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ヒートポンプとは? 節約に優れた省エネ方式のメカニズムを解説! ヒートポンプとは? 節約に優れた省エネ方式のメカニズムを解説!

夏は冷房、冬は暖房と私たちは年間を通してエアコンのお世話になっています。普段は何気なく使っていますが、よく考えるとなぜ室内を暖めたり、冷やしたりできるのでしょうか。

エアコンを支えている技術の1つが「ヒートポンプ」です。今このヒートポンプがあらためて注目されています。地球温暖化防止のための温室効果ガス排出削減、省エネルギーが声高に叫ばれている現在、ヒートポンプという技術に期待がかけられているのです。

この記事ではヒートポンプのメカニズムを基本から解き明かし、日常生活での省エネ・節電への応用について解説します。

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ヒートポンプの基礎知識

そもそもヒートポンプとはどのような技術なのでしょうか。基本的な仕組みから解説していきましょう。

ヒートポンプとは

ヒートポンプを一言で説明すると、空気中の熱(heat)をポンプ(pump)のように汲み上げて、必要な場所に移動させる技術のことです。

ヒートポンプを利用した電化製品はエアコンが代表的ですが、最近では給湯器の「エコキュート」にも利用されています。

ヒートポンプでは、暖房・給湯でも火を使うものではないため、二酸化炭素の排出を抑えて熱エネルギーを作り出すことが可能です。温室効果ガスである二酸化炭素の排出量も大幅に削減できるため、地球温暖化防止にも貢献できる技術なのです。

ヒートポンプの原理と仕組み

気体には圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質があります。この性質を利用して、ヒートポンプの中では冷媒が圧縮による温度上昇と膨張による温度低下を繰り返しながら循環しています。

暖房のときには、冷媒の温度が外気より下がったときに外気から空気熱を取り込み、冷媒の温度が上昇したときに室内に熱を放出します。冷房のときは、屋内と屋外が逆になり、室内の熱が取り込まれることにより室温が下がるのです。

ヒートポンプは熱を「作る」のではなく「移動させる」だけなので、エネルギーの使用は少なくなります。熱には高い温度から低い温度へ移動するという性質があります。この熱の移動を媒介するのが冷媒で、冷媒は代替フロンや二酸化炭素などが使用されています。

ヒートポンプの原理と仕組み ヒートポンプの原理と仕組み

ヒートポンプの種類

現在実用化されているヒートポンプには、大別すると圧縮式と吸収式の2種類があります。

圧縮式ヒートポンプ

圧縮式は、気体が圧縮されると温度が上昇し、膨張する際には温度が低下する性質を利用して、熱を移動させる仕組みのヒートポンプです。

気体を圧縮させる動力源としては、電気モーターやガスエンジンなどが利用されていて、家庭用や業務用の冷暖房器具や給湯機器などに広く使われています。

吸収式ヒートポンプ

吸収式は「蒸発」「吸収」「再生」「凝縮」のサイクルによる水の気化熱を利用した仕組みのヒートポンプです。

熱を移動させるエネルギー源としては、水蒸気や高温水などが利用されていて、電力は補助源としてのみ用いられるため、電力消費量が少ないという特長があります。工場での熱利用や地域熱供給などに利用されることが多いです。

また一般的なヒートポンプは空気熱を利用していますが、地中熱や水源熱、太陽熱を利用したヒートポンプもあります。これらの技術は、エアコンや給湯器に応用されています。

空気熱は再生可能エネルギーである

ヨーロッパ連合(EU)では2009年6月に施行された「再生可能エネルギー推進に関する指令」において、一定効率以上のヒートポンプにより利用した空気熱・地中熱・河川水熱・海水熱を再生可能エネルギーと定義しています(※1)。

これを踏まえ、日本国内においては2009年に行われた経済財政諮問会議「未来開拓戦略」で2020年の再生可能エネルギーの導入目標にヒートポンプが含まれています。

※1 出典:海外編(一般財団法人 ヒートポンプ・蓄熱センター)
※2 出典:未来開拓戦略の概要(参考資料)(内閣府)

