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電気自動車(EV)の購入を考えている方にとって、自宅での充電スペースの確保は重要な問題です。この記事では、ご家庭用のEV充電設備のタイプや導入費用、設置時の注意点などを解説するので、ぜひ参考にしてください。

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電気自動車(EV)は自宅で充電できる?

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電気自動車(EV)の国内販売数は順調に伸びています。購入にあたって充電スペースの確保を懸念している方もいますが、専用設備があれば、自宅でも電気自動車(EV)の充電ができます。

EVは自宅充電が基本

電気自動車(EV)は専用の充電設備を自宅に設置すれば、ガソリンスタンドやコンビニなどの充電スタンドを利用しなくても、自宅で充電が可能です。近年は順調に充電スタンドが増えていますが、地域によっては探すのが大変な場合もあります。
EVの自宅充電は、スタンドに行く必要がない・寝ている時間などの空き時間に充電できる・充電代が抑えられてお得など、多くのメリットがあります。電気自動車(EV)の購入を考えているなら、自宅での充電を基本に考えましょう。
自宅に充電設備を設置するには、一定の条件をクリアする必要があるほか、充電設備にも種類があるので、購入前に知っておくことが大事です。

自宅充電と経路充電の違い

電気自動車(EV)の充電は、利用者の行動をベースにすると、「基礎充電」「経路充電」」「目的地充電」の3つに分類できます。

  • 基礎充電:自宅やオフィスなど、利用者の生活の基盤となる場所での充電
  • 経路充電:コンビニや高速道路のSA・PAなど、目的地に移動する途中での充電
  • 目的地充電:商業施設や宿泊施設などの目的地での充電

一般的に、基礎充電や目的地充電は3~6kWの低出力で時間をかけて充電する”普通充電”、経路充電は20kW以上の高出力で短時間で充電できる”急速充電”で行われます。急速充電器では、テスラのスーパーチャージャーのように最大250kWなどの超高出力で充電可能なものもあります。

高出力での充電は短時間で充電できて便利ですが、バッテリーの劣化を招きます。EVの充電は、自宅での普通充電をベースに、外出先で足りなくなった分を経路充電や目的地充電で賄うのが良いでしょう。

自宅に充電設備を設置するための条件

自宅に充電設備を設置するには、基本的に戸建て住宅であることが前提となります。近年はマンションに充電設備が設置されるケースも増えていますが、居住者の判断で充電設備の導入はできないので注意しましょう。
戸建住宅の持ち家の場合、基本的には充電設備を設置可能です。ただし、契約している電気容量が小さい場合・分電盤から充電器までが遠い場合などに工事費用が高くなる場合があり、まずは工事業者に確認してもらう必要があります。

自宅にEV充電設備を設置するメリット

自宅で電気自動車(EV)を充電できるようなれば、近くに充電スタンドがなくても、毎日の充電に困ることがなくなります。
さらにガソリン車に比べて、電気自動車(EV)を自宅で充電すれば、費用を安く抑えられるのもメリットです。

EVの自宅充電とガソリン車の費用を比較

電気自動車の電気1kWhあたりの走行距離(電費)の平均は約6km/kWhであり、全国家庭電気製品公正取引協議会による「新電力料金目安単価」によると、1kWhあたりの電気料金単価は31円です。
これを前提に10,000km走行する場合必要な電気量は約1,666kWhで、約51,667円の電気代の負担が発生します。

電気自動車の年の電気代:10,000km ÷ 6km/kWh× 31円/kWh ≒51,667円

一方、ガソリンの燃費は国土交通省によると平均して1Lあたり18.9kmで、レギュラーガソリンの全国の平均費用は、約170円/L(2024年1月26日時点)です。
同様にガソリン車で10,000km走行する場合、約529Lのガソリンが必要となるため、約89,947円を負担しなければいけません。

ガソリン車の年のガソリン代:10,000km ÷ 18.9km/L × 170円/L ≒ 89,947円

このように、電気自動車(EV)を自宅で充電する場合と、ガソリン車に乗る場合とを比較すると、電気自動車(EV)の方が約40%安く、毎月の負担を大幅に減らせることが分かります。

※出典: よくある質問 Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
※出典: 3.(2)ガソリン乗用車のWLTCモード燃費平均値の推移|国土交通省「自動車燃費一覧」
※出典: ガソリン価格 都道府県平均 - e燃費

ご家庭用のEV充電設備のタイプ

よく使う電化製品の電気代は? よく使う電化製品の電気代は?

