家庭で契約している電気の契約アンペア数は、大きいほど同時に使える電気量が増えるとともに、基本料金も高くなります。適切なアンペア数を選ぶことは、ブレーカーが落ちることを防ぐだけでなく電気代の節約にもつながるのです。今回は最適な契約アンペア数を選ぶポイントをご紹介します。
アンペアとブレーカーの関係
普段生活していて、突然ブレーカーが落ちて困った経験はないでしょうか?ブレーカーが落ちる原因の一つとして、契約している電気のアンペア数の大きさがあります。
皆さんは現在契約中のアンペア数がどのくらいか把握しているでしょうか?実は、毎月の電気料金を安く抑えるためにも契約アンペア数選びは重要です。
そもそも「アンペア(A)」とは、電流量(電気が流れる大きさ)を表す単位です。契約アンペア数は、一般の家庭用では60Aまであり、数字が大きくなるほど一度に使える電気の量が増えます。
一般的には電力会社と契約したアンペア数に応じて基本料金が決められています。
この基本料金は電気の使用量に関係なく請求されます。この基本料金を”固定費”とすると、使用量に合わせて加算される従量料金が“変動費”です。もしほとんど電気を使用していない月があったとしても、"固定費"にあたる月の基本料金は安くなりません。
⇒電気代の確認方法についてもっと詳しく知りたい方はこちら
東京電力の場合、契約アンペア数が小さいと基本料金は安くなり、反対に大きくなれば基本料金もそれだけ高くなります。
(例)東京電力の料金単価 ※2020年9月現在 | |
---|---|
30A | 858円00銭 |
40A | 1,144円00銭 |
50A | 1,430円00銭 |
よって、電気代をおさえるためには、契約アンペア数を一番小さくすると良いと思うかもしれません。
しかし、使用する電気量に見合わないアンペア数で契約してしまうと、頻繁にブレーカーが落ちる原因になります。つまり、家庭に合ったアンペア数を選択していくことが重要です。
アンペア・ボルト・ワットの違いと消費電力の計算方法については、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒アンペア・ボルト・ワットの違いと消費電力の計算方法
契約中のアンペア数ってどうやって調べるの?
「今の契約アンペア数はどれくらいなのだろう?」と思った場合、調べる方法は2通りあります。
アンペアブレーカーの色や数字を見る
それぞれの部屋へ電気を分配する役割の「分電盤」に取り付けられているアンペアブレーカーの色や数字をチェックしましょう。ただしスマートメーターを使用している場合などは、アンペアブレーカーが取り付けられていないこともあります。
分電盤は、玄関の入り口付近や台所、洗面所、脱衣所などの壁に取り付けられています。
いくつかの電力会社では、アンペアブレーカーの色によって契約アンペア数がわかるようになっています。各電力会社では、以下のように設定されています。
電力会社によって色の分け方が異なるので、数字でも確認するようにしましょう。
電気ご使用量のお知らせ(検針票)を見る
ご家庭に毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」にも契約アンペア数が記載されています。最近は検針票や領収書のデジタル化が進み、紙ではなくWeb上で通知している場合があるので確認してみてください。Looopでんきなどのように、サイトのマイページや会員ページから、契約アンペア数を確認できる電力会社もあります。
ただし、大手電力会社の中にはアンペアごとの契約を行っていない地域も。東京電力や九州電力、東北電力、北海道電力、北陸電力、中部電力はアンペア制ですが、関西電力や中国電力、四国電力、沖縄電力はアンペア制ではなく、電気料金プランによって基本料金が設定されています。
契約アンペア数を選ぶポイントは?
