エアコンはとても便利な電化製品です。夏でも冬でもスイッチ一つで部屋が快適な温度になるので、真夏や真冬は一日中つけっぱなしというご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、エアコンを長時間使うと気になるのが電気代です。「夏と冬は大幅に電気代が上がってしまい、困っている」という方も珍しくはありません。
そこでこの記事では、エアコンの電気代の計算方法や冷房・暖房時の消費電力の違い、設定温度の目安などを詳しく解説します。この記事を読めば、冷暖房を効率的に節約する方法も分かるでしょう。エアコンを使用したときの電気代を節約したいと考えている方は、ぜひ読んでみてください。
エアコンの電気代はいくら?
はじめに、エアコンの電気代はいったいどのくらいかかるのかを解説します。夏と冬は電気代が大幅に上がるのは分かっていても、電気代のうち何%をエアコンが占めるのか分からないという方は多いことでしょう。ここでは、エアコンの電気代を簡単に計算する方法や省エネのコツなどを解説していきます。
エアコンの電気代の計算方法
電気代の計算は、以下のような数式で求められます。
消費電力量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)+基本料金=電気代
電気料金単価は、電気ご使用量のお知らせ(検針票)や契約している電力会社のホームページで確認することができます。電気料金単価はプランによって異なるほか、消費電力量によっても変わってきます。たとえば、東京電力の場合、120kWと300kWを越えると段階的に1kWhあたりの電気料金単価が高くなります。これに、基本料金を加えたものが検針票に記してある電気代です。
消費電力量は以下のように計算してください。
消費電力(W)÷1000×使用時間(時間)=消費電力量(kWh)
消費電力はW(ワット)で表されるので、kW(キロワット)にするために1000で割ります。消費電力は、エアコンを扱っているメーカーのホームページやカタログ、取扱説明書で確認しましょう。
たとえば、消費電力が冷房で560Wのエアコンがあり、それを8時間使った場合、消費電力は560÷1000×8で消費電力は4.48kWhとなります。電気料金単価が27円/kWhの場合、4.48kWh×27円/kWh=120.76円で、四捨五入すれば8時間あたりの電気料金は約121円です。
このようにして電気代を計算していきましょう。なお、電気単価料金は電力会社によって違うので、電力会社を替えれば電気料金が安くなる可能性もあります。
省エネできるエアコンの見極め方
エアコンは製品によっても電気代が変わります。基本的に、新しい製品ほど省エネ仕様だと考えましょう。ちなみに、10年前の機種と比較すると最新のエアコンは2~3割は電気料金が安くなっています。
省エネ仕様のエアコンかどうかを見極めるには、まずは「省エネ基準達成率」をチェックしましょう。省エネ基準達成率が表示されているエアコンは、「統一省エネラベル」に指定されている電化製品です。
統一省エネラベルに指定されると、「省エネ基準達成率・エネルギー消費効率」・「多段階評価」・「年間電気料金」の表示義務が課せられます。「チェックするところがいっぱいで大変だ」と思う方は、「多段階評価」をチェックしてください。これは星で表されます。星の数が多いほど省エネ仕様だと考えましょう。
また、「エネルギー消費効率(APF)」も手っ取り早く省エネ率を判断するのに適しています。これが大きいほど、省エネ仕様だと考えてください。つまり、星の数が多く、APFの数値が高いほど省エネのエアコンです。エアコンはネットでも店頭でも省エネ基準達成率が表示されています。エアコン選びに迷ったら、星の数とAPFを参考に選びましょう。
エアコンの電気代は夏と冬で違う
「ほぼ同じ時間エアコンを稼働させているのに、夏と冬では電気代が違う」というケースは決して珍しくありません。エアコンは室内温度と設定温度との差が大きくなるほど消費電力も大きくなっていきます。ですから、夏と冬で電気代が大きく違ってくるのは、室温と設定温度の差が主な原因です。ここでは、エアコンの電気代が夏と冬で違う理由や、消費電力を下げる方法などを詳しく解説していきます。
季節による消費電力違いは「温度差」
前述したように、エアコン室内の温度と設定温度の差が大きいほど消費電力が増えます。夏場、30℃の室温を28℃に下げる場合と、冬場に5℃の室温を20℃に上げる場合とでは、冬場の方が消費電力は大きくなります。そして、冬場の方が室温と設定温度の差は開きがちです。これが、夏と冬で電気代が大きく変わる一番の原因となっています。
逆に考えれば、冬場でも室温と設定温度の差が小さければ、電力の消費量も少なくなり、電気代が節約できるといえます。たとえば、断熱効果の高い家に住むと室内の気温が下がりにくくなり、室温と設定温度の差が縮まりやすくなります。
設定温度を1℃変えると消費電力は10~13%抑えられる
エアコンの設定温度を1℃下げたり上げたりするだけで、消費電力は抑えられます。環境省によると、夏は設定温度を1℃高くすると、消費電力が13%削減、冬の場合は設定温度を1℃下げると消費電力を10%削減できるそうです。電気代が高くて悩んでいる方は、設定温度が高すぎたり低すぎたりしていないか、まずは確認してみましょう。たとえば、厚着をする、薄着をする、ほかの暖房器具と併用するなどすれば、エアコンの設定温度を最適なものにできる可能性があります。
設定温度の目安は?
