床暖房にかかる費用はいくら？設置費用やランニングコスト、他の暖房器具との電気代比較

床暖房には主に「温水式」と「電気式」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。この章では、各タイプの仕組みや特徴を理解し、どちらが自分のニーズに合うかを明確にするための情報を提供します。

温水式床暖房は、床下に敷設されたパイプ内を温水が循環することで床を温めるタイプです。エコキュートやガス給湯器などで温めたお湯がパイプを通ることで床が温められます。
この方式は熱容量が大きく、じんわりとした暖かさが持続するのが特徴です。部屋全体を柔らかい熱で包み込み、体感温度が実際の気温よりも高く感じられるため、快適性が高いとされています。
初期導入コストは高めですが、ランニングコストは比較的低く、大型の部屋や広いエリアで効率的です。長期的に利用する場合には経済的でエコロジーな選択肢となります。

電気式床暖房は、床下に敷設された電熱線やカーボンヒーターが通電することで、床を直接暖める仕組みです。この方式は温水式に比べて構造がシンプルで、設置工事が比較的容易であり、新築だけでなくリフォーム時にも導入しやすいのがメリットです。
電熱線が発する熱は速暖性に優れ、短時間で部屋を暖めることが可能なため、日常的な利便性が高いと言えます。
しかし、電力を直接使用するため、ランニングコストは電気代の上昇に影響を受けやすいという課題があります。また、設置面積が広がるほど消費電力が増加するため、比較的小さなスペースや部分的な暖房に適していると言えます。
温度調整の自由度が高いことから、細かい快適性を追求したい場合にも向いていますが、長時間稼働させる場合はコスト面の配慮が重要です。

床暖房の設置費用は、種類や部屋の広さによって大きく異なります。以下では、温水式と電気式の設置費用を比較し、それぞれの選択肢について詳細を解説します。

温水式床暖房の設置費用は、初期費用が高額になる傾向があります。新築時に設置する場合、1畳あたりの費用相場は5万〜10万円程度とされ、リフォーム時には8万〜15万円とさらに高額になるケースが一般的です。
加えて、ボイラーやポンプなどの熱源機器の設置費用が別途必要となり、これには25万〜100万円程度が追加でかかることがあります。特に、広い部屋や複数の部屋での設置では配管の延長や熱源機の性能向上が求められるため、トータルコストが上昇する傾向にあります。

電気式床暖房の設置費用は、1畳あたり5万〜10万円が相場となります。部分的な暖房やリフォーム時の追加設置が比較的容易であることが特徴です。
特に「直貼り」方式を選択すれば、既存の床をそのまま活用できるため、工事の手間を最小限に抑えることができます。一方で、全面的な張り替えを行う場合は費用が増加する可能性があるため、事前の計画が重要です。
温水式床暖房と比べて、設置費用は比較的安く抑えられる傾向にあります。

床暖房の設置費用は、暖房の種類、設置する部屋の広さ、施工方法といった要因に左右されます。これらの要因を正しく理解することで、予算に合った最適な床暖房を選択できます。費用に影響を与える具体的な要因について詳しく解説します。

床暖房の設置費用に大きな影響を与えるのが「温水式」か「電気式」の選択です。
温水式床暖房は、床下に敷設されたパイプに熱源機で温めた温水を循環させる仕組みで、効率的に熱を伝えることが特徴です。この方式では、パイプの敷設や熱源機の設置が必要となり、工事が大掛かりになるため、設置費用は電気式床暖房と比べて高額になる傾向があります。
一方、電気式床暖房は、床下に敷設した電熱線やヒーターを用いて床を直接温める仕組みで、工事が比較的簡易です。そのため、設置費用は安く抑えられる場合が多く、部分的な設置や狭い空間での使用に適しています。

部屋の広さは、設置費用に大きく影響します。床暖房を広い部屋に設置する場合、必要となる材料の量や工事時間が増えるため、費用が高くなります。
例えば、リビングやダイニングのように面積が広い空間では、設置費用が数十万円単位で増加することも考えられます。

