テレビは電化製品の中でも消費電力が大きく、テレビの電気代を見直すことは、家計の見直しを考えるきっかけになるでしょう。本記事では、テレビの種類やサイズ、解像度による電気代の違いを解説し、具体的な節約方法も紹介します。テレビを購入するポイントも紹介しているので、買い換える際には参考にしてください。
テレビの種類で電気代は変わる
テレビは電化製品の中でも比較的消費電力も大きいため、テレビの電気代は月々の電気代に大きな影響を与えます。テレビを視聴するのが習慣化している人にとって、この電気代は無視できません。
テレビの電気代は、テレビの種類によって大きく異なります。「液晶テレビ」「有機ELテレビ」「プラズマテレビ」の電気代はそれぞれ以下のとおりです。
消費電力 | 1時間あたりの電気代 | |
プラズマ(※1) | 382W | 11.84円 |
液晶(※2) | 105W | 3.26円 |
有機EL(※3) | 256W | 7.93円 |
※全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている31円/kWh(2022年7月改訂)をもとに算出
(※1)プラズマテレビ参考商品
(※2)液晶テレビ参考商品
(※3)有機ELテレビ参考商品
上記3種類のテレビの特徴と電気代に関する考察を、以下に紹介します。
液晶テレビの特徴と電気代
液晶テレビは、一定方向に揃えた液晶分子を偏光フィルターや電圧の働きでコントロールし、映像を映し出す仕組みです。
低消費電力でコストパフォーマンスに優れており、一般家庭での日常的な視聴に最適です。
表でも示されているように、1時間あたりの電気代は約3.26円と最も安くなっています。
液晶テレビは薄型で軽量なため、設置場所を選ばず、省スペースにも貢献します。さらに、省エネ性能の高いモデルを選べば、長期的に見て電気代の節約にもつながるでしょう。
有機ELテレビの特徴と電気代
有機ELテレビは、自ら発光する有機物を利用したディスプレイ技術を採用しています。そのため、色彩が鮮やかで、特に黒色の表現が深く、映像のコントラストが際立ちます。
この特性により、映画やスポーツ観戦など、動きの速い映像や色彩の多いコンテンツを楽しむのに最適です。また、視野角が広く、どの角度から見ても色の変化が少ないため、大人数での視聴にも適しています。
一方、液晶テレビと比べて消費電力は高く、電気代を気にする方は注意が必要です。上記の表でも1時間あたりの電気代は7.93円と、液晶テレビと比べて2倍以上となっています。
プラズマテレビの特徴と電気代
プラズマテレビは画素一つひとつが発光するため、動きの速い動画や色彩の豊かな映像を表現するのに適しています。そのためスポーツ観戦やゲームプレイなど、動きが細かく、ダイナミックな映像に向いています。
その一方で、高い消費電力と発熱量のため、電気代がかさむことが懸念されます。
電気代は他2種類と比べると高く、上記の表でも消費電力は382W、1時間あたりの電気代は約11.84円となっています。
現在では生産が終了しているモデルが多く、新規購入や交換部品の入手が難しい場合があります。
プラズマテレビについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
⇒プラズマテレビの電気代は高い?液晶・有機ELテレビの消費電力との比較
テレビの電気代の計算方法
テレビの電気代をどのように計算するのか、計算方法について解説します。
また、電気代を計算するための「消費電力」と「年間消費電力量」は、テレビの機種や規格によって違います。
消費電力とは、電化製品を稼働した時に消費する電力です。消費電力はW(ワット)で表されます。消費電力の値を使って、使用時間あたりの電気代を算出することができます。
一方、年間消費電力とは、実際の使用条件に近い条件のもと、その電化製品を1年間使用することでかかる電力量のことです。測定の条件は、メーカーごとではなく電化製品ごとに決まっています。
それぞれの確認方法についても把握しましょう。
電気代の計算式
テレビの電気代を計算するためには、以下の計算式を使用します。
・年間消費電力量(kWh/年)から年間の電気代を計算する場合
年間消費電力量(kWh/年)×1kWhの電力料金(円/kWh)
電力料金の単価は契約している電力会社や料金プランによって異なりますが、全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている31円/kWh(2022年7月改訂)を基に計算すると良いでしょう。
例えば、年間消費電力量が100kWhのテレビを使用している場合、その年間の電気代は約3,100円(100kWh×31円/kWh)となります。
テレビの年間消費電力量は製品ごとでメーカーが公表していますが、メーカーや製品によって、新基準値「1日5.1時間使用した場合の年間消費電力量」と、旧基準値「1日4.5時間使用した場合の年間消費電力量」が異なるため注意が必要です。
どの基準で年間消費電力量が算出されているかは製品の注釈に記載されているので、購入前や使用中に確認しておきましょう。