では、設定温度はどのくらいにするのが良いのでしょうか?ここでは、設定温度の目安を解説して行きます。ぜひ、参考にしてみてください。
冷房時の室温目安は28℃
環境省が推奨する冷房時の室温目安は28℃です(※)。冷房は、室外との気温差が5℃程度までが身体に負担も少ないといわれています。夏は外気温が30~35℃になる日が多いので、28℃は適温といえます。この温度で暑いと感じるなら、扇風機を併用しましょう。風があると実際の気温より涼しく感じます。
ただしこれは「室温」の話。冷房の「設定温度」ではないことに注意しましょう。環境次第では設定温度よりも室温が高くなることもあります。また、あくまで「目安」であることにも注意してください。無理に28℃を守ろうとして体調が崩れたら元も子もありません。
暖房の室温目安は20℃
一方、暖房の室温目安は20℃が適温といわれています(※)。冬の場合、お住まいの地域によっては外気温が10℃以下になることも珍しくありませんので、夏よりも外気温と設定温度の差はどうしても大きくなります。なお、暖かい空気は上に行きやすいので、20℃にすると足元が寒い場合は、サーキュレーターを利用して、空気を循環させたり、パネルヒーターなど部分用暖房機を活用したりしましょう。また、部屋の断熱効果を上げるのもおすすめです。窓が大きい部屋の場合は、窓に断熱シートを貼るだけでも違いますので実践してみてください。
エアコンの電気代を節約するコツ
快適に感じる室温には個人差があります。冷房が28℃、暖房が20℃ではどうしても快適に過ごせないという方もいらっしゃるでしょう。いくら電気代を節約できるからといって、部屋で快適に過ごせなければストレスの原因にもなります。ここでは、設定温度を変えずに体感温度をより快適にする8つのコツをご紹介します。ぜひ実践してみてください。
自動運転モードを使う
自動運転モードとはエアコンが室温の状態を察知して、最適な環境になるようにエアコンの風量や温度を調整するモードです。2000年代に製造されたエアコンには標準搭載されている機能です。エアコンの機能は年々進化しており、最新モデルは気温や湿度はもちろんのこと、部屋にいる人の人数まで読み取り、最適な室温になるように運転してくれます。もちろん省エネにも配慮しているので、お手軽に省エネを実現したい場合は、自動運転モードに設定してみてください。特に夜間などは自動運転モードにしておくと、気温が上がる時間帯、下がる時間帯も快適に過ごすことができます。
風向きを調整する
エアコンは風向きを調整することで、適温に感じやすくなります。冷たい空気は下にたまりやすいので、風向きは水平にするのがよいでしょう。上半身も風が当たれば涼しさを感じます。一方、暖かい空気は上の方にたまるので、下向きに風向きを調節してみてください。下半身が温まると体全体も早く温まるので、暖房の風は足元に当たった方が効果的です。
風向きだけでは調節が難しい場合、夏は扇風機、冬はサーキュレーターなどで空気の循環を促しましょう。特に、冬場は天井に向けてサーキュレーターを起動させると暖かい空気が部屋全体を循環しやすくなります。
風量を上げる
前述したように、暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまりやすいという性質があります。風量を強めるだけで、同じ温度設定でもより快適に感じられるでしょう。というのも、風量を上げれば空気が循環し、より部屋全体の温度が均一になるからです。嬉しいことに、風量を上げても電気代はさほど変わらないので、設定温度を変えなくても省エネに繋がります。「足は寒いけど頭は温かい」「足ばかり冷えて頭は暑い」という場合は、風量を調整してみてください。自動運転にしている場合も風量だけは手動で上げてみましょう。そうすれば、設定温度を変えなくても室内が快適な状態になります。
サーキュレーターや扇風機を併用する
