室内の空気を循環させたり、涼を取ったりするのに役立つサーキュレーターと扇風機ですが、厳密には役割や特徴が異なります。うまく使い分けるために、両者の違いや電気代の目安、さらに節電のポイントなど、基本的なところを確認しておきましょう。
サーキュレーターと扇風機は何が違う?
一見似たような電化製品に見えるサーキュレーターと扇風機ですが、それぞれの目的や構造には違いがあります。正しく使い分けるために、まずは両者の特徴を理解しておきましょう。それぞれの役割や風の届き方、可動範囲などの観点から違いを解説します。
目的・役割の違い
サーキュレーターの主な目的は、室内の空気の循環です。部屋全体の空気を効率よくかき混ぜることで、温度や湿度のムラを解消し、快適な室内環境をつくり出します。一方、扇風機は送風により涼を取るのが主な目的であり、人に直接風を当てて、体感温度を下げる役割のある電化製品です。
扇風機は、広い範囲にやわらかい風を届けるのに適しているのに対して、サーキュレーターは直線的で強い風を遠くまで送れるのが特徴です。
また、サーキュレーターは季節を問わず、空気の流れを整える補助的な電化製品としても重宝されています。冷暖房効率の向上や結露・カビ対策としても有用です。
風の届き方や強さ・質の違い
サーキュレーターは、風が直線的に遠くまで届くように設計されており、風速が強く狭い範囲に集中して送風できるのが特徴です。部屋の隅まで空気を送りたいときや、空気のよどみを防ぎたいときなどに効果を発揮します。
特に、天井付近にたまった暖気を床面に押し下げたり、冷房時に冷気を部屋全体に行き渡らせたりするといった用途に適しています。また、洗濯物の乾燥を早めるために、サーキュレーターを導入するご家庭も少なくありません。
一方で扇風機の風は拡散的であり、柔らかく広範囲に広がるのが特徴です。人に当てても不快感が少なく、長時間の使用にも向いています。風量を弱めに設定すれば、就寝時の使用にも適しており、肌寒さや乾燥を感じにくい点がメリットです。
可動範囲の違い
サーキュレーターは360度回転や、上下の角度調整が可能なモデルが多く、立体的な空気循環を実現できます。壁や天井に向けて風を送ることで、室内全体の空気を効率的にかき混ぜる設計になっています。
一方、扇風機は主に左右の首振り機能と、上下の角度調整に限定されるのが一般的です。これは人に向けて風を送ることを前提としているため、人がいる高さや範囲での使用に、最適化されているためです。
ただし、最近では多機能な扇風機も数多く登場しており、サーキュレーター機能を併せ持つハイブリッドタイプも出回っています。サーキュレーターと扇風機のどちらの特性も生かしたい方は、両者の機能を併せ持つモデルを導入するのがおすすめです。
サーキュレーターと扇風機の電気代の目安
サーキュレーターと扇風機はどちらも省エネ家電として人気ですが、実際の電気代は機種や使い方によって変わってきます。両者の代表的なモデルにかかる電気代について、実際に計算してみましょう。
サーキュレーターにかかる電気代
サーキュレーターの電気代の目安を確認するため、代表例としてアイリスオーヤマの「PCF-BD15TEC-W」にかかる電気代を計算してみます。
公式サイトによると、同製品の消費電力は17Wなので、1時間あたりの電気代は次の通りです。なお、電気料金の単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定めた31円/kWhとして計算します。
電気代(円)=消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)
=0.017kW×1h×31円/kWh=0.527円
よって、1時間あたりの電気代は約0.53円となります。消費電力の差は機種ごとに異なるため、購入前に仕様を確認することが大切ですが、全体としては非常に省エネ性の高い電化製品といえるでしょう。
なお、サーキュレーターにかかる電気代に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
⇒サーキュレーターの電気代について、もっと詳しく知りたい方はこちら
※出典: DCボール型サーキュレーター PCF-BD15TEC-W ホワイト 207030│アイリスオーヤマ公式通販アイリスプラザ
扇風機にかかる電気代
次に、扇風機の代表例として、SHARPの「PJ-S3DS-W」の電気代を計算してみましょう。同製品の消費電力は21Wなので、1時間の運転でかかる電気代は次の通りです。
電気代(円)=消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)
=0.021kW×1h×31円/kWh=0.651円
よって、1時間あたりの電気代は約0.65円です。ただし、同製品の風量最小運転時の消費電力は約2.2Wであり、最小レベルで運転し続ければ、1時間あたりの電気代は約0.07円で済みます。
なお、360度の首振り機能や、リモコンなどを搭載した多機能モデルでは、消費電力がやや高くなる傾向があります。それでも、エアコンなどの冷房機器と比べれば、負担は軽く済むため、快適さとコストのバランスを取りたい場合、扇風機は優れた選択肢といえるでしょう。
