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環境問題の1つとして近年大きく取り上げられているのが海洋汚染です。さまざまな対策が国を超えて議論されている中、個人レベルでも行動に移すことが重要です。海洋汚染の原因と影響、国内外の取り組みや私たちができることを解説します。

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海洋汚染とは

海洋汚染はさまざまな原因により引き起こされ、地球に大きな影響を及ぼしています。まずは海洋汚染の定義から押さえておきましょう。

人間の活動により海が汚染すること

海洋汚染とは、人為的な原因により引き起こされる海の汚染のことです。人間の日常生活や産業活動から出るごみや排水が、海洋にさまざまな影響を及ぼして海洋汚染となります。

「海洋法に関する国際連合条約」では、海洋汚染を次のように定義しています。

「海洋環境の汚染」とは、人間による海洋環境(三角江を含む。)への物質又はエネルギーの直接的又は間接的な導入であって、生物資源及び海洋生物に対する害、人の健康に対する危険、海洋活動(漁獲及びその他の適法な海洋の利用を含む。)に対する障害、海水の水質を利用に適さなくすること並びに快適性の減殺のような有害な結果をもたらし又はもたらすおそれのあるものをいう。

海洋法に関する国際連合条約は、1982年に採択されました。日本は1996年に合意しており、2020年7月時点で167カ国およびEUが締結しています。
※出典:海洋法に関する国際連合条約
※出典:海洋の国際法秩序と国連海洋法条約|外務省

海洋汚染の発生原因

海洋汚染の原因は、人間が直接海に持ち込むものと、河川や下水を通って間接的に海洋へ流出するものに大きく分けられます。代表的な発生原因を見ていきましょう。

プラスチックごみ

海洋汚染を引き起こす最も大きな原因が海洋ごみです。不適切な捨てられ方をしたごみや、自然災害で発生したごみなどが、海へ流れ着いて海洋ごみとなります。

海洋ごみの中で近年大きな問題になっているのがプラスチックごみです。プラスチックごみは海洋の環境や生物に深刻な影響を与えるほか、船の航行を妨げたり海の景観を損ねたりもしています。

海洋ごみの大半はプラスチックごみです。プラスチックは分解されるまでに長い年月がかかるため、一度海洋に流れ出ると半永久的にごみとして漂い続けます。

油の流出

海上の船舶や設備から流れ出る油も、海洋汚染の原因になります。海上保安庁の資料によると、2022年に日本周辺の海域で確認された海洋汚染の確認件数は468件です。

このうち299件が油による海洋汚染であり、船舶からの油排出が198件と最も多くなっています。排出原因別では取扱不注意が最多の61件、次に多いのが船舶海難の55件です。

海洋に流れ出た油は、魚や鳥など多くの生物に深刻なダメージを与えかねません。海上に広がった油をすべて回収するのは困難であり、流出場所から遠く離れた地域にも油の被害が及ぶことがあります。
※出典:令和4年の海洋汚染の現状(確定値) | 海上保安庁

工業排水

有害な物質を含む工業排水や廃棄物が海へ流れ出ると、海洋汚染につながってしまいます。日本で過去に工業排水が深刻な健康被害を及ぼした代表的な事例が、「水俣病」と「イタイイタイ病」です。

水俣病は熊本県で発生した公害病であり、工場排水に含まれていたメチル水銀が魚や貝に蓄積され、その魚や貝を日常的にたくさん食べた人に発症しました。

また富山県で発生したイタイイタイ病は、鉱山から排出されたカドミウムが川を通じて食物や飲料水に含まれ、人間に深刻な健康被害をもたらした公害病です。

現在の日本では「水質汚濁防止法」により工業排水の基準が厳密に定められていますが、世界ではまだまだ工業排水による海洋汚染問題が発生しています。
※出典:水質汚濁防止法 | e-Gov法令検索

生活排水

台所・お風呂・洗濯などから出される生活排水は、日本では大半が下水道で処理されています。しかし、すべての生活排水が浄化されるわけではなく、処理されずに海へ流れ出る分もあるのです。

海洋汚染の原因となる生活排水には、食べ残しや調理に使用した油、洗剤などが含まれています。これらを分解するために水中の微生物が余計な酸素を使うと、ほかの生物にまで酸素が行き渡らなくなり、窒息死してしまうこともあるのです。

