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どっちがお得?プロパンガスから都市ガスへの切り替えのポイント どっちがお得?プロパンガスから都市ガスへの切り替えのポイント

日本のガス料金は、電気料金と共に上昇し続けています。電気料金は発電に使われる天然ガス価格の高騰など社会情勢の影響が理由として挙げられますが、自宅のガス料金が高いのは社会情勢の影響だけとは限りません。利用しているガスがプロパンガスであるため、ガス料金が高額である可能性もあります。ガスにはプロパンガス以外にも都市ガスがあり、料金はプロパンガスより安くなります。

ガス料金を安くして光熱費を削減するためにも、都市ガスへ切り替える方法はぜひ知っておきたいところです。こちらの記事では、プロパンガスと都市ガスの違いを踏まえたうえで、都市ガスに切り替える手順を解説します。

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プロパンガスと都市ガスの違い

私たちの生活で普段使われているガスは、プロパンガスと都市ガスの2種類です。両方とも熱エネルギーを生み出すという点では共通していますが、成分や火力などにおいてさまざまな違いがあります。そのため、まずプロパンガスと都市ガスの違いについてご説明します。

ガスの原料・成分

プロパンガスは、プロパン(C3H8)とブタン(C4H10)を主成分とする液化石油ガスです。液化石油ガスは英語で「Liquefied Petroleum Gas」と言い、通称LPガスと呼ばれています。(※1)。プロパンガスはLPガスの一種であるため、プロパンガスとLPガスは一般的に同じ意味で使用されています。対して都市ガスは、メタンを主成分とする天然ガスが主な原料です(※2)。

液体になる温度は、プロパンガスはマイナス42℃、都市ガスでマイナス162℃です(※1)。また液体時の体積は、プロパンガスで気体時の250分の1、都市ガスで600分の1なので、都市ガスの方が液体時により縮小される性質があると言えるでしょう(※2)。プロパンガスと都市ガスのどちらも無色・無臭ですが、ガス漏れ時にすぐ気付くように匂いをつけてあります。

※1 出典:セリタ プロパンガス(LPガス)とは?
※2 出典:日本ガス協会 都市ガスとLPガスの違い

発熱量(火力)

プロパンガスの主成分であるプロパン・ブタンは、熱量が高い性質を持っています。都市ガスの発熱量が11,000Kcal/㎥に対して、プロパンガスの発熱量は24,000Kcal/㎥であり、都市ガスの2倍以上の火力です(※1)。

発熱量の差が2倍以上あるということは、都市ガスならプロパンガスの2倍以上の量が必要ということになります。数字での比較ではピンと来ないかもしれませんが、同様の条件でお湯を沸かすなど比較してみると、その差は一目瞭然です。

実際、多くの飲食店では、都市ガスではなくプロパンガスが使用されています。ちなみにプロパンガスの主成分であるプロパンとブタンを比較した場合、発熱量はブタンよりプロパンの方が高いです(※2)。

※1 出典:Selectra 都市ガスとプロパンガスの違い:料金や供給方法、発熱量や成分など、違いを徹底解説
※2 出典:LPガス安全委員会 LPガスとは?

空気より軽いか重いか

プロパンガスは空気より重く、都市ガスは空気より軽いです(※1)。そのためガス漏れ事故があった場合には、プロパンガスは低いところに溜まり、都市ガスは高いところに溜まります。都市ガスの警報機が天井付近に設置されているのは、都市ガスが空気より軽い性質を考慮しているためです。

都市ガスは空気より軽いため、ガス漏れ時に窓を開けるだけで、室内のガスを大量に外へ逃がすことができます。一方プロパンガスは低い場所に滞留するため、窓だけでなくドアを開けるなどしないと、外への放出は難しいでしょう。

プロパンガスの具体的な重量は、空気の1.5~2.0倍重いとされています(※2)。ガス漏れ時にガスを吸い込まないためには、都市ガスの場合は低姿勢で、プロパンガスでは立ち上がって移動することが有効です。

※1 出典:セリタ プロパンガス(LPガス)とは?
※2 出典:LPガス安全委員会 LPガスとは?

プロパンガスと都市ガスの比較表

プロパンガス 都市ガス
ガスの原料・成分 プロパンとブタンを主成分とする液化石油ガス メタンを主成分とする天然ガス
液体化する温度 マイナス42℃ マイナス162℃
液体時の縮小率 気体時の250分の1 気体時の600分の1
発熱量(火力) 24,000Kcal/m3 11,000Kcal/m3
空気に対する重量 重い 軽い

プロパンガスと都市ガスの料金比較

プロパンガスと都市ガスの料金比較 プロパンガスと都市ガスの料金比較

プロパンガスと都市ガスの違いはわかったとして、気になるのは実際に使用した際のガス料金です。プロパンガスと都市ガスでは、具体的にどれくらいの金額差があるのでしょうか。都市ガスを扱っている東京ガスのデータによると、料金差は以下の通りです。

