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電球のタングステンを植物の芽で表現した、環境に配慮された電力のイメージ電球のタングステンを植物の芽で表現した、環境に配慮された電力のイメージ

電力自由化によって新しく電気の小売事業を始めた企業を「新電力」と呼びます。新電力は消費者にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。この記事では、新電力のメリット・デメリット、新電力が生まれた背景を解説するほか、Q&A形式で新電力にまつわる疑問に回答していきます。

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新電力とはどういうもの?どうしてできたの?

「電気料金を節約したいなら『新電力』がおすすめ」「『新電力』と呼ばれる新しいタイプの電力会社が登場した」。そんな言葉を耳にしたことがある方も少なくないでしょう。新電力とはどのようなものなのでしょうか。まずは定義や登場の背景をチェックしてみましょう。

新電力っていったい何?

新電力とは、「電力自由化以降、新たに参入した小売電気事業者(電気を販売する企業)」を指す言葉です。電力自由化については別のページで詳しく解説しているので、ひとまず、「そんな制度改革があった」とだけ覚えておきましょう。

電力自由化の仕組みとメリットについて詳しく知る

電力自由化以前、日本では各地域の電力会社(東京電力、関西電力、中部電力など10社)しか、電気の販売ができませんでした。しかし、電力自由化によってその制限がなくなり、さまざまな企業が電気の小売事業に参入可能に。これをビジネスチャンスと捉え、新たに電気の小売事業に乗り出した企業を新電力といいます。

「昔からある地域の電力会社に比べて新しい」ので新電力と呼ばれていると考えるのが分かりやすいかもしれません。

電力自由化を背景に登場した新電力電力自由化を背景に登場した新電力

電気の供給は現代社会において重要なインフラの一つです。電力自由化を契機にたくさんの企業が電気の小売事業に参入しているのですが、新規参入事業者は大きく分けると以下のように分類できるようです。

新電力への主な参入事業者
分類 概要
エネルギー産業 ガス事業者、石油会社など、もともとエネルギーに関する事業を行っていた企業は、積極的に電気の小売事業に進出しています。自前の発電所を持ち、その電力を販売しているケースも少なくありません。
通信産業 携帯電話会社やインターネットサービスプロバイダ―も電気の小売事業に参入しています。通信も電気と同様にインフラの一つであり、毎月費用がかかるという料金体系も同じ。事業的な相性が良かったと考えられます。通信回線と電気料金をセットにした割引プランを展開していることが多いようです。
再生可能
エネルギー産業
太陽光発電や風力発電などを行っている企業も電気の小売事業に参入しています。環境への配慮や省エネを付加価値として、他社との差別化を図っている企業が多いようです。
その他 鉄道会社や旅行会社、住宅メーカー、家電量販店など、多種多様な業種の会社が新規参入し、電気を販売しています。

続々と登場する新電力

新電力とはどのようなものなのかが分かったところで、少しだけ新電力が生まれるまでの歴史と、現在の普及状況にも触れておきましょう。

先ほどからの説明に出てきている通り、新電力登場の背景にあるのは電力自由化と呼ばれる、「電気事業に自由な参入を促すための制度改革」です。1995年以降、電気事業を「発電部門(電気を作る)」「送配電部門(電気を送る)」「小売部門(電気を売る)」の3部門に分け、それぞれ段階的に実施されてきた制度改革で、なかでも新電力登場の直接的な契機になったのは、2016年4月の「電力の小売全面自由化」でした。

それまで、一般家庭や商店などへの電力販売は地域の大手電力会社10社に独占されていたのですが、法改正によりこの規制が撤廃されたことで、たくさんの企業が新電力として電気事業に参入したのです。ちなみに、小売部門の全面自由化は以下のようなステップを経て実現しています。

電力自由化(小売部門)の歴史
年月 制度改正の概要
2000年3月 大規模工場やオフィスビル、デパートなどの「特別高圧(原則、契約電力2,000kW以上)」と呼ばれる区分の電気を使用する消費者への電力の小売が自由化される。
2004年4月 中小規模工場・中小ビルなどの「高圧」と呼ばれる区分の電気を使用する消費者のうち、契約電力500kW以上を対象に電力の小売が自由化される。
2005年4月 中小規模工場・中小ビルなどの「高圧(原則、契約電力50kW以上)」と呼ばれる区分の電気を使用するすべての消費者への電力の小売が自由化される。
2016年4月 「電力の小売全面自由化」。家庭や商店など「低圧」と呼ばれる区分の電気を使用する消費者への電力の小売が自由化される。

2016年4月の電力の小売全面自由化以降、新電力の数は急速に増加しています。下のグラフは2016年4月以降の新電力の数(小売電気事業者の登録数)の推移。当初291件であったものが、2020年4月には644件と、4年間で倍以上の数になっているのです。

また、新電力が供給する電力の量も右肩上がりで伸びています。販売電力量ベースの新電力のシェアは、2016年4月の5.2%から、2020年4月には16.2%にまで拡大しました。

電力自由化はなぜ実施された?