空気熱は太陽由来のエネルギー

地球上のエネルギーの多くは太陽エネルギーに由来します。再生可能エネルギーのうちの1つ、太陽光発電はわかりやすいものです。

風力発電は風の力を利用するものですが、風がなぜ吹くのかを考えると太陽エネルギーが源にあることがわかります。太陽は地球を温めますが、温める場所や温めるものによって温度差が発生し、 その温度差によって風が発生するのです。

水力発電は、雨が降ることによってエネルギーを得ることができます。雨の源である水蒸気は、もともと地球上の水が蒸発してできたものです。海や湖の水、地面に含まれている水は、太陽の力によって蒸発して水蒸気になります。水蒸気が空に昇り、上空で冷やされて雲になり、雲の中で水や氷のつぶがくっついて雨や雪となって地上に降りてきます。

こうした仕組みをみると、風力発電・水力発電は太陽エネルギー由来なのだということがわかります。

石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料も何億年も前の植物から生成されているので、実は太陽エネルギー由来なのです。(ちなみに原子力と地熱発電は地球由来のエネルギーです。)

空気熱を利用するヒートポンプのエネルギーも、もともとは空気を暖める太陽エネルギーに由来するものなのです。

家庭での熱利用とヒートポンプ

地球温暖化問題が課題となっている現在、各ご家庭での省エネルギー行動が求められています。ご家庭での省エネというと、「照明をこまめに消す」などがすぐにイメージされますが、暖房用、冷房用、給湯用などの熱利用に関わることに大きなエネルギーが使われていて、ここへの対処が効果的となります。

日本の家庭部門(一般家庭など)のエネルギー起源CO₂排出量は、1億5,900万トンにのぼります。そのうち暖房用が22%(3,530万トン)、冷房用4%(570万トン)、給湯用21%(3,330万トン)を占めています(※1)。

暖房と給湯は、そのエネルギー源をみるとガスや灯油など化石燃料の燃焼によるものが多いです。電気ストーブは電気を使用しての暖房器具ですが、エネルギー効率が悪くCO₂排出量が多いことがわかっています。

これらがヒートポンプに置き換わると、大きな省エネ効果を得ることができます。ガスの従来型給湯器をヒートポンプ方式の給湯器「エコキュート」に替えると約28%の省エネになり、電気ストーブをヒートポンプ方式のエアコン暖房に替えると70~80%の省エネになります(※2)。

※1 出典:環境省 家庭部門におけるエネルギー起源CO2
※2 出典:家庭部門のエネルギー消費について

ヒートポンプが使われている電化製品

ヒートポンプが使われている電化製品 ヒートポンプが使われている電化製品

この章ではヒートポンプ技術が利用されている電化製品についてご紹介しましょう。

エアコンの冷暖房

ヒートポンプを利用した家庭用電化製品の代表格といえば、エアコンです。

「ヒートポンプの原理と仕組み」の節で説明しましたが、気体は圧縮されると温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質を利用して、冷暖房を行っているのがエアコンです。暖房のときには、外気から空気熱を取り込み室内に熱を放出します。冷房のときは、逆に室内の熱が取り込み、外気に放出することで室温が下がります。

エアコンの冷暖房 エアコンの冷暖房

家庭用エアコンは、気体を圧縮させるコンプレッサーの動力源として電気を使うのが一般的です。

冷蔵庫

冷蔵庫もエアコンと同じく、ヒートポンプ技術を利用して庫内を冷やしています。

冷蔵庫の冷却の仕組みはエアコンとほぼ同一です。冷媒はノンフロンである「イソブタン」を利用しています。この物質は、フロンガスのようにオゾン層の破壊をしないばかりか、代替フロン(HFCなど)のように地球温暖化を促進させる温室効果ガスでもありません。

