洗濯機の電気代を種類別に比較！節約術や選び方も解説

洗濯機は縦型とドラム式に分けられるほか、乾燥方式にもヒーター乾燥とヒートポンプの2種類があります。電気代の目安を知る前に、まずは洗濯機の種類を確認しましょう。

縦型洗濯機は、底の回転羽根による水流でもみ洗いを行うタイプです。洗濯物同士がこすり合わさることで汚れを落とします。固形汚れに対して大きな洗浄力を発揮する反面、衣類の傷みやからみが発生しやすい点がデメリットです。
一方のドラム式洗濯機は、ドラムを回転させて衣類を上から下に落とす「たたき洗い」と、衣類を小刻みに動かす「もみ洗い」で汚れを落とすタイプです。縦型より少ない水の量で洗濯できるほか、衣類がからみにくく生地の傷みも抑えられます。
最新式の洗濯機は、縦型とドラム式で洗浄力に大きな差はありません。ドラム式は縦型に比べ、使う水の量が少なく衣類のダメージも抑えられますが、本体価格は縦型よりも高めです。

ヒーター乾燥は、高温のヒーターで洗濯物を乾燥させるタイプです。ヒーターで熱した空気を冷却水で結露させて排水する「除湿タイプ」と、熱気を冷やさずファンで排気する「排気タイプ」の2種類があります。
一方のヒートポンプ式は、乾いた空気を洗濯物に当てて乾燥させるタイプです。洗濯槽内の温度がヒーター乾燥より低いため、衣類の傷みや縮みを抑えられます。また、ヒートポンプで効率よく熱交換することから、ヒーター式に比べ電気代の大幅な節約を図れます。
ヒートポンプ式はヒーター乾燥よりメリットが多い反面、本体価格はヒーター乾燥に比べ割高です。なお、縦型洗濯機はヒーター乾燥が基本です。

洗濯機の種類を洗浄方法と乾燥方法で分けた場合、縦型ヒーター乾燥・ドラム式ヒーター乾燥・ドラム式ヒートポンプ式の3種類に区別できます。実際の製品を例に挙げ、それぞれの電気代を計算します。
洗濯機の電気代の目安は、以下の計算式で求められます。
洗濯～乾燥時の消費電力量（Wh）÷1,000×電力量料金単価（円/kWh）
料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価の31円/kWhを用いています。
※出典： よくある質問 Q&A ｜公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会

縦型洗濯機の例として、東芝の「AW-12VP4」を取り上げます。洗濯～乾燥にかかる電気代は次の通りです。
製品名：AW-12VP4（東芝）
洗濯～乾燥時の消費電力量：約2,850Wh
1回の洗濯～乾燥にかかる電気代：約2,850Wh÷1,000×31円/kWh=約88.35円/回
1カ月あたりの電気代：約88.35円/回×30日=約2,650.5円/月
縦型洗濯機は洗濯時の消費電力がドラム式より高いため、電気代が安いタイプの洗濯機とはいえません。
※出典： 寸法・仕様 | AW-12VP4 | 洗濯機・洗濯乾燥機 | 東芝ライフスタイル株式会社 | 東芝ライフスタイル株式会社

東芝のドラム式ヒーター乾燥洗濯機「TW-84GS4L」を例に取り、洗濯～乾燥にかかる電気代を計算しました。
製品名：TW-84GS4L（東芝）
洗濯～乾燥時の消費電力量：約1,980Wh
1回の洗濯～乾燥にかかる電気代：約1,980Wh÷1,000×31円/kWh=約61.38円/回
1カ月あたりの電気代：約61.38円/回×30日=約1,841.4円/月
縦型洗濯機とドラム式ヒーター乾燥洗濯機を比較すると、ドラム式のほうが電気代を抑えられています。
※出典： 寸法・仕様 | TW-84GS4L | 洗濯機・洗濯乾燥機 | 東芝ライフスタイル株式会社

ドラム式ヒートポンプ式洗濯機の製品例として、東芝の「TW-127XM4L」を取り上げます。洗濯～乾燥にかかる電気代の計算結果は以下のようになりました。
製品名：TW-127XM4L（東芝）
洗濯～乾燥時の消費電力量：約1,330Wh
1回の洗濯～乾燥にかかる電気代：約1,330Wh÷1,000×31円/kWh=約41.23円/回
1カ月あたりの電気代：約41.23円/回×30日=約1,236.9円/月
ヒートポンプ式は省エネ効果が高く、実際の計算結果もドラム式ヒートポンプ式洗濯機がほかの2タイプより電気代を抑えられています。
※出典： 寸法・仕様 | TW-127XM4L | 洗濯機・洗濯乾燥機 | 東芝ライフスタイル株式会社 | 東芝ライフスタイル株式会社

洗濯機の電気代は工夫次第で節約することが可能です。洗濯や乾燥にかかる電気代を削減するポイントについてまとめました。

洗濯機に洗濯物を入れる際は、重い洗濯物から入れましょう。重い衣類を洗濯槽の底に入れることで回転効率が良くなり、より少ないエネルギーで洗濯機を動かせるため、電気代の節約につながります。
回転効率が良くなると汚れが落ちやすくなる点もポイントです。汚れ落ちが悪い場合、再度洗濯をしなければならなくなるケースもあります。
バスタオル・シーツ・ジーンズ・つなぎなどは、水を含みやすく洗濯中に重くなりやすいため、ほかの洗濯物より先に洗濯機へ入れるのがおすすめです。