資源エネルギー庁のWebサイト(※)には、電力自由化の主な目的として以下の三つの目的が掲げられています。

  • 電力の安定供給を確保する
  • 電気料金を最大限抑制する
  • 電気利用者の選択肢を増やし、企業の事業機会を拡大する

(※)出典:経済産業省 資源エネルギー庁Webサイト「電力小売全面自由化で、何が変わったのか?」より


電力自由化が実現するまでは、各地域に対して1社が独占的に電力供給を行っていました。「電力の安定供給を確保する」とは、地域の垣根を取り除き、広域の電力供給網を整備することで、より安定した電力供給が可能な仕組みを作ることを、「電気料金を最大限抑制する」「電気利用者の選択肢を増やし、企業の事業機会を拡大する」は、電気事業を広く開放し、自由な競争によって料金の低額化やサービスの多様化、ビジネスチャンスの増大を図ることを意味しています。

新電力に切り替えるメリット

ここまでの解説で、新電力についての概要は押さえられたのではないでしょうか。続いて紹介するのは、新電力を選ぶことで得られるメリットです。大手電力会社に比べて新電力にはどんな利点があるのかを確認していきましょう。

電球と電卓が並んだ写真電球と電卓が並んだ写真

毎月の電気料金が安くなる可能性がある

新電力がビジネスを成功させるためには、大手電力会社からの契約の切り替えを通じて、お客様を増やしていく必要があります。そして、切り替えを促進するためには分かりやすいメリットが必要。

そこで新電力各社が力を入れているのが、大手電力会社に比べて電気料金を安く設定することです。価格競争で勝つことで、お客様の数を増やそうとしているのです。

セット割でさらにお得になる可能性がある

前述したように新電力にはさまざまな業種から企業が参入しています。例えば、ガス事業者系の新電力の場合は、ガスとセットで契約をすることで割引を受けられるのが一般的。通信産業系の新電力の場合は、携帯電話の契約やインターネットの契約とセットで電気の契約をすることで割引が適用されるケースが多いようです。

また、再生可能エネルギー産業系の新電力も、事業拡大にあたってガス事業に乗り出していることがあります。この場合、電気とガスのセットで契約をすることで割引が受けられる仕組みになっていることが少なくありません。

東京電力エリアで都市ガスを使っている方は、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)+Looopガス」をチェックしましょう。

スマートタイムONEは、電気料金の単価が市場価格に合わせ時間帯で変動する市場連動型プランです。単価が安い時間帯に集中して電気を使うようにすれば、電気代が安くなります。ガス割の1円は、スマートタイムONE(電灯)の固定従量料金単価から割り引かれます。

電気とガスの業者を一緒に切り替えたい場合は、電力会社とガス会社を別々に契約するより、Looopでんきのセット割プランを利用したほうがお得です。(※東京電力エリア限定)

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ポイント還元で実質的にお得になる可能性がある

電気料金に合わせて、コンビニやスーパー、ファストフードの店舗などで使用できるポイントを付与している電気事業者も珍しくありません。電気料金が直接的に安くなるわけではありませんが、上手に利用することで家計の節約につながります。

そのほか、省エネ診断や水まわり・鍵のトラブル対応などといった独自のサービスを提供する会社も増えてきています。ご自身のライフスタイルに合わせて最適な会社を選べるのが新電力の大きなメリットといえるでしょう。

毎月の電気代を通じて環境貢献できる可能性がある

ここまでは経済的なメリットを取り上げてきましたが、少し視点を変えると、新電力への切り替えによって環境保護に貢献できる可能性もあります。再生可能エネルギーによって発電された電力を多く扱っている電気事業者を選ぶことが、発電による二酸化炭素排出の抑制や、太陽光発電や風力発電などの普及促進につながっていく可能性があるからです。

エネルギーの消費と地球環境は切っても切れない関係にあります。電気事業者の中には、電源構成(発電に使用されているエネルギーの構成)を公開している会社が少なくありません。送られてくる電気がどのように発電されたかを確認して電気事業者を選んでみるのもよいでしょう。

太陽光発電施設の写真太陽光発電施設の写真

新電力に切り替えるデメリット

新電力への切り替えによるデメリットというものは基本的には存在しません。強いてあげるのであれば、切り替え手続きが必要になること、条件によっては電気料金が高くなってしまうケースも考えられること、解約時に違約金がかかる場合があるということくらいでしょうか。デメリットというよりも注意点という言い方が適切かもしれません。

