除湿機は、湿気が多い日本に欠かせない電化製品の1つです。除湿機を新調する際に気になるのが電気代といえるでしょう。除湿機の運転にかかる電気代を解説します。併せて、エアコンや乾燥機との比較や電気代を節約する方法も紹介します。
除湿機のタイプは主に3種類
除湿機を運転させるとかかる電気代の目安を知るには、まず除湿機の種類を知っておくことが重要です。除湿機の電気代は、種類によって大きく異なります。除湿機の3つのタイプを解説します。
暑い時期に活躍する「コンプレッサー方式」
コンプレッサー方式とは、コンプレッサー(空気を圧縮する機械)を稼働させて取り込んだ空気を本体内部で冷やし、空気に含まれている水分を結露として水滴化させ、除湿するタイプの除湿機です。
コンプレッサー方式は、取り込んだ空気を冷やして除湿を行うので、室温が高くなる夏場に除湿効率が高まるという特徴を持ちます。しかし、室温が低い冬場は本体内部を冷やしてもなかなか結露が発生しないため、効率が下がってしまいます。
消費電力が比較的低いため、電気代を抑えたい方にはコンプレッサー方式を選ぶのがおすすめです。本体が重くサイズが大きいのがコンプレッサー方式のデメリットといえます。
冬場の結露対策に適している「デシカント方式」
デシカント方式とは、「デシカント素子」と呼ばれる乾燥剤のフィルターを使って、取り込んだ空気の水分を除去するタイプの除湿機です。季節を問わず安定した除湿効率を維持してくれるものの、ヒーターで暖めて除湿した空気を室内に放出するため、稼働させると室温が上昇します。室温が高い夏場は使用しにくいタイプといえるでしょう。
また、除湿の過程でヒーターを使用するため、ほかのタイプよりも電気代が高くなる傾向があります。節電を意識するのであれば、ほかのタイプを選択するのが適切です。
ただ、デシカント方式は本体サイズが小さくて軽量なので、さまざまな部屋に除湿機を持ち込んで使用したい方には向いているといえます。
オールシーズン活躍する「ハイブリッド方式」
コンプレッサー方式とデシカント方式のいいとこ取りを実現したタイプが、ハイブリッド方式です。気温の高い夏場は室温が高いときに除湿効率が上がるコンプレッサー方式のシステムを稼働させ、気温が低い冬場は駆動時に熱を発するデシカント方式のシステムを稼働させます。
ハイブリッド方式は、季節を問わず高い除湿力を発揮するため、1年を通して除湿機を稼働させたいご家庭に向いています。ハイブリッド式を選ぶことで、季節を問わず快適に使えるでしょう。
2つのタイプのいいとこ取りをしたハイブリッド方式は、2つの異なるシステムを本体内に搭載しているため、本体サイズが大きく、値段が高いという特徴を持っています。
除湿機のタイプ別の電気代の目安
除湿機のタイプ別の電気代を解説します。比較対象にしているのは、除湿可能な部屋の広さとして木造住宅8畳程度・鉄筋16畳程度としている製品です。記載している電気代は60Hzのご家庭を想定しています。電力料金の単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が定める「31円/kWh(税込)」を使用します。
なお、定格除湿機能力および除湿能力は、室温27℃・相対湿度60%を維持し続けたときの24時間あたりの除湿量を指します。デシカント方式のみ、室温20℃・相対湿度60%を維持し続けたときの1日あたりの除湿量を定格除湿能力としています。
※出典: 【専門家厳選】おすすめの除湿機をニーズ別に紹介!選ぶポイントも解説| kikito[キキト] -ドコモの家電レンタル・サブスクサービス
※出典: よくある質問 Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
※出典: よくある質問 Q&A 公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
コンプレッサー方式の電気代
アイリスオーヤマのコンプレッサー式衣類乾燥除湿機「DCE-6515」のデータは下記の通りです。
・定格除湿能力:6.5L
・定格消費電力:175W
以上のことから、1時間あたりの電気代は約5.43円となる計算です。
