冬の暖房器具の中でも、パネルヒーターは空気を汚さず静かに暖められるため人気がありますが、電気代が気になる方も多いでしょう。パネルヒーターの仕組みや特徴とともに、電気代の目安を紹介します。節電のポイントも解説するので、参考にしてください。
パネルヒーターの仕組みや特徴
パネルヒーターは電気の力で内部のパネルを加熱し、そこから発生する熱を自然対流や輻射により室内に広げる暖房器具です。
ファンを使わずに静かに運転でき、燃焼を伴わないため、空気を汚すことなく安全に使用できる点が人気です。まずはパネルヒーターの仕組みや特徴について、基本的なところを押さえておきましょう。
自然対流式の暖房器具
パネルヒーターは自然対流の原理を利用した暖房器具です。加熱されたパネル周辺の空気が暖められて上昇し、その空間に冷たい空気が流れ込むことで、室内に緩やかな空気の循環が生まれます。この自然な空気の流れにより、部屋全体をムラなく暖められます。
エアコンやファンヒーターのように、強制的に風を送る必要がないため、ほこりを舞い上げることもありません。乾燥しがちな冬場でも、快適な室内環境を維持できます。
温度上昇はゆっくりですが、一度暖まった空気は冷めにくく、安定した暖房効果が得られる点も魅力です。
オイルヒーターとの違いは?
パネルヒーターとオイルヒーターはいずれも風を使わず、自然対流や輻射熱で部屋を暖める静音性の高い暖房器具ですが、主な違いは熱源と暖まり方にあります。パネルヒーターは金属パネルを直接加熱し、素早く表面温度が上がるため、オイルヒーターより立ち上がりが早めです。
一方、オイルヒーターは内部のオイルを電気で加熱し、その蓄熱効果で長時間じんわりと暖かさを保ちます。暖房の持続性はオイルヒーターの方が優れていますが、消費電力は高めです。また、パネルヒーターは軽量で移動が容易なのに対し、オイルヒーターは重量があり移動しにくいといった違いもあります。
なお、オイルヒーターの特徴や電気代に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。こちらを参考にしてください。
⇒オイルヒーターの特徴や電気代について、もっと詳しく知りたい方はこちら
パネルヒーターの主な特徴
パネルヒーターの最大の特徴は、静音性の高さと安全性です。エアコンのような即暖性はないものの、ファンがないため運転音がほとんどなく、寝室や書斎など静かな環境が求められる場所でも、快適に使用できます。
また、燃焼を伴わないため一酸化炭素の発生もありません。表面温度も比較的低く設定されているため、うっかり触れてもやけどのリスクが低く、小さなお子さまやペットがいる家庭でも安心して使えます。デザイン性にも優れている製品が多いため、多くのご家庭で導入されている暖房器具です。
パネルヒーターの主な種類
パネルヒーターには、大きさや形状によっていくつかのバリエーションがあります。足元専用の小型タイプやデスク下で使うタイプ、大型で部屋全体を温めるタイプなど用途は多様です。折りたたみ式のタイプは収納性が高く、持ち運びにも便利です。
また、壁掛けタイプやスリム型など、設置場所や部屋のインテリアに合わせて選べる製品も増えています。子どもやペットのいるご家庭には、表面温度が低めに設計された安全重視のモデルもおすすめです。
さらに近年では、タイマー機能や温度調節が細かく設定できる多機能モデルや、省エネ性能に優れた最新機種も登場しています。用途やライフスタイルに応じて、最適なモデルを選択しましょう。
パネルヒーターのメリット・デメリット
パネルヒーターは安全性や快適性に優れる一方で、立ち上がりの遅さや掃除の手間といったデメリットもあります。以下のメリットとデメリットの両方を理解しておくことで、使用シーンに合わせた最適な選択ができます。それぞれ確認していきましょう。
空気が汚れず静音性が高い
パネルヒーターの大きなメリットは、燃焼を伴わないため空気が汚れず、室内の空気環境を清潔に保てることです。ガスや石油を使った暖房器具とは異なり、二酸化炭素や一酸化炭素、水蒸気の発生がないため、定期的な換気の必要性も少なくなります。
また、ファンを使わない自然対流方式のため、運転音がほとんどありません。深夜や早朝の使用でも睡眠を妨げることなく、集中して作業したい書斎や寝室での使用に最適です。
火を使わない安心設計
パネルヒーターは電気のみで動作するため、火災のリスクが非常に低く安全性に優れています。灯油やガスを燃料とする暖房器具と比べて、燃料の補充や取り扱いに神経を使う必要がなく、高齢者や小さなお子様がいるご家庭でも、安心して使用できます。
さらに、多くの製品には転倒時の自動停止機能や過熱防止機能、チャイルドロックなどの安全装置が標準装備されており、万が一の事故を未然に防ぐ設計になっています。表面温度もほかの暖房器具と比べて低めに設定されているため、誤って触れても火傷する危険性が少ないのも特徴です。