ご家庭で電気自動車(EV)を充電するならば、どの充電設備を導入するかも検討する必要があります。充電設備のタイプには、主に「コンセントタイプ」「スマート充電器タイプ」「V2Hタイプ」があります。それぞれ特徴をみていきましょう。

コンセントタイプ

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コンセントタイプは、自宅の壁に専用の充電用コンセントを設置して充電する方法です。
最もスタンダードなタイプであり、ほかの方法と比べて設備にかかる費用や安く、設置にも手間がかかりません。壁面に設置するのが基本ですが、自立型(ポール型)の充電設備もあります。

100Vコンセントと200Vコンセントの2種類がありますが、100Vタイプは出力が小さく充電に時間がかかるため、200Vタイプが一般的です。
ご家庭に200Vのコンセントが設置されている場合は、プラグのみ電気自動車(EV)専用のものに取り替えればOKです。しかし、すでにコンセントが設置されていても100Vタイプのものであればそのまま使うことはできません。

また、充電用のコンセントを自宅などの壁に設置するため、駐車スペースとの距離が近くなければならない点にも注意が必要です。

スマート充電器タイプ

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スマート充電器とは、通信機能やデータの処理機能などを備えており、専用アプリから充電時間のタイマー設定をしたり、充電速度を調整することができる、最新モデルの充電器です。
以前はEV充電器といえば充電コンセントのみでしたが、EV普及が進むヨーロッパを中心にスマート充電器のシェアが高まっており、最近では日本でも電気自動車(EV)のスマート充電器の普及が進んでいます。

スマート充電器にはコンセントタイプ充電器にない特徴として、アプリでの充電出力の調整や、充電タイマー設定などの機能があります。
コンセントタイプ充電器は3kWで充電されますが、これは契約アンペア換算で30Aに当たり、1,200Wドライヤーの2.5倍にあたる大電流です。一般的な戸建家庭の契約アンペアは40A程度が標準のため、30A分の充電をしようとすると契約アンペアを上げる必要がある場合が多く、基本料金がないプランでない限り、基本料金が大きく上がります。また、設備の増強工事に費用が発生する可能性もあります。

スマート充電器では、最低1kW台から高い出力まで充電出力を変えることが可能なため、他にも家電を使う夕刻などの時間帯は1.2kWなど低出力に設定し、深夜など家電を使わない時間帯には高い出力に設定するなどで、利便性を保ちながら契約アンペアを抑えることができます。

更に、アプリでの充電タイマー設定と組み合わせることで、深夜など、電気料金が安い時間帯にまとめて充電をセットすることも可能です。スマート充電器は、時間帯別料金プランや、後述する市場連動型プラン(*)のような、時間帯によって料金が安くなる電気料金プランとの相性が良いと言えるでしょう。

(*)電気料金の単価が、電力市場価格に合わせて30分ごとに変動する料金プラン。深夜帯や、再生可能エネルギーの発電が多い晴れた日の昼間に特に単価が安くなる。

V2Hタイプ

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V2Hタイプは「EV充放電器」とも言い、車両に充電するのみならず、災害時・停電時などに電気自動車(EV)から電気を取り出して、ご家庭で利用することができるようにするシステムです。V2Hは「Vehicle to Home」の略語で、停電時の備えとして導入されるケースも増えています。

ほかの方法に比べて機器の導入・設置費用が高額なものの、コンセントタイプに比べると充電時間が短いといった特徴があります。また、国の補助金を利用することができ、それとは別に追加の補助金を出している自治体もあるため、購入時の費用負担を軽減できる可能性があります。
また、太陽光発電と連携し、電気自動車を蓄電池として活用し、昼間太陽光発電で発電した電力を電気自動車に充電し、夜間に取り出して使用できる製品もあるので、自宅で太陽光発電システムを運用している場合は、導入を検討するのも良いでしょう。

ご家庭用のEV充電設備にかかる費用は?

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ご家庭用のEV充電設備を導入する場合、どれぐらいの費用がかかるでしょうか?設置工事にかかる費用に加えて、充電タイプ別の費用相場も確認しておきましょう。

設置工事にかかる費用の目安

電気自動車(EV)の充電設備の設置工事には、少なくとも100,000円弱〜200,000円程度の費用負担が発生します。
基本的に充電設備のタイプによって費用が大きく異なるので、複数の業者から見積もりを取ってチェックする必要があります。

充電タイプ別の費用相場

上記「コンセントタイプ」「スマート充電器タイプ」「V2Hタイプ」の費用相場は、それぞれ次の通りです。

  • コンセントタイプ:設備自体は数千円で導入可能で、最も安く設置できるが、工事費用で50,000〜150,000円程度は必要
  • スマート充電器タイプ:どの製品を購入するのかによっても異なるものの、設置費用まで含めると、250,000~400,000円程度は必要
  • V2Hタイプ:車両の充電以外にも使えるので、最も費用が高い。設備だけで850,000円を超える場合もあり、工事費を含めると1,000,000~1,400,000円程度は必要
これらは大まかな目安であるため、導入する際には必ず業者に見積もりを取るようにしましょう。複数の業者のサービスを確認し、信頼できるところに任せることが大事です。

EV充電設備を設置する際の注意点

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EV充電設備を設置する際には、以下の点にも注意しましょう。自宅の電気設備を確認するとともに、確実に充電設備の設置が可能か確認する必要があります。設置できるか不明な場合は、業者に調べてもらうようにしましょう。

分電盤が200V対応かチェックしよう

電気自動車(EV)は、200Vを電源として使用するのが一般的です。駐車場に電源コンセントがある場合にも、100V専用の場合は増設工事をしなければいけません。

また、200Vで充電するには、そもそも家に200Vの電気が届いている必要があります。近年は、100Vと200Vの両方に対応できる住宅が多いですが、自宅が古い家屋の場合は100Vのみしか使えない場合があるので注意が必要です。100Vしか使えないご家庭の場合には、電力会社に申請し、200V使用を可能にするための電気設備の増強工事をする必要があります。同時に、アンペア数にも余裕があるか確認しておきましょう。

