家でワインを良い状態で保管・熟成させることができるワインセラーは最適な状態でワインを保存するためには不可欠な製品です。当然ながら、ワインセラーは電源を常時入れた状態で使用します。そこで気になるのが電気代です。ワインセラーには、どれくらい電気代がかかっているのでしょうか。
この記事では、ワインセラーにかかる電気代を冷却方法の種類やサイズ別に解説。また、ワインセラーの電気代を節約するコツについてもご紹介します。
ワインセラーの冷却方法は3種類
ワインを適温で保存するワインセラーは、冷却方法で3つのタイプに分かれています。それぞれ特徴や消費電力が違うので、保管したいワインの本数や熟成期間などによって適するタイプが違います。
また、室温もワインセラーの機能に影響するため、室内環境に応じて製品を選ぶことも重要です。
ワインセラーの購入や買い替えを検討している方は参考にしてみてください。
コンプレッサー式
コンプレッサー式は、一般的な冷蔵庫やガラス式ショーケースにも採用されている冷却方法です。熱を運ぶ役割を持つ冷媒を循環させ、冷媒が液体から気体に変わる際の気化熱を利用して庫内を冷やします。
コンプレッサー式はパワフルな冷却機能を持ち、室温が一定でなくとも庫内の温度を維持できるのが特徴です。他タイプに比べて冷却するための電力が少なくて済むため、電気代が比較的安いというメリットもあります。
また、冷却機能だけでなく加温・加湿といった機能も付いているため、ワインの熟成に適した温度・湿度管理ができます。コンプレッサー式ワインセラーは、ワインを熟成させて楽しみたいという方や、室温が安定しない場所でワインを保管しなければならない場合におすすめです。
そういったメリットの反面、冷蔵庫と同程度の運転音がする、本体価格が高めであるといったデメリットもあります。
また、ワインを長く保管しないという方には、よりコンパクトで安価な製品が多いペルチェ式の方が適している場合もあります。ペルチェ式については次から詳しく見ていきましょう。
ペルチェ式
「ペルチェ素子」と呼ばれる半導体素子に電流を流して冷却するのがペルチェ式です。ほかのタイプに比べて本体価格が安くコンパクトなサイズも多いため、収納本数が少なくても良いという方や、気軽に購入できるリーズナブルなワインセラーを探している方におすすめです。またコンプレッサー式よりは運転音が静かであるというメリットもあります。
ペルチェ式ワインセラーは、冷却性能がほかのタイプに比べて低く、外気温に左右されやすいのが欠点です。そのため、置き場所にはエアコンが常に運転しているような室温が一定の空間が適しています。
冷却効率が悪いので、たくさんのワインの温度管理を行う大型のワインセラーよりも小型のタイプに採用されている冷却方式です。
またペルチェ式は電気の力で直接温度管理を行うため、電力消費量が比較的大きいというデメリットもあります。購入の際には、本体価格の安さと電気代をてんびんにかけて考える必要があるでしょう。
アンモニア熱吸収式
アンモニア熱吸収式は、冷媒にアンモニアを使用した冷却方式です。コンプレッサー式と同じく、冷媒の気化熱を利用して庫内を冷やしています。車や船舶用小型エアコンや冷蔵庫を製造・販売するドメティック社によって開発され、同社は「アブソープションシステム」という独自の商標権を獲得しました。
冷媒の循環にコンプレッサーなど音の出る装置を使わず、冷却用ファンも必要としないため、3つの中では1番運転音が静かなのが特徴です。
アンモニア熱吸収式の冷却性能はペルチェ方式より高く、コンプレッサー式よりは低い位置づけです。モーターによる振動が発生しないためワインが劣化しにくく、長期熟成に適しています。
反対に、お店で使うような、ワインの出し入れが多く扉を頻繁に開閉する場合や、ワインをすぐに冷やしたい場合には向いていません。室温が極端に高温になる場所では、庫内の温度が設定よりも上がってしまうことがあります。消費電力が高いのも欠点です。
アンモニア熱吸収式は、音が静かなワインセラーが欲しい、ワインの長期熟成用のワインセラーを探しているという方におすすめです。
ワインセラーの冷却方式 | |||
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メリット | デメリット | こんな人におすすめ | |
コンプレッサー式 |
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ペルチェ式 |
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アンモニア熱吸収式 |
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ワインセラーにかかる電力
ワインセラーの冷却方式のタイプがわかったところで、今度はワインセラーの消費電力について見ていきましょう。
定格消費電力とは
ワインセラーをはじめとする電化製品のスペックの多くには「定格消費電力:70W」のような記載があります。定格消費電力とは、その製品を最大出力で稼働させた時の消費電力のことです。メーカーは想定した条件下で安全に達成できる最大出力、すなわち定格消費電力を定め、どんな状況でもその値を超えないよう製品を設計しています。
ワインセラーや冷蔵庫の消費電力は一定ではありません。庫内に物を入れたり、扉を開けたときに外気が入ったり、部屋の温度が高かったりと状況に応じて出力を変えています。そのため、実際には定格消費電力の表示よりも低い消費電力で済むことも少なくないのです。