・消費電力(W)から1時間あたりの電気代を計算する場合
消費電力(W)÷1000(W)×1kWhの電力料金(円/kWh)
年間の電気代ではなく、1時間あたりの電気代を把握したい場合は、上記の計算式となります。
例えば、消費電力が200Wのテレビを使用している場合、1時間あたりの電気代は6.2円(200W÷1000W×31円/kWh)となります。
消費電力(W)と年間消費電力量(kWh/年)の確認方法
上述した式のとおり、テレビの消費電力と年間消費電力量を把握することは、電気代を正確に計算するために重要です。
テレビの消費電力と年間消費電力量は、製品の取扱説明書や仕様書に記載されています。
また、メーカーのウェブサイトにも詳細な情報が掲載されていることが多いです。例えば、取扱説明書には、消費電力が明記されています。
ウェブサイトの場合、多くのメーカーは製品ページに消費電力情報を公開しています。ここでは、製品のモデル番号やシリーズ名で検索し、該当するテレビの詳細情報を確認することができます。
テレビの電気代に影響する要因
テレビの電気代は消費電力によって変わります。それでは、消費電力を決める具体的な要因は何でしょうか?影響度の大きい要因について、それぞれ解説します。
解像度
テレビの解像度は、電気代に大きな影響を与える重要な要素です。解像度が高いほど、映像の鮮明度も高くなりますが、それに伴い消費電力も増加します。主な解像度にはフルHD、4K、8Kがあります。
フルHDは1,920×1,080の画素数で、一般的な家庭用テレビの標準的な解像度です。4KはフルHDの4倍の解像度を持ち、3,840×2,160の画素数で高画質な映像を楽しむことができます。さらに8Kは4Kの4倍、フルHDの16倍の画素数を持ち、7,680×4,320の超高解像度です。
解像度が高いほど、処理するデータ量が増えるため、より多くの電力を消費します。そのため、8Kテレビは最も消費電力が高く、次いで4K、フルHDの順に消費電力が少なくなります。解像度が高いテレビを選ぶ際には、画質の向上と引き換えに電気代も増加することを考慮する必要があります。
サイズ
テレビのサイズも消費電力に大きな影響を与える要因です。一般的に、画面サイズが大きくなるほど消費電力も増加します。これは、大きな画面を照らすためには、より多くのバックライトが必要となり、それが電力消費を引き上げるためです。
たとえば、32インチのテレビと65インチのテレビでは、同じ解像度でも消費電力には大きな差があります。
また、解像度の高い4Kテレビや8Kテレビでは、画質を保つためにさらに多くの電力が必要です。
高解像度かつ大画面のテレビは、視覚的な体験を向上させる一方で、電気代の面でも高コストになることを考慮する必要があります。
液晶の種類
液晶の種類もテレビの電気代に大きな影響を与える要因です。現在、市場には主に液晶、有機EL、プラズマの三種類のテレビがあります。それぞれの技術には特徴があり、消費電力も異なります。
液晶テレビは、バックライトとしてLEDを使用しており、比較的低い消費電力で済むのが特徴です。
一方、有機ELテレビは、自発光素子を使用しているため、非常に高いコントラストと鮮やかな色彩を提供しますが、その分消費電力は高めです。プラズマテレビは、ガスを使用したディスプレイ技術であり、非常に高い消費電力を必要とし、寿命も短めです。
同じサイズのテレビであっても、液晶、有機EL、プラズマの順に消費電力が大きくなり、電気代も高くなります。
テレビの年代
テレビの年代も電気代に影響を与える重要な要因です。近年のテレビは、省エネ性能が大幅に向上しており、10年前のテレビと比較しても消費電力が大幅に削減されています。
特に、最新のモデルには「明るさセンサー」や「無信号自動オフ・無操作自動オフ」などの省エネ機能が搭載されており、これらを活用することでさらなる省エネが可能です。
「明るさセンサー」は、部屋の明るさに応じて自動的に画面の明るさを調整する機能で、これにより無駄な電力消費を抑えることができます。
また、「無信号自動オフ・無操作自動オフ」は、一定時間信号や操作がない場合に自動で電源をオフにする機能で、見ていない時間の電力消費を削減することができます。
しかし、省エネ機能が多いほど、通常の使用時の消費電力も増える傾向があるため、目的に合わせて機能を使い分けることが重要です。
新しいテレビを購入する際には、これらの省エネ機能の有無や性能を確認し、長期的な電気代の削減を見据えて選ぶと良いでしょう。
テレビの電気代を節約する方法
テレビの電気代を節約するためには、使用時間や画面の明るさ、スタンバイモードの利用方法などを見直すことが有効です。
以下で具体的な方法を詳しく解説します。
テレビの使用時間を減らす
実際にテレビを見ていない時間がある場合、例えば料理をしている時や掃除をしている時、テレビをつけっぱなしにしていることが多いです。
こうした無駄な電力消費を防ぐためには、リモコンを手元に置く、テレビとスマートフォンを連携してON/OFFの操作をできるようにする等、必要なときにのみテレビをつける習慣をつけることが効果的です。
