生態系への悪影響や人に甚大な被害を与える公害病などを引き起こしています。

※出典:海洋汚染と生活

汚染物質の種類

海洋汚染の原因物質にはどのようなものがあるのでしょうか。汚染物質の発生原因とともに解説します。

プラスチックごみ

プラスチックごみ プラスチックごみ

海洋汚染の大きな一因として世界的な問題となっているのがプラスチックごみです。リサイクルへの取り組みが進みつつあるものの、その多くが海洋に流出しています。

プラスチックごみは海洋環境や海の生物に深刻なダメージを与えるだけではありません。

例えば海の生態系の変化は漁業に大きな影響を与えます。さらに、船の航行を妨げたり、海の景観を損ねて観光の価値を下げたりと人の活動にも無視できない影響を及ぼしています。

プラスチックが占める海洋ごみの割合は、およそ80%以上(※1)。シカゴ大学の研究者は、年間1,000万トンのプラスチックごみが海洋に流入していると警告しています(※2)。さらに、このままプラスチックごみの流出が続けば、2050年までに海洋のプラスチックの重量は魚よりも重くなるとの予想も発表されました(※3)。

「プラスチックごみ」というキーワードから多くの人が連想するのは、飲み物のカップやビニールごみの空き袋でしょう。しかし、プラスチックごみのなかには直径5mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれる小さなものも存在します。

投棄されたプラスチックごみが粉砕されたり、合成繊維を使用した衣類の洗濯排水に紛れ込んだりして海に流出するマイクロプラスチックは、食物連鎖などを通じて生物の体内に残留する危険性も指摘されています。

※1 出典:私たちの海を守る|海洋汚染をなくすための課題と解決策
※2 出典:Marine Plastic Pollution: Sources, Impacts, and Policy Issues
※3 出典:The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics
※4 出典:海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組

油もまた海洋汚染の主な原因物質の1つです。家庭排水から産業排水、船舶事故による重油の流出など、さまざまな状況下で海に流れ込んでいます。流出した油は固化して「浮遊タールボール」となったり、海水中に溶け込んだりして海を汚染します。

海水中に溶け込む油分の大半は、家庭・工場の排水や廃棄物です。気象庁の調査によると、これらの流出量は年間300万トンを超えています(※)。

油の流出は、プランクトンや油汚染に弱い海洋生物をはじめ、浜辺や岩礁といった海岸線の環境やサンゴ礁、マングローブなどの植物、海辺を生息地とする鳥類にまで深刻なダメージを与えます。ダメージを負った生物やその生息域の回復は容易ではありません。

また、汚染された水域のクリーンアップ作業もまた、その場所にいる海洋生物や自然物・人工物を傷つける恐れがあるとされています。

※出典:海洋汚染の観測|気象庁

化学物質

産業の発展とともに排出されるようになった化学物質も、海洋汚染の原因物質に数えられます。特に問題視されているのが「POPs(Persistent Organic Pollutants)」と呼ばれる残留性有機汚染物質です。

代表的なPOPsとして挙げられるのは、ダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、農薬や殺虫剤に使用されるDDTなど。これらは農業排水や工場排水、生活排水、車の排気ガスなどから発生しています。

POPsは発生元から直接海に流れ込むだけでなく、空気に飛散・拡散して広範囲を汚染するのも大きな問題です。そのため、POPsの製造に関わりのない人々や工業地帯から離れた生息域を持つ海洋生物の体からもPCBなどが検出されています。

POPsが及ぼす影響は、まだすべて明らかになっているわけではありません。しかし、食物連鎖や生殖によって、体内のPOPs濃度が上がる「生物濃縮」が奇形や生殖器の異常などを引き起こすことが懸念されています。

有機物

生活排水に含まれる有機物や栄養塩類も、海の生態系に悪影響を与える場合があります。

生活排水に含まれる有機物・栄養塩類の多くは下水処理場にて除去されることがほとんどです。しかし、田畑の肥料が残留した農業排水や処理されていない生活排水、さらに下水処理場で取り切れなかった窒素・リンなどが海に流れ出すことで、海水は「富栄養化」した状態になります。

これが、海洋生物の大量死を招く「赤潮」や「青潮」を引き起こすのです。

「赤潮」は海水中のプランクトンが異常に増殖することで海面が赤く染まります。

「青潮」では、まず有機物やプランクトンをバクテリアが分解することで海底に硫化水素を含んだ低酸素の層を作り出します。そこに強い風が吹くと、バクテリアが作り出した層と大気が触れ合うことで硫化硫黄が発生。これが海面を青く見せます。

「赤潮」や「青潮」の被害は日本の各所でもたびたび起きており、規模によってはその地域の漁業に大きなダメージを与えることもあります(※)。

※出典:北海道で赤潮被害拡大80億円 原因は国内初「低水温でも増殖」プランクトン - 産経ニュース (sankei.com)

海洋汚染による環境・人間への影響

海洋汚染の進行は、自然環境や人間社会にどのような影響を与えているのでしょうか。

プラスチックごみの誤飲・誤食

海洋プラスチックごみの被害として大きな問題になっているのが、海鳥や魚、ウミガメなどによる誤飲・誤食です。海を漂うプラスチックごみをエサと間違えて誤飲して胃潰瘍や腸閉塞を起こし、エサが食べられず死んでしまう個体が数多く発見されています。

さらに、リング状のプラスチックが口にはまり込んで取れないまま死んでしまったり、首や体に食い込んだまま命を落としてしまったりと、プラスチック製品特有の形状や丈夫さが原因で起こる被害もあとを絶ちません。

