ガス代の請求額が高いと感じているなら、世の中の平均と比べてみるのがおすすめです。ガス代が高い理由を理解すれば、節約に取り組みやすくなるでしょう。ガス代の平均やガス料金の仕組み、節約のポイントなど、ガス代について知っておきたい知識を解説します。
ガス代の平均はいくら?
ガス代の平均は世帯人数・季節・地域により異なります。総務省統計局の「家計調査 家計収支編」を参考に、ケース別のガス代の平均をご紹介します。
世帯人数別のガス代の平均
2023年における世帯人数別の平均ガス代は次の通りです。
<ガス代>
- 1人世帯:3,359円
- 2人世帯:4,971円
- 3人世帯:5,591円
- 4人世帯:5,284円
- 5人世帯:5,131円
- 6人以上世帯:5,469円
同じ条件における電気代の平均も見てみましょう。
<電気代>
- 1人世帯:6,726円
- 2人世帯:10,940円
- 3人世帯:12,811円
- 4人世帯:13,532円
- 5人世帯:14,373円
- 6人以上世帯:18,941円
電気代は世帯人数が増えるほど高くなりますが、ガス代は人数による差がそれほどないことがわかります。
※出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)家計調査 家計収支編 単身世帯
※出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)家計調査 家計収支編 二人以上の世帯
季節別のガス代の平均
2023年における2人以上世帯の月別ガス代の平均は次のようになっています。
- 1月:7,974円
- 2月:8,289円
- 3月:7,891円
- 4月:6,796円
- 5月:5,765円
- 6月:4,736円
- 7月:3,999円
- 8月:3,266円
- 9月:2,790円
- 10月:2,856円
- 11月:3,550円
- 12月:4,596円
ガスの請求は1~2カ月遅れるため、上記は1~2カ月前にかかったガス代です。暑い時期はガス代が安くなり、暖房や給湯でより多くのガスを使う寒い時期はガス代が高くなっています。
※出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)家計調査 家計収支編 二人以上の世帯
地域別のガス代の平均
2023年における2人以上世帯のガス代の地域別平均は以下の通りです。
- 北海道:5,042円
- 東北:4,078円
- 関東:5,728円
- 北陸:4,060円
- 東海:5,643円
- 近畿:5,883円
- 中国:3,990円
- 四国:3,497円
- 九州:4,249円
- 沖縄:4,223円
寒いイメージがある北海道・東北・北陸は、ガス代の平均がそれほど高くありません。その代わり、主に灯油を指す「他の光熱」が高くなっており、暖房器具の燃料として灯油も多く使っていることがわかります。
<他の光熱>
- 北海道:6,551円
- 東北:4,075円
- 関東:789円
- 北陸:2,060円
- 東海:794円
- 近畿:597円
- 中国:924円
- 四国:1,191円
- 九州:699円
- 沖縄:444円
※出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)家計調査 家計収支編 二人以上の世帯
ガス料金の仕組み
ガス代の節約を図るなら、ガス料金の仕組みを理解しておくことが重要です。ガス料金の内訳や検針票(ガスご使用量のお知らせ)の見方について解説します。
ガス料金の内訳
ガス料金の基本的な計算式は次の通りです。
ガス料金=基本料金+従量料金(従量単価×ガス使用量)
基本料金は毎月決まった金額が請求される固定の部分です。従量料金はガス使用量に応じて変動し、ガスを多く使った月は従量料金が上がるため、ガス代も高くなります。
また、従量単価は固定ではなく、為替レートや原油価格などの影響により毎月見直されます。近年ガス料金が高騰しているのは、従量単価が上がっていることが主な理由です。
検針票(ガスご使用量のお知らせ)の見方
検針票(ガスご使用量のお知らせ)を見れば、自宅のガスのさまざまなことがわかります。フォーマットはガス会社により異なり、基本料金・従量料金・従量単価・ガス使用量のすべてが記載されているのが理想です。
基本料金と従量単価だけでもわかれば、他社と比較しやすいでしょう。ガス会社によっては、検針日・ガス使用量・請求額など最低限の項目しかないケースもあります。
近年は検針票(ガスご使用量のお知らせ)をWebサイトで確認できるガス会社も増えており、東京ガスは検針票(ガスご使用量のお知らせ)のペーパーレス化に取り組んでいます。
