1人暮らしをするために引越す場合、さまざまな費用がかかります。どのくらいのお金を準備すればよいのか考えるために、相場の目安を把握しておきましょう。1人暮らしの引越し費用を安く抑えるコツについても詳しく解説します。
1人暮らしの引越し費用の相場は?
引越しには通常期と繁忙期があり、引越し業者に支払う費用は繁忙期のほうが高くなります。各時期における距離別の費用相場を確認しましょう。
通常期(5~2月)
5~2月は引越しの通常期となり、引越し費用が比較的安くなります。おおよその目安は以下の通りです。時期を選べる場合は通常期に引越すのがおすすめです。
移動距離 | 単身者(荷物小) | 単身者(荷物大) |
同一市区町村 (15km未満) |
37,000円 | 50,000円 |
同一都道府県 (15~50km) |
40,000円 | 52,000円 |
同一地方 (50~200km) |
48,000円 | 67,000円 |
近隣地方 (200~500km) |
58,000円 | 85,000円 |
遠距離 (500km以上) |
70,000円 | 103,000円 |
9月は転勤が多い時期ですが、通常期の費用で引越せるケースがほとんどです。
繁忙期(2~4月)
引越しの繁忙期に該当する2~4月は、新生活を始める人が多い時期です。引越しの依頼が増えるため、引越し業者に支払う費用が割高になります。おおよその目安は以下の通りです。
移動距離 | 単身者(荷物小) | 単身者(荷物大) |
同一市区町村 (15km未満) |
44,000円 | 61,000円 |
同一都道府県 (15~50km) |
48,000円 | 66,000円 |
同一地方 (50~200km) |
57,000円 | 87,000円 |
近隣地方 (200~500km) |
67,000円 | 107,000円 |
遠距離 (500km以上) |
79,000円 | 128,000円 |
繁忙期の中でも特に費用が高くなる時期が、3月下旬~4月上旬です。この時期は予約も取りにくいため、早めに依頼する必要があります。
1人暮らしの引越し費用を安く抑えるコツ
引越し費用は工夫次第で安くすることが可能です。1人暮らしの引越し費用が安くなる方法をご紹介します。できる範囲で実践してみましょう。
曜日や時間帯を選ぶ
引越し費用を安くしたいのなら、引越しをする曜日を選びましょう。土日祝日は引越しの需要が高くなるため、平日に比べ引越し費用も割高になります。
土日と連休にしやすい月曜日と金曜日も、土日祝日ほどではありませんが費用は高めです。一般的には平日の中でも火~木曜日が、引越し費用を最も安く抑えられます。
曜日だけでなく時間帯も引越し費用を左右する要素です。午前便は午後から新居で荷ほどきを進められることから、午後便よりも人気があり費用も高くなります。搬入が終わる時間が遅くなっても構わないなら、午後便を選ぶのがおすすめです。
荷物の量を減らす
荷物の量が多いと引越し費用は高くなるため、費用を安く抑えたい場合は荷物の量を減らしておきましょう。長期間使っていない物は、引越し前に思い切って捨てるのがポイントです。
不用品の中にまだ使えそうな物があるなら、フリマアプリやリサイクルショップで売っておくとよいでしょう。増えたお金は引越し費用の足しになります。
荷物を増やさないようにするコツとしては、収納家具にできるだけ物を詰め込むことも挙げられますが、収納家具に物を入れたまま運んでもらえるのは「衣類」のみの場合も多いので事前に確認しておきましょう。
⇒引越し時の不用品整理についてもっと詳しく知りたい方はこちら
単身者専用プランを活用する
引越し業者各社では、単身者のための専用プランを提供しています。単身者専用プランは、専用のボックスやカーゴを使用して荷物を運ぶ、積み切り型のサービスです。
単身者専用プランでは、ほかの利用者の荷物も同じトラックに載せて運ぶため、費用が割安になります。新居に持っていく荷物が少ない方や、家具付きの部屋に引越す方は、単身者専用プランが適しているでしょう。
ただし、荷物が多い場合はボックスやカーゴを増やさなければならず、オプション料金が加算されて総額も高くなります。利用したい業者で運べる荷物量を調べ、オプションなしで運べるかチェックしておきましょう。
相見積もりを取る
引越し業者を最初から1社に絞って見積もりを取るのは危険です。費用を比較できなければその時期の相場もわからないため、相場より高い見積もりを出された場合に損をしてしまいます。
引越し業者を選ぶ際は複数の業者から相見積もりを取り、金額や内訳をきちんと比較することが大切です。内訳の金額に差がある場合は、その理由も担当者に聞いてみましょう。
相見積もりを比較する場合、最安の見積もりに飛びつかないこともポイントです。見積もりが安くなるとサービスの質が低下する恐れもあるため、適正な料金で最も良質なサービスを提供してくれる業者を見極めましょう。
引越し業者を利用しない
近距離への引越しなら、自分で作業を行うのも1つの方法です。1人暮らしの引越しは荷物の量がそれほど多くならないため、自家用車やレンタカーでも十分に荷物を運べるでしょう。