契約アンペア数の大きさは同時に使用できる電気の量を表しているので、どれだけの電化製品を同時に使用するかが、契約アンペア数を選ぶポイントです。
たとえば、IHクッキングヒーターとオーブンレンジを同時に使いながら、入浴してドライヤーで髪を乾かす……といったように、夕食や入浴等で複数の電化製品を同時に使用する夕方以降が一般的に最も多く電気を使用します。
さらに夏や冬には冷暖房器具の使用も増えるでしょう。夏はエアコンと扇風機が一般的ですが、冬はエアコン・電気ファンヒーター、ホットカーペット、こたつ、ハロゲンヒーターと夏よりもさらに電気の使用量が増えるのが一般的です。
時間帯や季節など、とくに電気を使用するタイミングを考慮しながら、契約アンペア数を決めるようにしましょう。
契約アンペア数を変更したい場合、変更手続きは無料で行うことができます。ただし、多くの場合一度変更すると1年は変えることができないので、あらかじめ確認したうえで申し込みましょう。
契約アンペア数を決める方法
それでは具体的に、契約したアンペア数で同時にどれだけの電化製品が使えるのか解説します。
アンペアとは電流量(電気の流れの大きさ)を示します。一方、電化製品でよく見かける単位は「ワット(W)」。製品の側面や取扱説明書に「消費電力 電子レンジ
1000W」などと表記されています。
契約すべきアンペア数を知るためには、電化製品のワット数をアンペアに変換する作業が必要です。そこで、次の式に当てはめれば簡単にアンペアへ変換できます。
電化製品のアンペア計算 | |
---|---|
電流(A)=電力(W)÷100V(一般家庭用電圧) | |
電流 | アンペア(A)電気の流れの大きさ |
電力 | ワット(W)電気がする仕事の大きさ |
電圧 | ボルト(V)電流を流す力の大きさ |
たとえば、「1000Wの電子レンジ」をこの式に当てはめてアンペア数を調べてみましょう。日本の一般的な家庭用電圧は100ボルトですので、
1000W÷100V=10A
となり、「1000Wの電子レンジ」は「10A」ということがわかります。
電化製品それぞれのアンペアがわかれば、あとは同時に使う電化製品のアンペア数を合計していけばOK。必要なアンペア数がわかるようになります。
世帯人数から計算する
東京電力エナジーパートナー(※)によると、一般家庭の契約アンペア数の平均は34.88A(2015年度末時点)となっています。
したがって、ワンルームマンションで1人もしくは2人住まいなど、電気量使用量が少ないご家庭なら30A。家族が増え、電化製品を多く利用するご家庭なら40A~60Aを目安とすると良いでしょう。
しかし、家の大きさや電気の使い方によって変わります。家族の人数を考慮したうえで、先ほどの計算式で必要なアンペア数を確認するようにしましょう。
また、ライフステージの変化によって契約アンペア数を見直すのもポイントです。
たとえばお子様のいるご家庭の場合、子どもが小さいうちは同じ部屋で過ごす時間が長いので40Aで契約し、大きくなってそれぞれの部屋で過ごす時間が増えるようになったら50Aに変更します。さらに、子どもが独立すれば使用する電気は減るので40Aに減らす、というように家族構成の変化に応じてアンペア数を増減させていくことも必要です。
アンペア数の目安 | |
---|---|
30A | 1人又は2人世帯 |
40A | 3人世帯 |
50A | 4人世帯やエアコンなど消費電力の高い電化製品を使う世帯 |
60A | 家族の多い世帯や一日中電化製品を使う世帯 |
60A以上 | オール電化の場合など |
上記の表を目安に検討してみてくださいね。
電化製品のアンペア数から計算する
以下は家庭内で使われている主な電化製品のアンペア数の消費目安になります。
たとえば、エアコン、電子レンジ、食洗機を同時に使用しているだけで、40Aに達してしまう可能性があります。さらに、各部屋にエアコン・照明を設置していると、40Aの契約では不足するでしょう。
1人暮らしの場合、同時に電気を使用することは少ないので、消費電力の大きいエアコンやキッチン周りのアンペア数をチェックしておくことをおすすめします。
契約アンペア数が小さすぎるとどうなる?
契約アンペア数が小さかったり、多くの電気を同時に使ったりした場合、ブレーカーが落ちてしまいます。
このとき、落ちてしまうブレーカーには大きく2種類あります。一つが「アンペアブレーカー」、もう一つが「安全ブレーカー」です。
アンペアブレーカーとは?
アンペアブレーカーとは分電盤の中にある一番大きなつまみのこと。電力会社と契約した「契約アンペア数」を超える電流が流れた場合、その電気の供給をストップする装置です。ただしスマートメーターを使用している場合などは、アンペアブレーカーが取り付けられていないこともあります。
ブレーカーが落ちたら、使用していた電化製品のいずれかのコンセントを一度抜いてから上げるようにしましょう。そうでないとブレーカーを上げても再びブレーカーが落ちてしまい、全ての電気が使えなくなってしまいます。
とくにキッチン周りの電化製品(電子レンジ、オーブン、炊飯器)や強い熱を発するもの(アイロン、ホットプレート、ドライヤー)などは、使用する電力が高く、ブレーカーが落ちる原因になりやすいです。
また、エアコンは運転開始直後に最も多くの電力を消費するため、他の電化製品を使うタイミングをずらすと良いでしょう。電化製品を使うタイミングを工夫することで、ブレーカーが落ちる心配がなくなります。
安全ブレーカーとは?
