1人暮らしを始めてから最初のガス代請求がきたときは、金額が妥当なのかわからないでしょう。地域別・季節別の平均を知れば、自宅のガス代が高いのかを判断することが可能です。1人暮らしのガス代の平均や節約術、ガス代が高くなる理由について解説します。
1人暮らしのガス代の平均
ガス代は地域や季節により大きく異なります。地域別・季節別のガス代の平均をチェックし、自宅のガス代と比較してみましょう。
地域別
1人暮らしのガス代の地域別平均は、総務省統計局が公表する「家計調査 家計収支編」を見ればわかります。2021年における地方ごとのガス代の平均は次の通りです。
北海道・東北 | 3,297円/月 |
関東 | 3,136円/月 |
北陸・東海 | 2,831円/月 |
近畿 | 2,818円/月 |
中国・四国 | 2,824円/月 |
九州・沖縄 | 2,842円/月 |
全国 | 3,001円/月 |
北海道・東北地方と関東地方が全国平均を超えています。単に寒い地域が高くなるのではなく、地域ごとのガス単価やライフスタイルの違いが影響していると考えられます。
※出典:総務省統計局 | 家計調査 家計収支編 単身世帯 表番号3
季節別
総務省統計局の家計調査 家計収支編からは、1人暮らしのガス代の季節別平均もわかります。2021年における3カ月ごとのガス代の平均をまとめました。
1~3月 | 3,562円/月 |
4~6月 | 3,313円/月 |
7~9月 | 2,275円/月 |
10~12月 | 2,642円/月 |
年平均 | 2,948円/月 |
暑い時期に比べて寒い時期のガス代が高くなっているのは、寒い時期に暖房器具や調理・給湯でより多くのガスを使うためです。
なお、一般的にガス代の請求は実際にガスを使用した月より1~2カ月遅れます。上記の平均も1~2カ月前の状況が反映されていることに注意しましょう。
※出典:総務省統計局 | 家計調査 家計収支編 単身世帯 四半期 2021年 表番号1
ガス代が高くなる理由
ガス代が高くなるのには明確な理由があります。どのようなことが原因でガス代が高くなるのかを見ていきましょう。
ガス代の単価が高い
ガス代は「基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)」で計算されます。ガス会社が設定する単価が高くなるとガス代も高くなる仕組みです。
ガス代の単価はガス会社ごとに異なります。地域によりガス代に差が出るのは、ガス会社ごとに基本料金や単価が違うことが主な原因です。
また、ガス料金は原料費調整制度により毎月見直されています。原料費はさまざまな要因により上下し、原料費が高くなればガス料金も高くなります。
ガス使用量が多い
ガス代の計算式を見ると、単価だけでなくガス使用量もガス代に影響することがわかります。単価が同じ場合も、ガス使用量が多くなればガス代も高くなります。
ガス使用量の変動に最も大きく影響するのは季節です。冬場の寒い時期は暖房器具や給湯器でガスを使う機会が多くなるため、ガス使用量も多くなりガス代が高くなります。
1人暮らしでもお風呂やキッチンでお湯を使いすぎると、ガス使用量が多くなりがちです。家族が増えても人数に比例してガス使用量が多くなるわけではないため、1人暮らしは家族がいる場合と比べてガス代が割高になるケースが多くなります。
プロパンガスを使っている
ガス代が高くなる理由の1つに、プロパンガスを使っていることも挙げられます。プロパンガスは都市ガスに比べ、ガス料金が高いのです。
都市ガスは導管を通して各家庭にガスが供給されますが、プロパンガスは業者が各家庭にボンベを運ばなければなりません。配送には人件費や車両費がかかるため、その分ガス代も高くなります。
相場が高止まりしていることも、プロパンガス料金が高い理由です。プロパンガス業界には業者同士で値下げを行わない慣習が根強く残っており、業者間での競争が起こりにくい実情があります。
「プロパンガスは高いもの」という意識が広く浸透し、ガス会社を積極的に選ぼうとする人も少ないため、プロパンガスを使っている家庭のガス代の平均がなかなか下がらないのです。
⇒プロパンガスが高い理由についてもっと詳しく知りたい方はこちら
【実践編】1人暮らしのガス代節約術
1人暮らしでガス代が高い気がするなら、ガスの使い方に問題がある可能性があります。日々の生活の中で実践できることを確認し、ガスの使い方を見直してみましょう。
キッチン
キッチンではお湯を使ったり調理で火を使ったりする際にガスを使用します。1人暮らしの方がキッチンで実践できるガスの節約方法は以下の通りです。
- 食器を洗う際はお湯を出しっぱなしにせず、最後にまとめてお湯で洗い流す
- 食器洗いで使用するお湯の温度を下げる(ゴム手袋を使うのがおすすめ)
- 給湯器から給水してお湯を温める(給湯器は熱効率が高い)
- フライパンを使う際は完全に乾かす(水を蒸発させる際の無駄なガス使用が減る)
- 料理ではガスを使わないIH調理器具や電子レンジを活用する
- ガスコンロのバーナーを掃除する(汚れが詰まると火力が弱くなる)
なお、オール電化の物件に住めばキッチンのガス代を大幅に削減できますが、電気代が高くなることに注意が必要です。
お風呂
お風呂のお湯にもガスを使うため、ガス代を節約したいならお風呂の入り方も見直す必要があるでしょう。1人暮らしの方がお風呂で実践できるガス代節約術をまとめました。
