ガソリン車に給油が必要なのと同じで、電気自動車(EV)も充電が必要です。電気自動車(EV)を充電するには、自宅に設置したEV充電器か、自宅外のEV充電スタンドで充電する必要があります。EV充電スタンドは全国で設置が進んでおり、この記事ではEV充電スタンドの利用方法や探し方をご紹介します。
EV充電スタンドとは?設備と充電方法
電気自動車(EV)はバッテリーを充電する必要があり、出先でも充電できる施設がなければいけません。そこで近年は、全国各地にEV充電スタンドの設置が広まっており、さまざまな場所で充電スポットを見かけるようになりました。
これから電気自動車(EV)の購入を予定している方は、まずEV充電スタンドの概要と、基本となる充電方法について理解しておきましょう。
EVスタンドは 電気自動車(EV)を充電するための施設
EV充電スタンドとは、電気自動車(EV)のバッテリーを充電するための施設の総称です。電気自動車(EV)をはじめ、プラグインハイブリッド自動車(PHV)などの充電ができる施設であり、全国各地に設置が進んでいます。
詳しくは後述しますが、コンビニやスーパーマーケットなどの商業施設や、各地の道の駅、高速道路のSAやPAなどに設置されています。
また、自宅でも電気自動車(EV)の充電が可能なので、電気自動車(EV)の購入を予定しているならば、どのような設備が必要か知っておきましょう。
EVの充電方式
電気自動車(EV)の充電方式には、普通充電と急速充電があります。2つの充電方式は充電時間をはじめ、さまざまな違いがあるので、ここでは基本的なところを押さえておきましょう。
詳しい充電の仕組みまで知る必要はありませんが、電気自動車(EV)を購入するならば、状況に応じて、充電方法をうまく使い分けなければいけません。
普通充電
普通充電は100Vあるいは200Vの交流(AC)電源を利用するもので、急速充電と比べると充電に時間はかかりますが、自宅に充電設備を設置することも可能です。
電気を動力源とするミニカーや超小型モビリティなどは、ご家庭用のAC100V電源で、簡単に充電できる製品が多くあります。
電気自動車(EV)には、普通充電と急速充電のそれぞれの充電口が用意されているので、購入したら使い方をしっかり覚えるようにしましょう。行政機関や病院などの施設に設置されているのは、一般的に普通充電のEV充電スタンドです。
急速充電
急速充電は高出力の直流電源を使用して、電気自動車(EV)のバッテリーを充電する方法です。20~50kWの出力での充電が一般的ですが、近年は大容量のバッテリーを備えた電気自動車(EV)も登場しており、90kWを超えるタイプのEV充電スタンドも設置され始めています。
普通充電に比べて圧倒的に早く充電が可能でコンビニなどへの普及が進んでいますが、現状において各地の急速充電スポットは、1人あたりの利用時間が30分程度と限られているケースが多いので注意しましょう。
また、特別な事情がない限り、ご家庭に設置できるのは普通充電の設備であり、基本的に高速充電は出先で利用することになります。
⇒電気自動車の充電時間についてもっと詳しく知りたい方はこちら
EV充電スタンドの設置場所と利用方法
EV充電スタンドは全国各地に増えていますが、現状ではガソリンスタンドのように至るところで目にするほどではありません。ただ、設置されやすい場所は決まっているので、どのような場所にあるか知っておくことが大事です。
全国各地に充電スポットが増加中
EV充電スタンドは全国で増加しているものの、設置される場所は基本的に、人が多く集まる場所に集中しています。さらに普通充電と急速充電では、設置される場所が異なる傾向にあるので、ここで押さえておきましょう。
普通充電のEV充電スタンドは、全国各地の宿泊施設や利用者の滞在時間が長い商業施設やオフィスビルなどで利用できます。仕事や買い物など、まとまった時間を利用した充電を目的として、多くの場所に設置されています。
一方、急速充電は高速道路のPAやSA、道の駅などに多いのが特徴です。目的地までの移動中に立ち寄り、消費した電力を短時間で補充するための利用が一般的です。遠出をする際には、どこにEV充電スタンドがあるか、事前に確認しておきましょう。
なお、電気自動車(EV)には、充電スポットを探せるナビシステムが搭載されている場合もあります。事前に目的地までのルート上にあるEV充電スタンドを、ナビで探しておくのもおすすめです。
CHARGING POINTマークを目印に探す
出先で実際にEV充電スタンドを探す際には、CHARGING POINTマークを探す方法もあります。これは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)など、電動車のドライバーが、迷わず充電スポットにたどり着けるようにするものです。
全国で共通の案内サインとして作成され、東京電力が商標登録しており、全国各地のEV充電スタンドに設置され始めています。
普通充電の場合は「EV100V」や「EV200V」と表示されており、急速充電が可能なスタンドは「EV QUICK」と表示されているので、ぜひ覚えておきましょう。