軽量で移動しやすい製品が多い
現在市販されているパネルヒーターの多くは軽量設計で、キャスター付きの製品も多いため、必要に応じて部屋間での移動が簡単にできます。朝はリビング、夜は寝室といったように、生活パターンに合わせて効率的に使用することで、電気代の節約にもつながります。
また、コンパクトな薄型デザインの製品も多く、使わない季節には収納スペースを取らずに保管できるのも魅力です。工事不要で電源プラグを差すだけで使用開始できるため、賃貸住宅でも気軽に導入できます。
立ち上がりが遅い
パネルヒーターのデメリットは、暖房効果を実感できるまでに時間がかかることです。輻射熱と自然対流を利用するため、即座に室温が上がるわけではありません。
電源を入れてから快適な暖かさを感じるまで時間がかかることがあり、短時間だけの利用には不向きです。寒冷地や即暖性が必要な場面では、タイマー機能を活用して事前に運転を開始したり、ほかの即暖性の高い暖房器具と併用したりする工夫が必要です。
掃除にやや手間がかかる
パネルヒーターは表面にほこりが付着しやすく、特に放熱フィン(放熱器・ヒートシンク)がある製品は、細かい部分の掃除に手間がかかります。ほこりが蓄積すると暖房効率が低下するだけでなく、焦げ臭いにおいの原因にもなるため、定期的な掃除が欠かせません。
フィンの間は狭くて掃除機のノズルが届きにくいため、専用のブラシや細いノズルを使った丁寧な清掃が必要です。
パネルヒーターの電気代の目安
パネルヒーターの電気代は、出力や使用時間によって大きく変わります。一般的に消費電力は500〜1,500W程度が多く、毎日長時間使うと、月に1万円近くになることも珍しくありません。
ここでは、大型タイプ・小型タイプのそれぞれの代表的な製品について、電気代の目安を確認しておきましょう。
大型タイプは月4,000~8,000円程度
大型のパネルヒーターの代表例として、ゼンケンの「RH-2201」の電気代を計算してみましょう。
同製品の消費電力は強設定で1,000W・弱設定で500Wであるため、それぞれ1時間あたりの電気代は次の通りです。なお、電気料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWhとして計算します。
電気代(円)=消費電力(kW)×使用時間(h)×電力単価(円/kWh)
強設定:1kW×1h×31円=31円
弱設定:0.5kW×1h×31円=15.5円
仮に1日8時間使用した場合、1カ月(30日)の電気代はそれぞれ「7,440円(強設定)」「3,720円(弱設定)」となります。大型タイプのパネルヒーターの場合、月に約4,000~8,000円程度の電気代がかかると考えるとよいでしょう。
※出典: アーバンホット | ゼンケン 浄水器・生活家電・調理家電・レンタル浄水器の総合家電メーカー
小型タイプは月1,000~2,000円程度
次に、小型タイプのパネルヒーターの代表例として、山善の「DP-SB1610」をベースに、電気代の目安を確認してみましょう。同製品の消費電力は160Wであるため、電気代は次のように計算できます。
電気代(円)=消費電力(kW)×使用時間(h)×電力単価(円/kWh)
=0.16kW×1h×31円=4.96円
よって1時間あたり約4.96円の電気代となり、1日8時間使用すると1カ月あたりの電気代は約1,190円となります。小型タイプのパネルヒーターの場合は、月に1,000~2,000円程度の電気代がかかると考えるとよいでしょう。
ただし、使い方によって電気代の負担は大きく変わるため、後述する節電のポイントをきちんと押さえておきましょう。
※出典: 薄型ミニパネルヒーター DP-SB1610 山善 | 山善ビズコム オフィス用品/家電/屋外家具の通販 山善公式
ほかの暖房器具と電気代を比較してみよう
ほかの代表的な暖房器具との電気代の目安も確認しておきましょう。ここでは、エアコンやオイルヒーター、石油ファンヒーター・ホットカーペット・こたつの電気代と比較してみます。
暖房器具 | 消費電力 | 1カ月あたりの電気代(※) |
---|---|---|
エアコン(8畳用) | 約600W | 約4,464円 |
オイルヒーター | 約500W(弱設定)・約1,200W(強設定) | 約3,720円(弱設定)・約8,928円(強設定) |
石油ファンヒーター(10~13畳用) | 約62~129W | 約460~960円 |
ホットカーペット(3畳用) | 約700W | 約5,208円 |
こたつ | 約500W | 約3,720円 |
※1日8時間・30日稼働した場合の目安
なお、ホットカーペットやこたつなどは、暖まると自動で断続運転に切り替わるため、実際の電気代は表の目安より安くなるケースが多いです。いずれも温度設定や使い方で、電気代は大きく変わってくるので、あくまでも目安として参考にしておきましょう。
