記事をシェアする

IHの写真 IHの写真

オール電化住宅の増加に伴い、IHクッキングヒーターのニーズは高まっています。掃除がしやすいなどメリットの多いIHですが、毎日利用するとどれくらいの電気代になるのでしょうか。
「ガスを使わない分、電気代が高くなるのでは?」と不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。確かにガスコンロと比較すると電気代は高くなりがちですが、少し工夫をするだけでお得に使用できます。

この記事では、IHクッキングヒーターの電気代とガス代を比較するとともに、生活スタイルに合わせたIHクッキングヒーターの使い方もあわせてご紹介します。

電気代節約なら電力会社の見直し
料金プランはこちら

ガスコンロとIHクッキングヒーターの光熱費を比較しよう

はじめにガスコンロのガス代とIHクッキングヒーターの電気代を比較してみましょう。

ガスコンロのガス代

まずはガス代についてです。
そもそもガスには、「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」の2種類が存在します。

「都市ガス」は道路の下にガス導管を設置し各家庭に直接ガスを供給する一方で、「プロパンガス」は専用の容器にガスを充てんし各家庭に配送する仕組みとなっています。都市ガスもプロパンガスも用途は同じですが、一般的にプロパンガスの方が高額となります。
利用しているガスが「都市ガス」か「プロパンガス」かは住んでいる物件によって決まります。

今回は「都市ガス」と「プロパンガス」両方の電気代を比較するために、それぞれの時間あたりのエネルギーコストを算出します。また、電気代も時間帯によって料金が変動するため、「昼間」「夜間」それぞれの電気代を比較します。

まずは、ガスの1時間あたりのエネルギーコストを導き出してみましょう。計算式は以下を使います。

<計算方法>
ガスコンロの性能は一般的にkW(キロワット)で表されます。ガス代を計算する際には、それを発熱量(MJ)に換算し、1kW=3.6MJ/hで計算します。 ガスコンロのガス代を求める計算式は以下になります。

出力(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量(MJ/㎥)×ガス料金(円/㎥)

一般的なガス発熱量は都市ガス(東京ガス)で45MJ/㎥、プロパンガスで99MJ/㎥です。
これらをもとに強火(2.97kW)、中火(1.68kW)、弱火(0.38kW)(※1)を1時間使った場合のガス代は以下となります。

  • 都市ガス(東京ガス)
    強火:2.97kW×3.6MJ÷45MJ/㎥×150円/㎥=35.64円
    中火:1.68kW×3.6MJ÷45MJ/㎥×150円/㎥=20.16円
    弱火:0.38kW×3.6MJ÷45MJ/㎥×150円/㎥=4.56円
    1時間あたりの平均:(35.64円+20.16円+4.56円)÷3=20.12円
  • プロパンガス
    強火:2.97kW×3.6MJ÷99MJ/㎥×553円/㎥=59.7円
    中火:1.68kW×3.6MJ÷99MJ/㎥×553円/㎥=33.7円
    弱火:0.38kW×3.6MJ÷99MJ/㎥×553円/㎥=7.64円
    1時間あたりの平均:(59.7円+33.7円+7.64円)÷3=33.68円
    ※都市ガスの料金を全国平均の約150円、プロパンガスの料金を553円(※2)で計算

都市ガス、プロパンガスのガス代を表にまとめると以下になります。

都市ガス(東京ガス) プロパンガス
強火 35.64円 59.7円
中火 20.16円 33.7円
弱火 4.56円 7.64円
1時間あたりの平均 20.12円 33.68円

都市ガスとプロパンガスを比較すると、都市ガスはプロパンガスの6割ほどの金額となっています。

(※1)出典:東京ガス「都市ガスの種類・熱量・圧力・成分」
(※2)出典:石油連盟「1kWhあたりのエネルギー別単価比較!!」

IHクッキングヒーターの電気代

一方、IHクッキングヒーターはどうでしょうか。
電気代は以下の式で求めることができます。

電気代=消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)

