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原因は地球温暖化? 異常気象が起こる原因と私たちにもできる対策 原因は地球温暖化? 異常気象が起こる原因と私たちにもできる対策

最近は異常気象が多いとよく話題になります。異常気象は以前からたびたび起きていますが、近年のそれにはどんな特徴があるのでしょうか。近年の異常気象を振り返りつつ、異常気象と地球温暖化の関係について考えていきましょう。

※出典:気象庁「よくある質問 気候・異常気象について」

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異常気象とは

異常気象は一般的に、数時間の大雨、暴風など短期間の激しい気象から、数か月も続く干ばつ、極端な冷夏・暖冬などの、長期間の異常現象などを指します。

気象庁では、「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象」を異常気象としています。世界気象機関(WMO)では平均的な気候であることを判断するために、30年を基準の期間として用いており、気象庁の定義もこれに沿ったものと考えられます(※)。

異常気象とは平年・平均値からは外れる現象ではあるが、昔からたまに起こっていた現象です。発生が信じられないほど極端な異常事態を指しているわけではありません。

ちなみに、気象と似て非なる現象に、大気圏外で起こる「天文現象」や、地震などの「地面現象」があります。
気象は大気圏内で起こる現象であり、天文現象・地面現象とは違います。しかし、大気圏と大気圏外・大気圏と地面は接しているため、天文現象や地面現象とは相互に連関する可能性があるもの、と考えられます。

※出典:気象庁「よくある質問 気候・異常気象について」

近年の異常気象

近年の異常気象 近年の異常気象

最近、日本や世界の各地ではどのような異常気象が発生したのでしょうか。振り返ってみましょう。

2021年8月の記録的大雨

2021年8月の記録的な大雨では、関東地方から沖縄まで極めて広範囲に影響が及び、死者13名、負傷者17名、住宅被害8,209棟を出し、日本の大雨史上でも大きな被害を出すこととなりました(※1)。

国土交通省の調査によると、各地の河川では26水系68河川で氾濫や侵食による被害を確認、交通機関にも大きな影響が生じていました(※2)。

この大雨の影響が生じ始めたのは8月11日ごろですが、その後も8月中旬~下旬、前線の活動が非常に活発となった影響で西日本から東日本の広い範囲で大雨が観測されています。

特に8月14日は九州北部地方で線状降水帯による猛烈な雨や非常に激しい雨が降り続き、佐賀県嬉野市で24時間降水量555.5ミリを観測、観測史上1位の値を更新するなど記録的な大雨となりました(※3)。

このときの記録的大雨では、線状降水帯と呼ばれる雨域が観測されました。「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域」と定義されており、上昇気流に乗って発達した積乱雲が雨を降らせ、湿った下降気流と上昇気流がぶつかり降水のあとも次々と積乱雲ができ、大雨をもたらします。

しばしば局地的な豪雨の原因となっており、気象庁が現在発出している「顕著な大雨に関する情報」は、線状降水帯の情報を確認して発出されています。

※1 出典:気象庁 令和3年8月の記録的な大雨の特徴とその要因について
※2 出典:国土交通省 災害情報 令和3年8月11日からの大雨による被害状況等について(第28報)
※3 出典:気象庁 令和3年8月の記録的な大雨の特徴とその要因について

2018年7月豪雨

さらに大きい被害が生じていたのは、2018年7月豪雨です。西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨を観測しています。

特に長時間の降水量については、高知県安芸郡馬路村では1852.5mm、岐阜県群上市では1214.5mm、宮崎県えびの市では995.5mm、佐賀県佐賀市では904.5mmを観測し、多くの観測地点で観測史上1位を更新しています。気象庁でも「前例のない」豪雨であったとしています(※1)。

このような豪雨が生じた要因としては、多量の水蒸気を含む2つの気流が西日本付近で持続的に合流し厚い雨雲を形成していたこと、梅雨前線の停滞などによる持続的な上昇流の形成、さらに局地的な線状降水帯の発生が気象庁により指摘されています(※2)。