近年は衣類に含まれているマイクロプラスチック(5mm以下になったプラスチック)が生活排水と一緒に海へ流出し、プラスチックごみ問題を引き起こしているケースもあります。
※出典:生活排水読本 | 環境省

海洋汚染が及ぼす影響

海洋汚染は主に生態系破壊・地球温暖化・健康被害を引き起こします。それぞれの具体的な内容を解説します。

生態系破壊

海洋に流れ出たプラスチックが細かく砕かれると、大きさが5mm以下のマイクロプラスチックになります。マイクロプラスチックは魚介類に影響を及ぼすだけでなく、サンゴ礁の成長も阻害する恐れがあるのです。

サンゴ礁は生物多様性に重要な役割を担っており、多くの生物のすみかや産卵場所になっています。海水の二酸化炭素の濃度調節にも欠かせない存在です。

しかし、海中のマイクロプラスチックが増えると、サンゴが死滅してしまうこともあります。海洋汚染の影響でサンゴ礁が減少し、生態系のバランスが崩れかねないのです。

地球温暖化

海洋汚染は地球温暖化を促進させる原因にもなっています。海洋に流出したプラスチックごみが日射の影響で劣化し、メタンやエチレンなどの温室効果ガスを発生させるという研究成果が公表されています。

メタンはCO₂よりも高い温室効果をもつ気体です。海洋汚染によりプラスチックごみが増えると、地球温暖化を加速させることにもなりかねません。

メタンやエチレンを最も多く排出するプラスチックは、レジ袋の原料となっているポリエチレンです。ポリエチレンは生産量・廃棄量が世界で最も多い合成高分子化合物であり、温暖化対策と廃プラスチック対策の連動が今後の課題となっていくでしょう。
※出典:海洋廃プラスチック、太陽光、水による劣化で温室効果ガス放出量増大。 これまでの温暖化効果に反映せず。米ハワイ大研究チームが突き止める。温暖化対策と廃プラ対策の連動不可欠に(RIEF) | 一般社団法人環境金融研究機構

健康被害

海洋汚染により発生したマイクロプラスチックは、人間の健康にも被害を及ぼす恐れがあります。私たちが普段食べている魚介類に、マイクロプラスチックが取り込まれている可能性があるためです。

マイクロプラスチックは極めて小さいことから、海洋生物が誤食するだけでなく、塩や飲料水の中にも含まれることがあります。私たちはあらゆる食物から気付かないうちにマイクロプラスチックを取り込んでいるかもしれないのです。

マイクロプラスチックが体内に溜め込まれると、化学物質がいつまでも体内に留まってしまうことになりかねず、健康への影響が懸念されています。

海洋汚染問題に対する世界の取り組み

世界では海洋汚染に対するさまざまな取り組みが行われています。SDGs目標No.14と海洋汚染の防止につながる条約を知っておきましょう。

SDGs目標No.14「海の豊かさを守ろう」

SDGsとは、世界のさまざまな問題を根本的に解決し、より良い世界をつくるために設定された世界共通の目標です。テーマごとに17の目標が設定されています。

海洋汚染問題に関係する目標が、SDGs目標No.14「海の豊かさを守ろう」です。海洋汚染やプラスチックごみ、海洋資源の減少などを課題とし、現状を改善するためのさまざまな目標が定められています。

漁業従事者の雇用を守ることや貧しい島国の経済的利益を増大させることなど、海に関係する幅広い問題の解決を目指している点が、SDGs目標No.14の特徴です。

SDGs目標No.14についてもっと詳しく知りたい方はこちら

海洋汚染の防止につながる条約

海洋汚染に対する世界の取り組みとしては、さまざまな条約により海洋汚染を防止する対策が取られていることも挙げられます。主な条約は次のとおりです。

  • 国連海洋法条約:海洋に関する国際的な法秩序の形成を目的とした条約
  • ロンドンダンピング条約:海洋での廃棄物の投棄を禁止する条約
  • マルポール73/78条約:船舶の運航・事故による海洋汚染を防止するための条約
  • OPRC条約:船舶や海底油田からの大規模油汚染事故の被害を軽減するための条約

上記以外にも、「北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)」や「船舶バラスト水規制管理条約」など、海洋汚染の防止につながる数多くの国際的な取り決めがなされています。