引越し業者を利用せずに自分で作業を行えば、引越し費用を大幅に節約できます。自力で引越す場合にかかる主な費用は、レンタカー代・ガソリン代・高速代や、手伝ってくれた人へのお礼などです。
自分で引越し作業を行えば、好きな曜日や時間帯に動けるため、作業の自由度の高さも魅力です。仕事で忙しく1日で作業を済ませられない方は、数日に分けて夜間のみ搬入作業を行うといった方法もあります。
新居契約時の初期費用の目安
引越しの際に発生する費用は、引越し業者に支払う費用だけではありません。新居契約時にもさまざまな初期費用が発生します。代表的な初期費用の種類を理解し、それぞれの費用相場の目安も押さえておきましょう。
敷金
賃貸物件に引越す際は、契約時に敷金を請求されるのが一般的です。部屋を退去するときの原状回復費用や、家賃が支払われなかった際の補てん費用として、敷金が充てられます。
敷金の費用相場は家賃の1~2カ月分が目安です。家賃50,000円の物件に引越すなら、50,000~100,000円の敷金を請求されることになります。
室内の修繕が不要な場合や、家賃の滞納がなかった場合、敷金は退去時に返還されます。しかし、室内の修繕はほとんどのケースで発生するため、敷金の全額が返還されることはないでしょう。敷金で足りない場合は、退去後に追加で請求されることもあります。
礼金
礼金とは、大家に対しお礼の意味を込めて渡すお金です。原則として退去時に返還される敷金と異なり、礼金は退去時に返還されません。
礼金の費用相場は敷金と同様、家賃の1~2カ月分です。敷金と礼金はセットになっていることが多く、どちらも支払わなければならない場合は初期費用が高額になります。
仲介手数料
大半の大家は自分の物件の入居者を不動産会社に探してもらうため、賃貸物件の契約は不動産会社を通して行うのが一般的です。入居者は新居契約時に不動産会社へ仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料に含まれる主な費用は、契約手続きにかかる報酬や物件の宣伝広告費、事務手数料などです。賃貸物件を取り扱う不動産会社は、大家と入居者の間に立ってさまざまな業務を行い、仲介手数料を得て自社の利益としています。
仲介手数料の上限は、家賃の1カ月分+消費税と宅地建物取引業法で定められています。入居者が負担する仲介手数料の相場は、家賃の0.5~1カ月分です。家賃の0.5カ月分を支払う場合、残りは大家が負担することになります。
参考:宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索
火災保険料
新居契約時には不動産会社から火災保険への加入を求められます。火災保険は火災や水漏れトラブルなどに備えて加入する損害保険です。
火災保険料は大家や不動産会社ではなく、損害保険会社に直接支払います。1人暮らしの場合は年15,000円が相場です。カップルやファミリーで入居する場合は年20,000円が相場となります。
火災保険は不動産会社に勧められた保険に加入するのが一般的ですが、自分で選んだ保険に加入することも可能です。火災保険を自分で選ぶ場合は、不動産会社から加入証明の提出を求められるでしょう。
前家賃
前家賃とは翌月分の家賃を先払いするものです。最近は契約時に前家賃を請求されるケースが増えています。
例えば、4月に賃貸契約を交わして5月から入居する場合、契約時に5月分の家賃を支払わなければなりません。6月分以降の家賃も前払いで支払っていくことになるでしょう。
また、4月の中旬から新居に住み始める場合、4月分と5月分の家賃を前家賃として請求されるのが一般的です。このケースでは、4月分の家賃を日割り計算で算出します。
賃貸保証料
賃貸物件を契約したくても、連帯保証人になってくれる人がいなかったり、連帯保証人になってもらうことを頼みにくかったりする方もいるのではないでしょうか。
このようなケースで利用できるのが保証会社です。保証会社を利用すれば、家賃を滞納しても保証会社から大家へ家賃が支払われるため、連帯保証人を立てる必要がありません。
保証会社を利用する際は、保証会社に賃貸保証料を支払います。家賃の0.5~1カ月分が、賃貸保証料の相場の目安です。
家賃を滞納した場合は保証会社が代わりに家賃を支払いますが、保証会社が家賃を負担してくれるわけではありません。滞納者は保証会社に対し、滞納金額に手数料を上乗せして返済する必要があります。
新居契約時の初期費用を安く抑えるコツ
新居契約時にはさまざまな初期費用がかかるため、すべて合計すると費用が高額になりがちです。以下に挙げる節約のポイントを理解し、できるだけ安く抑えられるように努力してみましょう。
敷金・礼金がかからない物件を探す
近年は敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」が増えています。新居契約時の初期費用を節約したいなら、ゼロゼロ物件を探してみましょう。
なかなか入居者が見つからない物件は、空室を埋めるために大家がゼロゼロ物件にすることもあります。ただし、礼金分を家賃に上乗せしているケースもあるため、ゼロゼロ物件の家賃を近隣の家賃相場と比較してみることが重要です。
