冷蔵庫は電化製品の中でも365日24時間稼働しているため、電気代が多くかかっているのではないかと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。冷蔵庫は大きさやメーカー、機能などさまざまな種類があり、それぞれ電気代も異なります。
また、節電機能を搭載している機種もあり、電気代を安くしたいと考えているなら、冷蔵庫を選ぶときにあわせて節電機能もチェックしたいところです。
とはいえ、冷蔵庫は頻繁に買い替えをするものではないため、現在使っている冷蔵庫の電気代を安くするには日々の使い方を見直す必要があります。
この記事では冷蔵庫にかかる電気代はどれくらいなのか、電気代を少しでも節約するにはどのようにすれば良いのかをご紹介します。
冷蔵庫の電気代を計算する方法
まずは、ご自宅で使っている冷蔵庫の電気代がどれくらいかかっているのかを計算してみましょう。冷蔵庫はメーカーや容量によって電気代が異なり、一律ではありません。冷蔵庫の年間の電気代は以下の計算式で算出できます。
冷蔵庫の年間電気代(円)=年間消費電力(kWh)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)
冷蔵庫の「年間消費電力」は取扱説明書や冷蔵庫に貼ってあるシールに記載されているので、確認してみましょう。取扱説明書が自宅にない場合はメーカーのWebサイトや環境省の「しんきゅうさん」というサイトでも調べることが可能です。
冷蔵庫の年間消費電力は扉の開閉の回数や開ける時間の長さによっても変わることから測定が難しいため、JIS(日本工業規格)により定められた測定方法を基に測定されています。
また、「1kWhあたりの電気料金単価」は電力会社の請求書もしくは電力会社のWebサイトで調べることができます。
計算式によって出た冷蔵庫の電気代は、あくまで目安として認識しておきましょう。冷蔵庫もほかの電化製品と同様に省エネの技術革新が進んでおり、新しい機種は以前のものと比べて年間消費電力量が減少する傾向にあります。
電気代をどうやって計算するかについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒電気代はどうやって計算する?料金のしくみを知れば安くする方法も分かる!
冷蔵庫の電気代
それでは、冷蔵庫の容量ごとに、どれくらいの電気代がかかるのか見ていきましょう。 以下の金額は1kWhあたりの電気料金単価を27円/kWhと仮定して計算した結果です。
世帯人数 | 一人暮らし | 2~3人暮らし | 3〜4人暮らし | 4人以上・複数世帯 |
---|---|---|---|---|
冷蔵庫の容量 | 168L | 365L | 470L | 600L |
年間消費電力 | 298kWh | 341kWh | 315kWh | 252kWh |
1カ月の電気代 | 670円 | 767円 | 709円 | 567円 |
年間の電気代 | 8,046円 | 9,207 | 8,505 | 6,804円 |
※参照機種はパナソニック「NR-B14DW」「NR-C371N」「NR-F476XPV」「NR-F607WPX」
たとえば一人暮らし用の168L(年間消費電力298kWh)の冷蔵庫の場合、年間の電気代は8,046円(298kWh×27円/kWh)、1カ月あたりの電気代は約670円(8,046円÷12)になります。
続いて2~3人暮らし向けの365L(年間消費電力341kWh)の冷蔵庫の場合、年間の電気代は9,207円(341kWh×27円/kWh)、1カ月あたりの電気代は約767円(9,207円÷12)です。
次に3~4人暮らし向けの470L(年間消費電力315kWh)の冷蔵庫の場合、年間の電気代は8,505円(315kWh×27円/kWh)、1カ月あたりの電気代は約709円(8,505円÷12)になります。
4人以上・複数世帯向けの600L(年間消費電力252kWh)の冷蔵庫の場合、年間の電気代は6,804円(252kWh×27円/kWh)、1カ月あたりの電気代は約567円(6,804円÷12)です。
上記の計算は2021年1月現在で最新の冷蔵庫を基準として計算しています。