DIYで設置する場合は電気工事士の免許が必要

近年は、自分で設備を導入するDIYも人気ですが、電気周りの工事は基本的に資格が必要なので、注意しなければいけません。充電用コンセントの設置をはじめとした電気工事には、第二種電気工事士以上の資格が必要です。
無資格で工事すると危険な上に、罰せられる可能性があります。電気工事士の資格を有していないならば、初めから業者に設置を依頼しましょう。

環境によっては設置が難しい場合も

充電設備の設置環境によっては、設置工事費用が高くなったり、設置自体が難しかったりする場合もあります。環境によって工事の可否や難易度が変わるので、まず工事業者に依頼して、現地調査をしてもらいましょう。

電気自動車(EV)の充電設備に補助金は利用できる?

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電気自動車(EV)の充電設備は、内容によっては多額の費用がかかる可能性がありますが、国からの補助金は利用できないのでしょうか?電気自動車(EV)に関する補助金について、簡単に紹介します。

国からの補助金が利用できるのはV2Hのみ

現状、自宅に電気自動車(EV)の充電設備を導入する場合、V2Hタイプであれば国の補助金を利用することができます。(※応募が殺到し、募集が開始されてからすぐに予算が終わってしまう場合があるので注意が必要です。)
しかし、V2H以外の壁コンセント型充電器やスマート充電器などの充電設備を導入する場合、国による補助金は現状利用できません。充電施設の導入に利用できる「充電インフラ補助金」は、法人や物件の管理団体向けのもので、残念ながら個人は対象外です。

ただし、電気自動車(EV)自体の購入には、国が用意している「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)」が利用可能です。さらに自治体によっては、個人宅での充電設備に補助金を出している場合もあります。詳しくは、お住まいの自治体のホームページ等で確認してみましょう。
※出典: 令和5年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」 (METI/経済産業省

電力会社の乗り換えも検討しよう

電力会社を乗り換えることで、ご家庭に合った料金プランが選択できるようになり、毎月の電気代を安くできる可能性があります。2016年の電力小売全面自由化により、電力市場に多くの業者(新電力)が参入し、さまざまなサービスを提供しています。
ガスとのセット割が可能なプランや、電気代の支払いによってポイントが付与されるサービスなどもあるので、電気自動車(EV)の購入とともに、電力会社の乗り換えも考えてみましょう。

電気自動車(EV)に合った電気料金プランの考え方

電気料金は、契約アンペアに応じて発生する基本料金と、使った分だけかかる従量料金の2つから構成されます。
また、EV充電は一気に使う電力が大きいため、契約アンペアや契約容量を見直す必要がある場合が多く、従量料金に加えて基本料金も上がりやすい、という特徴があります。
そのため、自宅充電をするなら「基本料金が無い電力プランを選ぶ」というのが、ポイントとなってきます。
また、電気自動車(EV)の充電にかかる電気使用量は多く、年間10,000km走る方で月間約130kWhの充電が必要になります(※ 電費6.5km/kWhとして)。月間444kWhが戸建の平均的な月の電気使用量なので、EVの充電が入ると、電気使用量が約3割上がることになります。
東京電力などの地域の電力会社が出している、「従量電灯」と呼ばれる最も一般的な電気料金プランは、電気の使用量が上がるごとに従量料金の単価も上がる「三段階料金」というメニュー体系になっており、毎月の電気代が上がってしまうリスクがあります。

市場連動型プランでさらに電気代の節約が可能

市場連動型プランとは、電力の市場価格に応じて、30分ごとに電気料金単価が変わるプランのことです。一般的な電気料金のプランは、電気料金の単価があらかじめ決まっていますが、「市場連動型プラン」は、市場価格の動きに合わせて単価が毎日に変動するのが特徴です。

市場連動型プランは、深夜や再エネの発電が多く電気の余っている昼間に、電気料金単価が特に安くなります。電気自動車(EV)やスマート充電器についている充電タイマーで、安い時間帯に充電するように設定すれば、とてもお得に充電ができるのでおすすめです。

電気自動車(EV)に合う電力プランに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
電気自動車(EV)に合う電力プランについて、もっと詳しく知りたい方はこちら

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電気自動車(EV)の自宅充電を検討しよう

よく使う電化製品の電気代は? よく使う電化製品の電気代は?

電気自動車(EV)は自宅で充電することで、毎月の費用負担を抑えられます。充電設備はコンセントタイプやV2Hタイプなどがありますが、スマート充電器タイプならば、アプリで充電のタイミングを柔軟に設定できるほか、遠隔操作も可能です。
さらに、市場連動型の電気料金プランと組み合わせれば、毎月の電気代を更に節約できます。電気自動車(EV)にかかる電気代は、ほかの電化製品に比べて非常に大きいので、電力プランや電力会社の乗り換えも検討しましょう。