- シャワーを流しっぱなしにしない
- 湯船に湯をためずできるだけシャワーで済ます
- 追いだきの回数を減らす
- お湯の温度を上げすぎない
- 湯船にお湯がたまったらすぐに入る
- 節水シャワーヘッドを活用する
お風呂のガス代節約術を実践すれば水の使用量も減るため、水道代の節約にもつながります。
暖房器具
室内の空気を暖めるためにガスファンヒーターやガスストーブを使っている場合の節約方法を紹介します。
- 暖房器具を窓・壁に近い場所に置く(暖かい空気が室内を循環しやすくなる)
- サーキュレーターを上向きに回して室内の空気を循環させる
- ガスファンヒーターで室内が十分に暖まったらエアコンに切り替える
- 窓を断熱して暖かい空気が外へ逃げないようにする
- ガスファンヒーターのエコ機能を活用する
サーキュレーターの使い方について補足すると、暖かい空気は上に行こうとする性質があるため、サーキュレーターを上向きに回せば暖かい空気が室内を循環しやすくなります。
また、ガスストーブを窓や壁に近づけて使う際は、カーテンから離して置くようにしましょう。
【契約編】1人暮らしのガス代節約術
ガス代の基本料金や単価はガス会社により異なるため、ガス会社を変えることでもガス代を節約できます。ガス会社を切り替える際の考え方を理解しておきましょう。
プロパンガスから都市ガスに変更する
プロパンガスを使っている場合は、都市ガスに変えることでガス代が安くなる可能性があります。一般的にプロパンガス料金は都市ガス料金より高いためです。
かつて都市ガスは独占市場であったため、消費者が自由にガス会社を選べませんでした。しかし、2017年にスタートした都市ガスの小売自由化により、現在は都市ガス会社を自由に選べるようになっています。
ただし、都市ガスは導管を使って供給されているため、導管が通っていない地域では都市ガスを利用できません。都市ガスの供給網は徐々に広がってきているものの、地方の多くは依然としてプロパンガスしか選べないのが実情です。
ガス会社を切り替える
プロパンガスから都市ガスに切り替えられない地域でも、ガス料金が安いプロパンガス会社に切り替えればガス代を節約できます。
最近になって小売が自由化された都市ガスと違い、プロパンガスはかなり前から自由市場です。現在の都市ガスと同様に、プロパンガスも消費者がガス会社を自由に選べます。
相場が高止まりしている現状はあるものの、安い料金プランやお得なサービスを提供しているプロパンガス会社も数多く存在しているのです。都市ガスに切り替えられない場合は、料金が安いプロパンガス会社への切り替えを検討しましょう。
賃貸物件の場合は契約内容を確認
1人暮らしで賃貸物件に住んでいる場合、基本的にガス会社の変更は独断で決められません。賃貸物件で利用するガス会社は、大家や管理会社に決定権があるためです。
住んでいる地域で今のガス会社より安くなる業者を見つけても、大家や管理会社の許可を得なければガス会社の変更はできないでしょう。そもそも賃貸物件は集合住宅であることが多いため、他の居住者にも許可を得なければならないケースもあります。
賃貸物件でガス会社を変更したい場合は、賃貸契約の内容を確認し、変更できる可能性があるかどうか確かめましょう。変更が無理ならガスの使い方を見直して節約を頑張るしかありません。
ガス代と一緒に電気代も見直そう
ガス会社の切り替えでガス代の節約を図るなら、一緒に電気代も見直しましょう。電力会社の変更で節電につなげるためのポイントを解説します。
電力会社も自由に選べる
都市ガスの小売自由化に先駆けて、電力の小売も2016年に自由化されています。それまで独占市場であった業界に新電力と呼ばれる会社が参入し、消費者は電力会社を自由に選べるようになったのです。
電力小売自由化により、大手や新電力から新しい料金プランやサービスが次々と誕生しました。各家庭の状況に合った最適なプランを選べば、今よりも電気代を安く抑えられるようになっています。
再生可能エネルギー発電を行う電力会社が存在することも新電力の特徴です。太陽光・風力・地熱といった発電方法を採用している会社から電気を買えば、再生可能エネルギーの普及にも貢献できます。
電気とガスのセットでよりお得に
電力会社が用意するプランの中には、電気とガスをセット販売しているものもあります。東京電力エリアで都市ガスを使っている方は、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)+Looopガス」をチェックしましょう。
スマートタイムONEは、電気料金の単価が市場価格に合わせ時間帯で変動する市場連動型プランです。単価が安い時間帯に集中して電気を使うようにすれば、電気代が安くなります。ガス割の1円は、スマートタイムONE(電灯)の固定従量料金単価から割り引かれます。
電気とガスの業者を一緒に切り替えたい場合は、電力会社とガス会社を別々に契約するより、Looopでんきのセット割プランを利用したほうがお得です。
⇒「Looopでんき+ガス」をチェック
1人暮らしのガス代は安く抑えられる
ガス代は料金単価やガス使用量、ガス会社により変わります。1人暮らしのガス代を安く抑えたいなら、ガスの使い方の見直しやガス会社の変更を行いましょう。
ガス代だけではなく光熱費全体でも見直しを考えている方は、電気とガスのセットプランなどもありますので、合わせて検討してみてはいかがでしょうか。