最も電気代が高いのは2~3人向けの365Lで、最も電気代が安いのは4人以上・複数世帯向けの600Lという結果になりました。
4人以上・複数世帯向けの冷蔵庫は、一人暮らし用の冷蔵庫よりも電気代がかかりません。このことから、冷蔵庫の容量と電気代の高さは比例するわけではないことがわかります。
冷蔵庫の大きさと消費電力量は比例しない
一般的な電化製品では大型のものほど消費電力が多くなり電気代も高くなる傾向があります。しかし冷蔵庫の場合にはその法則は当てはまらず、容量の大きいものほど電気代が安くなる場合があります。その理由は、容量の大きい冷蔵庫の方が省エネ機能を多く搭載させることができるためです。
大型の冷蔵庫は容量の小さいものと比べて本体価格が高くなる傾向がありますが、電気代が安く抑えられることにより、長い目で見ると節約になり環境負荷も減らせます。
冷蔵庫を購入する際は置くスペースの関係上、容量の大きいものを選べないこともあるでしょう。しかし、スペースの確保が可能であれば容量の大きいものを選ぶほうがお得な場合があることを覚えておくと良いでしょう。
冷蔵庫が古い場合は買い替えを検討しよう
経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、401~450Lの冷蔵庫の年間消費電力量を2007年と2017年で比較すると、2007年は540~640kWhだったのが2017年には290~320kWhとなっており、省エネ性能は10年間で約49%上昇しています。
24時間365日休みなく稼働する冷蔵庫は、家庭内の消費電力に占める割合が14.2%と、電化製品の中では最も電力消費量が高いものになっています(※)。ちなみに第2位は照明器具、第3位はテレビという結果で、季節を問わず年中使う電化製品の電力消費量が高いことが分かります。
冷蔵庫はあまり頻繁に買い替えるものではないため、10年以上同じ機種を使っているご家庭も多いのではないでしょうか。古い冷蔵庫をそのまま使っていると、使うのに不自由はなくても最新のものと比べて電気の消費量が多いため、無駄な電気代を払い続けることになりかねません。
たとえ不具合が出ていなくても、10年以上前の機種を使っている方は、そろそろ買い替えを検討した方が良い時期にきていると言えるでしょう。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭でいちばん電気を消費するものは?」より
進化している冷蔵庫の主な省エネ機能
冷蔵庫は新しいモデルが発売されるたびに性能が高くなったり機能が増えたりと、日々進化しています。近年は地球温暖化や環境問題への意識も高まっていることから省エネを実現する機能として以下のようなシステムの搭載や工夫されています。
- インバータ制御機能
- 節電モード
- 真空断熱材を利用
- ノンフロン化
冷蔵庫の省エネを実現する機能として、まずは冷蔵庫の中にあるインバータを自動制御して温度をきめ細かく設定できる「インバータ制御機能」があります。インバータ制御機能が搭載されていない冷蔵庫は、インバータを回転させるかさせないかの二択しかないため、回転させるときはフルパワーになり、無駄に電力を消費してしまうのです。
インバータ制御機能があると、電力の周波数を変化させ、それぞれの場面に応じてインバータの回転数を調整できます。常にフルパワーではなくインバータのコントロールをしながら冷蔵庫内の温度を一定に保つことができるため、冷やしすぎることがありません。
また、「節電モード」は外出時や就寝時など、扉の開閉が少ないときや庫内の温度が一定に保たれているときに消費電力を節約して運転するモードです。さらに、庫内灯にLED照明を使うことで消費電力を抑えている冷蔵庫もあります。
このほか、従来の真空断熱材よりも外部からの熱が伝わりにくい高性能な真空断熱材を搭載することで、断熱性を向上を実現している冷蔵庫もあります。
このように地球温暖化対策を視野に入れた環境にやさしい部材を使った冷蔵庫も開発されています。
省エネ基準達成率を確認して買い替えよう
冷蔵庫を買い替える際には、「統一省エネラベル」(※)を参考にしましょう。