床暖房の施工方法も費用に影響を与える大きな要素です。
「直貼り」は既存の床の上に床暖房設備を直接敷設する方法で、既存の床材を撤去する必要がないため、コストを抑えられるメリットがあります。この方法は、築年数の浅い住宅やリフォームで多く採用されます。
一方、「全面張り替え」は床材全体を撤去し、新たな床材とともに床暖房設備を設置する方法です。この施工方法は、古い住宅や床材の劣化が激しい場合に選ばれることが多いですが、材料費や工事費がかさむため、結果的に費用が大幅に増える傾向があります。
施工方法の選択は、予算だけでなく家の状態や長期的な耐久性を考慮して決めることをおすすめします。

床暖房のランニングコストは、選択する方式によって大きく異なります。この章では、温水式と電気式の床暖房にかかる月々の費用を具体例を用いて比較し、長期的にどちらがお得なのかを見ていきます。

温水式床暖房のランニングコストは、熱源にガスを使用する場合、効率的かつ安定した暖房を提供するため、広い範囲での利用に適しています。

東京ガスの試算によると、8畳の部屋を1日8時間運転した場合、1日あたりのガス代は約170円、1カ月では約5,100円となります。
温水式床暖房は、一定の温度を長時間維持することに適しており、広範囲の部屋や家全体での使用に向いています。特に、家族全員が長時間家にいる場合や、広いリビングで快適性を重視したい場合には理想的な選択肢と言えるでしょう。
※出典： 床暖房を使用した時のランニングコストを知りたい。|東京ガス：よくあるご質問・お問い合わせ

電気式床暖房は、初期費用が比較的低い一方で、ランニングコストがやや高めです。一般的に、8畳の部屋を1日8時間、床温約30℃で使用した場合、1カ月の電気代は約8,000円代となります。
電気式床暖房は、部分的な暖房や短時間の使用に適しています。例えば、限られたスペースで手軽に暖を取りたい場合や、特定の時間帯だけ利用するライフスタイルには有効です。しかし、24時間運転する場合には、温水式と比較してランニングコストが高くなる可能性があるため、注意が必要です。

暖房器具は種類によってランニングコストが大きく異なります。ここでは、床暖房を含む主要な暖房器具のランニングコストを比較し、それぞれの特性に基づいて最適な選択肢を探るお手伝いをします。
※料金単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価の31円/kWhとして計算しています。

エアコンは、広い部屋を効率的に暖める代表的な暖房器具の一つです。ダイキンのEシリーズ（S254ATES-W）を例に取ると、消費電力は約635W。1日8時間使用した場合の電気代は、以下の通りです。

• 1時間あたりの電気代：0.635kW×31円/kWh=約19.69円
• 1日あたりの電気代：19.69円×8時間=約157.48円
• 1カ月あたりの電気代：157.48円×30日=約4,724.4円

エアコンは、床暖房と比べても同等かそれ以上の効率性を持ち、初期費用が低めな点が魅力です。
※参考： Eシリーズ仕様（スペック）|壁掛形エアコン|ダイキン工業株式会社

ガスファンヒーターは、即暖性と安価なランニングコストが特徴の暖房器具です。大阪ガスのデータによると、1時間あたりのガス代は約12円。そこから計算すると、以下のようなコストが見込まれます。

• 1日あたりのガス代：12円×8時間=約96円
• 1カ月あたりのガス代：96円×30日=約2,880円

ランニングコストの低さが際立っており、即座に暖を取りたい家庭に適しています。
※参考： ガスファンヒーター-ご購入前のお悩み解決/大阪ガス

オイルヒーターは、部屋全体を穏やかに暖める能力がありますが、消費電力によって電気代が異なります。デロンギのRHJ10F0812-SGを例にすると、消費電力ごとのコストは以下の通りです。