東京地区等(2017年8月・単位:円・税込金額)
東京ガス プロパンガス 料金差 年間料金差
東京都 3,669 6,747 3,078 36,936
神奈川県 3,669 6,766 3,097 37,164
埼玉県 3,669 6,849 3,180 38,160
千葉県 3,669 6,959 3,290 39,480
茨城県 3,669 7,003 3,334 40,008
栃木県 3,669 6,885 3,216 38,592
※出典:東京ガス プロパンガスから都市ガスへ

上記の表によると月々のガス料金の金額差は、プロパンガスが都市ガスの約1.9倍であることがわかります。年間の料金差においても、プロパンガスが最も安い東京都で年間約37,000円の金額差となっており、プロパンガスの料金が最も高い茨城県では約40,000円の金額差が生じています。何十年という単位で考えると金額差も何十万円という額にふくれ上がります。使用するガスを選択する際はガスの性質に加えて、具体的なガス料金の金額差を踏まえておくことが重要です。

都市ガスへの切り替え手順

プロパンガスと都市ガスの料金差から、都市ガスへ切り替えたいと思われる方も多いでしょう。戸建てと集合住宅では切り替え手順が違いますが、ここでは戸建て住宅を念頭に置いた切り替え手順をご説明します。

1.都市ガス会社を選択

2017年の4月より、都市ガスの全面小売自由化が始まりました。工場などで使用される業務用の都市ガスはすでに自由化されていたため、正確には家庭用の都市ガスの自由化が始まったことになります。

都市ガスの自由化により、一般のご家庭でも自由に都市ガス会社を選ぶことができるようになりました。複数の会社が都市ガス事業を展開しているため、ガス料金やサービス内容を踏まえたうえで、ご自分のライフスタイルにあったガス会社を選択することができます。

2.業者による現地確認と見積もり

ただし、都市ガスではなくプロパンガスを用いている場合は、ガス導管がない可能性があります。
都市ガスは、公道下に配置されているガス導管を自宅につなげることで、ガスが供給される仕組みです。そのため都市ガスを利用するには、ガス導管の引き込み工事が必要になります。ガス工事業者に現地を確認してもらい、工事費用の見積もりをしてもらいます。

ただしガス導管は全国的に展開されているわけではなく、設置されていない地域も多いです。ご自宅付近のガス導管の配置状況によっては、導管の引き込み工事ができない場合もありますのでご注意ください。
また見積もりは1つの会社だけではなく、複数の会社でおこなうこともできます。工事費用やアフターサービスの内容などを比較したうえで、ガス会社を決めるのも有効な手段と言えるでしょう。

3.工事の契約

工事費用の見積もりや契約内容に納得できたら、都市ガス会社と契約を結びます。契約すると法律的な拘束力が発生するため、一度締結したら簡単に内容を変更することはできません。契約内容に少しでも不明点がある場合は、契約する前に積極的に確認するようにしましょう。

契約内容を正確に理解できるまで、何度でも質問しておくことをおすすめします。納得するまで説明してくれるのかという点も、会社選びのポイントになります。

4.プロパンガス会社の解約

都市ガス会社と正式に契約した後は、現在使用しているプロパンガス会社との契約を解約します。電話などの方法で、プロパンガス会社に解約の連絡をしましょう。

ただし都市ガス会社からガスの供給がある前日まで、引き続きプロパンガス会社からのガスの供給が必要です。使用しているプロパンガス会社の設備器具などは、都市ガス会社の供給が始まる日に合わせて撤去してもらえるように、日程を調整しておきましょう。

5.ガス導管の引き込み工事

プロパンガス会社への解約の手続きが終了したら、ガス導管の引き込み工事をおこないます。ガス導管の引き込み工事とは、道路下に配置されているガス導管を自宅の敷地に引き込む作業です。引き込んだガス導管を自宅の配管につなげるために、敷地内の配管工事も同時におこないます。

稀なケースですが自宅が公道に面していない場合は、工事の際に近隣住民の許可が必要です。自宅が他の住宅に囲まれていて、公道までに私有地の通行が必要な住宅では、通行する土地所有者の許可がなければ、ガス導管の工事ができません。通行の許可があってもガス導管工事の許可があるとは限らないので、工事の際は前もって土地所有者から許可を得ておく必要があります。

6.都市ガスの供給開始

ガス導管の引き込み工事が完了したら、いよいよ都市ガスの供給が始まります。都市ガスが正常に供給されるか確かめるために、都市ガスの開栓と点火テストを都市ガス担当者がおこないます。開栓と点火に問題がなければ、都市ガス利用のスタートです。

また事前調整がうまくいっていれば、プロパンガス設備の撤去も都市ガス供給日におこなわれます。プロパンガス器具の撤去と開栓・点火のテストが重ならないように、あらかじめ両者の時間帯をずらしておきましょう。

(参照)東京ガス ガス工事の流れ

都市ガスの切り替えにかかる費用

ではプロパンガスから都市ガスに切り替えた場合、ガス導管引き込み工事などの費用は、具体的にどの程度かかるのでしょうか。こちらでも戸建て住宅で都市ガスに切り替えたケースを念頭に置いて、詳しい金額をご説明します。