また、敷金がかからない物件でも、基本的には退去時に室内の修繕が必要になります。原状回復費用を誰が負担するのか、契約時にしっかりと確認しておきましょう。
フリーレントを活用する
フリーレントとは、入居後数カ月の家賃が無料になることです。フリーレント物件を選べば、最初の数カ月間は家賃を支払わずに済むため、初期費用の大幅な節約につながります。
フリーレント物件で家賃が無料になるのは、最初の1~2カ月間であるのが一般的です。物件によっては、3カ月~半年といった長期にわたり、家賃の支払いが免除されることもあります。
フリーレント物件として提供されていない物件も、交渉次第でフリーレント扱いにしてもらえるケースもあるでしょう。最低入居期間が設定されるなど、条件が定められたフリーレント物件には注意が必要です。
家賃交渉を行う
新居契約時の初期費用を安く抑えるコツとしては、家賃交渉を行うことも挙げられます。家賃の最終決定を下す大家に値下げを納得してもらえれば、費用負担を抑えられるでしょう。
大家と家賃交渉を行う際は、同エリアの類似物件の家賃相場を調べておきましょう。類似物件より価値が下がるような要素があるのにもかかわらず、家賃相場が類似物件と同程度なら、交渉する余地があります。
不動産会社を味方に付けるのも、家賃交渉を成功させるためのポイントです。中には家賃交渉に応じない大家も存在するため、まずは不動産会社に相談してみましょう。
引越しの繁忙期を過ぎると、賃貸物件の空室も埋まりにくくなります。家賃交渉を行う場合は、空室が埋まりにくい5~8月のタイミングを狙うのもおすすめです。
仲介手数料無料を狙う
不動産会社が自社で管理している物件なら、仲介手数料が無料になるケースがあります。不動産会社が提供しているポータルサイトを活用すれば、自社所有物件を検索することが可能です。
また、大家と直接賃貸契約を締結すれば、不動産会社を介さないため仲介手数料は発生しません。気になる物件の大家に直接連絡し、不動産会社抜きで契約できないか聞いてみましょう。
ただし、大家が入居希望者と直接契約できないような契約を不動産会社と締結している場合、直接契約は不可能です。このような契約を専属専任媒介契約と呼びます。
初期費用を分割払いにする
クレジットカードが使える不動産会社を利用すれば、初期費用を分割払いにできることがあります。不動産会社に前もって確認してみるのがおすすめです。
クレジットカードを使って初期費用を分割払いにすれば、入居時にかかる費用負担を大幅に抑えられるほか、現金を手元に残せるメリットもあります。
すべての初期費用を分割できるとは限らないため、どのような費用が対象になるのか確かめておきましょう。分割払いにすると返済時に手数料がかかる点にも注意が必要です。
1人暮らしを始める際の準備と費用
1人暮らしを始める場合、引越し費用と新居契約時の初期費用以外に、準備品をそろえるための費用もかかります。1人暮らしではどのような物が必要なのかを、費用相場と一緒に見ていきましょう。
家具・電化製品
1人暮らしに最低限必要な家具や電化製品と費用相場は次の通りです。
- 洗濯機:約20,000円
- 冷蔵庫:約20,000円
- 電子レンジ:約10,000円
- テレビ:約40,000円
- 照明:約5,000円
- テーブル:約5,000円
- 収納ケース:約5,000円
- カーテン:約5,000円
- ベッド:約15,000円
- 布団セット:約10,000円
上記の費用の合計は135,000円となります。100,000~200,000円程度が必要だと考えておくとよいでしょう。アウトレット品を探せば、費用をより安く抑えられます。
日用品
1人暮らしを始める際にそろえておきたい日用品には、以下のようなものがあります。
- 生活用品:ハンドソープ・歯ブラシ・歯磨き粉・ティッシュペーパー・トイレットペーパー
- 洗濯用品:物干し竿・ハンガー・洗濯洗剤・柔軟剤
- バス用品:シャンプー・リンス・ボディーソープ・洗顔料・ボディスポンジ・タオル・風呂用洗剤・掃除用スポンジ
- キッチン用品:包丁・まな板・フライパン・鍋・調理器具・食器用洗剤・スポンジ・食器・ラップ・アルミホイル・ゴミ袋
大半の日用品は100円ショップでそろえられます。上記のすべてを購入する場合、10,000円程度かかるでしょう。
引越しにかかる費用を把握しておこう
1人暮らしの引越し費用の相場は、通常期と繁忙期で異なります。曜日や時間帯を選んだり、単身者専用プランを利用したりすれば、引越し費用を安く抑えることが可能です。
1人暮らしの引越しでは、新居契約時に発生する初期費用や、生活するために必要な家具・電化製品・日用品の費用もかかります。スムーズな引越しを実現するためにも、引越しにかかる費用をきちんと把握しておきましょう。
お引越しのタイミングは、電気会社の変更やプラン見直しの絶好のチャンスです。お引越し後の部屋の広さや人数に合ったプランを選び、電気料金の節約につなげましょう。
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