※出典: 電気自動車用充電器の案内表示「CHARGING POINT(チャージングポイント)」のご使用について|東京電力ホールディングス株式会社
EV充電スタンドの利用方法や料金
電気自動車(EV)を運転するのであれば、EV充電スタンドの使い方も理解しておきましょう。誰でも気軽に利用できる充電スポットも多くありますが、特定の施設の利用者に限定されている場合もあります。日常的に使える場所はないか、調べておきましょう。
充電カードや規定の料金を支払って利用する
EV充電スタンドは、誰でも使える充電スポットや、商業施設・宿泊施設の利用者限定のスポットなど、さまざまな種類があります。ただし、施設の駐車場に設置されたEV充電スタンドでも、誰でも使えるように開放されているケースも少なくありません。
充電スポットは、これまで無料で利用できるところもありましたが、近年は有料のところがほとんどです。自動車メーカーや、施設の提供会社などが発行している充電カードを契約・入手し、従量料金の形で支払うのが一般的です。
なお、eMPネットワークに加盟しているEV充電スタンドならば、eMPカードやeMPと提携した充電カードを使用できます。また、特定の施設の利用者なら無料で使える充電スタンドもあり、窓口で規定の料金を支払って利用するところも少なくありません。
最寄りのEV充電スタンドの支払い方法は、電気自動車(EV)の購入前に確認しておきましょう。
※出典: EVドライバーの方 - 株式会社e-Mobility Power
EV充電スタンドの利用手順
EV充電スタンドの使い方は、セルフのガソリンスタンドで給油する場合と、さほど変わりません。充電スポットに指定されている駐車スペースに、電気自動車(EV)を駐車したら、次の手順でバッテリーに充電します。
- 1. 電気自動車(EV)のメインスイッチを切る
- 2. 所定の充電口(車種によって異なる)を開けて、充電ケーブルを差し込む
- 3. 充電スタンドに表示された方法で、料金を支払う(一般的には充電カードで認証)
- 4.充電ボタンを押してバッテリーに充電する
充電スポットによっては、少し方法が異なる場合もありますが、基本的な手順は同じです。普通充電でも急速充電でもやり方は同じなので、ガソリンの給油と同様に、慣れてしまえば充電に困ることはないでしょう。
EV充電スタンドの利用料金
EV充電スタンドの利用料金は、施設や充電カードによって異なります。eMPネットワークに加盟している充電スポットが多いので、まずはeMPカードの利用料金を覚えておくとよいでしょう。
e-Mobility Power会員の普通充電プランは、月額料金が1,540円(税込)で、都度利用料金として1分充電するにあたり、3.85円課金されます。急速・普通併用プランだと、月額4,180円必要で、普通充電は同様に1分あたり3.85円、急速充電は1分あたり27.5円の料金が発生します。
一方、eMPネットワークの加盟スタンド以外の場合は、独自の料金システムを設定しているケースも珍しくありません。最寄りのEV充電スタンドの提供元を確認し、事前に料金を調べておくと良いでしょう。
※出典: EVドライバーの方 - 株式会社e-Mobility Power
EV充電スタンドを検索できるアプリ・サイト
EV充電スタンドは全国各地で増えていますが、地域によってはまだ見つかりにくいところもあります。遠出をする際には、目的地までのルートで利用できる充電スポットを探しておきましょう。
EV充電スタンドを検索できるアプリをスマホにインストールしておくと便利です。ここでは、代表的な検索サービスを2つ紹介するので、積極的に活用しましょう。
GoGoEV
「GoGoEV」は電気自動車(EV)に加えて、プラグインハイブリッド自動車(PHV)の充電スポットを検索でき、口コミも確認できるアプリです。利用者からの投稿を収集し、充電スポットの比較ができるので、最寄りの使いやすいEV充電スタンドを探すのに役立ちます。
また、EV充電スタンドの情報のみならず、電気自動車(EV)の車種をはじめ、さまざまな関連情報も得られます。SNSでも情報を発信しているので、チェックしてみると良いでしょう。
※出典: EV充電マップ - GoGoEV
EV充電エネチェンジ(旧EVsmart)
「EV充電エネチェンジ」(旧EVsmart、2023年6月統合)も電気自動車(EV)と、プラグインハイブリッド自動車(PHV)のドライバー向けのアプリで、各地にある普通・急速充電器の場所を簡単に検索できます。車種を指定して検索できるほか、利用者の口コミ情報も掲載されています。
口コミには故障中のEV充電器の場所や、混雑状況なども投稿されるので、スムーズに充電できる場所を探すのに便利です。電気自動車(EV)のメーカーと車種に関する情報や、独自のブログ記事も掲載しています。
※出典: EVsmart|電気自動車(EV)充電器スポット・スタンドの検索&口コミサービス
EV充電スタンドを自宅に設置しよう
EV充電スタンドが設置されている場所や、使い方などを解説してきましたが、普通充電の設備ならば自宅に設置することもできます。自宅で電気自動車(EV)を充電できるようなれば、近くに充電スタンドがなくても、毎日の充電に困ることがなくなります。