テレビの使用時間を減らすことで、電気代を大幅に節約できます。例えば、1日1時間視聴時間を減らすだけで、年間の電気代が数千円節約できることもあります。
特に4Kや8Kテレビなど高解像度モデルでは、消費電力が高いため、視聴時間を減らす効果が顕著です。
画面の明るさを調整する
テレビの画面の明るさを適切に調整することで、消費電力を抑えることができます。
明るさセンサー付きのテレビを使用すると、周囲の明るさに応じて自動的に画面の明るさが調整されるため、無駄な電力消費を防ぐことができます。
また、手動で画面の明るさを少し下げるだけでも、年間を通じて電気代の節約が可能です。
特に暗い部屋でテレビを視聴する際は、明るさを低く設定するのが効果的です。
夜間に明るすぎる画面は目にも負担をかけるため、視聴環境に合わせて適切な明るさに調整することは、健康面でもメリットがあります。
テレビの設定メニューで簡単に明るさを変更できるので、定期的に確認して最適な設定を維持しましょう。
スタンバイモードを避ける
テレビのスタンバイモードでも電力が消費されるため、使用しないときは完全に電源を切ることが推奨されます。
特に長時間テレビを使用しない場合は、主電源をオフにし、可能であればコンセントからプラグを抜くことで、待機電力の無駄を防ぐことができます。こうすることで、年間数百円から数千円の電気代節約が期待できます。
多くの家庭では、テレビをリモコンでオフにするだけで電源が完全に切れたと思っている場合がありますが、実際にはスタンバイ状態で電力を消費しています。
主電源をオフにすることを習慣づけるだけで、無駄な電力消費を大幅に減らすことができます。
省エネモードを活用する
多くの最新テレビには省エネモードが搭載されており、これを活用することで消費電力を抑えることができます。
省エネモードでは、画面の明るさが自動的に調整されたり、特定の時間が経過すると自動的に電源がオフになる機能が含まれています。これにより、無駄な電力消費を防ぎ、電気代を節約できます。
省エネモードの設定方法は、テレビの取扱説明書を確認するか、メーカーのサポートサイトを参照してください。
テレビを購入するときのポイントは?
テレビの電気代を抑えるためには、購入時にいくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。以下では、そのポイントとなる要素について詳しく説明します。
省エネ性能の確認
テレビを購入する際には、省エネ性能の高いモデルを選ぶことが非常に重要です。省エネ性能が高いテレビは、日常の電気代を大幅に削減できます。
購入時には、エネルギー消費効率が表示されているラベルや、各モデルの年間消費電力量を確認し、比較することが推奨されます。
エネルギー消費効率の高いモデルは購入価格が若干高くなることがありますが、購入後のランニングコストまで加味すると長期的には省エネ性能の高いテレビを購入したほうが節約につながる場合もあります。
例えば、最新の有機ELテレビや高効率の液晶テレビは、旧型モデルと比較して電力消費量が大幅に減少しています。
適切なサイズの選択
テレビのサイズ選びも電気代の節約に大きく影響します。部屋の大きさや視聴距離に適したサイズのテレビを選ぶことで、無駄な電力消費を抑えることができます。
大きすぎるテレビを近距離で視聴すると、視覚的な疲労を感じやすくなるだけでなく、画面の明るさや音量を上げる必要があるため、消費電力も増加します。
部屋の配置や照明条件も考慮して選ぶと良いでしょう。適切なサイズのテレビを選ぶことで、視覚的に快適な環境を作り出し、同時に電力の効率的な使用が可能になります。
長期的な電気代の考慮
新しいテレビを購入する際には、初期費用だけでなく、長期的な電気代も考慮することが非常に重要です。
エネルギー効率の高いモデルは、初期費用がやや高い場合がありますが、長期的に見ると電気代の節約効果が大きくなります。
特に高解像度モデルや大画面テレビは、消費電力が高くなる傾向があります。そのため、エネルギー効率の高いモデルを選ぶことで、電気代の負担を軽減することができます。
例えば、4Kテレビや8Kテレビは高解像度で美しい映像を楽しめますが、消費電力も増加するため、省エネ性能のチェックが欠かせません。
長期的な視点で見ると、初期費用の高さよりも、年間を通じた電気代の節約が重要です。省エネ性能の高いテレビを選ぶことで、家庭の電力使用量を減らし、結果として家計の見直しに貢献します。これにより、環境にも優しい生活を実現することができます。
電気代を減らすなら電力会社の乗り換えも検討しよう
テレビを視聴することが習慣になっている人にとって、テレビの電気代は高くなりがちです。消費電力の少ないテレビや、エコ機能のついたテレビを選ぶことで、テレビの電気代を抑えることができます。
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まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。