※出典: 検針票(ご使用量のお知らせ)のペーパーレス化および書面(検針票・払込書)の有料化について|東京ガス
ガス代が高くなる理由
ガス代が高くなるのにはいくつかの理由があります。平均と比較して自宅のガス代が高いのなら、ガス代が高くなる理由を把握しておくことが大切です。
ガス料金の単価が高いから
ガス代が高くなる理由の1つに、ガス料金が高いガス会社を使っていることが挙げられます。料金単価が上がると、ガス使用量が変わらなくてもガス代が上がってしまうのです。
2017年のガス小売自由化以降、都市ガス会社は自由に料金を設定できるようになっています。また、プロパンガスは昔から自由料金制です。
ガス会社ごとに料金設定が違うため、ガス使用量が同じでもガス代が違うという状況が起こり得ます。ガス代の節約を図りたいなら、契約中の料金プランのチェックは必須の作業だといえるでしょう。
ガスの使用量が多いから
ガス料金の内訳を見てもわかるように、ガス使用量が増えると従量料金が高くなるため、ガス代も上がってしまいます。ガス使用量を減らすことが節約のポイントです。
ガスはキッチン・暖房器具・お風呂でよく使うため、これらの場所でガスの基本的な使い方を見直す必要があります。特に、お湯を使う機会が増える冬は、ガス代の節約を意識した生活を心掛けることが重要です。
都市ガスとプロパンガスの違い
ガス代が高くなる理由としては、プロパンガスを使っていることも挙げられます。都市ガスとプロパンガスの違いを確認した上で、なぜプロパンガスは都市ガスより高くなるのかも理解しておきましょう。
都市ガスの特徴
都市ガスの主な原料は、メタンを主成分とする液化天然ガスです。空気より軽い性質があるため、ガス警報器は室内の上部に設置されます。
プロパンガスに比べ発熱量が低く、火力も弱めです。プロパンガスとの火力差を考慮し、都市ガス用のガスコンロはガスがより多く出るように設計されています。
都市ガスは地下の導管で供給されるため、導管が届かない地域では都市ガスを使用できません。導管が都市部または近郊に集中していることから、都市ガスと呼ばれています。
プロパンガスの特徴
プロパンガスはプロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガスが主な原料のガスです。LPガスとも呼ばれます。空気より重いため、ガス警報器は床付近に設置されます。
プロパンガスの発熱量は、同じ体積なら都市ガスの2倍以上です。調理で強い火力を必要とする飲食店では、都市ガスエリアであってもプロパンガスを使っているケースもあります。
プロパンガスはガス会社がボンベで供給するため、全国どこでも使用することが可能です。都市ガスが供給されないエリアのほとんどは、プロパンガスが普及しています。
プロパンガスが都市ガスよりも高い理由
プロパンガスの料金相場は、都市ガスより高い傾向があります。プロパンガスでは配送コストがかかるためです。
導管で供給する都市ガスと違い、プロパンガスは各消費者にトラックで配送します。運送費や人件費がガス料金に上乗せされているため、ガス代も高くなるのです。
ガス代を安くするコツ
ご家庭でのガス使用量を減らせば、従量料金が下がるためガス代も安くなります。ガスを使う機会が多いキッチン・リビング・お風呂での節約方法を見ていきましょう。
キッチンのガス代を節約する方法
キッチンではガスコンロや給湯でガスを使います。キッチンでガス代を節約する方法は次の通りです。
- 食材の量に適したお湯を使う
- 野菜の下ゆでに電子レンジを使う
- 冷凍食材は調理前に常温に戻しておく
- 熱が逃げないようにふたや落としぶたを使う
- 鍋の大きさに合った火力で調理する
- ガスコンロのバーナー部分を定期的に掃除する
- 揚げ物の回数を減らす
- ガスコンロではなく給湯器でお湯を沸かす
- 食器洗いは手洗いではなく食洗機を使う
資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」によると、お湯による食器洗いから食洗機の使用に変えた場合、年間約6,470円の光熱費削減を期待できます。
※出典: キッチン | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト
リビングのガス代を節約する方法
リビングでガスファンヒーターを使用している場合は、以下の節約方法を実践してみましょう。
- タイマー機能を活用する
- フィルターを小まめに掃除する
- サーキュレーターで暖気を循環させる
- ほかの暖房器具と併用する
- 設定温度を下げる
ガスファンヒーターの設定温度を21℃から20℃に下げた場合、年間で約1,320円のガス代の節約を図れます。