ガス導管引き込み費用

まずガス導管引き込み工事の費用がかかります。東京ガスが提示している標準モデルでは、149,700円(税込)とされており(※1)、相場の価格帯もおよそ10~15万円です(※2)。ガス導管引き込み工事の費用は、公道に通っているガス導管を自宅敷地に引き込む距離によって変動します。

具体的にはガス導管を1メートル引き込む作業につき、約1万円かかるとされています(※2)。そのため、公道を通っているガス導管と自宅が離れているほど、引き込み費用も高くなると言えるでしょう。なお東京ガスの標準モデルでは、新築1戸建て木造建築を念頭に置いて算出されています。また給湯器やコンロなどのガス器具の費用は、上記モデルの費用に含まれていませんので、別途支払う必要があります。

※1 出典:東京ガス ガス工事について
※2 出典:Selectra プロパンガスから都市ガスに切り替える方法と費用は?

ガス機器の変更・設置費用

ガス機器の変更・設置費用 ガス機器の変更・設置費用

プロパンガスと都市ガスは熱量が違うので、プロパンガスで使っていたガスコンロや給湯器を都市ガスでそのまま使うことはできません。部品の交換によりプロパンガス器具を都市ガス用に変更するか、都市ガス用のガス器具に買い替えるかのどちらかになります。部品の交換で済む場合は、交換費用としてガスコンロが1万円、給湯器が3万円ほどです(※)。

都市ガス用に丸ごと買い替える場合は、買い替え費用として10~20万円ほどかかるとされています(※)。ガス器具自体さまざまなグレードがあるため、買い替え費用にはかなり幅があります。

なおメーカーが交換部品の生産を終了していた場合は、部品交換によるガス器具の変更はできません。古いガス器具であるほどメーカーが生産を終了しているケースが多いので、ご注意ください。

※出典:Selectra プロパンガスから都市ガスに切り替える方法と費用は?

契約中のプロパンガスにかかる違約金

プロパンガス会社との契約内容によっては、解約により違約金が発生するケースもあります。特に注意が必要なのは、無償貸与契約を結んでいた場合です。無償貸与契約とは、プロパンガスの長期利用と引き換えに、ガス器具の設置などの初期費用をガス会社が負担してくれる契約になります(※)。無償貸与契約で定められた期間を待たずに契約を解約した場合は、利用者がガス会社に違約金を支払わなければなりません。

プロパンガス会社と無償貸与契約を結んだ場合は、無償貸与契約の契約期間が契約書に記載されています。また無償貸与契約を締結していても、長い年数が経過することで契約自体を忘れている場合もあるでしょう。プロパンガス解約の際は契約書をよく読んで、違約金が発生しないかを確認しておくことが重要です。

※出典:Selectra プロパンガス(LPガス)契約 よくあるトラブル -「無償貸与契約」とは?

切り替えずにプロパンガス料金を節約する方法

都市ガスへの切り替え手順の項目でも述べましたが、都市ガスの導管が自宅付近まで配置されていない場合は、都市ガスに切り替えることはできません。また都市ガスの料金はプロパンガスより安いですが、切り替えには工事費用やガス器具の買い替え費用などの金銭的負担が生じてしまいます。数十万円の費用負担があるなら、プロパンガスのままでもいいと考える方もいらっしゃるでしょう。

都市ガス導管の配置不備や高額な切り替え費用の問題から、プロパンガスを継続して利用される方は、プロパンガスの会社変更をされてみてはいかがでしょうか。プロパンガスはもともと自由料金制であるため、会社の切り替えはガス利用者が自由におこなうことができます。

ひとえにプロパンガスといっても、料金設定は会社によってさまざまです。複数の会社の利用料金を比較することで、納得できるプロパンガス会社に変更することが可能です。プロパンガスから都市ガスへの変更は、ガス器具の変更などが必要ですが、別のプロパンガス会社へ変更する場合は設備をそのまま使えます。

都市ガスへの切り替えより一時的な費用が安くなる点は、プロパンガスの会社変更におけるメリットといえるでしょう。ただし利用期間によっては解約することで、無償貸与契約による違約金が発生する場合があるためご注意ください。

ガス料金の節約なら電気とまとめるのがおすすめ

ここまでさまざまな方法を紹介しましたが、ガス料金を節約したいのなら、電気とまとめるのがおすすめです。

東京電力エリアで都市ガスを使っている方は、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)+Looopガス」をチェックしましょう。

スマートタイムONEは、電気料金の単価が市場価格に合わせ時間帯で変動する市場連動型プランです。単価が安い時間帯に集中して電気を使うようにすれば、電気代が安くなります。ガス割の1円は、スマートタイムONE(電灯)の固定従量料金単価から割り引かれます。

電気とガスの業者を一緒に切り替えたい場合は、電力会社とガス会社を別々に契約するより、Looopでんきのセット割プランを利用したほうがお得です。(※東京電力エリア限定)

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