ヒートポンプ式の洗濯乾燥機

乾燥機付きの洗濯機にもヒートポンプ方式が採用されている機種があります。

洗濯機に設置されたヒートポンプにより、空気熱を利用して衣類を乾燥させます。湿気を含んだ空気を除湿し、65~70℃の温風で衣類を乾燥させます。

従来のヒーター方式よりもエネルギー効率が良いので、電気料金が安く済みます。

ヒートポンプ式の床暖房

ヒートポンプを利用した温水床暖房もあります。仕組みはエアコンの暖房サイクルと同じで、水を温めてそれを床に埋設した温水配管に循環させることで部屋全体を温めるものです。

家庭用や業務用の給湯器

ヒートポンプを利用した給湯器が「エコキュート」です。空気熱を利用して水を温め、給湯します。オール電化住宅には不可欠な存在となっているので、オール電化住宅の普及とともに普及・定着しています。

エコキュートは関西電力が登録商標権を持つ愛称で、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」といいます。

エコキュートもヒートポンプを使っている

ヒートポンプ技術を利用した家庭用給湯器、エコキュート。このエコキュートが省エネルギーにつながるとして、近年評価が高まっています。

なぜエコキュートは省エネなのか

エコキュートはヒートポンプ技術を利用して給湯するので、電気温水器に比べると非常に省エネルギーになります。電気料金は3分の1程度に収まります。

エコキュートとよく混同されるものに「電気温水器」がありますが、エコキュートがヒートポンプで水を温めるのに対し、電気温水器は電熱ヒーターで水を温めます。電熱ヒーターは、金属に電気を流すと抵抗から熱が生じる現象を利用します。水を温める原理が電熱ヒーターとヒートポンプとでは、まったく別物なのです。

築年数の古い住宅などに電気温水器が設置されているケースがありますが、ヒートポンプ方式のエコキュートに比べるとエネルギー効率が悪く、電気料金がかさみますので注意が必要です。

エコキュートの仕組み

エコキュートは「貯湯タンクユニット」と「ヒートポンプユニット」から構成されています。ヒートポンプユニットで貯湯タンクユニット内の水を沸かし、熱交換を行って再び貯湯タンクユニットへ戻します。貯湯タンクに戻ったお湯は水と混ざることがなく、上部に溜まります。

溜まったお湯は、断熱材によってポットのように保温しています。室内でお湯を使うと、貯湯ユニット下部から水が自動的に給水される仕組みになっています。

エコキュートの冷媒は、自然界に存在している二酸化炭素を使用しています。冷媒というと、昔のエアコンなどで使われていたフロンガスが有名ですが、フロンガスは大気中に放出されるとオゾン層を破壊してしまいます。

エコキュートは省エネルギー性能に優れているだけでなく、地球環境にもやさしい冷媒を使用しているのです。

オール電化住宅とエコキュート

オール電化住宅とは、調理・空調・電気・給湯などのエネルギーをすべて電気でまかなっている住宅を指します。

オール電化住宅ではガスを利用しないので、キッチンではIHクッキングヒーターを使います。暖房はエアコンか蓄熱式暖房機を使用します。そしてオール電化住宅では、給湯器はエコキュートを使うことが一般的です。

オール電化住宅とエコキュートは非常に相性が良いといえます。オール電化住宅では深夜電気料金が安くなるプランに入りますが、深夜の安い時間帯にエコキュートでお湯を沸かし、貯湯して昼に使うシステムになっています。

電気は「貯められない」のが特徴ですが、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、効率よく安い深夜電力を利用するのがエコキュートなのです。

節約を考えるなら電気・ガスの契約を見直そう

ヒートポンプの原理や仕組みを知ると、省エネ・節約のヒントとなることがあります。例えば、冬の暖房は灯油のストーブを使うよりもエアコンの暖房の方がCO₂を排出しない、エコな選択なのだということもわかります。

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