2018年7月豪雨では被害規模も極めて甚大で、死者223名、行方不明者8名、家屋の全半壊等20,663棟、家屋浸水29,766棟にも及びました。広島県を中心として大規模土砂崩れが発生し、死者の約半数は、土砂災害に巻き込まれてしまったことによるものです(※3)。

※1 出典:気象庁 「平成30年7月豪雨」及び7月中旬以降の記録的な高温の特徴と要因について
※2 出典:気象庁 「平成30年7月豪雨」及び7月中旬以降の記録的な高温の特徴と要因について
※3 出典:国土交通省 平成30年7月豪雨災害の概要と被害の特徴

2021年8月ヨーロッパ南部の異常高温

ヨーロッパ南部の地中海周辺地域では、2021年7月下旬から顕著な高温が続き、8月11日シチリア島のシラクサでは最高気温48.8℃を記録しました。これは、世界気象機関(WMO)が確認すれば、ヨーロッパ大陸における気温の史上最高記録となります(※)。

シチリア以外では、スペイン南部のコルドバで46.9℃、トルコ南部のアンタリヤで44.8℃を観測しています。

この熱波によって、シチリア島のフロリディアでは、食用のカタツムリが大量に死ぬ事態が発生したといいます。レモンの実が腐るなど農業への多大な被害も起きています。

また異常な高温によって、イタリア、ギリシャ、トルコ、アルジェリアなどで山火事が多数発生しており、熱中症・脱水による健康被害も生じています。

これらの異常高温は、主に縦に長い高気圧に覆われたことによる下降気流と、日射で気温が上昇したことが原因と考えられています。 そして、その背景には、地球温暖化にともなう全体的な気温上昇傾向があったと指摘されています。

ヨーロッパでは、2019年にも熱波を観測しており、フランスでは保健相が命の危険について国民に警告するほどの深刻な事態になりましたが、それに続きわずか2年後に強烈な異常高温に襲われる形となりました。

また、2021年夏の異常高温は、北アメリカ大陸でも記録されました。カナダ西部のリットンでは、同年6月29日に49.6℃を記録して、カナダにおける最高気温の記録を更新しています。

※出典:気象庁 世界の異常気象速報(臨時)

地球温暖化と異常気象の関係

近年発生している異常気象は、地球温暖化と関係があるのでしょうか。地球温暖化と異常気象の関係について見ていきましょう。

自然には「ゆらぎ」がある

異常気象の定義でご紹介しましたが、異常気象は昔からたまに起こっていた現象です。一方、自然には「ゆらぎ」があり、多くの自然現象が重なって生じる気象には、常に平均値から一定の範囲で収まる法則性があるわけではありません。

「Aにより必ずBが起こる」というように「地球温暖化により必ず異常気象が生じる」とは限らないのです。

ただし、地球温暖化によって世界の平均気温が上昇し続けているのは事実であり、2021年8月に公表されたIPCC第6次評価報告書では以下のように結論づけています。

  • 世界平均気温(2011~2020年)は、工業化前と比べて約1.09℃上昇
  • 陸域のほとんどで1950年代以降に大雨の頻度と強度が増加
  • 強い台風(強い熱帯低気圧)の発生割合は過去40年間で増加
  • 今世紀末(2081~2100年)の世界平均気温の変化予測は、工業化前と比べて+1.0~5.7℃
  • 今世紀末(2081~2100年)の年平均降水量は、1995~2014年と比べて、最大で13%増加
※引用:IPCC第6次評価報告書 WG1 第1作業部会(自然科学的根拠)

徐々に平均気温が高くなることによる海水温の上昇や、積乱雲・線状降水帯の発生、あるいは高温による渇水など、さまざまな影響が考えられるでしょう。

各地で生じる自然のゆらぎに、地球温暖化によって生じる要因が重なって、大雨、異常高温、干ばつの頻度が増えていると推測されます。

地球温暖化と日本の大雨

日本に絞って考えると、自然災害の中でも大きな被害を出し、人命にもかかわることが多いのは大雨です。

元々、日本の夏は高温多湿であるところに、さらに地球温暖化による気温上昇がともなうと、大気中の水蒸気が増えます。水蒸気が多い分だけ、気温上昇の影響により雨が降ると考えられているのです。
研究結果によると、日本では1日の降水量が100ミリ以上・200ミリ以上という大雨が現に増えており、今後も増えることが予測されています。