扇風機にかかる電気代に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
⇒扇風機の電気代について、もっと詳しく知りたい方はこちら
※出典: PJ-S3DS | サーキュレーター・扇風機:シャープ
サーキュレーターと扇風機の使い方のポイント
サーキュレーターと扇風機は、基本的に異なる目的を持っているため、状況に応じた適切な使い方を知ることが重要です。両者の使い分けのポイントを確認しておきましょう。
季節やシーンに応じて使い分ける
サーキュレーターと扇風機は、季節や使用シーンによって使い方を変えることで、より高い効果を発揮させられます。例えば、夏場なら扇風機を人に向けて使うことで、汗の蒸発を促し、体感温度を下げる効果を得られます。
また冬場には、暖房によって天井付近にたまりがちな暖気を床面に下ろす目的で、サーキュレーターを使うのもよいでしょう。室温を均一に保つのに役立ちます。扇風機は冬場の使用にはあまり向きませんが、弱風の設定ならば、空気の循環を促すのに活用できます。
就寝時には静音性と風のやわらかさを重視
夜間に使用する場合は、扇風機の微風モードや静音モードを活用すると、音で睡眠を妨げられずに済みます。風が肌に直接当たっても不快感が少なく、就寝中の冷えすぎも防げるのでおすすめです。
一方、サーキュレーターは風が直線的で、寝室で使う場合は、風向きや風量を工夫する必要があります。直接体に当たらないように天井方向に向けると、睡眠の妨げにならずに済むでしょう。
さらに、後述するようにエアコンとうまく併用すれば、室温のムラを抑えて寝苦しさを和らげることができます。
洗濯物干しにはサーキュレーターがおすすめ
部屋干しの際に洗濯物を早く乾かしたい場合、サーキュレーターの活用が非常に効果的です。直進性のある強い風をピンポイントに当てられるため、効率的に湿気を飛ばすことで、乾燥時間を大幅に短縮できます。
特に、天候が悪い日や夜間の洗濯、外干しが難しい集合住宅での生活などでは、洗濯物の乾燥手段として心強い存在です。
また、部屋の中で発生する湿気は、カビの原因になりかねません。そこで、サーキュレーターを使って空気を動かすことで、湿気の停滞を防ぎながら室内環境を改善することが可能です。
湿度が高くなりやすい梅雨時や夏場などは、洗濯物の乾燥だけでなく、カビや結露の対策として活用するのがよいでしょう。
エアコンとの併用で冷暖房効率を高める
エアコンとサーキュレーターを併用することで、室内の温度ムラを減らし、より快適な環境を実現できます。
冷房時は、エアコンの冷気が部屋全体に均一に行き渡るように使うことで、効率よく冷房を活用できます。暖房時も同様に、暖かい空気を部屋全体に循環させることで、冷えやすい足元の温度を上げるのに効果的です。
なお、扇風機もエアコンの風を部屋全体に拡散させる用途で活用できますが、サーキュレーターに比べると、直線的な風を送り出す力は劣ります。部屋のすみずみまで効率よく空気を循環させたい場合は、サーキュレーターの使用を検討しましょう。
サーキュレーターと扇風機の電気代を抑えるコツ
サーキュレーターや扇風機は、使い方によって、若干ではありますが消費電力が変わります。以下のポイントを意識しつつ、できるだけ電気代を抑えて利用しましょう。
風量や設置角度を工夫して効率的に使用する
風量を常に最大にすると消費電力が増えるため、電気代の負担が増えてしまいます。最小限の風量でも十分な効果が得られるように、設置場所や角度を工夫しましょう。
例えば、サーキュレーターで空気を循環させる際には、壁や天井に向けて風を当てるだけで、室温を均一化しやすくなります。
また、扇風機も部屋の対角に設置することで、少ない風量でも風がよく通るようになるので、体感温度の向上が期待できます。単に強い風を当てるだけでなく、空気の流れを意識して使いましょう。
タイマー機能などをうまく活用する
扇風機やサーキュレーターは、比較的消費電力が少ないものの、長時間の稼働が積み重なると電気代に影響します。日中不在の時間帯や就寝時には、タイマー機能や自動オフ機能などを活用し、必要な時間だけ使うように意識しましょう。
特に就寝中は朝まで稼働させ続けるよりも、就寝時の数時間だけ稼働させる設定にすることで、睡眠の質を保ちつつ、無駄な電力の消費を抑えられます。また、日中に換気目的で使用する場合も、一定時間で停止するようにタイマーをセットしておけば、外出時に消し忘れても安心です。
製品によっては、リモコンやスマートフォンで操作できるモデルもあるので、ライフスタイルに合わせてうまく活用しましょう。
サーキュレーターと扇風機の違いを知っておこう
サーキュレーターと扇風機は、見た目や構造が似ているため混同されがちですが、用途や風の性質などに違いがあります。サーキュレーターは、空気を循環させることを主な目的としており、直進的で強い風を送って室内の温度差を解消するのに効果的です。
一方、扇風機は人に直接風を当てることで体感温度を下げ、涼を取るために使われます。それぞれの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが、省エネと快適性の両立につながります。適材適所で使い分けるのに加えて、エアコンとの併用なども検討しましょう。
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