例えば、新品を稼働させるときには、庫内を冷やすため定格消費電力(フルパワー)に近い電力を消費しますが、その後は温度を調節するための運転になるため、消費電力は少なくなります。
定格消費電力で計算した場合の電気代は理論上の最大値であり、実際に発生するよりも高い金額が出る場合が多いことを覚えておきましょう。
年間消費量電力とは
実際の電気代に近い金額を知りたい場合は、ワインセラーに記載されている年間消費電力を参考にしましょう。一般的な使用条件(通常はJIS規格)を想定し、一定の条件下で1年間に消費する電力量を算出したのが年間消費電力です。
ただし、冷蔵庫やワインセラーは、外気温や扉の開閉回数などにより消費電力に大きく差が出る電化製品です。年間消費電力量はおおまかな電気代を把握するための目安であると考えてください。
また、年間消費電力量の記載が無いワインセラーの電気代が知りたい場合や、より正確に電気代が知りたい場合は、電化製品の消費電力を測ることができるワットチェッカーを使うという方法もあります。
ワインセラーの電気代
それでは、ワインセラーにかかる電気代を実際に計算してみましょう。
電気代の計算方法
電化製品にかかる電気代の一般的な計算方法は以下の通りです。
消費電力(W)÷1,000×1日の使用時間(時間)×1kWhあたりの電力量料金(円/kWh)
電化製品に記載されている消費電力がワット(W)の場合は、1,000で割って電気料金単価に単位をそろえます。また、ここでの電気料金単価は27円/kWh(※1)として計算します。
ただし、ワインセラーに記載されている年間消費電力から電気代を計算する場合は、消費電力(W)×運転時間(h)=年間消費電力(kWh/年)となるため、年間消費電力(kWh)/年×電気代単価(円/kWh)で1年分の電気代が計算できます。
ワインセラーの電気代の計算例
先述の電気代の計算式に当てはめて実際に計算してみましょう。
135(kWh/年)×27(円/kWh)=3,645(円/年)
1カ月、1日あたりの電気代も計算します。
1カ月あたり…3,645(円/年)÷12=303.75円
1日あたり…3,645(円/年)÷365=約9.986円
冷却方法別の電気代を比較
ワインセラーにかかる電気代は、先述の冷却方法の違いでも変わります。ここでは、コンプレッサー式とペルチェ式で、最大収納本数別に電気代を比較してみましょう。
アンモニア熱吸収式は取扱商品が少なく、情報量が少ないため今回は比較から外します。
冷却方法別 電気代(年額) | ||
---|---|---|
収納本数8~9本 | 収納本数18~20本 | |
コンプレッサー式 | 3,168円(※1) | 5,994円(※3) |
ペルチェ式 | 2,700円(※2) | 13,473円(※4) |
サイズによっても電気代は違う
ワインセラーはサイズによっても電気代が違います。ここではサイズ展開が豊富なコンプレッサー式のワインセラーをモデルに、サイズ別の年間電気代を表にまとめてみました。
サイズ別 電気代(年額) | ||
---|---|---|
小型(※1) | 約3,942円 | |
中型(※2) | 約8,208円 | |
大型(※3) | 約6,939円 |
意外にも、中型よりも大型の方が電気代が安いという結果になりました。理由としては、高性能で節電機能が搭載されている製品が多い、容量に余裕があるため冷却効率が良いなどの理由が挙げられます。
すべての製品が当てはまる訳ではありませんが、購入の際には参考にしてみてください。
ワインセラーの電気代を節約する方法
ワインセラーにかかる電気代は、どんなポイントをおさえれば節約できるのでしょうか。
ドアの開閉回数を減らす
冷蔵庫にも言えることですが、ドアの開閉回数を極力減らすことで電気代節約につながります。外気が庫内に流れ込むと、再び冷却するために余計な電力を消費しなくてはならないからです。
また、室温が高くない場所や直射日光が当たらない場所に置いておくことで、ドアを開けたときに熱い空気が流れ込んでしまうことも。このことを踏まえて、ワインセラーの置き場所も考慮しましょう。
先ほども触れましたが、開閉時の振動はワインに悪影響を与えてしまいます。ドアの開閉回数を減らすことで、電気代とワインの質両方にメリットがあることを覚えておきましょう。
ボトルを詰め込みすぎない
メーカーの推奨本数以上にボトルを入れないことも大切です。あまり詰め込みすぎると庫内の空気の循環が悪くなり、冷却効率が下がってしまいます。
これからワインセラーの購入を考えている人は、自分が将来的にどのくらいワインを所有したいかを踏まえて、サイズをよく検討することも大切です。
電力会社やプランを見直してみる
料金プランや電力会社を見直すのも、電気代節約の効率的な方法です。電化製品単体で節電方法を工夫するよりも、今よりお得な電気代プランに変える方が世帯全体の電気代を一気に引き下げることができます。
2016年の電力の小売全面自由化後は電気利用者全員が自由に電力会社を選ぶことができるようになり、各電力会社からライフスタイルに応じたお得な電気代プランが提案されています。
家計の光熱費を大幅に見直したい方は、電力会社が提案するプランを比較検討するのもおすすめです。
まとめ
ワインセラーにかかる電気代は冷却方式や収納本数、サイズによって異なります。また、必ずしも大きさに比例して電気代が高くなるわけではありません。
また、ワインの楽しみ方によっても適した冷却方式が変わります。この記事で解説した内容を踏まえて、ワインセラーの購入や使用の参考にしてみてください。
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