もう1台電気代を計算してみましょう。コロナが販売しているコンプレッサー式除湿機「BD-6325」のデータは下記の通りです。
・除湿能力:21.3L
・消費電力:180W(除湿時・衣類乾燥時ともに)
以上のことから、1時間あたりの電気代は約5.58円となります。
※出典: 除湿機 コンプレッサー式 16畳 6.5L DCE-6515 H561929
※出典: 製品詳細|Pシリーズ|衣類乾燥除湿機|株式会社コロナ
デシカント方式の電気代
パナソニックから発売されているデシカント式除湿機「F-YZX60B」の基本的なデータは下記の通りです。
・定格除湿能力:5.6L
・消費電力(衣類乾燥・標準モード):295W
・乾燥時間(衣類乾燥・標準モード):178分
以上を総合すると、1時間あたりの電気代は約9.15円となり、衣類乾燥1回あたりの電気代は約27.16円となります。
もう1機種、電気代を計算してみましょう。アイリスオーヤマが販売しているデシカント方式除湿機「IJDI50-WH」は下記のようなスペックとなっています。
・定格除湿能力:5.0L
・定格消費電力:590W
以上のことから、1時間あたりの電気代は約18.29円となります。
※出典: 詳細情報 デシカント方式 衣類乾燥除湿機 F-YZX60B | 衣類乾燥除湿機 | Panasonic
※出典: サーキュレーター衣類乾燥除湿機 デシカント式 13畳 5L 静音 1台3役 IJD-I50 全3色 H283424
ハイブリッド方式の電気代
パナソニックが販売しているハイブリッド式除湿機「F-YHX90B」の基本的なデータは以下の通りです。
・定格除湿能力:6.5L
・消費電力(衣類乾燥・標準モード):185W
・乾燥時間(衣類乾燥・標準モード):152分
以上を踏まえると、1時間あたりの電気代は約5.74円、衣類乾燥1回あたりの電気代は約14.53円となる計算です。
除湿可能面積が広めの機種として、シャープからもハイブリッド式除湿機が販売されています。シャープの「CV-SH150」のデータは以下の通りです。
・定格除湿能力:13L
・消費電力(衣類乾燥):715W
・衣類乾燥時間(2kg):梅雨時約57分、冬季約75分
以上のことから、1時間あたりの電気代は約22.17円、衣類乾燥1回あたりの電気代は梅雨時で約21.06円、冬季で約27.71円となります。
※出典: 詳細情報 ハイブリッド方式 衣類乾燥除湿機 F-YHX90B | 衣類乾燥除湿機 | Panasonic
※出典: 仕様 / 寸法 | CV-SH150 | 除湿機:シャープ
エアコンと除湿機の違いと電気代比較
除湿機の電気代を気にする方の中には、同じく室内を除湿してくれる「エアコンの除湿運転」との比較を知りたい方もいるはずです。部屋の空気を除湿することに特化した除湿機と、室温を調整しながら部屋を除湿するエアコンでは、微妙にその機能が異なります。しかし、用途は似通っているので比較も有益といえるでしょう。エアコンと除湿機の電気代を比較し、解説します。
エアコンの除湿機能の種類と特徴
エアコンの除湿機能には「弱冷房除湿」「再熱除湿」「ハイブリッド除湿」の3種類があります。種類によってかかる電気代の目安が異なるので、しっかり違いを知っておきましょう。
弱冷房除湿は、弱く冷房運転を行って室内の湿度を下げる除湿方法です。エアコンに搭載されている除湿機能のうち最もメジャーなタイプで、多くのエアコンで採用されています。
再熱除湿は、室内機から取り込んだ空気を冷やして除湿した後、再度暖め直して室内に排出する除湿方法です。室温を下げずに湿度のみを下げられる除湿方法とされています。
ハイブリッド除湿とは、空気を除湿した後、除湿した空気と室内の空気とを混ぜて排出する除湿方法です。除湿を行っても、弱冷房除湿ほど体感温度が下がらないのが特徴です。
エアコンと除湿機の電気代の比較
エアコンの除湿機能にかかる電気代は、電気代が高い順に並べると、以下のようになります。
再熱除湿>冷房>弱冷房除湿≒ハイブリッド除湿
若干古いデータにはなるものの、東京電力技術開発研究所(現:経営技術戦略研究所)では2002年に冷房・弱冷房除湿・再熱除湿にかかる電気代を調査しています。その結果によると、設定温度が24℃のときにかかる1時間あたりの電気代は以下の通りです。