さらにガソリン車に比べて、電気自動車(EV)を自宅で充電すれば、費用を安く抑えられるのもメリットです。
自宅にEV充電設備を設置する方法や導入費用についても、ここで押さえておきましょう。
自宅にEV充電設備を設置する方法
自宅に設置可能なEV充電器には、コンセントタイプ、スマート充電器、V2Hなど様々な種類があります。
最も手軽にできるのが専用コンセントの導入で、自宅の外壁や駐車場などに設置すれば、ケーブルをつなぐだけで、いつでも充電が可能です。
また、車両の充電に加えて、災害時などに電気自動車(EV)の電気を利用できる、V2Hタイプもあります。導入費用は高めですが充電時間が短く、停電時に電源として使えるのが特徴です。
さらに、後述するスマート充電器を導入すれば、充電のタイミングの設定や、遠隔での充電が可能になります。電力プランとの組み合わせで、毎月の電気代を抑えられるので、ぜひ導入を検討してみましょう。
EV充電設備の設置費用
戸建て住宅で電気自動車(EV)を充電する場合、導入する機器や充電方法によって、費用が大きく変わってきます。充電タイプ別の設備の設置費用は、次の通りです。
- コンセントタイプ:設備自体は数千円で済む場合もあるが、50,000~150,000円程度の設置費用がかかる
- V2Hタイプ:設備だけで1,000,000円を超える場合もある。工事費を含めると1,000,000~1,400,000円程度
- スマート充電器:設置費用を含めて200,000~400,000円程度
あくまでも大まかな目安なので、設置費用を詳細に知りたい方は、専門業者から見積りを取るようにしましょう。複数の業者に相見積もりを出して、比較検討することが大事です。
なお、自宅充電に必要な設備や費用については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらを参考にしてください。
⇒電気自動車(EV)の自宅充電は可能か?必要な設備や費用を解説
自宅で電気自動車(EV)を充電するメリットは多い
電気自動車(EV)を自宅で充電できるようにすれば、充電にかかる経済的負担を軽減できます。外部のEV充電スタンドを利用するよりも費用が安いため、頻繁に電気自動車(EV)を利用する方は、自宅で充電できるようにしておきましょう。
さらに自宅に充電設備があれば、空いている時間に充電が可能なため、順番待ちで時間を取られる場面もなく、充電のためだけに外出する必要もありません。設備の導入費用はかかりますが、長い目で見ればメリットの方が大きいでしょう。
市場連動型プランやスマート充電器と組み合わせてお得に
電気の市場連動型プランとともにスマート充電器を導入すれば、毎月の電気代の負担を軽くできるので、おすすめです。市場連動型プランは、市場価格に合わせて電力単価が変動するものですが、大まかな傾向として「昼間・深夜が安い」「休日の方が安い」「夕方が高い」といった傾向があります。
電気自動車(EV)のスマート充電器は、充電時間を自由に設定できるので、電力単価の安い時間帯にまとめて充電すれば、電気料金の単価を大幅に抑えることが可能です。例えば、土日いずれかの朝・昼に充電したり、寝る前に充電を開始したりすれば、お得に電気を使えるようになります。
一般的な電化製品に比べて電気自動車(EV)の電力使用量は多いため、電気代全体に与えるインパクトを最小限にするためにも、ぜひ両者の組み合わせを考えてみましょう。
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太陽光発電も電気代の削減に有効
太陽光発電システムを導入することも、毎月の電気代の負担を軽減する手段の一つです。電気自動車(EV)の充電以外にも活用できるので、こちらも導入を検討してみましょう。
なお、太陽光発電のメリットや導入コストに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。こちらを参考にしてください。
⇒太陽光発電についてもっと詳しく知りたい方はこちら
自宅で充電するなら充電器や電気料金プランにこだわろう
EV充電スタンドは全国各地に設置場所が増えており、普通充電のスタンドは各地の宿泊施設や商業施設など、利用者の滞在時間が長めの場所に設置される傾向があります。
一方、急速充電のスタンドは、高速道路のPA・SAや道の駅などに多く、移動中に充電するのに便利です。これから電気自動車(EV)を購入する方は、最寄りのEV充電スタンドの場所や使い方を知っておきましょう。
また、自宅で充電できる設備の導入もおすすめです。外部のEV充電スタンドを利用するよりも毎月の経済的な負担を軽減できるので、頻繁に電気自動車(EV)を利用する方は、ぜひ自宅で充電できるようにしておきましょう。
さらにスマート充電器とともに、市場連動型の電気料金プランを契約すれば、使い方次第で毎月の電気代も安くできます。
自宅充電については以下の記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒電気自動車(EV)の自宅充電は可能か?必要な設備や費用を解説