分電盤から各部屋へはそれぞれ電気回路がつながっていますが、それぞれの回路を管理するブレーカーが安全ブレーカーです。分電盤内に、電気を使う場所によってつまみがわかれています。
契約アンペア数を上げても、安全ブレーカーのつまみごとのアンペア数上限は変わりません。家全体で電気をそこまで使っていなくても、一部屋で大量の電力を使っていたりすると、その部屋を管理する安全ブレーカーだけが落ちてしまいます。その場合、停電するのはその回路を使用していた部屋のみです。
安全ブレーカーが落ちた場合はその部屋の電気の使用量が問題なので、使い方を見直しましょう。
そのほか、「漏電ブレーカー」というブレーカーもあります。アンペアブレーカーや安全ブレーカーとは異なり、家のどこかで漏電すると落ちるため、感電や火災の発生を防ぎます。漏電ブレーカーが落ちた場合は、全ての電気が使えなくなります。漏電修理は感電の危険があるので、必ず電気工事業者に連絡をしましょう。
契約アンペア数が大きすぎると基本料金がアップする
契約しているアンペア数が大きければ、ブレーカーが落ちる問題は避けられます。しかし、基本料金が高くなるというデメリットも。“必要以上”のアンペアを契約しているならば、“必要以上”の基本料金を支払っていることになります。
その差はわずかでも、毎月積み重ねるとそれなりの金額になります。ブレーカーが落ちるのを避けたいからと言って、安易に高いアンペア数を契約するのはおすすめしません。
基本料金が気になる方は、基本料金0円のプランを検討しよう
昨今は新型コロナウイルス感染症の影響でライフスタイルが大きく変化しています。ステイホームの時間が増え、リモートワークは新型コロナウイルス収束後もひとつの働き方として定着するでしょう。
以前は、日中を不在にすることが多い夫婦共働きの場合など、昼間は高くなる代わりに朝と夜のうちは電気料金が安くなるといった時間帯プランが人気でした。しかし、リモートワークが増えれば話も変わってくるはずです。
ただ、ライフステージの変化に加え、仕事の状況に応じて契約アンペア数や料金プランを都度変更するのも手間がかかってしまいます。
そんな悩みを解決できるのが、電力自由化により登場した小売電気事業者の電力プラン。
基本料金は0円で使った分だけ支払うといったプランを選ぶこともできます。
高いアンペア数で契約していた場合、使用量に応じたプランを選択することでお得になるケースも少なくありません。また、使った分だけを支払うので、料金体系がわかりやすいこともメリットです。
各社の料金プランを比較し、電力会社の変更も検討してみましょう。
まとめ
電力自由化によって、多くの小売電気事業者が登場し、さまざまな料金プランが生まれています。しかし、どのサービスを選べば良いのかを判断することも難しくなったともいえるかもしれません。
ご家族や自宅に合ったサービスを選ぶには、まずは現状を把握し、今の電気の使い方を見直すことが大切です。今の契約内容は自分の家庭や家計に合っているのかを知るためにも、今回は「アンペア」に焦点を当ててみました。
「アンペア」を理解し、現状の契約内容を見直したうえで、料金プランの選択に生かしてみてくださいね。
電化製品の電気料金が気になる方は、家電の買い替えや使い方を工夫するだけでなく、電力会社の変更や電気料金プランの見直しも検討してみませんか。
Looopでんきでは、基本料金・燃料費調整額・解約手数料0円の「スマートタイムONE」を提供しています。
このプランは基本料金が0円のため、ご自宅で使用する電気の量が多い方や、現在のプランで基本料金が高い方に最適です。
また、解約手数料が0円で契約期間の縛りもないため、お試しで数か月間、Looopでんきをご利用いただき、現在の電力会社と比較することも可能です。
Looopでんきをご利用いただいているお客さまの声を紹介します。
(30代 / 女性 / 3人暮らし)
基本料金がかからないので、大きいアンペアで契約していてもお得感がある。
でんき予報などアプリが充実していて、自分の使い方で料金を安くすることも出来る。
(40代 / 男性 / 1人暮らし)
明らかに他社より安くなるし、色々なイベントもあり楽しい。基本料金が無いのも魅力です。
まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。
市場連動型のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
電気の市場連動型とは?メリット・デメリットから電気の上手な使い方まで
市場連動型プランの節約方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
市場連動型は節約効果が高い?電気料金の効果的な節約方法をチェック
世帯別の電気代について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
市場連動型の電気代とは?世帯別の目安と自分に最適な新電力の選び方