それぞれの暖房器具の電気代については以下の記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒エアコンの暖房代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
⇒オイルヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
⇒石油ファンヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
⇒ホットカーペットの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
⇒こたつの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
パネルヒーターの使い方のポイント
パネルヒーターを効率的に使用するには、適切な設置場所の選定が重要です。まず、パネルヒーターは自然対流を利用するため、周囲に十分なスペースを確保し、カーテンや家具で空気の流れを妨げないよう注意しましょう。
壁際に設置する場合は、壁から少なくとも30cm以上離すことで、効率的な対流を促進できます。また、部屋の中央よりも外壁側に設置することで、冷気の侵入を防ぎながら効果的な暖房が可能です。
また、温度設定は控えめから始めて徐々に調整し、快適と感じる最低限の設定で使用することで、電気代を抑えられます。タイマー機能がある製品ならば、起床時間や帰宅時間に合わせて事前運転することで、必要な時に最適な温度になるように調整するとよいでしょう。
パネルヒーターの電気代を抑えるには?
パネルヒーターの電気代を効果的に抑えるためには、機器の使い方だけでなく、住環境の改善やほかの暖房器具との組み合わせなど、総合的なアプローチが必要です。以下のポイントを参考に、日々の使い方を工夫してみましょう。
部屋の断熱性能を高める
部屋の断熱性能を向上させるのは、パネルヒーターの電気代を抑える最も効果的な方法の1つです。窓は熱の出入りが最も大きい場所なので、厚手のカーテンを使用したり、断熱シートを貼ったりすることで熱の逃げを防げます。
また、床に厚めのカーペットやラグを敷くことで床からの冷気を遮断し、足元の冷えを防ぐのもよいでしょう。部屋の中で特に寒い場所がある場合は、そこに断熱材を追加したり、家具の配置を工夫して、冷気の流れを変えたりするのも有効です。
こうした対策により部屋全体の保温性が向上し、パネルヒーターがより少ないエネルギーで効率的に暖房できるようになります。
節電モードやタイマー機能などを活用
近年のパネルヒーターには、節電モードやタイマー機能など、多彩な省エネ機能が搭載されています。必要なときだけ稼働させるようタイマー設定をしたり、温度調整機能を活用したりすれば、無駄な電力消費を抑えることができます。
加えて、こまめな電源オフや不要なときのコンセント抜き取りといった習慣も、年間を通じて電気代の節約に役立ちます。
ほかの暖房器具と併用する
パネルヒーター単体で部屋全体を暖めるよりも、オイルヒーターやこたつ・エアコンなどと組み合わせて使うことで、効率的な暖房が可能です。
必要に応じてスポット暖房と全体空調を使い分け、無駄な出力を抑えつつ、コストパフォーマンスに優れた暖房環境を実現しましょう。
例えば、在宅ワーク時は足元のみパネルヒーターを利用し、夜はこたつを使うなど、場面ごとに使い分けることで節約効果を高められます。
電力会社を切り替える
パネルヒーターの電気代を抑える方法としては、使用時間や温度設定の工夫だけでなく、電力会社を見直すのも効果的です。電力小売自由化によって電力会社の選択肢が増え、自分のライフスタイルや電力使用量に合ったプランを選べば、暖房にかかる電気代を節約できる可能性があります。
電力会社の切り替えは、通常は検針日を基準に行われるため、二重請求の心配はありません。また、新しい電力会社が旧電力会社の解約手続きを代行してくれるのが一般的です。ただし、契約内容によっては解約時に違約金が発生する場合もあるため、契約前に確認しておくことが大切です。
⇒電力会社の乗り換えについてもっと詳しく知りたい方はこちら
パネルヒーターの特徴を理解して上手に使おう
パネルヒーターは空気を汚さず静音性に優れた安全な暖房器具として、多くのご家庭で愛用されています。安全性や快適性に優れる一方で、大型タイプは電気代が高くなりやすいため、日々の使い方に工夫が必要です。
節電機能などをうまく活用することで、コストを抑えつつ快適に過ごす工夫をすることが大切です。パネルヒーターの特性を理解し、自分の生活スタイルに合わせて上手に活用することで、寒い季節を快適かつ経済的に過ごせるようになるでしょう。
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