1時間あたりの電気料金単価は昼間(6時〜22時)と夜間(22時〜6時)に分けることができ、それぞれの電気料金単価を27.5円と20.5円、IHクッキングヒーターの消費電力は最大5.8kW(1つのコンロでは3.2kW)(※)とします。しかし実際に最大電力で使われることはほとんどなく、ヒーター数や火力によって変動します。例えば弱火で煮込むときの消費電力は300W前後です。

弱〜中火のときと消費電力が最大の平均を算出します。IHクッキングヒーターを1時間使ったときの電気代は以下となります。
昼間(弱〜中火):0.3kW×1時間×27.5円=8.25円
昼間(最大):3.2kW×1時間×27.5円=88円
昼間の平均:(8.25円+88円)÷2=48.125円

夜間(弱〜中火):0.3kW×1時間×20.5円=6.15円
夜間(最大):3.2kW×1時間×20.5円=65.6円
夜間の平均:(6.15円+65.6円)÷2=35.87円

これを表にまとめると以下になります。

昼間 夜間
弱〜中火 8.25円 6.15円
最大 88円 65.6円
平均 48.125円 35.87円

以上から、1時間あたりのコストを安い順に並べると以下のようになります。

  • 都市ガス代:20.12円
  • プロパンガス代:33.68円
  • IHクッキングヒーター電気代(夜):35.87円
  • IHクッキングヒーター電気代(昼):48.12円

上記の計算の結果では1時間あたりのガス代の方が安くなります。しかし、IHクッキングヒーターの方は最大の電力で1時間使い続けることは極めて少く、多くの場合は2〜2.5kW以内で済むでしょう。
また、近年のIHクッキングヒーターは、調理にかかった電気代がすぐに表示される商品も販売されています。

(※)出典:パナソニック「IH調理器/IHクッキングヒーターYシリーズ」

電気料金プランを見直せばIHクッキングヒーターもお得に!

日中のコストはガス代の方が安くなりますが、夜間割引適用プランを利用すれば、IHクッキングヒーターをお得に使うことができます。

例えば夜の間に翌朝の食事を仕込んでおくこともおすすめです。使用量がそのまま料金に反映するガスと違い、電気代は生活スタイルに合わせて効率良く使用できます。

IHクッキングヒーターを使用したいと考えている方は、あわせて電気料金プランも見直してみましょう。

IHクッキングヒーターのメリット・デメリットは?

IHを掃除する写真 IHを掃除する写真

IHクッキングヒーターは電気で熱を発生させる電化製品ですが、いったいどのような仕組みになっているのでしょうか。そもそも「IH」とは「Induction Heating(インダクションヒーティング)」の頭文字をとった略称です。直訳すると「誘導加熱」となります。

IHクッキングヒーターは、まず内蔵されているコイルへ電流を流すことで磁力線を発生させます。電磁線が調理器具の鍋底を通過するときに無数の「うず電流」を生み出します。すると、鍋底に電気抵抗による熱が発生し、この熱で調理器具が発熱するという仕組みです。

「IH専用調理器具」が存在する理由は、うず電流に抵抗する素材でなければならないためだと言えます。

IHクッキングヒーターのメリット

IHクッキングヒーターのメリットは大きく3つあります。

1つ目は安定した加熱制御管理ができる点です。特に揚げ物を作るときなど、ガスの場合は火加減の強弱を調整したり温度計をこまめに確認したりと、油の温度を確認するのに手間がかかります。
その点、IHクッキングヒーターはセンサーで温度が指定できるので、料理に不慣れな人でも簡単に扱うことができます。また、煮込み料理などを低温保温しておくことができるのも大きなメリットとなっています。

2つ目は掃除や手入れが楽な点です。ガスコンロのような凹凸が少ないため、サッと拭くだけできれいな状態を保つことができます。油汚れなどもこまめに掃除していれば簡単に落とすことも可能です。