もう一つ注意したいのが切り替え後の電気料金です。電気料金が安くなると思って切り替えたのに、かえって高くなってしまっては元も子もありません。そんなことがないように、新電力への切り替えにあたっては事前に料金のシミュレーションをしておくことが大切です。

新電力のWebサイトではほとんどの場合、切り替え後の電気料金のシミュレーションができるページを用意しています。電気料金をしっかりと比較して、ご自身に合った新電力を見つけましょう。

新電力の疑問解消Q&A

電気は日々の生活を支える大切なエネルギーです。新電力に切り替えることで得られるメリットが多いことが分かったとはいえ、いざ切り替えるとなると心配な点もあるでしょう。ここからは、新電力にまつわる疑問をQ&A形式で解消していきます。

黒板に描かれた電球黒板に描かれた電球

【Q1】新電力のサービス品質は大丈夫?停電しやすくならない?

新電力だからといって停電の可能性が高くなることはありません。電気の供給網は送配電を専門とする企業が提供しており、大手電力会社と共通のものが使用されているからです。停電のリスクは大手電力会社であろうと、新電力であろうと変わりはないのです。

また、新電力独自の発電設備が停止してしまったとしても、急に停電することはありません。発電設備の停止によって不足した電力は、大手電力会社から供給される仕組みになっています。

【Q2】停電したらどこに連絡したらいい?

ご自宅付近一帯が停電している場合は、電力の供給網にトラブルが発生している可能性が高いと考えられます。まずは、その地域の送配電を担当している会社(一般送配電事業者という。関東エリアの場合は東京電力パワーグリッド、関西エリアの場合は関西電力送配電など)のWebサイトなどで停電情報を確認し、復旧のめどや状況などを詳しく知りたい場合は問い合わせをしてみてもよいでしょう。

【Q3】万が一、契約した新電力が潰れたらどうなる?

新電力も民間企業の一種なので、倒産したり、電気事業を廃止したりする可能性はあります。しかし、そのような場合でも電力の供給が急にストップするわけではありません。新電力に代わって大手の電力会社が電気の供給を継続します。大手の電力会社が電気を供給する間に、改めて別の新電力と契約を結びなおすことも可能です。

【Q4】電気の切り替えに工事は必要?

新電力への切り替えには基本的に工事は必要ありません。ただし、初めて新電力に切り替えるとき、ご自宅の電気メーターがスマートメーターでない場合は、取り替え工事を実施することもあります。

といっても、特別な手続きや申し込みが必要なわけではありません。新電力への切り替え申し込みをするだけで、電力会社が取り替え工事を実施します。なお、工事は原則無料となっています。

スマートメーターについて詳しく知る

スマートメーターの実物の写真スマートメーターの実物の写真

【Q5】切り替え手続きは面倒じゃない?

新電力に切り替えるための手続きはとても簡単。基本的には契約申し込みだけで済むからです。ほとんどの新電力では、Webサイトからの申し込みが可能で、必要になるのは検針票(電気ご使用量のお知らせ)またはWeb版のご利用明細とクレジットカード(支払手段)、メールアドレス程度です。

なお、引越しのタイミングで切り替えをするときは、現在のお住まいでの解約と引越し先での新規契約申し込みの両方の手続きが必要になります。ただし、引越しの際には、電気事業者の切り替え有無にかかわらず、電気の停止・開通手続きが必要になります。同じ手間をかけるなら、引越しのタイミングで電気事業者の切り替えを検討するのもよいでしょう。

【Q6】解約するときにお金がかかるの?

新電力が提供するプランの中には、「2年しばり」など解約時に解約金・違約金が発生するものもあります。申し込み前に、「解約金・違約金が発生するプランかどうか」「もし発生するなら契約期間と金額はどれくらいか」を確認しておきましょう。

なお、Looopでんきでは契約期間中に解約をしたとしても、解約金や違約金はかかりません

【Q7】新電力の電気料金はどうして安いの?

新電力が電気料金を安く設定できる理由の一つに「大規模設備投資が不要」というものがあります。従来の大手電力会社は、発電から送配電、小売までを一手に担い、その料金体系には発電所の建設や運用、送配電網の敷設や運用にかかる莫大なコストが織り込まれていました。

一方、新電力はすでにある発電、送配電設備を利活用できるため、大手電力会社に比べて設備投資が少なくて済みます。また、ITを駆使して需要予測を精緻化し、需要量と一致した電力の調達に取り組むことで、原価の抑制も実現している会社もあります。こうしたコストカットが低料金での電力販売を支えています。

その他の新電力に関する疑問は「よくあるご質問」のページで解決