統一省エネラベルは2006年10月に開始された制度で、それぞれの製品の省エネ性能や市販されている製品の中での相対的な位置づけとなる多段階評価、年間の電気代の目安などが表示されているものです。
※出典:資源エネルギー庁ウェブサイトより
製品カタログや冷蔵庫の本体、包装など見やすい場所に貼られているので探してみましょう。
省エネラベルに表示されているものは、省エネ性マーク、省エネ基準達成率、エネルギー消費効率、目標年度の4種類です。このうち、エネルギー消費効率や省エネ法で定めた省エネ性能の向上を促すための目標基準(トップランナー基準)をチェックするのがおすすめです。
省エネ基準達成率が100%を超えているものはグリーン、100%未満のものはオレンジで色分けされているため、わかりやすいです。冷却方式や定格内容積が同じ冷蔵庫なら、省エネ基準達成率が高いものほど省エネ性能に優れており、電気代も安くなる傾向にあります。
冷蔵庫買い替えのサインとは
冷蔵庫の寿命は扉の開閉の回数や使い方によって変わるものの、一般的には10年程度とされています。これは冷蔵庫のオンとオフを切り替えるコンプレッサーの寿命が10年程度といわれているためです。
また冷蔵庫はメーカーが生産を終了してから9年間は補修部品を保有していますが、それ以降は部品が手に入りません。そのため、購入から10年を経過すれば、買い替えを検討する時期にきていると思った方が良いでしょう。
冷蔵庫の寿命が近くなると、さまざまな不具合が生じます。
例えば以前と比べて冷えにくくなったり、製氷機でつくられた氷がいくつもくっついてたり、冷蔵庫から異常な音がしたりすると注意が必要です。
これらの不具合はコンプレッサーの劣化が原因で起こることが少なくありません。コンプレッサーが劣化すると温度調整がうまくできなくなるため、冷え方が弱くなったり場所によって冷えていないところが出てきたりします。
その結果、コンプレッサーはより強く冷やそうとして通常よりも出力を上げるため、音も異常に大きくなってしまうのです。音が大きくなるだけでなく、電気代も無駄にかかってしまいます。
冷蔵庫の電気代を節約する方法
近年発売されている冷蔵庫にはさまざまな省エネ機能が搭載されているため、新しいものに買い替えれば電気代を安くすることができます。
しかし、まだ購入してからの年数もそれほど経過しておらず問題なく使えている場合は、無理に買い替える必要はありません。日々の使い方を少し見直したり気を付けたりするだけで、電気代を節約することは十分に可能です。
ここからは、冷蔵庫の電気代を節約する方法を紹介します。
冷蔵庫の設定温度を変更する
冷蔵庫の庫内の温度は室温の影響を受けるため、夏は高く冬は低くなりやすい傾向にあります。そのため、一般的に夏には冷蔵庫の設定温度を「強」にしますが、冬はその必要がないため温度設定を「中」または「弱」にしましょう。
また、夏でもエアコンの使用などにより室温がそれほど上がらない場合は、「高」ではなく「中」に設定すると電気代の節約が可能です。
ちなみに室温が22度のときに冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にするだけで、年間61.72kWh、約1,666円の節約につながります(※)。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭の省エネ大辞典2012」より
冷蔵庫と壁を少し離す
冷蔵庫は中を冷やすために外に熱を放出します。そのため冷蔵庫の両隣が壁や食器棚と接していると、うまく放熱できません。
放熱しにくくなると冷蔵庫内に熱がこもってしまい、その熱を冷やすために余分に電気を消費することになります。
そのため冷蔵庫はコンロの隣や直射日光の当たる場所は避け、壁や食器棚などとの間にメーカーが推奨している隙間を空けて設置しましょう。
冷蔵庫の両隣が壁と接している場合と比較し、片方だけが壁に接している状態にした場合、年間で45.08kWh、約1,217円の節約になります(※)。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭の省エネ大辞典2012」より