3つ目は安全性の高さです。火を使わないため、火災が発生するリスクが軽減します。ガスを使っていないためガス漏れの心配もありません。
また、ガスコンロで火を使って調理をするとキッチン周りの温度が高くなりますが、IHクッキングヒーターの場合、部屋の温度が暑くなりにくいなどの特徴もあります。
夏場でも安全、快適に調理できる点もIHクッキングヒーターの魅力です。

IHクッキングヒーターのデメリット

IHクッキングヒーターのデメリットは、使用できる鍋やフライパンの素材が限られる点です。先述したようにIHクッキングヒーターは電気抵抗によって熱を発生させるため、IHに対応した調理器具を使う必要があります。

ただし、最近はIHクッキングヒーターの性能も向上し「オールメタル」のIHクッキングヒーターも増えてきました。オールメタルタイプであれば、従来の鉄製に加えてアルミニウムや銅の鍋も使えるようになっています。

また、IHクッキングヒーターは焦げ目をつける料理や直火を使用する料理には不向きです。ただし、使用する鍋やフライパンを変えることで、焦げ目をつけることもできます。

ガスコンロのメリット・デメリットは?

ガスコンロの写真 ガスコンロの写真

ガスコンロはガスをエネルギー源として鍋やフライパンを加熱します。つまみで火力を自由に変更でき、「弱火」「中火」「強火」を使い分けて調理します。

IHクッキングヒーターと異なり、土鍋やガラスなどの非金属の鍋も使用できます。日本の一般家庭で広く親しまれてきたガスコンロは、今でも多くの人に愛用されています。

ここでは、改めてガスコンロのメリットとデメリットを解説します。

ガスコンロのメリット

ガスコンロのメリットは大きく3つあります。

1つ目は火力の調整が柔軟にできる点です。「火の大きさ」を目で確認できるため、慣れてしまえば自分の好みに合わせて細やかな調理ができます。

2つ目は「炙る」「焦げ目をつける」などのように多彩な調理ができる点です。「海苔を少し炙りたい」など、ガス火の上をくぐらせるだけで、簡単に香ばしい仕上がりになります。

3つ目は、電気抵抗で熱を発生させるIHクッキングヒーターと違い調理器具にこだわらない点です。特にガスコンロからIHクッキングヒーターに変えたいと思っていても、IH対応の調理器具を持っていなければ使うことができず、買い替えるにもコストがかかります。
そのため、「これまでと変わらない環境で調理を続けたい」方にとっては、ガスコンロが向いているかもしれません。

ガスコンロのデメリット

一般家庭に広く普及しているガスコンロですが、デメリットや危険もあります。

中でも特に注意したいのが「火災」です。ガス火を使っている以上、近くの物に燃え移るリスクがあります。小さな子どもや高齢者がいらっしゃるご家庭では、ガスの使用による火災の危険性は高くなるため注意が必要です。

近年では一定の条件を満たすと安全装置が働くようになっていますが、古いガスコンロでは安全装置が付いていないタイプもあるため、自然発火や空焚きにも注意する必要があります。実際に住宅火災の原因としてコンロからの出火の割合は多いため、ガスコンロを使用する際には注意が必要です。

また、調理中は周囲の温度が上がりやすい点手入れが面倒なことなども挙げられます。ガスコンロは部品が多く、それらを取り外して掃除しなければなりません。隙間や窪みもあるため、スポンジ、キッチンペーパー、歯ブラシなどさまざまな道具を使った手入れが必要です。サッと拭けばすむIHクッキングヒーターと比べると、ガスコンロの掃除には手間がかかります。