風量を上げるのと同じ原理で、サーキュレーターや扇風機は、室内の空気を循環させてくれます。エアコンの設定で、風量を上げたり風向きを変えたりするだけでは室内の空気をうまく攪拌できない場合、サーキュレーターや扇風機を併用しましょう。なお、サーキュレーターの方がより空気を循環させる力が強いので、「空気の流れが実感できない」という場合は、夏もサーキュレーターを利用するとよいでしょう。反対に、冬でも扇風機で空気を循環させることもできます。サーキュレーターを持っていない方は、扇風機で代用してみてください。直接人に風を当てず、夏ならば下、冬ならば上の方に向けて風を当ててみてください。空気が循環すれば、室内が適温になりやすくなります。
つけっぱなしにする
エアコンは起動させてから室内を適温にするまでが最も消費電力が大きくなります。そのため、エアコンはこまめに消すより付けっぱなしにしたほうが省エネになることもあります。室温が適温になったらスイッチをオフにするのではなく、自動運転にしてみましょう。エアコンによっては省エネモードで運転し続けてくれます。
また、盛夏や厳冬期などは一度適温になってしまえば、つけっぱなしにしておくことで室内温度と設定温度の開きが少なく省エネになるので、長時間つけているほうがおすすめということもあります。長時間のつけっぱなしはどうしても無理、と思う方は夏ならば夜明け前、冬ならば気温が上がっている頃にスイッチを入れましょう。そうすれば、室温と設定温度の差がより小さくなり、消費電力も少なくて済みます。
窓に断熱シートを貼る
現在の住宅は断熱性が高くなっていますが、窓やドアは開閉部分なのでどうしても断熱効果は低くなります。より冷暖房を効かせたい場合は、空気の出入り口である窓に対策をすることが大切です。冬は窓に断熱シートを貼りましょう。断熱シートを貼ることで、暖かい空気が窓の隙間を通り、屋外へ逃げていくのを防ぎます。夏は遮光カーテンやすだれを利用してみてください。直射日光を防ぐだけで、室内の気温の上昇を抑えることができます。断熱シートを貼る際、賃貸物件の場合は窓やその周りに傷や跡が残らないように簡単に剥がせるものを選びましょう。
室内機のフィルターをきれいにする
エアコンには「熱交換器」という部品があります。アルミの薄い板を何枚も重ねた部品で、ここに部屋の空気を取り込み、適温にした後、もう一度室内に放出するのです。空気を取り込む際は、ゴミやホコリも一緒に吸い込みます。そのため、熱交換機にホコリを付着させないように、フィルターがあるのです。フィルターにゴミやホコリがつくと、空気を適温にするために余計な電力がかかります。ですから、フィルターは2週間に一度を目安にこまめに掃除しましょう。また、熱交換器にもホコリがつきます。熱交換器そのものの清掃はエアコンクリーニング業者に依頼するとよいでしょう。
室外機も掃除する
室外機は外に置くことを前提に作られているので、ホコリや汚れにも強い設計になっています。しかし、ホコリやゴミがついていると運転に余計な電力がかかります。特に、しばらく使っていない場合は、運転前にホコリを払ってキレイにしましょう。今は室外機の掃除を請け負ってくれる業者もいます。また、室外機自体が熱くなると、運転に余計な電力がかかるので、夏はすだれを立てかけるなどして日陰を作り、温度を低く保つように心がけましょう。
まとめ
今回はエアコンの料金が夏や冬で大きく異なる理由や、その対処方法を解説しました。エアコンは使い方次第で電気代を下げることができます。
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まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。
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Q 冷房の設定温度は何度がいい?
環境省が推奨する冷房時の室温目安は28℃です。冷房は、室外との気温差が5℃程度までが身体に負担も少ないといわれています。夏は外気温が30~35℃になる日が多いので、28℃は適温といえます。
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Q 冷房の電気代を節約するには?
エアコンの設定温度を1℃下げたり上げたりするだけで消費電力は抑えられます。環境省によると、夏は設定温度を1℃高くすると消費電力が13%削減できるため、電気代が高くて悩んでいる方は、設定温度が高すぎないか、まずは確認してみましょう。