※出典: 空調 | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト
お風呂のガス代を節約する方法
お風呂では大量のお湯を使うため、ガスの使い方を見直せば節約効果をより高められます。お風呂でのガス代節約術をチェックしましょう。
- 浴槽にお湯を溜めすぎない
- 入浴しないときは浴槽にふたをする
- 入浴後は浴室のドアを閉める
- シャワーを流しっぱなしにしない
- 節水シャワーヘッドを活用する
- 追いだきの回数を減らす
- 次の入浴までの間隔を空けない
45℃のお湯を流す時間を1分間短縮した場合、年間で約2,070円のガス代の節約を期待できます。
※出典: 風呂・トイレ | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト
給湯器はエコキュートがおすすめ
ガス給湯器を使っている場合は、エコキュートに変更するのもおすすめです。エコキュートはヒートポンプでお湯をつくる電気給湯器であり、ほかの給湯器に比べランニングコストを大幅に節約できます。
パナソニックの調査結果によると、東京電力エリアと関西電力エリアの各給湯器の年間ランニングコストは次の通りです。
<東京電力エリア>
- エコキュート:約37,200円
- 電気温水器:約157,200円
- ガス給湯器:約76,800円
- 石油給湯器:約88,800円
<関西電力エリア>
- エコキュート:約20,400円
- 電気温水器:約87,600円
- ガス給湯器:約80,400円
- 石油給湯器:約69,600円
上記以外のエリアでも同じような傾向が見られます。光熱費全体の節約を図るなら、エコキュートの導入を検討してみましょう。
※出典: 低ランニングコスト|はじめてのエコキュート|エコキュート|給湯・暖房|Panasonic
ガス代の節約にはガス会社の変更も効果的
ガス代を節約する方法の1つに、ガス会社の変更が挙げられます。ガス会社を見直す際のポイントを押さえておきましょう。
ガス会社は自由に選べる
2017年のガス小売全面自由化により、都市ガスの小売が自由化されました。プロパンガスはもともと小売が自由化されており、現在は消費者がガス会社を自由に選べるようになっています。
ガス料金はガス会社により異なるため、今よりガス料金が安いガス会社に切り替えれば、それだけでガス代の節約につながる可能性があります。
プロパンガスから都市ガスへの変更も可能ですが、都市ガス供給エリアに住んでいることが必須条件です。プロパンガスしか使えないエリアに住んでいる場合は、ほかのプロパンガス会社と料金プランやサービスを比較しましょう。
⇒ガス自由化についてもっと詳しく知りたい方はこちら
電気+ガスのセット割プランもお得
ガス会社や電力会社によっては、電気+ガスのセット割プランを用意しているケースもあります。セット割を利用すれば光熱費全体の削減を図れるほか、手続きや家計管理の手間を軽減することも可能です。
東京電力エリアで都市ガスを使っている方は、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)+Looopガス」をチェックしましょう。
スマートタイムONEは、電気料金の単価が市場価格に合わせ時間帯で変動する市場連動型プランです。単価が安い時間帯に集中して電気を使うようにすれば、電気代が安くなります。ガス割の1円は、スマートタイムONE(電灯)の固定従量料金単価から割り引かれます。
電気とガスの業者を一緒に切り替えたい場合は、電力会社とガス会社を別々に契約するより、Looopでんきのセット割プランを利用したほうがお得です。(※東京電力エリア限定)
⇒「Looopでんき+ガス」をチェック
賃貸物件でガス会社を変更する場合の注意点
賃貸物件では大家や管理会社がガス会社と契約を結んでいるため、ガス会社を変更できない可能性があります。
大家や管理会社の許可を得られない場合は、ガス会社の変更は難しいでしょう。物件によっては、ほかの入居者の許可を得なければならないケースもあります。
また、契約上の問題はクリアできても、構造上の問題がある場合はガス会社の変更は困難です。
どうしてもガス会社を変更したいのなら、賃貸契約の内容を確認した上で、大家や管理会社に相談してみましょう。
ガス代と一緒に電気代も見直そう
ガス代の平均は世帯人数・季節・地域で変わります。自宅のガス代が高いのかわからない場合は、平均と比べてみるのがおすすめです。
また、プロパンガスと都市ガスの違いも理解しておく必要があります。
⇒プロパンガスと都市ガスの違いについて詳しく知りたい方はこちら
ガス料金が安いガス会社に変更すれば、それだけでガス代を節約できる可能性があります。ガス代の節約を図るなら、ガスの使い方を見直してみましょう。