• 500W（0.5kW）の場合
  • 　1時間あたり：15.5円
  • 　1日あたり：124円
  • 　1カ月あたり：3,720円
• 700W（0.7kW）の場合
  • 　1時間あたり：21.7円
  • 　1日あたり：173.6円
  • 　1カ月あたり：5,208円
• 1,200W（1.2kW）の場合
  • 　1時間あたり：37.2円
  • 　1日あたり：297.6円
  • 　1カ月あたり：8,928円

オイルヒーターは消費電力が高くなるほどランニングコストも増加します。
※参考： オイルヒーターストーングレーRHJ10F0812-SG|De'LonghiJP

電気カーペットは、部分的な暖房に適した効率的な暖房器具です。パナソニックのDC-2NK（定格490W）の場合、コストは以下の通りになります。

• 1時間あたりの電気代：0.49kW×31円/kWh=約15.19円
• 1日あたりの電気代：15.19円×8時間=約121.52円
• 1カ月あたりの電気代：121.52円×30日=約3,645.6円

電気カーペットは、部分暖房としてコストパフォーマンスに優れていますが、広い部屋全体を暖めるには不向きです。
※参考： 着せかえカーペット用ヒーターDC-2NK|Panasonic

床暖房は快適で効果的な暖房方法ですが、ランニングコストを抑えるためには工夫が必要です。効率的に床暖房を使用するための具体的な方法を解説します。

床暖房は運転開始から設定温度に達するまでに多くのエネルギーを消費します。そのため、頻繁に電源のオンオフを繰り返すと、かえってエネルギーの無駄遣いにつながります。短時間の外出時には電源を切らず、低い温度設定で運転を続ける方が効率的です。長時間使用する場合には、自動運転モードを活用し、安定した温度を保つことでコストを削減できます。
特に短時間の外出時には電源を切らず、低い温度設定で運転を続ける方が効率的なことが多いです。基本的にはエアコンと同じで、短時間なら電源を切らずに、長時間の外出や睡眠時には電源をオフにするというルールを設定することで電気代・ガス代を安く抑えられるでしょう。

床暖房の効率を最大限に高めるためには、床の表面を遮るものを置かないようにしましょう。特にカーペットやラグ、設置面積の大きい家具などは、床からの熱を吸収してしまい、部屋全体の暖房効率を低下させます。
床暖房を設置しているエリアには、カーペットや家具などを置かず、できるだけ床材のままの状態を維持することが理想的です。
家具の配置にも注意し、床面を広く露出させることで、暖房効果が最大化され、エネルギーの節約につながります。

多くの床暖房システムには、省エネモードやエコ設定が搭載されています。省エネモードを使用することで、必要以上に高い温度設定を避け、エネルギー消費を抑えながら快適な室温を保つことが可能です。
また、省エネモードは自動的に効率的な運転を行うため、設定温度を頻繁に変更する手間も省けます。
特に、夜間や家族が少ない時間帯には、このモードを活用すると大幅なコスト削減が期待できます。

エネルギー自由化により、電力会社やガス会社の選択肢が広がっています。例えば、Looopでんき＋ガスのような一体型のプランを活用すると、電気代やガス代を見直し、節約することが可能です。
また、自分の生活スタイルに合った料金プランを選ぶことで、さらにコストを削減することができます。多くのエネルギー会社がシミュレーションツールを提供しているので、これを利用して最適なプランを見つけましょう。

床暖房は快適で効果的な暖房方法ですが、ランニングコストを抑えるためには工夫が必要です。効率的に床暖房を使用するための具体的な方法を解説します。
特に、温水式床暖房は初期費用がかかる一方で、長期的なランニングコストを抑えられるため、広い部屋や長時間の使用に適しています。
一方で、電気式床暖房は手軽に導入可能で、部分的な暖房や短時間の使用に最適です。
また、省エネモードの活用や適切なプランの選択により、運用コストをさらに抑えることも可能です。
快適さとコストのバランスを見極めるためには、ライフスタイルや使用目的を明確にし、長期的な視点で投資対効果を検討することが重要です。床暖房を賢く取り入れて、快適で経済的な暮らしを実現しましょう。