その一方で、世界レベルで見ると、地球温暖化による気温上昇によって干ばつが起こる地域もあります。干ばつがより深刻化するメカニズムは、次のように解説されています。

「気候システムは複雑で、すべての地域で降水量が増えるわけではなく、熱帯や高緯度では増え、亜熱帯では減ります。水蒸気が上昇して凝結する(雲粒雨粒となる)ときに発生する熱(凝結熱)によって風の流れが変わり、その風の変化によって亜熱帯では降水量が減ってしまいます」

※引用:地域環境センタ―ニュース 2018年9月号 地球温暖化と「水」

地球温暖化の影響によって、日本のように雨が多い地域はより多くなり、少ない地域はより少なくなるという極端化が起こると考えられるのです。

異常気象による被害とその対策

今後気象の極端化が進むことになると、気になるのは防災です。大雨・台風や、猛暑・渇水は生活に大きな影響や被害が出ることもあります。そこで、異常気象の被害をどのように対策しておくか、考えておきましょう。

台風・集中豪雨

台風・集中豪雨 台風・集中豪雨

今後日本では1回の降水量が多い集中豪雨が増えてくることが予想されます。
今までよりも多くの風による建物の損壊、床上・床下浸水、洪水による損壊などの被害が考えられるので、しっかり対策しておく必要があります。

まず、自宅および周辺・必要に応じて勤務先などのリスクを確認するため、ハザードマップで洪水・浸水想定区域を確認しておきましょう。万が一の際に避難ができるように避難場所を事前に確認すること・懐中電灯など非常持ち出し品を用意しておくことも重要です。

また、天気予報をこまめに確認し豪雨情報には日ごろから十分注意しましょう。ゲリラ豪雨など天気の急変はいつ来るかわかりませんので、日ごろの情報収集が大事です。

地球温暖化が台風に与える影響に関してですが、現時点では台風の数や大きさ、強さに影響を与えていると断定はできないとされています。それでも、気象庁気象研究所などは、台風の全体的な発生数については減少する一方、最大風速が45m/sを超えるような非常に強い台風の発生割合は増加する傾向があると発表しています。

台風にともなう災害は総体として激化することが予想され、台風への備えがより一層重要になります。

台風の予報が出たときには、家の損傷の予防と周囲の安全のためにも、庭やベランダなど家の外に飛ばされやすいものを置かないようにしておきましょう。

猛暑

都市部のヒートアイランド現象などと相まって、夏に猛暑が多くなることが予想されます。

健康に対する影響としては熱中症が増えると言われています。対策として、エアコンを上手に活用すること、水分補給をこまめに行うことと、発汗の多い日はミネラルの補給を意識しておきましょう。

ミネラルはスポーツドリンクや、ミネラル入りの飴などで補給できます。暑い時期には常備しておくのがおすすめです。

特に、熱中症にかかりやすいとされるお年寄りや小さい子どものいるご家庭では、外出時や温度調節に一層の注意が必要とされています。熱中症指数を活用し、外出を控える・エアコンの設定温度を決める・時間を決めて休憩、水分補給をするなどの工夫をするとより予防に役立ちます。

気候変動へのアクションを

地球温暖化による異常気象に対する影響を考えると「自分も地球温暖化の防止に貢献したい」と考えるようになるのは自然なことです。気候変動に対するアクションを実際に起こすことに興味を持つ方も多いと思います。
身近なところから実行可能な気候変動へのアクションがあります。火力発電所から多く排出されるCO2の排出が地球温暖化の原因となるため、CO2を排出しない再生可能エネルギーの電気を購入するという選択肢がその1つです。

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