衣類の汚れがひどい場合や、洗浄力をアップさせたい場合は、洗剤を多めに入れてしまいがちです。しかし、洗剤を入れすぎるとすすぎの回数が増え、電気代と水道代が余計にかかってしまいます。
また、流しきれなかった洗剤が衣類に残ると、肌荒れの原因にもなりかねません。洗剤は常に適量を入れるようにしましょう。
洗剤の使用量の目安は水量により決まります。スタートボタンを押した後、洗濯物の重さに合わせて表示される水量を確認し、洗剤の量を決めましょう。

洗濯機の電気代を削減するポイントの1つに、洗濯の回数を減らすことが挙げられます。1回で洗えそうな量なら2回に分けず、まとめて洗いましょう。
洗濯機を使う回数を減らせば、1回の洗濯にかかる電気代のみで済みます。水道代を節約できることもメリットです。
ただし、洗濯物を詰め込みすぎると洗浄力が下がり、汚れを落としきれずに再度洗濯機を回すことにもなりかねません。洗濯物をまとめて洗う場合は、洗濯槽の80%を上限の目安にしましょう。

洗濯機の消費電力を洗濯時と乾燥時で比較すると、乾燥時のほうが電力消費が大きくなります。前述のドラム式ヒートポンプ式洗濯機「TW-127XM4L」の場合、洗濯時の消費電力が135Wであるのに対し、乾燥時の消費電力は1,190Wです。
つまり、洗濯機の乾燥機能を使わなければ、電気代の大幅な削減につながることになります。天気が悪く洗濯物が乾きにくい日や、忙しくて洗濯物を干す時間がない日以外は、できるだけ外に干して自然乾燥で乾かしましょう。
洗濯物を自然乾燥である程度乾かした後、最後の仕上げとして洗濯機の乾燥機能を使うのもおすすめです。洗濯機で30分程度乾燥させれば、菌の繁殖や生乾き臭の防止にもつながります。
※出典： 寸法・仕様 | TW-127XM4L | 洗濯機・洗濯乾燥機 | 東芝ライフスタイル株式会社 | 東芝ライフスタイル株式会社

洗濯機の乾燥フィルターに糸くずやゴミが詰まると、乾燥時間が長くなって電気代が高くなります。乾燥フィルターは定期的に掃除することが重要です。
乾燥フィルターが付いていない洗濯機は、洗濯槽内の糸くずやゴミを除去できる機能があるのが一般的です。メンテナンス方法は製品により異なるため、使い方を確認しておきましょう。

洗濯物の汚れがそれほどひどくない場合や、洗濯物の量が少ない場合は、スピードコースやお急ぎコースなど時短で洗えるコースを活用しましょう。
洗濯時間が短縮されるため、電気代の節約を図れます。洗浄力が気になる方もいるかもしれませんが、軽い汚れや少量の洗濯物なら、スピードコースやお急ぎコースで十分です。

新しい洗濯機の購入を検討している場合は、節約を意識して製品を比較しましょう。洗濯機を選ぶ際に見るべきポイントをご紹介します。

洗濯機にはさまざまな容量の製品があり、入れられる洗濯物の量が異なるため、ご家庭に合った容量を選ぶことが大切です。世帯人数ごとに適した容量を確認しましょう。

• 1～2人世帯：～5kg
• 3～4人世帯：5～8kg
• 5人以上世帯：8～12kg

1人あたりの容量の目安は1日約1.5kgです。1.5kg×世帯人数を目安に、少し余裕のある容量の洗濯機を選ぶとよいでしょう。

近年の洗濯機にはさまざまな省エネ機能が搭載されています。電気代の節約につながる代表的な機能は次の通りです。

• 待機時消費電力ゼロ機能：洗濯乾燥が終わると電源が自動で切れる
• 自動調節機能：水量や運転時間を洗濯物に合わせて自動で調整する

省エネ機能を活用すれば、洗濯機の電気代の節約の手間を省き、効率よく洗濯できます。

水道代の節約を考慮して洗濯機を選ぶなら、縦型よりドラム式のほうがおすすめです。縦型は多くの水を使うことで洗浄力を高めていますが、ドラム式では縦型ほどの水量を必要としません。
ただし、ドラム式には水量が少ないことによる色移りのリスクがあります。また、本体価格も縦型より高めです。タイプごとの特徴を把握したうえで、何を優先するか考えて製品を選びましょう。
⇒洗濯機の水道代についてもっと詳しく知りたい方はこちら

洗濯機の電気代は種類ごとに異なります。代表的な3種類のうち、最も電気代を抑えられるのはドラム式ヒートポンプ式洗濯機です。
また、洗濯機の電気代は工夫次第で節約できます。種類ごとの特徴や節約のポイントを把握し、毎日の洗濯に役立てましょう。