・冷房:約11.0円
・弱冷房除湿:約4.1円
・再熱除湿:約14.9円
この値を除湿機の数値と比較すると、弱冷房除湿を選択すれば、除湿機を稼働させるよりもやや低コストで室内を除湿できるといえるでしょう。自宅の除湿機がデシカント方式であった場合には、さらにコストの差が顕著になるといえそうです。
⇒エアコンの除湿にかかる電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
※出典: 調査結果ならびに「冷房」と「除湿」の違いと、上手な使い方|東京電力株式会社
除湿機と他の乾燥方法の電気代比較
除湿機を「部屋干しする洗濯物を乾かす目的」で導入するのであれば、浴室乾燥機や洗濯乾燥機を使った場合の電気代も気になるはずです。浴室乾燥機とドラム式洗濯乾燥機で洗濯物を乾かすときにかかる電気代を計算します。除湿機の電気代と比較してみましょう。
浴室乾燥機の電気代
除湿機と浴室乾燥機の電気代を比較するために検証するのが、パナソニックの浴室乾燥機「FY-13UG6V」です。この浴室乾燥機の消費電力は1,250Wなので、1時間あたりの電気代は約38.75円と計算されます。乾燥までに約3時間かかると仮定すれば、消費する電気代は約116.25円です。
なお「FY-13UG6V」のスペック表には、衣類乾燥にかかる時間と消費する電気代の目安が記載されています。これによると、乾燥時間と電気代は下記の通りです。
・合計2.0kgの洗濯物を乾かす場合:乾燥時間は約2時間5分、消費する電気代は約81円
・合計3.0kgの洗濯物を乾かす場合:乾燥時間は約2時間20分、消費する電気代は約91円
除湿機と浴室乾燥機の電気代を比較すると、除湿機の方が電気代を抑えながら洗濯物を乾かせることがわかります。
⇒浴室乾燥機の電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
※出典: 2025-2026.3 換気・送風・環境機器総合カタログ | WEBカタログ | Panasonic
ドラム式洗濯乾燥機の電気代
東芝から発売されているドラム式洗濯乾燥機「TW-127XM4L」のスペックは以下の通りです。
・消費電力(乾燥時):1,190W
・目安時間(洗濯時):約35分
(洗濯~乾燥時):約96分
洗濯物の乾燥にかかる時間は約61分と推察されます。以上のことから、1時間あたりの電気代は約36.89円、乾燥1回あたりの電気代は約36.31円と計算できます。
もう1台ドラム式洗濯乾燥機の電気代を計算してみましょう。パナソニックのドラム式洗濯乾燥機「NA-LX127DL」のデータは下記の通りです。
・消費電力量(定格洗濯乾燥時(標準乾燥モード)):890Wh
・目安時間(定格洗濯乾燥時(標準乾燥モード)):98分
以上を総合すると、1時間あたりの電気代は約27.59円、乾燥1回あたりの電気代は約45.05円となる計算です。
1時間あたりの電気代で比較すると、ドラム式洗濯乾燥機の方が除湿機よりもやや電気代高くなる傾向があります。
※出典: 寸法・仕様 | TW-127XM4L | 洗濯機・洗濯乾燥機 | 東芝ライフスタイル株式会社 | 東芝ライフスタイル株式会社
※出典: 詳細情報 ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX127DL | 洗濯機・衣類乾燥機 | Panasonic
除湿機の電気代を節約するコツ
除湿機を生活に取り入れるのであれば、除湿機の運転にかかる電気代を節約する方法を実践するのがおすすめです。できることから節電を実行すれば、電気代の負担を和らげながら快適な生活を送れます。除湿機の電気代を抑える方法を6つ紹介します。
サーキュレーターや扇風機を併用して除湿効率を上げる
除湿機を使うのであれば、一緒にサーキュレーターや扇風機を使って部屋の空気を循環させましょう。部屋の空気を循環させれば、除湿機の除湿効率をアップさせることが可能です。
除湿機だけを稼働させると、部屋の中に乾燥している場所と湿気が溜まっている場所ができてしまいます。この状態のまま除湿機を稼働し続けると、部屋全体が除湿されるまでに余分な時間がかかり、結果として電気代が高くなってしまうのです。