IHクッキングヒーターの電気代を節約する方法

料理にかかるガス代は浮くもののガスコンロと比べてコストが高くなりがちなIHクッキングヒーターですが、いくつかのポイントを意識すると電気代を節約できます。

ここでは簡単にできる電気代の節約方法を解説します。

電気代の安い時間帯を意識する

先述した通り、電気代は時間帯によって安くなるプランもあります。現在契約している電気料金プランの内容を確認し、該当しているかを確認しましょう。

電気代には「従量電灯プラン」や「時間帯別電灯プラン」「他サービスと組み合わせた割引プラン」などさまざまなプランが存在します。例えば昼夜の区別がなく電気代を使った量だけ課金される「従量電灯プラン」を契約していて、IHクッキングヒーターの利用を検討している方は、「時間帯別電灯プラン」に乗り換えるのがおすすめです。

一般的に、「時間帯別電灯プラン」にすると、日中の電気代は従来のプランと比べて割高となりますが、その分夜間は安い電気代で使用できます。昼間は仕事や外出が多く、家事や料理を夜に行うことが多いライフスタイルの方は、電気代の安い「時間帯別電灯プラン」を検討してみると良いでしょう。

節電機能などを活用する

IHクッキングヒーターにはガスコンロにはないさまざまな機能が搭載されています。

その一つが「節電機能」です。消費電力を自動で切り替える機能や調理を終えて電源を切った後、使った電気代の目安がディスプレイに表示される「電気代表示」機能などがあります。このような節電機能を活用することで、効率よく電気代を抑えることができます。

また、IHクッキングヒーターは調理器具との相性を見極めることも大切です。
電気抵抗によって熱を生み出すため、「温まりやすい鍋」「火力が出やすいフライパン」など、調理器具ごとに個性があります。鍋やフライパンを使った後に、電気代表示をチェックするなどして、どの調理器具が合うのかを探してみるのも良いでしょう。

電子レンジなどを併用する

IHクッキングヒーターに関わらず、いくつかの電化製品を組み合わせることで電気代をもっと節約できます。たとえば下茹でや煮込みは、電子レンジを活用してみるのもおすすめです。電気代の節約だけでなく、時短にもなり一石二鳥の方法ではないでしょうか。

鍋でお湯を沸かす代わりに、電気ケトルで沸かしたお湯を鍋に投入してみるのも良いかもしれません。時短レシピを活用しながら、IHクッキングヒーターの稼働時間を短くしてみましょう。

まとめ

IHクッキングヒーターにはメリット・デメリットがありますが、少し工夫するだけでお得に使うことができます。また、IHクッキングヒーターを導入するタイミングで、電気の契約を見直してみるのもおすすめです。

電化製品の電気料金が気になる方は、家電の買い替えや使い方を工夫するだけでなく、電力会社の変更や電気料金プランの見直しも検討してみましょう。

Looopでんきでは、市場価格に合わせて電気料金が変わる「スマートタイムONE」を提供しています。

ご自宅で電気を使用するタイミングを工夫したり、使用量を調整したりすれば電気料金の節約につながります。これを「ピークシフト」や「ピークカット」と呼びます。

以下は、ピークシフト・ピークカットの取り入れ方の例です。

  • 電気料金が安い時間帯に「電化製品を使用する家事」を済ませる
  • タイマー機能の付いた洗濯機や食洗機などを導入し、電気料金が安い時間帯を狙って稼働させる
  • 電気料金が高い時間帯には、外出を楽しむ

ピークシフト・ピークカットを実際に普段の生活へ取り入れているお客様の声を紹介します。

(40代 / 女性 / 5人暮らし)
電気の使用量アプリをうまく使い、節電出来ているので、おすすめしたいです。アプリは分かりやすいし、使用料金もでているので目安になりやすいです。

(40代 / 女性 / 3人暮らし)
ゲーム感覚で電気の節約を楽しめたのは初めてで楽しんでいた自分がいました。
周りの友人にもこの楽しさを共有したいので100%勧めたい。

まずは、市場連動型のプランを無理なく生活サイクルへ取り入れられるかどうかイメージしてみてはいかがでしょうか。

Looopでんきの「スマートタイムONE」をチェック