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寒い季節に活躍するファンヒーターは、種類によって電気代やランニングコストが異なります。種類別の電気代の目安や、節約のポイントを押さえておきましょう。また、エアコンやオイルヒーター・ハロゲンヒーターなど、ほかの暖房器具との比較も紹介します

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ファンヒーターの主な種類と特徴

ファンヒーターは暖房効率の高さから、ご家庭でよく使われる暖房器具です。以下のように「電気ファンヒーター」「ガスファンヒーター」「石油ファンヒーター」の3種類があるので、まずはそれぞれの特徴を知っておきましょう。

電気ファンヒーター

電気ファンヒーターは電気を使用して発熱体を加熱し、ファンで温風を送り出すヒーターです。コンパクトな設計で持ち運びが簡単な製品が多く、燃料補給の必要がないため手軽に使えます。基本的に部屋全体を暖めるのには不向きですが、足元や部分的な暖房に適しています。
ただし、消費電力が高く、長時間使用すると電気代が高くなりやすいので、使い方に注意が必要です。冬の寒い時期などは、後述する石油ファンヒーターやエアコンなどで部屋全体を暖め、局所的に電気ファンヒーターを活用するのがよいでしょう。ピンポイントでの使用が適しています。

ガスファンヒーター

都市ガスやプロパンガスを使用して、温風を送り出すタイプのファンヒーターです。即暖性に優れており、部屋全体を均一に暖められるのが特徴ですが、ガス代が発生するのに加えて、ガス栓の位置、ガスホースの長さにより設置場所も限られてしまいます。
また、使用中に適度な換気が必要であり、十分な換気をしないと一酸化炭素中毒のリスクが高まるため、安全面の配慮が欠かせません。一方で、ガス代が電気代より安価な場合には、ランニングコストを抑えられる点がメリットです。

石油ファンヒーター

灯油を燃料として使用し、燃焼による熱をファンで送る仕組みのヒーターです。非常に暖房能力が高く、広い部屋でも効率良く暖められるのが強みです。
ただし、燃料費が比較的安価といわれているものの、頻繁に灯油を補充する必要があり、ガスファンヒーターと同様に定期的な換気が欠かせません。
また、近年は灯油の価格が上昇傾向にあるため、予想外にランニングコストが高くなる可能性があります。都市部では灯油の取り扱いが難しく、選択肢として敬遠されることもありますが、寒冷地では利便性やコスト面から根強い人気があります。

ファンヒーターの電気代の目安

各ファンヒーターの電気代は、使用環境や使用頻度などの条件により変わってきますが、基本的な目安を知ることで、適切な器具を選べるようになります。種類ごとに、ファンヒーターの電気代の目安を知っておきましょう。 

電気ファンヒーターの電気代

電気ファンヒーターにかかる電気代は、シャープの「HX-SK12」を目安として押さえておきましょう。メーカーの仕様表によると、1時間あたりの電気代は強設定で約36~37円であり、弱設定だと約19円です。
また、消費電力から電力料金目安単価は全国家庭電気製品公正取引協議会による31円/kWh(税込)を使って電気代を計算してみましょう。一般的に、電化製品にかかる電気代は、次の計算式で導き出せます。
電気代 (円)=消費電力(kW)×使用時間(h)×電力料金目安単価(円/kWh)
同製品は強設定時の消費電力が約1,200W(1.2kW)なので、1時間使用すると「1.2kW×31円/kWh×1h=37.2円」となり、約37.2円の電気代がかかることがわかります。弱設定の場合は消費電力が約620W(0.62W)なので、同様の計算で約19.22円かかる計算です。
メーカーの公表値と若干の差がありますが、大まかに1時間あたり、20~40円の電気代がかかると考えておくとよいでしょう。
※出典: HX-SK12 | プラズマクラスター電気暖房機:シャープ

ガスファンヒーターの電気代

ガスファンヒーターの電気代は、リンナイの「SRC-365E」を目安として計算してみます。消費電力は18W(0.018kW)で、電力料金目安単価を31円/kWhとして計算すると、次のように1時間あたり約0.56円の電気代がかかります。
1時間あたりの電気代:0.018kW×31円/kWh×1h=0.558円
このように消費電力が小さいため、ほとんど電気代はかかりませんが、ランニングコストを計算するにはガス代を考慮しなければいけません。
同製品のガス消費量は4.07kW(3,500kcal/h)なので、ガスの料金単価を178円/m³(東京ガス2024年12月検針分)としてガス代を計算すると、次のようになります。
1時間あたりのガス使用量(m³):3,500kcal/h÷11,000kcal/m³=約0.318m³/h
1時間あたりのガス代:0.318m³/h×178円/m³=約56.7円/h
したがって、1時間あたり約56.7円のガス代が発生する計算になるため、電気代と合わせると約57円のランニングコストがかかります。
※出典: SRC-365E | Rinnai Style(リンナイスタイル) | リンナイ

石油ファンヒーターの電気代

石油ファンヒーターにかかる電気代やランニングコストは、コロナの「FH-G3223Y」を代表例として計算してみましょう。同製品の消費電力は、弱燃焼時は11W・強燃焼時は20Wなので、電力料金目安単価を31円/kWhとして計算すると、次のようになります。
弱燃焼時:0.011kW×31円/kWh×1h=約0.34円
強燃焼時:0.02kW×31円/kWh×1h=約0.62円
従って、1時間あたり約0.34~0.62円の電気代がかかります。さらに、灯油代を1Lあたり約118円として、石油代も計算してみましょう。FH-G3223Yの燃料消費量の範囲は0.061L/h~0.310L/hなので、灯油代は次の範囲に収まると考えられます。
1時間あたりの灯油代(円)=燃料消費量(L/h)×灯油単価(円/L)
0.310L/h×118円/L=約36.58円/h(最大燃料消費量時)
0.061L/h×118円/L=約7.20円/h(最小燃料消費量時)
これらを総合的に考えると、石油ファンヒーターは1時間あたり約7~37円のランニングコストの負担が発生します。石油代に比べると、電気代はほとんどかからないことがわかります。
※出典: 製品詳細|G32タイプ(2023年モデル)|石油ファンヒーター|株式会社コロナ
※出典: 調査の結果|石油製品価格調査|資源エネルギー庁