サーキュレーターや扇風機を使って部屋の空気をかき混ぜることで、湿気が溜まった空気を拡散させるとともに、除湿機によって除湿された空気を部屋中に運ぶ効果が期待できます。
定期的に除湿機本体をお手入れする
除湿機の運転にかかる電気代を安く抑えたいのであれば、定期的に除湿機本体を掃除しましょう。除湿機の本体内部に汚れが溜まっていると、除湿の効率がぐっと下がります。部屋全体を除湿するのに無駄な時間がかかるようになれば、必然的に除湿完了までに消費する電気代も高くなってしまいます。
特に汚れを気にすべき箇所はフィルターです。除湿機は室内の空気を取り込んで除湿を行うため、フィルターがほこりで目詰まりしていると、除湿効率が低下してしまいます。
省エネを目指すのであれば、2週間に1回程度のペースでフィルターのほこりを掃除機で吸い取りましょう。可能であれば水洗いするのがおすすめです。
適切な湿度設定と運転モードを選ぶ
除湿機を使用するときは適切な湿度設定を守るようにしましょう。室内の湿度は、40~60%程度が適切といわれています。カビの発生を気にするあまり、この湿度以下に部屋の湿度を抑えようとすると、過剰な電気代がかかるばかりか、風邪にかかりやすくなったり、肌が異常に乾燥したりするなど、人体にも悪影響をおよぼします。
節電を意識しながら除湿機を使うのであれば、適切な「運転モード」を選ぶのも重要です。室内を強力に除湿する「速乾モード」や「強」を多用すると、その分電気代が高くなってしまいます。最初は「強」で除湿し、湿度が下がったら「弱」に切り替えるのが効果的です。
湿気の流入を防ぐことで無駄な電力消費を抑える
電気代を抑えつつ除湿機を使用したいのであれば、窓や扉を閉め、部屋を閉め切って除湿機を運転させることが大切です。窓や扉を開け放った状態で除湿機を稼働させると、湿気を帯びた空気が次から次へと窓や扉から侵入してくるため、いつまで経っても設定した湿度を達成できず、電気代ばかりがかさんでしまいます。
また、「除湿機の除湿性能を高める」という観点でいえば、洗濯物を部屋干しする際は、なるべく狭い空間で除湿機を運転させると効果的です。除湿機の適用畳数より小さな部屋で使うと、効率的に除湿できます。
洗濯物の干し方を工夫する
除湿機を使う際は、洗濯物を密着させずに干しましょう。洗濯物同士が密着していると、除湿機から放出される乾いた空気が洗濯物に触れにくくなるので、除湿機のパワーを感じにくくなります。部屋干しするときは、洗濯物同士をこぶし1個程度離して干すのがポイントです。
また、洗濯物が多いときは、洗濯物全体がアーチ状になるように干すと乾きが早くなります。バスタオルやジーンズなど長さがあるものを端に干し、ハンドタオルや靴下などの短いものを中心に干すことで、洗濯物の周囲に空気の流れができるため、洗濯物が早く乾きやすいといわれています。
洗濯物の近くに除湿機を配置する
除湿機を使って洗濯物を部屋干しするときには、できるだけ洗濯物の近くに除湿機を置くようにしましょう。洗濯物の近くに除湿機を置くことで、除湿機から排出される乾いた風を洗濯物にあて、洗濯物の乾きを促進する効果が期待できます。
理想的な除湿機の置き場所は、洗濯物の真下です。洗濯物は上側から順々に乾き、下側が乾きにくいという特徴を持っています。乾きづらい洗濯物の下側に積極的に風をあてることで、洗濯物全体の乾きを早める効果が見込めます。
なお、除湿機によっては、洗濯物の真下に設置することを推奨していない製品もあるので、除湿機を初めて使うときは取扱説明書を確認しましょう。
除湿機を上手に活用して電気代を抑えながら快適に過ごそう
除湿機は、部屋をカラッとさせてカビの繁殖を抑制する目的や、洗濯物の部屋干しを早く終わらせる目的などで活用される電化製品です。日常的に使用することで、湿気のジメジメした感覚を覚えることなく、快適に生活できるといえるでしょう。気になる電気代も、サーキュレーターの併用や定期的な本体のお手入れを実施すれば、最低限に抑えることが可能です。除湿機を賢く使って、湿気の多い季節を快適に過ごしましょう。
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