さらに、先ほども触れたマイクロプラスチックの影響も無視できないものがあります。サンゴ礁がマイクロプラスチックを取り込むことで生育を阻む危険性が指摘されているほか、食物連鎖によって有害なプラスチックが体内に残留・蓄積する危険は人間にも及びます(※)。

※出典:プラスチックごみ、サンゴ成長に悪影響 死滅することも|朝日新聞デジタル

漁業や観光業への悪影響

漂流する海洋ごみは漁業や観光業など人の活動にも大きな影響を与えています

海の資源が必要不可欠な漁業では、海洋汚染による海の生態系の変化は重大です。水質の悪化や海洋ごみの被害で魚が減れば、漁獲量は減少してしまいます。先ほども解説した「赤潮」「青潮」の被害や、船舶事故による広範囲の汚染も見逃せない問題です。

また、漂流しているごみが魚網に混入することも損害の1つといえるでしょう。

海周辺の観光業への影響も深刻です。海岸に大量の海洋ごみが漂着しているさまは、その土地の景観を著しく損ねます。漂着ごみだけでなく、ポイ捨てなど陸からの不法投棄もまた大きな問題です。

海洋汚染に対する世界の取り組み

深刻化する海洋汚染は、国境を超えて世界規模で対策を打たなければなりません。ここからは、海洋汚染に対する世界の取り組みについてみていきましょう。

廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(ロンドンダンピング条約)

「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(ロンドンダンピング条約)」とは、海洋汚染防止を目的とした国際条約です。1972年にストックホルムの国連人間環境会議で勧告を受けたことで採択されました。

この条約では、陸上で発生した廃棄物を船舶・航空機などから海洋投棄することや、廃棄物を海上で焼却処分する行為を規制。2006年時点で84カ国にて締約されていて、日本は1980年に批准しています(※)。

※出典:海洋汚染の知識 ロンドンダンピング条約|気象庁

船舶による汚染の防止のための国際条約(海洋汚染防止条約:通称マルポール条約)

ロンドンダンピング条約の1年後に採択されたのがマルポール条約こと「船舶による汚染の防止のための国際条約(海洋汚染防止条約)」です。この条約は船舶から排出される油が原因となる海洋汚染を防止することを目的としています。

マルポール条約の採択によって、従来の規制対象であった重質油だけではなく、あらゆる油や有害液体物質、汚水なども規制対象に入りました。

海洋汚染に対する国内の取り組み

世界規模での取り組みが進む海洋汚染対策ですが、日本国内ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。次から詳しく解説します。

海岸漂着物処理推進法改正

2009年に公布・施行されたのが「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」です。

2018年には改正され、漂流ごみ等の円滑な処理の推進(第2条、新第21条の2)、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進等による海岸漂着物等の発生抑制(第5条)、マイクロプラスチック対策(新第6条第2項、新第11条の2、附則第2項)などが定められています。

海岸に大量の漂着ごみや海底ごみが漂着し、船舶の行き来や漁業にまで影響を与えている現状や、ごみの大半がプラスチックごみであること、マイクロプラスチックをはじめとする有害物質による汚染への関心が国内外で高まっていることなどが背景にあります。

第4次循環型社会形成推進基本計画

「第4次循環型社会形成推進基本計画」とは、再生不可能な資源への依存度を減らし、再生可能資源に置き換えることを目的とした施策で、2018年に閣議決定されました。プラスチックの資源循環を総合的に推進する「プラスチック資源循環戦略」の策定をもとに計画が進められます。

新たな計画で掲げられているのは、環境的側面だけでなく、経済的側面・社会的側面など統合的な向上です。

2025年を期限とした具体的な目標としては、

  • ①地域循環共生圏形成による地域活性化
  • ②ライフサイクル全体での徹底的な資源循環
  • ③適正処理の更なる推進と環境再生

が示されています(※)。

※出典:循環型社会形成推進基本計画 |環境省

プラスチック・スマート

プラスチック・スマート プラスチック・スマート

環境省が海洋プラスチック問題の解決に向けて2018年からスタートしたキャンペーンが、「プラスチック・スマート -for Sustainable Ocean-」です。個人から自治体、NGO、企業、研究機関まで幅広く連携して取り組みを進めるため、それぞれのごみの不法投棄やポイ捨てへの取り組みを国内外に広く発信しています(※1)。

プラスチック・スマートへの登録は2022年2月時点で2509件。キャンペーンサイトだけでなく、各種SNSでも「#プラスチックスマート」のハッシュタグで取り組みが紹介されています(※2)。

※1 出典:「プラスチック・スマート」キャンペーンの取組について|環境省
※2 出典:「プラスチック・スマート」 |環境省

環境に貢献する電気を選ぼう

本記事では、海洋プラスチックごみをはじめとする海洋汚染問題について解説しました。海洋汚染の原因は家庭ごみ・家庭排水から産業排水まで幅広く、企業や自治体だけでなく個人単位での取り組みも求められます。

ごみの正しい処理やプラスチックごみを減らす工夫など、できることからはじめてみましょう。

また、海洋汚染につながる大きな問題の1つが地球温暖化です。地球温暖化は、海洋酸性化や海水温の上昇などが海の生態系に深刻なダメージを与える一因となっています。

そして、地球温暖化への対抗策として欠かせないのがCO₂排出の削減。個人でできる取り組みとしておすすめなのが、再生可能エネルギーを取り入れている電力会社への切り替えです。

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※日本トレンドリサーチ調査による