ほかの暖房器具との電気代の比較

次に、ほかの代表的な暖房器具の電気代を紹介します。特に、エアコンは多くのご家庭で主たる暖房器具として導入されているので、どちらがお得に利用できるか、自分なりに考えてみましょう。

エアコン

エアコンの暖房機能にかかる電気代は、日立の「RAS-AJ36R」を例に計算してみましょう。暖房時の消費電力は1,190Wで、消費電力量は暖房時の期間合計が988kWhです。これをベースに暖房期間の電気代を計算すると、次のようになります。
電気代=消費電力量(kWh)×電力料金単価(円/kWh)=988kWh×31円/kWh=約30,628円(暖房期間の合計)
また、消費電力が1,190W(1.19kW)とすると、次のように1時間あたり約37円の電気代がかかることがわかります。
電気代=1.19kW×31円/kWh×1h=36.89円
設定によっては電気ファンヒーターよりも電気代がかかりますが、エアコンは部屋全体を暖められるのが強みです。ただし寒冷地の場合、エアコンだけでは十分に部屋を暖められないケースもあるので、石油ファンヒーターなどと併用するのがおすすめです。
※出典: ルームエアコン AJシリーズ : 住宅設備用エアコン : 日立グローバルライフソリューションズ株式会社

オイルヒーター

オイルヒーターは、電気で内部のオイルを熱することで、部屋を暖められる器具です。代表的な製品であるデロンギの「RHJ35M1015-BK」を例に、電気代を計算してみましょう。同製品の消費電力は最大1,500Wなので、1時間あたりの電気代を計算すると、次のように約46.5円となります。
電気代=1.5kW×1時間×31円/kWh=46.5円
電気ファンヒーターに比べて、部屋全体を暖める力を持っている製品が多くありますが、電気代が高めなので使い過ぎに注意しましょう。
※出典: RHJ35M1015-BK | De'Longhi JP

ハロゲンヒーター・カーボンヒーター

ハロゲンヒーターやカーボンヒーターも、代表的な暖房器具の1つで、輻射熱で人や物を直接温めるのが特徴です。ここではテクノスの「PH-1212」を例に、電気代を計算・比較してみましょう。同製品の消費電力は800W・1200Wなので、1時間あたりの電気代を計算すると次のようになります。
800Wの場合:0.8kW×1時間×31円/kWh=24.8円
1,200Wの場合:1.2kW×1時間×31円/kWh=37.2円
1時間におよそ25~37円かかる計算となり、強設定の場合は電気ファンヒーターと同程度の電気代の負担が発生します。なおハロゲンヒーターは、部屋全体を暖めるほどの能力はほとんどないため、基本的にはスポット暖房として使用しましょう。
※出典: 直管型ハロゲンヒーター 400W管3灯PH-1212(W)|TEKNOS (テクノス)

ファンヒーターの電気代を節約するには?

ファンヒーターの電気代を節約するには、以下のポイントを意識することが大事です。省エネ機能を活用したり、ほかの暖房器具と併用したりすることで、無駄な電力消費を抑えるようにしましょう。

省エネ機能を活用する

設定温度を低めにしたり省エネ機能を活用したりすることで、消費電力を抑えられるため、電気代の節約になります。例えば、設定温度を一定に保ちながら無駄なエネルギー消費を抑えるエコモードや、自動でオン・オフを切り替えるタイマー機能などの活用がおすすめです。
同時に扉や窓の隙間風を防ぐなど、暖房効率を上げることで、より少ない電力で効率的に部屋を暖める工夫も必要です。

ほかの暖房器具と併用する

ファンヒーターで部屋全体を暖めたら、エアコンに切り替えて温度を維持するなど、ほかの暖房器具とうまく組み合わせて使うことで、電気代を安くできる可能性があります。
また、電気毛布やホットカーペットなどの局所暖房用の器具と併用すれば、ファンヒーターの消費電力を抑えつつ、快適性を維持できるようになるでしょう。湿度が上がると同じ温度でも暖かく感じるため、冬の乾燥する時期は加湿器をうまく使うのもおすすめです。

電気料金プランや電力会社を切り替える

電気の料金プランをご家庭に合ったものに切り替えることで、毎月の電気代を安くできる可能性があります。ファンヒーターの使い方を変えなくても、光熱費の負担を減らせるケースも珍しくありません。
例えば、夜間料金が安くなるプランや、一定以上の使用量に対して、割引が適用されるプランなどがおすすめです。
また、新電力への乗り換えにより、環境負荷を軽減しながら、節電が可能な場合も多くあります。新電力の概要や乗り換えのメリットに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
新電力についてもっと詳しく知りたい方はこちら

ファンヒーターを使いこなして電気代を抑えよう

ファンヒーターは種類によって電気代が大きく異なります。部屋全体を暖めるにはガス代や灯油代がかかるヒーターが多いので、全体のランニングコストを考えることが重要です。エアコンをはじめ、ほかの暖房器具とも比較しつつ、ご家庭に合った器具を導入しましょう。

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