冷蔵庫に物を詰め込みすぎない
冷蔵庫の中に物を詰め込みすぎると、冷風が循環しにくくなるため余計に電力を消費してしまいます。また中に何が入っているかが見えにくくなるため、目当てのものを探そうと扉を長く開けることになり庫内の温度も上昇しがちです。
冷気の吹き出し口近辺には物を置かないようにし、扉を開けたときに何がどこにあるか見えるように収納しましょう。常温で保存が可能なものまで冷蔵庫に入れないようにすることもポイントです。
冷蔵庫の中に入れるものを半分にすると、年間で43.84kWh、約1,183円の節約になります(※)。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭の省エネ大辞典2012」より
扉を必要以上に開けない
冷蔵庫の扉を開ける回数が多いほど、また開けている時間が長いほど電力を消費します。扉を開けることで庫内の温度が上がり、それを冷やそうとするためです。
電気代を節約するなら、冷蔵庫の扉を開ける回数を必要最小限にし、素早く中の物を取り出すよう意識しましょう。
冷蔵庫をJIS開閉試験の回数とその2倍の回数の開閉を行った場合では、年間で10.40kWh、約281円の違いがありました。また冷蔵庫を20秒開けた場合と10秒開けた場合を比較すると、年間で6.10kWh、約165円の差が生じます(※)。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁「家庭の省エネ大辞典2012」より
電気代を安くする方法も検討してみよう
冷蔵庫の使い方を工夫したり、省エネ機能を搭載した新型の冷蔵庫に買い替えたりすることで電気代を安くする方法をご紹介しました。
しかし、電気は冷蔵庫以外にも消費するため、冷蔵庫の電気代だけでなくご家庭の電気料金自体を安くする方法を考えてみてはいかがでしょうか。
電気料金はプランによって料金単価が異なります。まずは、ご家庭で使っている電気料金プランや契約アンペア数をチェックしたうえで、現在の電気料金プランがライフスタイルに合ったものであるかを見直してみましょう。
まとめ
冷蔵庫の寿命はおおむね10年程度であることや新しい機種は省エネ機能を搭載していることから、古い冷蔵庫を使っている方は新しいものに買い替えると電気代を節約できます。
ただし、電気を消費するのは冷蔵庫だけではないため、電気料金の安いプランを契約することも視野に入れてはいかがでしょうか。
電化製品の電気料金が気になる方は、家電の買い替えや使い方を工夫するだけでなく、電力会社の変更や電気料金プランの見直しも検討してみましょう。
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ご自宅で電気を使用するタイミングを工夫したり、使用量を調整したりすれば電気料金の節約につながります。これを「ピークシフト」や「ピークカット」と呼びます。
以下は、ピークシフト・ピークカットの取り入れ方の例です。
- 電気料金が安い時間帯に「電化製品を使用する家事」を済ませる
- タイマー機能の付いた洗濯機や食洗機などを導入し、電気料金が安い時間帯を狙って稼働させる
- 電気料金が高い時間帯には、外出を楽しむ
まずは、市場連動型のプランを無理なく生活サイクルへ取り入れられるかどうかイメージしてみてはいかがでしょうか。
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Q 冷蔵庫の電気代はどうやったら計算できる?
冷蔵庫の電気代は「冷蔵庫の年間電気代(円)=年間消費電力(kWh)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)」で計算できます。
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Q 冷蔵庫の大きさと消費電力は比例する?
一般的な電化製品では大型のものほど消費電力が多くなり電気代も高くなる傾向がありますが、冷蔵庫の場合には容量の大きいものほど電気代が安くなる場合があります。これは容量の大きい冷蔵庫の方が省エネ機能を多く搭載させることができるためです。