※出典:海洋法に関する国際連合条約

海洋汚染問題に対する日本の取り組み

海洋汚染は日本にとっても深刻な問題です。海洋汚染防止に関する法律やプラスチックごみ対策など、海洋汚染問題に対する日本の取り組みをご紹介します。

海洋汚染防止に関する法律の制定

1970年に制定された「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)」は、海洋への廃棄物の投棄を原則的に禁止する法律です。

船舶バラスト水規制管理条約が2017年に発効したことを受け、同年に最新の改正が行われています。

「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律(海岸漂着物処理推進法)」も、海洋汚染防止に関する日本の法律です。海岸漂着物の抑制・処理やマイクロプラスチック対策について定めています。
※出典:海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 | e-Gov法令検索
※出典:美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律 | e-Gov法令検索

海洋プラスチックごみ対策アクションプラン

「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」は、海洋プラスチックごみを減らすための具体的な取り組みを環境省がまとめたものです。

「プラスチックごみの海への流出をいかに抑えるか」を重点課題とし、経済活動を制約せず新たな汚染を生み出さないことに焦点を当てた対策を打ち出しています。

「廃棄物処理制度等による回収・適正処理の徹底」や「ポイ捨て・不法投棄、非意図的な海洋流出の防止」など、対策分野を8つに分け、それぞれに課題・取り組み・指標が設定されています。
※出典:海洋プラスチックごみ対策アクションプランの概要 | 環境省

私たちにもできる海洋汚染対策

海洋汚染を防止するためには、個人レベルで行動を起こすことも大切です。私たちにもできる海洋汚染対策を理解し、できることから始めてみましょう。

プラスチックごみの削減に努める

海洋汚染の大きな原因となっているプラスチックごみは、私たちの生活からも大量に生み出されています。海洋汚染を防止するためには、プラスチックごみの削減に努めることが重要です。

マイボトルを持ち歩くようにすれば、ペットボトルごみの削減につながります。紙ストローやマイバッグを使うことでも、プラスチックごみを減らすことが可能です。

プラスチックごみが出た場合も、リサイクルに出せば資源として再利用できます。スーパーなどに配置されているリサイクルボックスに出すようにしましょう。

生活排水に注意する

生活排水をできるだけきれいな状態にすれば、海洋汚染の防止に貢献できます。日常生活で身近にできる対策をまとめました。

  • 食器の汚れは拭き取って洗剤の量を減らす
  • 調理に使った油は新聞紙で吸い取って家庭ごみに出す
  • 調理くずはそのまま流さずに生ごみとして捨てる
  • お風呂の洗剤やシャンプーは適量を使用する

食べ残し・油・洗剤などをそのまま排水口に流さないことがポイントです。

認証マーク付きの商品を購入する

水産物を使った商品の中には、認証マークが付いているものがあります。代表的な認証マークが、「海のエコラベル」とも呼ばれる「MSC認証」です。

MSC認証は持続可能なMSC認証漁業で獲られた天然水産物に付与されています。MSC認証を取得するためには、審査機関による厳格な審査をクリアしなければなりません。

MSC認証付き商品を購入することで、海の資源と環境が守られる仕組みとなっています。水産物を購入する際は、MSC認証が付与されているかを意識してみましょう。
※出典:MSC「海のエコラベル」とは | Marine Stewardship Council

ごみ拾い活動に参加する

海洋のプラスチックごみは、ポイ捨てや不法投棄によるごみも含まれています。道路や河川敷で捨てられたごみを事前に回収できれば、海洋汚染の防止に貢献することが可能です。

地域によっては、ポイ捨てや不法投棄によるごみを回収するためのイベントが開催されることがあります。ボランティア活動に参加し、ごみ拾いに協力することも大切な取り組みです。

ごみ拾い活動に参加すれば、日常生活でもごみが目に留まりやすくなります。外出時にごみを見つけたら、積極的に拾うようにしましょう。

海洋汚染問題を理解し行動に移そう

海洋汚染とは、人間の活動により海が汚染されることです。プラスチックごみや油の流出、工業・生活排水などが、海洋汚染の主な原因となっています。

海洋汚染がこのまま進むと、生態系破壊や地球温暖化が加速しかねません。私たちにもできる海洋汚染対策を知り、可能な範囲で行動に移すことが大切です。

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